モーリス・ラクロア アイコン・オートマチック・マーキュリー 実機レポート

モーリス・ラクロア(Maurice Lacroix)のアイコン(AIKON)コレクションより、ユニークな表示形式を持つアイコン・オートマチック・マーキュリー(AIKON Automatic Mercury)を拝見させていただきましたのでレポートします。



アイコンシリーズはモーリスラクロアのスポーティーラインで、クオーツからスタートしましたが2018年のバーゼルワールドで機械式ムーブメントを搭載したバリエーションが追加され、日本でも人気だそうです。
オーソドックスな三針とクロノグラフがラインナップされていましたが、そこに追加されたユニークなモデルがマーキュリーになります。



百聞は一見に如かず、まずは動きを見てみましょう。

いかがでしょうか？
通常の時間を見るポジションである6時下(水平)では正しい時間が表示されますが、それ以外のポジションでは針が自由に動き回ります。
ブランド曰く、"これこそが、「アイコン マーキュリー」の最大の秘密なのです。つまり、時間同様に、注意をして見なければ、気 づかない間に様相が変化していきます。そして、時間同様に、注意をして見れば、圧倒的な存在感でそこに存在 し続けるのです。"という哲学的な主張をユニークな機構に落としこんでいます。



タイム・メモリー・モジュールと名付けられた、この機構はモーリス・ラクロアの技術者が10年前に考え出したものをもとにしています。
その時は開発を進めたものの、最終的には製品化に至らなかったそうですが、3年前にもう一度開発を行い、今回製品化に至りました。
オーナーが能動的に"時間を注視するための行動"を起こさない時は時間表示を放棄し、オーナー以外からは時間を読み取らせないという姿勢は"自分だけのもの"であるという感覚と、一味違うユニークさを備えています。



この機構は構造としてはレトログラードに近く、本来の時針と分針に相当する軸はレギュレーターのように独立して配置され、角度を高さに変換するスネイルカムが取り付けられています。



このスネイルカムをアームが読み取って表示用の時分針を動かすのですが、レトログラードではバネで常にアームをカムに押し付けているのに対し、タイム・メモリー・モジュールでは錘を使い、6時下にしたときに重力でアームがカムに押し付けられるようになっています。
錘が重力によって特定の方向に引っ張られない限り正しく表示されないため、6時下以外では表示が崩れ、更に人の動きが錘に伝わることでランダムめいた動きになります。
また、このような仕組みのため、時針と分針は回転の最後に逆回転して0に戻るというレトログラード同様のダイナミックな動きを見せます。
一見すると普通の三針時計がこのようなダイナミックな動きをすると"知っている"のはオーナーだけというのも面白いでしょう。



タイム・メモリー・モジュールはスケルトナイズされ、機構を余すところなく見ることができます。
もちろん、スネイルカムや錘を備えたアームが動く様子もしっかりと観察できます。

数値上のケース径は44mmですが、ラグを省いてケースに直接ベルトが付く構造なのでそこまで大きいとは感じませんでした。
私は大きい時計が好きなので微妙ですが…



ワンタッチ交換式のベルトでステンレスメタルブレスとアリゲーターストラップに交換することができます。

リーズナブルな価格で一味違ったコンプリケーションを備えたアイコン・オートマチック・マーキュリー。
非常に面白いと感じました。

最後に公式のスペックを掲載いたします。

■ アイコン マーキュリー



＜スペック＞
ケース ： SS製 、ケース径44㎜、ケース厚14㎜

ガラス ： 無反射コーティングサファイアクリスタルガラス

ムーブメント ： 自動巻き(Cal.ML225)
自社開発の特許技術であるタイム・メモリー・モジュ―ル搭載
28,800振動(4HZ)、54石、38時間パワーリザーブ
機能 ： 時間・分・秒(スモールセコンド)表示

防水性 ： 10気圧

ダイアル ： スケルトン、サファイアクリスタルの層にインデックスとスモールセコンドカウンター

ブレスレット ： SS製 (イージーチェンジャブル機能)
ストラップ ： ブラックのカーフレザー (イージーチェンジャブル機能)
バックル ： SS製ダブルフォールディングバックル

発売時期 ： 2019年11月発売予定

価格 ： 888,000円（税抜）



【問い合わせ先】
Maurice Lacroix / モーリス・ラクロア（DKSH ジャパン） 
TEL. 03-5441-4515

■モーリス・ラクロア
https://www.mauricelacroix.com/