ラドー、デザインの追求と素材への挑戦~ハイテク セラミックの製造工程を画像で公開

 By : KITAMURA(a-ls)

ラグジュアリー産業の代表格である時計業界も、多くの面で、流行や世間のニーズを推し量って動いている。
"デカ厚"、"デカ薄…などなど、思い起こせば、いくつかのキーワードが各ブランドの新作のトレンドとなっていた時代の記憶がよみがえるし、現在ではそれがまさに"ラグスポ"なんだろうと思う。

もちろん独自のコレクションや、伝統的なラインを大事にしているブランドやメゾンも多いが、その中でも、まるで世間の流行りとは一線を引いたかのように、素材とデザインの面白さを追求し続ける興味深いブランドがある。なかなか紹介する機会がないのだが、Radoはそんなブランドの最先端ではないかと思う。

1917年の創業以来、ラドーは時計作りにおいて特にデザインに重きをおき、当時から『デザインこそラドーの"DNA"』と評され、数多くのデザイン賞を獲得してきた。今でも毎年、著名なデザイナーとのコラボレーション時計を発表している。
たとえば昨年には、世界で最も影響力のある建築・インテリアデザインメディアの一つとして高い定評のある英国の「Dezeen(ディジーン)」と共同で、「ラドー・デザインウィーク」というオンライン・イベントを開催、デザインとセラミックスに代表される素材に軸を置いたブランドであることをアピールしつつ、開催期間中に世界的に著名なデザイナーたちとコラボレーションした時計を複数モデル発表している。
以下は、そこで発表されたモデルだ。
時代に媚びを売らない、常にパイオニアたらん姿勢が感じられるだろう。

「トゥルー スクエア アンデジタル」 /日本のデザイナーデュオ「YOY(ヨイ)」との作品




「トゥルー スクエア フォルマファンタスマ 」/イタリア人ユニット「FormaFantasma(フォルマファンタスマ)」との作品



「トゥルー スクエア テジ・チャウハン 」/英国のデザイナー「Tej Chauhuan (テジ・チャウハン)」との作品



その他にも、2020年に数々のデザイン賞を授賞した 「トゥルー シンライン レ・クルール™ ル・コルビュジエ コレクション」
(参照→ https://watch-media-online.com/news/3068/ )

スペイン人デザイナー インマ・ベルムデスのユニークなクリエイティブが落とし込まれた「トゥルー シンライン ジェム リミテッド エディション」などが発表されている。



また、今年も、著名なトレンドリサーチ専門家、リドヴィッジ・エデルコートが、明晰さ真正さの意義やそうしたニーズが高まるであろうという現代社会に対する彼女なりの解釈を、ラドーの時計を通して表現した作品、「トゥルー シンライン スティルネス(​Rado True Thinline Stillness)」などなどがある。

しかしこれらもほんの一部で、デザインと時計との共存を目指すRadoの作品は、文字通り枚挙にいとまがない。
(参考 → https://watch-media-online.com/news/4688/ )
(参考 → https://watch-media-online.com/news/4901/ )


さて、前置きが長くなってしまったが、今回この記事を書いているのは実はデザインの件ではなく、ラドーのもうひとつの"DNA"とも言える素材の探求に関してなのである。

1962 年「傷のつきにくい時計」として、初のスクラッチレジスタント時計を開発したラドーは、その後にサファイアクリスタルを採用。1986 年には初のセラミックスによる時計を発表した。この高耐久ハイテクセラミックスのケースとブレスレットを採用した Rado Integralの 登場は、時計業界に革命を起こした。
さらに90 年代にはサーメット、2011年にCeramos®、2012年にシリコンナイトライド、2013年にブロンズカラーのセラミックス Si3N4+TiN の開発するなど、マテリアルへのチャレンジジャーとして知られるラドーであるが、このたびそのもっとも重要な発明であるハイテク セラミックの製造工程画像(「キャプテン クック ハイテク セラミック」)を公開してくれたので、改めてそのプレスリリースをここで紹介したい。

いつかまとめたいと思っていた主題だったが、まだ文章で断言できるほどラドーの時計を保有したり触れていないという気持ちから、なかなかその機会を掴めないでいたのだが、今回ラドーから質の高い資料が届いたので、まずはその外観を書いてみた。これを機に多少なり興味を持っていただければと思う次第である。

(以下、プレスリリースを引用)





「他のどんなものとも違う感覚」

素晴らしい外観を備えたセラミックに関して、科学者や詩人、感覚を大切にする人たちの意見も一致するはずです。美しさは、実際に洗練させることができ、化学やノウハウによって調整できるのです。重工業というよりは、むしろ錬金術に近い大胆で巧妙な作業の中で適切な圧力、温度に設定し、特殊な条件や希少鉱物、ガスによって、最終的なカラーが得られます。 そうしたクリエイティビティとノウハウが、CeramosTMやプラズマハイテクセラミックのような革新的なセラミックの実現に一役買っています。そしてレーザーとダイヤモンドによる加工が未来の形を生み出します。どうぞ、ラドーの世界観を“Feel it”(感じて)ください。



製造ステップ

[ステップ 1]鋳型のデザイン
鋳型はラドーのデザイナーが描いた図面から生み出されます。



[ステップ2]射出成型
鋳型は強力な機械の奥深くに配置され、射出プロセスが行われます。





[ステップ3]焼結
ケースが極度の高温(1450°C) の特殊炉の中に置かれ、焼結します。何時間もかけてセラミックスは硬化し、強烈なカラーと最高硬度を獲得すると同時にポリマーは水分が抜けて乾燥します。このプロセスの過程でケースは23%縮小し最終サイズになります。



[ステップ 4]機械加工
最終的に正確なサイズは、ダイヤモンドの工具を使って機械加工を行い必要な精度が得られます。





[ステップ5]ポリッシュ仕上げ
抜群の輝きを得るために、高周波数で振動する小さなセラミック片をたくさん入れた槽の中に部品が入れられます。



[ステップ6]サンドブラスト仕上げ
滑らかなマット仕上げにしたい場合はサンドブラストを使います。



[ステップ7]エングレービング
レーザーにより完璧な輪郭と深さで、様々な数字やマークを刻み込みます。



※[プラズマハイテクセラミックのみステップ7に追加される製造ステップ]
[追加ステップ7.1]プラズマ炉

ハイテクセラミックプラズマ仕上げ用のコンポーネントはさらに炉の中で処理されます。これにより、最初はホワイトだった色が恒久的なメタルの色合いに変わり、仕上がります。



[追加ステップ7.1]プラズマ
ラドーのプラズマハイテクセラミックは、金属を一切含んでいないのにメタリックな外観を備えたマテリアルです。




[ステップ8]ラッカー塗装
レーザーで作られたとても小さな穴にラッカーが施され、乾燥後、セラミックに永久接着します。この繊細な作業は、ラドーの職人によって行われます。



[ステップ9]品質管理
厳格な検査が行われ、最終結果がすべてラドーの基準を満たしていることを確します。





セラミックの芸術
「マスター・オブ・マテリアル」(マテリアルの名匠)という呼び名は偶然にして生まれたものではありません。この名は、ラドーの熱心な研究と開発の賜物であり、可能なかぎりの実験を行い、想像しようとする勇気と執念に裏打ちされています。 1917年の創業以来、ラドーは、イノベーションの最先端を邁進してきました。時を経ても美しくあり続けるマテリアルを開発し、そのマテリアルの最も素晴らしい特性を活用する独自の方法によりラドーは、時計業界のみならず、世界でその名を 馳せました。

「想像することができるならば、作り出すことができる」という、創業期のモットーは、今日も変わらず引き継がれています。物事に は、二つの捉え方があ ります。科学こそ全て、という 考え方がそのひ とつ。新し い ものや時を経ても変わることのない原理を探究し、それを生み出す計算式を探しあてることによって将来性豊かな発見への道が切り拓かれます。
もう一方は、感じることが最も大切だという考え方で新しい外観やカラー、言葉で表現できないようなテクスチャーなどを自分の手で実際に触れたり、感じたりすることに重きを置きます。

ハイテクセラミック製のラドー腕時計を手にすると、この異なる二つの世界がひとつに融合します。高純度の化学粉末から 素晴らしい腕時計を生み出すことを夢見て、長い間研究を重ねてきた科学者は突然、並外れた物ができたことに気づきます。
その瞬間、「マスター・オブ・マテリアル」という名が絶対的な意味を持ちます。感覚を大切にする人たちの体験も、その瞬間と違いはないかもしれません。表面を指先で触れたり、これまでどんな物質も持っていなかったようなクールでスムーズな感触を味わい、「この感じは何かに似ている。香り︖味︖それとも音楽だろうか︖」と想像を巡らせるのも科学者の発見の瞬間と似ています。


●[ステップ2]射出成型

現代世界において、耐久性に優れているだけでなく、ほぼ永遠である物質に到達できるのは神秘に他なりません。灰から灰へ、そして粉末から粉末へ、もし人間の創造力やハイテクの知恵が単純なセラミックの粉末から永遠のピースを作り出す道を発見したとしたら、どうなるでしょうか︖そうして、できた物はどんな感触でしょうか︖これがまさにラドーのハイテクセラミックの本質なのです。

そして私たちが“Feel it”と唱える理由もそこにあります。「マスター・ オブ・マテリアル」であるラドーのノウハウと経験が本物であることを証明しています。ハイテクセラミックは、美しく、軽量な物質で耐摩耗性にも優れています。その軽さとサイズの安定性により、ラドーでは、例えばモノブロック構造のようなユニークな イノベーションも可能になりました。モノブロック構造では重い金属のフレームワークを使わずケースに直接、主要なムーブメントの部品を収めることができます。


[ステップ 4]機械加工

ハイテクセラミックは素材として傑出した品質を持っていますが、それだけには留まりません。耐久性があり、ほぼ全てのものからの影響を受けにくく、損傷しないだけでなく、肌なじみもよく、シルクのようなの感触を持っています。繊細でも、大きくても、頑丈でも装着すると、はるか昔から手首に着けられるために作られたかのような感覚になります。この感覚は、特にセラミックをブレスレットに使用している時計に当てはまり、肌に触れた感触が忘れがたい体験となります。


【お問い合わせ】
ラドー / スウォッチ グループ ジャパン株式会社
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[ラドー]
ラドーは、革新的なデザインと画期的なマテリアル(素材)の使用により、耐傷性に優れた時計を製造することで知られる世界的に認められたブランドです。スイスのレングナウで創業して以来、ラドーは、今日まで貫いている「想像することができれば、それを作り出すことは可能だ」というブランド哲学によって、開拓者精神を示しています。