Barton 7の"問題作" Karoshi

 By : CC Fan
※ブランドのネーミングやロゴなど一部の表現は、正直なところ日本から見ると不謹慎と言われても否定できないですが、それを差し引いても時計としては素晴らしいと思いましたので紹介させていただきます。
この記事で特定の個人・団体を誹謗中傷する意図は一切ございません。

2019年2月27日 CC Fan

クレヨンの記事でBarton7に出展したブランドの一覧を掲載いたしました。



この中で一番下のkaroshiというブランド、Barton7のインビテーションだ届いたときから"?"となり、"いや、まさか…"と思ってブランドのサイトや、情報を集めたところ、やはり"カロウシ"すなわち、日本語の"過労死"、英語で"overwork death"または、そのまま"karōshi"からとった名前のようだとわかりました。
Wikipedia英語版にも項目がある程度には知られた日本語の単語です。

どういう考えで名前を付けたかはだいたい予想はつきましたが、これはどうなんだと聞かねばならぬと思い、クレヨンの後にブースに突撃しました。
私が初めて伺った日本人で、感想を聞かれたので、率直な意見を述べたのを、会話形式で書きだします。

(担当者)"日本人はあなたが初めてだ、この名前は日本語からとったんだ”
(私)"この名前は日本だと不謹慎だ、ブランド名としては悪趣味と受け取られる可能性がある"

(担当者)"決してジョークではない、(自分の働きで)命を失っても満足なほど情熱を傾け真剣に作った時計という意味だ"
(私)"なるほど、理解できなくはない、日本または日本語には詳しいのか?"

(担当者)"正直、あまり詳しくはない"
(私)"たぶんあなたが思っている以上に、この単語のイメージは日本では悪い、作品は素晴らしい"

(担当者)"(このネーミングについて)われわれが真剣だという事をどうか日本にも伝えてほしい”
(私)"私は理解した、だが難しいとは思う…"

という経緯になります。
ニュアンスとしては(ネーミングを考えたCEOをはじめ関係者が)カロウシする位情熱を傾けた時計という事のようで、理解できなくはないんですが、直球過ぎる、せめてアナグラムにすれば…と思いました。
名前でやってしまった感が強いのですが、反して作品は素晴らしく、名前だけを理由に切り捨ててしまうのはあまりに惜しいという事で、ここまで経緯を説明したうえで掲載したいと思います。
どうかご理解いただきたく、よろしくお願いいたします。



機能としてはペラトン式マイクロローターによる自動巻き、コンスタントフォース的なデッドビートセコンド、大型トゥールビヨン。



"スケルトンありき"で設計され、最小限の構成要素で支える構造のムーブメントです。

最大の特徴はアップルがノートパソコンで提案し、名前を与えた"ユニボディ(Unibody)"という技法を機械式腕時計に持ち込んだことです(スマートウォッチにはアップル自身が採用)。
ユニ(ひとつ)ボディというのは複数のパーツをネジなどで接合して外装・内部構造を作るのではなく、金属塊から削りだした全てを兼ねるひとつのパーツにすることで、接合に必要な部品を減らして剛性をを向上させる技法です。

この時計でケースに見えている部分は、実際にはムーブメントの地板で、耐蝕・耐候性に優れ、軽量なグレード5チタンで作られています。
つまりケースとムーブメント地板を兼ねるひとつのパーツにしたわけです。

その地板にパーツを組み込み、前後に直接サファイアクリスタルの風防を直接取り付けることで、時計が完成、ストラップもラグ取付ではなく専用のラバーストラップをネジ止めします。



これが"ユニボディ"、ムーブメント地板に相当する部分とケースに相当する部分が継ぎ目なく一つのパーツで構成されていることがわかります。



ケースサイドの穴はストラップをネジ止めするためのもの。



高度な加工技術が可能とした複雑な構造…
防水用のパッキンなども地板に取り付け、ベゼルレスのサファイアクリスタル風防はネジ止めで固定されます。



ネジ止めによる風防の固定とケースサイドまで回り込んだストラップ。
ぐるっと回りこむことで、色のアクセントにもなります。



冗談で"ムーブメントを腕に巻くわけではない"と言いますが、これはまさにムーブメントを直接腕に巻いているようなものです。
裏側からはペラトン自動巻きのカムも見えます。



ネーミングとこのマンガチックなドクロのロゴは…
これでジョークなのかな?と思ったわけです。



ベラトン自動巻きと教科書的な2番車から3番車、トゥールビヨンへの構成。



ムーブメント地板の直径は48mm、時計としてのサイズは50mmですが、ラグレスで直接ストラップが生えている構造のため数値よりは大きく感じません。
ムーブが48mmというと懐中時計並みのサイズです。

厚みはサファイア中心で14.2mmですが、ドーム状に凸になっているので厚みを感じにくくなっています。
全体の重量はわずか64g。



構造を…
ちなみにモデル名のK-011/OS-01 TIはOS-01がムーブメントとしての型番、K-011が時計全体としての型番で、TIは素材のグレード5チタンの意味です。



クラーレの時計と同じく、ベルトがあらかじめ最適な角度をつけて固定されている構造で、装着感の向上に寄与しています。



ラバーベルトによってはビビットな色も選べます。
厳密な限定版(STRICTLY LIMITED EDITION)で99本限定、それ以上は作らないとのこと。



ネーミングとロゴで"なんだこれは…"と思ってしまいましたが、作品は本当に素晴らしい。



クレヨン同様チョコレートにロゴとタイムピースが描かれていました。

結局、WMO以外の日本のプレスは来たのだろうか…

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