パルミジャーニ・フルリエの起源ともいえる修復(レストレーション)技巧の真髄

 By : KITAMURA(a-ls)


パルミジャーニ・フルリエの起源ともいえる

修復(レストレーション)技巧の真髄





« It is a rare joy to restore a horological piece. To free it from the ravages of time and of men is to reinstate it within a temporal truth so essential to our memory. »

Michel Parmigiani





ウォッチメイキングという遺産の修復と保全は、パルミジャーニ・フルリエの基盤であり、起源そのものです。
その専門知識は、時計師ミシェル・パルミジャーニが修復工房を開いた1976 年にさかのぼります。1996 年、パルミジャーニ・フルリエは、この修復部門を核として構築されました。

修復には、時計づくりに関する最高水準の専門知識が求められます。修復師が学ぶことの多くは、遠い過去の慣習や文化に結びついています。そしてそれは、パルミジャーニ・フルリエの時計にも浸透しています。パルミジャーニ・フルリエの修復アトリエには、時計学にまつわるさまざまなものが集まります。この度ご紹介するモーリス・イブ=サンドコレクションの三つの小さなオートマタは、ミシェル・パルミジャーニが手がけた修復の成果を反映する一例です。時計に使用される機構や素材の、インスピレーションの源となっています。


●パルミジャーニ・フルリエ オフィシャルサイトより

修復とは、物を元の状態に戻すことです。ミシェル・パルミジャーニは、修復する作品の機械的な機能の保障と、それぞれの時代にあった技法の保全とのバランスを、つねに保つため独自の方法論を作り上げ、他と一線を画す存在となりました。彼と修復のチームにとって重要なことは、徹底した調査を行って過去に没頭し、作品の保存状態と機能を確実に保つことです。過去の傑作を研究し尽くすことで、あらゆる時代の時計師が取り組んできた機械的および技術的な課題に対して独自の解決策を導き出し、さらにそれを現在のパルミジャーニ・フルリエの時計に取り入れることが可能になるのです。

考古学者は、たったひとつの作業が取り返しのつかない結果を招くことを心得ています。同じように、扱うほとんどがユニークピースである修復師の作業は、たくさんの謎を秘めている作品を、数日かけてじっくりと観察することから始まります。作品を分解する前に、比較となるものを探し、学術文献を読みあさり、博物館やコレクションを見て回り、そのすべてを記録します。機構の精密さと、用いられている技法の両方を理解しなくてはなりません。

そのためには、貴金属の細工、エナメル仕上げ、彫金、箔置き、ガラス細工など多くの技術に精通している必要があります。一方で、作品の保存は、時間と根気のいる汚れを取り除く作業であり、その結果、今まで隠れていた文字などの新たな秘密が明らかになることもあります。最後に組み立てる際には、いつでも修復が可能になる手法を採用し、なおかつ元の
状態を変えないことが前提となります。

19 世紀初めに生き物を模してつくられた三体のオートマタも、同じ手順でミシェル・パルミジャーニによって修復されました。これらは、モーリス・イブ=サンドコレクションの一部で、いずれも貴重な素材を使って、ねずみ、いも虫、かえるの動作をきわめて忠実に再現しています。ねずみは駆け、いも虫は這い、かえるは飛び跳ね、鳴き声を上げます。


かえる
全長60mm の、エナメル仕上げのゴールドでつくられたかえるは、まるで本物のようです。真珠とルビーで飾られています。数回飛び跳ねた後に停まって鳴き、また再び何度か飛び跳ねてみせます。







動画(かえる)
https://www.parmigiani.com/uploads/pieces-exception/The_Frog.mp4



ねずみ
ゴールドに彫刻を施した、長さ120mm の全身には真珠が散りばめられています。目にはルビーが嵌め込まれ、ゴールドを編んだしっぽで動きを駆動します。数センチ移動しては停まり、前部を持ち上げて頭を上下に動かします。

●6月に開催された新作展示会で、修復は大きくフィーチャーされており、会場で上映されていた「ねずみ」の動画



いも虫
全長75mm のいも虫は、赤いエナメル仕上げのゴールド製のリングを連ねてつくられています。グリーンとブルーを基調に、ピンクダイヤモンド、ルビー、エメラルドで飾られていてとても洗練されています。腹部にある掛け金で駆動する仕掛けで、頭部を上げると同時に尾部を下げながら、這って移動します。

●パルミジャーニ・フルリエ オフィシャルサイトより


以上が、プレスリリースの引用だが、パルミジャーニ フルリエ のオフィシャルサイトにはレストレーションに触れたページもあるので、興味をお持ちの方はぜひご覧いただきたい。

https://www.parmigiani.com/en/restoration-workshop

特に、「ピストルとソングバード」の動画はなかなか見どころがある。




ここで、ついでというわけではないが、
以下に6月に行われた新作展示会での画像も掲載しておく。












わかる人にはわかる、逆に言えば、わかる人にしか伝わりにくい。。。素晴らしいが難しい時計というイメージもあるが、本当に緻密&丁寧に作り込まれた時計なので、機会があったら是非手に取って見ていただきたいところである。




パルミジャーニ・フルリエ
時計師であり修復師である創業者ミシェル・パルミジャーニの名を冠した時計メゾンは、1996 年にスイス、ヴァル・ド・トラヴェールのフルリエに誕生しました。時計製造のすべてに関わる会社が垂直統合されて以降、製造工程の隅々までが自社でコントロールされ、またグループに属さない独立性を大切にし、自由な創造を可能にしています。パルミジャーニ・フルリエの個性は、20 余年にわたって製品から製品へと受け継がれ、遥かな未来においても修復するに値するタイムピースであることを理念としています。それは、ミシェル・パルミジャーニの人生、彼を支える有能な人々、そしてなにより、過去の作品から大胆に未来をつくり上げるマニュファクチュールとしての試みがひとつになった成果です










【問合せ】
パルミジャーニ・フルリエ
03-5413-5745
https://www.parmigiani.com/