オルゴールをめぐる2つの企画展~「オルゴールミュージアム展 in NAGOYA 残された音~自動演奏楽器の歴史をめぐる旅~」と「みるオルゴール展~オルゴールを飾る匠の業」

 By : KITAMURA(a-ls)

歯車・ゼンマイ マニアの多くは、オートマタやシンギングバードなどを組み込んだ前世代のオルゴールにも興味を惹かれる傾向があるが、オルゴールに特化したかなり大規模なイベントが、明日から名古屋で開かれるのでご紹介しておこう。


“日本最大級の移動オルゴール博物館展”「オルゴールミュージアム展 in NAGOYA 残された音~自動演奏楽器の歴史をめぐる旅~」

2023年12月21日(木)~2024年1月21日(日)まで、金山南ビル美術館棟(旧名古屋ボストン美術館)にて、“日本最大級の移動オルゴール博物館展”「オルゴールミュージアム展 in NAGOYA 残された音~自動演奏楽器の歴史をめぐる旅~」企画展が開催される。



会場2フロア、合計390坪を使用して、博物館ブースとして120点以上のオルゴールコレクションを展示するという、主催者曰く『過去に例を見ない日本最大規模のオルゴール博物館展』とのことだ。

具体的な内容として以下の3つの見どころが事前告知されている。

(1)貴重な「世界最古のオルゴール」特別展示
京都嵐山オルゴール博物館は1994年に開館し、開館後まもなく、世界最高峰と称されるオルゴールメーカー【スイス リュージュ社】の創業家ギド・リュージュ氏のコレクションを譲り受けました。そのコレクションは、質、量ともに世界でも有数のもので、その中でも特に歴史的に重要な「世界最古のオルゴール」は、西洋の貴重な文化遺産といっても過言ではありません。本企画展では、この貴重な「世界最古のオルゴール」を特別展示いたします。

●世界最古のオルゴール


(2)100年の時を超えてG・ガーシュウィンの名曲を本人のタッチで再現
約100年前のピアノ(スタインウェイ社)にエオリアン社の自動演奏装置が組み込まれました。当時、ガーシュウィンが演奏した鍵盤のタッチ、ペダリングを収録し、その演奏が忠実に再現されています。本企画展では、映画「のだめカンタービレ」や「ディズニーファンタジア」などで使用された名曲『ラプソディ・イン・ブルー』を演奏します。

●ピアノの名門スタンウェイ社製の自動演奏ピアノ


(3)普段見ることの出来ないオルゴールの分解展示エリア
美しい音色と演奏、愛らしい動きは、職人の細やかな技術と経験から生み出されます。
歯車などひとつひとつの小さな部品を数百個も使用し制作される作品は、まさに機械芸術です。本企画展で紹介するシンギングバード・シリンダーオルゴール・オートマタ(自動人形)・ディスクオルゴール・蓄音機・自動演奏ピアノ・ストリートオルガンを様々な視点からご紹介する分解展示。職人やメーカーの協力を得て、音色だけでなく、見て楽しめる展示エリアです。



【イベント概要】
オルゴールミュージアム展 in NAGOYA 残された音~自動演奏楽器の歴史をめぐる旅~
会期 : 2023年12月21(木)~2024年1月21日(日)※12/31(日)~1/2(火)は休館
時間 : 平日10:00~19:00(最終入館18:00)、土日祝9:00~20:00(最終入館19:00) ※12/29・1/3~5を含む
会場 : 金山南ビル美術館棟(旧名古屋ボストン美術館) 名古屋市中区金山町1-1-1
主催 : 京都嵐山オルゴール博物館展実行委員会
後援 : 名古屋市・名古屋市教育委員会・在日スイス大使館
協力 : REUGE.S.A
入場料(税込):
<当日券>大人1,700円/大学・中高生1,500円/小学生700円
<イブニングチケット(17時以降入場可)>大人1,200円/大学・中高生1,000円/小学生500円
<パスポート券(期間中何度も利用可能な入場券)>:6,000円(同伴者1名無料、館内ショップクーポン500円券1枚付き)
※未就学児無料(保護者同伴必須)

●公式ウェブサイト: https://orgel-museum-exhibition.com/ 
●公式Instagram : https://www.instagram.com/orgel_nagoya/ 
●公式X : https://twitter.com/orgel_nagoya  


コレクションの質・量ともに、他では味わうことの出来ない大型イベントらしい。
博物館ブースでは、京都嵐山オルゴール博物館の協力による「世界最古のオルゴール」の特別展示をはじめ、宝飾・時計・シリンダーオルゴール・ディスクオルゴール・オートマタ(自動人形)・蓄音機・大型自動演奏楽器などオルゴールの様々な姿を通して自動演奏楽器の歴史が学べるようだ。
(参照: https://watch-media-online.com/news/6208/ )
(参照: https://watch-media-online.com/news/5173/ )


また、このイベントに合わせ、会場に隣接する「ANAクラウンプラザホテル グランコート名古屋」では、盛り沢山の関連イベントが用意されている。

まず、30階のスカイレストラン&バー 「スターゲイト」で、オルゴールミュージアム展特別ランチ《1日限定20食》を実施。なんと、スイスの老舗オルゴールブランド「REUGE」に因んだメニューが食せるという。

●1865年の創業から150年以上の歴史を誇るスイスの老舗オルゴールブランド「REUGE」に因んだ、牛フィレ肉と茸のクリーム煮込み ヌイユ添え(スイスの郷土料理”ツーリッヒャー・ゲシュネッツェルテス”)や、「ピアノ型オルゴール」をイメージしたガトーオペラと木苺のソルベなど、アートなランチをご用意。
・期間:2023.12.21(木)~2024.1.21(日)(除外日:2023.12.31(日)~2024.1.3(水))
¥5,000◎ノンアルコールカクテル付


また、1階 ロビーラウンジ内の「ペストリーコーナー」では「コラボケーキ」が登場

●木苺のクレームとジュレをチョコレートムースで包み込み、ピアノ型オルゴールをイメージしてデコレーションしました。
・期間:2023.12.21(木)~2024.1.21(日)
¥750(単品)

また、ホテル内の各レストランが趣向を凝らした「レストラン ランチ&観覧券付プラン(※要予約)」が用意されていたり、展示会入場券の半券を提示して食事をすると割引サービスなどもあるので、詳細は要確認。

さらにはホテルのロビーでのイベントとして、オルゴールミュージアム展inNAGOYA開催期間中、1Fロビーにて、毎日コンシェルジュがオルゴールの音色を響かせる「~EVERYDAY MUSIC~」が企画されている。
19世紀にレストランや公共の場で活躍したディスク型オルゴール、【SWAN ELITE Ⅱ. スワン・エリート 2】を実際に使い、円盤(ディスク)を交換することで、毎日、多種多様な楽曲の演奏をお届けするとのこと。

●「SWAN ELITE Ⅱ(スワン・エリート 2)は、調度品としても価値のあるボックスに施された美しいスワンの象嵌細工が名前の由来です。幾重にも重なる5オクターブの美しい音色を聞きながら優雅なティータイムをお楽しみください。
・①10:00a.m.頃 ②0:00p.m.頃 ③2:00p.m.頃 ④4:00p.m.頃 ⑤6:00p.m.頃
※ロビー混雑等により、時間が多少遅れる場合がございます、また各回約5~10分程の開催です。


イベント公式サイト:https://orgel-museum-exhibition.com/ 
ポーターオルゴール日本公式サイト: https://classical.co.jp/ 


そして、オルゴールつながりで、これは会期が残り少なくなっているのだけれど、もうひとつ、「河口湖音楽と森の美術館」で開催中の「みるオルゴール展~オルゴールを飾る匠の業~」も紹介しておこう。


「見る」「視る」「観る」「覧る」「魅る」様々な視点で感じる匠の業『みるオルゴール展』12月25日(月)まで開催中~河口湖音楽と森の美術館オルゴールの新たな魅力

音楽装置として数百年もの間人々を魅了してきたオルゴールは、音色だけでなく見た目の装飾にまで、その業が施されている。ケースや部品の装飾に至るまで、こだわり抜いた匠の業を紹介し、耳で楽しむという概念だけでなく、「見る」「視る」「観る」「覧る」「魅る」と様々な視点で見る新しいオルゴールの楽しさをご紹介しますという企画展示。


富士山と河口湖を背景に中世ヨーロッパを模した庭園美術館 「河口湖音楽と森の美術館」の秋の企画展として、12月25日(月)まで開催される「みるオルゴール展~オルゴールを飾る匠の業~」。

以下、主催者のプレスリリースを丸ごと引用で(笑)。

数百年もの間、人々を魅了してきたオルゴールは、特に貴族や有産階級の人々に楽しまれていました。オルゴールは高度な機械技術や音楽性によってその音色を作り上げていますが、技術は音色だけではなく、ケースや部品の装飾に至るまで、高度な技術が使用されました。今回はその装飾部分に注目し、耳で楽しむというオルゴールの概念だけでなく、非機能的な美しさを追求した職人の技を紹介し、オルゴールの新たな魅力を楽しむ企画展となっております。

日本語は面白いもので、一言で「みる」といっても、「見る」、「視る」、「観る」、「覧る」、「魅る」と様々な漢字が当てはまります。あなたは、どの「みる」でオルゴールをみますか?もちろん音色もお楽しみください。

展示では外見に施された彫刻や象嵌、ステンドグラスなど外見だけでなく、中にまで施された絵画や竪琴モチーフにも注目して頂きながら展示をお楽しみ頂けます。
新たなオルゴールの魅力を伝えている今回の展示では様々なメディアの方からお問合せ頂いております。


《作品紹介》
ミュージカルチャイナクローゼット レジナ社/アメリカ(1905)
当時最高級のクリスマス商品として販売されたオルゴールです。曲面が美しい作品ですが、特に中央扉に組み込まれているステンドグラスには目を惹かれます。「王冠」と「竪琴」が象徴的な扉は、イタリア語で女王の意味をもつメーカー名の「レジナ(レジーナ)」にふさわしく「オルゴールの女王」の風格を漂わせます。



インターチェンジャブルシリンダーミュージックボックス‐世界コロンビア博覧会モデル‐ ペイラード社/スイス(1892)
スイスが世界コロンビア博覧会(シカゴ万博1893)に出展した作品です。ケースは高級木材であるマホガニー材が使用され美しい光沢を放っています。蓋上部にはスイスの女神ヘルヴェティアが彫刻されており、硬い木材から生み出された身体のしなやかで優美な曲線や凛々しい眼差しをもつ繊細な顔の造形をお楽しみください。



ミニチュアシンギングバード/スイス(1840年頃)
当時大変高価だった時計と組み合わせています。銀のケースには七宝が施され、2体の彫像には象牙が使用されています。さらに貴重だった真珠が惜しげもなく配置されており非常に贅沢で美しい作品です。



ポリフォン スタイルNo.47 ポリフォン社/ドイツ(C.1900)
ケースの蓋には植物をモチーフとした木象嵌が施されています。しかしそれは、西洋特有の華やかさはありません。質素でつつましやかさを感じるこのデザインは、ジャポニスムから影響を受けていると考えられます。19世紀後半に欧米で起こった日本美術ブームは、多くの画家、工芸家を魅了しましたが、オルゴールのケース職人も例外ではありませんでした。



インターチェンジャブル サブライムハーモニー・ピッコロ ベーカー・トロール社/スイス(C.1885)
オルゴールの音色を変えるチターアタッチメントにも、高級機種ならではの職人の技をみることができます。中央には竪琴の装飾を見ることができ、その形の中にも細やかな彫金が施されています。またアタッチメントの板には直線を並べ、葉や花を思わせる図柄を浮き出されており、パーツひとつひとつに職人の美学が感じられます。



【展示会概要】
『みるオルゴール展~オルゴールを飾る匠の業』
期間:2023年9月9日(土)~12月25日(月)
会場:河口湖音楽と森の美術館内コンサートホール
詳細ページ: https://kawaguchikomusicforest.jp/news/look-at-the-music-box/ 

住所:〒401-0304 山梨県南都留郡富士河口湖町河口3077-20
営業時間:10:00~17:00(16:00最終入館)
TEL: 0555-20-4111
FAX: 0555-20-4110

実施中の関連イベント 
アンティークフェア
期間:2023年11月2日(木)~12月25日(月)
場所:河口湖音楽と森の美術館内ミュージアムショップ
ホームページ: https://www.kawaguchikomusicforest.jp    



2つの興味深いオルゴール展示イベント。
季節柄、クリスマスっぽくもあるので、
お時間があればぜひお出かけください。