BVLGARI「オクト フィニッシモ」その凄さを紐解く

 By : Kamine

写真の美しい景色は古くからスイスの高級時計製造の聖地と呼ばれる「ヴァレド ジュウ」(ジュウ渓谷)

ブルガリはイタリアの高級宝飾ブランドとして世界的に有名ですが、この地で本格的に新しく代表機種となる紳士用高級時計の開発に2000年から取り組んできました。

 

 

ルサンティエにあるブルガリ マニファクチュール HH。ここはかつてダニエル ロートなどのハイコンプリを製造していた名門ファクトリーです。

紳士用高級時計製造でブルガリ社が目指したのは技術的に難しい薄型時計のジャンルの記録への挑戦でした。

 

 

薄型時計の製造は限られたスペースの中にムーブメントを内包しなければならないので、全てのパーツを薄く小型化する必要があります。

 

 

 

ひとつひとつのパーツを小型化しながらも耐久性を維持する必要があるため、素材を含めて全て設計が見直しになることもあり、大変難しい工程となります。

 

 

ブルガリマニファクチュールは何年もかけて自社ムーブメント開発に取り組みましたが、2014年には世界最薄トゥールビヨンの記録を樹立

そこから6年間で6度の最薄ワールドレコードを更新しています。その開発能力の底力には驚くばかりです。

 

 

更に2017年にはブルガリは最薄自動巻ムーブメントの記録を樹立。(BVL138)

 

 

それまでは現在も現役のヴァシュロン・コンスタンタンの薄型基幹ムーブのキャリバー1120が記録を保持していました。それが開発されたのは1967年。記録更新に50年もかかっており、いかに薄型ムーブメントの開発が難しいかを物語っています。

 

大きく厚い(デカ厚)ブームの中、最薄への記録に挑戦していたブルガリの薄型に特化したオクトプロジェクトの戦略はある意味時計製造のトレンドをかなり早く動かしたのではないかと感じます。

そしてオクト・フィニッシモは今、主流になりつつあるインフォーマル(つまりデイリーユース指向のラグジュアリースポーツ)のジャンルに薄型というひとつのジャンルを確立したと言えるでしょう。

 

 

写真はブルガリウォッチの全てをデザインするファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏

 

 

さてここからオクトの最新作

オクトフィニッシモ トゥールビヨン クロノグラフスケルトンオートマティックをご紹介しましょう。

この時計は針を見てもわかるようにその他徹底的に削ぎ落された硬質のチタンの各パーツが見事にスケルトナイズされ、僅か7.4㎜のケースの中に時計製造技術の極みが凝縮されています。薄く造るというオクトシリーズのコンセプトによって生まれたこの新作も驚異的なハイスペックを備えながらブレスと一体で超軽量という副次的なメリットを併せ持つ事となったのです。

 

 

特にこのモデルはトゥールビヨン、クロノグラフを備えた自動巻で、しかもブレスレットタイプでありながら総重量84gに仕上げているのは、「薄い」「軽い」「快適なフィット感」の三拍子を揃えた時計として完成したのです。

 

 

 

ムーブメントはフライングトゥールビヨン シンプルプッシュ クロノグラフを備えた自動巻で、その厚さなんと3.5㎜。6時位置のトゥールビヨンは徹底的に肉抜きされたブリッジとケージで構成されたフライングトゥールビヨン。

クロノグラフ機構は2時位置のチタン製プッシュボタンによるシングルプッシュクロノグラフで制御方式はコラムホイール、伝達方法は独自のキャリングアームによる水平クラッチと、最上級クロノグラフのメカニズムを備えており、性能面では薄さを求めるが故の妥協が一切見えません。

プッシュボタンの押し感も非常に心地よく、精緻な仕上がり。キャリングアームタイプに見られる針飛びやトルク落ちが無く、極めて丁寧で高度な調整がなされていることを感じさせます。

 

 

外装、ディテールに関してもケース、ダイヤル、リューズ、プッシュボタン、ブレスレットは全てグレード5のチタン製。耐傷、両面無反射コーティング加工されたサファイヤクリスタル風防。30m防水等、実用性をとことん追求した設計になっています。

 

オクトフィニッシモ トゥールビヨン クロノグラフ
チタンケース(42.0㎜)
自動巻
トゥールビヨンクロノグラフ
52時間パワーリザーブ
30M防水
世界50本限定
世界最薄ムーブメント3.5㎜
¥17,424,000(税込)

 

 

 

 

オクトコレクションの系譜となる一連のシリーズは、一定の設計思想のもとノウハウを構築し、設計、製造されているので、開発のピッチも早くこれまでにないスピードで6台全てのそれぞれが世界最薄の記録をうち立てているのも快挙です。

今は再興を果たしたブランパンですが、30年近く前まだ若かったJ.C.ビバー氏が6マスターピースコレクションを企画製作、それを売り込みにカミネまでやって来た事を思い出しました。

34㎜という小さく薄い同じケースに、トゥールビヨンやクロノグラフなどの複雑ムーブメントを搭載するという難しい戒律を自らに課し、世界に発信された各種6本の時計は当時脚光を浴びました。そしてそのプロジェクト以降ブランパンは見事再興を果たしていきました。

今回の一連のブルガリ社のオクトは正にハイスペックで近代的に進化した事を象徴するシリーズだと言えるのだと思います。

 

 

高級時計の聖地「 ヴァレ・ド・ジュウ 」 ル・サンティエから世に出た傑作複雑時計を語るのには枚挙にいとまがありません。

それは19世紀から脈々と現在まで続く革新的な設計と製造に向けられた熱い情熱から生み出されていくのです。

 

 
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