大塚ローテック 5号改を発表(公式・ミネベアミツミベアリングリリース、記者会見レポート)
From : Others (その他)大塚ローテックから5号を大幅にモデファイした新型、5号改が発表されました。
意匠・機能として特徴的なボールベアリングは小型ベアリングのトップメーカーミネベアミツミが誇る世界最小ボールベアリングDDL‐004と5号改の要件のために新開発された極小ボールベアリングDDL‐008という2つのタイプが搭載されています。
このため、時計としての公式リリースの他、ミネベアミツミのベアリングについてのリリース、更に15日にミネベアミツミ 東京クロステックガーデンにて行われた記者会見のリポートも掲載します。
公式リリース
5号改

衛星のように動く数字盤と、固定された目盛りが組み合わさって時間を刻むサテライトアワーウォッチ。自社製モジュールをMIYOTA製ムーブメントの上に搭載。サテライトアワー機構特有のバックラッシュを防ぐために、時ディスクを動かす減速歯車を二枚重ねにしている。また静的なサテライトアワー機構を引き立てるため、メカの動きをしっかり見えるように工夫を凝らした。まず時ディスクは、8時位置のボールベアリングローラーに直接当たることで、1時間に二度、ジャンピングアワーのように瞬時に切り替わる。5時位置の秒ディスクは、時ディスクの位置に関係なく常時動いている様子が確認できる。

サテライトアワーの立体感を表現するため、ボックスサファイアクリスタルは高さのあるものを用い、ケースの縁を最大限まで下げた。7.6mmのケース厚に対し、ボックスサファイアクリスタルの高さは4.6mmである。そしてサファイアクリスタルの中に納まる「分の目盛りのプレート」、「時ディスク」などの一つ一つの部品はそれぞれ影ができるよう設計している。

5号改は2012年に発売された5号のデザイン要素を継承。ケースは5号をベースにリファインしたものだ。5号はボールベアリングを2個使用しており、5号改にもミネベアミツミ社の日本製ボールベアリングが2個使用されている。時ディスク切り替え用のボールベアリングは5号改のために特別に作られたものである。秒ディスクの中心のボールベアリングは2009年に発表され、2025年現在も世界最小の1.5mm径のものである。

もともとサテライトアワー機構は、視覚的制約から文字盤上部に時分表示を集約したナイトクロック用の機構だが、5号改は、現代の腕時計における視覚的制約—つまりジャケットの袖口で時計の文字盤の一部が隠れること—に対し、時分表示を文字盤右側に集約し、バランスを整えた。

SPECS
<機能>
サテライトアワー、秒ディスク
駆動方式:自動巻
<ムーブメント>
MIYOTA90S5+自社製サテライトアワーモジュール
(自動巻、25石+2ボールベアリング、毎時28,800振動、パワーリザーブ約40時間)
<ケース>
ケース径:40.5mm
ケース厚:7.6mm(風防込ケース厚:12.2mm)
素材:ステンレススチール(316L)
ケース仕上げ:ヘアライン仕上げ
ケースバック:シースルーバック
防水性:日常生活防水
<風防>
サファイアクリスタルガラス(無反射コーティング、指紋防止コーティング)
<ストラップ>
素材:カーフレザー
ラグ幅:22mm
<生産国>
日本
税込価格:748,000円
1年保証
販売および展示
<販売>
第1回抽選販売
2025年3月1日(土)18:00 ~ 23:00
公式ECサイト上抽選販売
ŌTSUKA LŌTEC公式ECサイト
https://otsukalotec.base.shop/

<展示>
ŌTSUKA LŌTEC No.5 KAI Exhibition in Harajuku
[場所] WITH HARAJUKU 1F エントランス
[住所] 東京都渋谷区神宮前1丁目14番30号
[期間] 2025年2月6日(木)~12日(水)
[時間] 10:00~19:50 (25日は19:00閉場)
[入場料] 無料
[URL] https://withharajuku.jp/
ミネベアミツミ株式会社リリース
ミネベアミツミの新設計極⼩ボールベアリング、⼤塚ローテック製腕時計「5号改」採⽤決定
〜国産機械式腕時計として初の、サテライトアワー機構の中枢部品に使⽤〜
このたび、ミネベアミツミ株式会社(本社︓⻑野県、代表取締役会⻑CEO︓⾙沼 由久、以下 ミネベアミツミ)の新設計極⼩ボールベアリングと世界最⼩ボールベアリング*が、国産時計ブランド ⼤塚ローテックの機械式腕時計「5号改」に採⽤されましたので、お知らせいたします。

左から、ミネベアミツミの世界最⼩ボールベアリング、新開発極⼩ボールベアリング
「⼤塚ローテック」は、時計界のアカデミー賞と呼ばれているジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHG)2024のチャレンジ部⾨(3,000スイスフラン以下の時計部⾨)でグランプリを受賞した、現代の名⼯*2である⽚⼭ 次朗⽒の国産時計ブランドです。
このたび発表する「5号改」は、サテライトアワー機構*3を搭載したの初の国産腕時計であると同時に、世界で初めて、“時ディスク”⾃体をピンやボールベアリングに当てて切り替えるサテライトアワー機構*4の機械式腕時計です。
機械式腕時計では、”秒ディスク”で駆動確認および秒表⽰をおこないます。「5号改」では、”秒ディスク”の中
⼼の5時位置にミネベアミツミの世界最⼩ボールベアリング(外径1.5mm、内径 0.5mm、幅0.65mm)を使⽤することで、時計全体の円滑な駆動を⽀えています。
⼀⽅で、“時ディスク”では、回転により表⽰時間の数字切り替えをおこなっています。なお、“時ディスク”が周回する際のガイドローラーとしてボールベアリングを使⽤する場合は、”時ディスク”を円滑かつ瞬時に切り替えるために、腕時計の部品として最適なサイズでありながら⾼剛性のボールベアリングが不可⽋です。
そこで、今回ミネベアミツミでは、その”時ディスク”のガイドローラーの役割として設計要求を満たす新設計の極⼩ボールベアリング(外径2.5mm、内径1.0mm、幅 0.8mm)を「5号改」のために、新たに開発しました。そして、この新設計極⼩ボールベアリングにより、「5号改」は、世界で初めて”時ディスク”⾃体を直接ピン等に当てて切り替えるサテライトアワー機構を実現しました。
* https://www.minebeamitsumi.com/news/press/2015/1189727_7562.html
*2 現代の名⼯︓昭和42年より厚⽣労働省が表彰している「卓越した技能者」
*3サテライトアワー機構︓衛星のように周回する数字盤と、固定された⽬盛りが組み合わさって時間を刻む機構。
*4東京時計精密調べ
<ミネベアミツミの極⼩ボールベアリングについて>
ミネベアミツミの祖業であり原点であるボールベアリングは、70年以上⾃社内で磨き続けている超精密加⼯技術に⽀えられています。ナノメートルオーダーの加⼯⼨法を⾃在に制御し加⼯精度を常に維持できるよう、加⼯⽤刃物、治⼯具、⽣産設備から環境⾯への配慮、先端加⼯技術開発にいたるまで社内で完結しています。
また、世界最⼩ボールベアリングと新開発極⼩ボールベアリングの製造は、研削から最終⼯程の組み⽴てまで、社内でも限られた技術者により、⼿作業で製造しています。
こうした超精密加⼯技術と垂直統合⽣産システムは、他社にはないミネベアミツミの強みのひとつです。

ミネベアミツミの軽井沢本社⼯場

ボールベアリングを⼿組みで製造する様⼦(写真は、軽井沢本社⼯場)
世界最⼩ボールベアリングDDL-004概要
サイズ ︓外径 1.50 mm
内径 0.50 mm
幅(厚さ) 0.65 mm
⽣産場所︓⽇本(軽井沢本社⼯場)
新開発極⼩ボールベアリングDDL-008概要
サイズ ︓外径 2.50 mm
内径 1.00 mm
幅(厚さ) 0.80 mm
⽣産場所︓⽇本(軽井沢本社⼯場)

左から、ミネベアミツミの世界最⼩ボールベアリングと新開発極⼩ボールベアリング
(写真の1⽬盛りは1mm)

マッチ棒と、ミネベアミツミの世界最⼩ボールベアリングおよび新開発極⼩ボールベアリング
<⼤塚ローテック「5号改」 概要>
「5号改」は、2012年発売の機械式腕時計「5号」をベースとしたサテライトアワーウオッチです。2024年11⽉に、スイス最⼤の時計博物館である国際時計博物館(スイスラ=ショー=ド=フォン)の収蔵品となりました。2⽉より原宿で実機展⽰がおこなわれ、3⽉よりオンラインでの⼀般抽選販売(⽇本国内のみ)を開始予定です。
機能 ︓サテライトアワー、秒ディスク
駆動⽅式 ︓⾃動巻
ムーブメント ︓MIYOTA90S5+⾃社製サテライトアワーモジュール
(⾃動巻、25⽯+2ボールベアリング、毎時28,800振動、パワーリザーブ約40時間)
ケース径 ︓40.5mm
ケース厚 ︓7.6mm(⾵防込ケース厚︓12.2mm)
素材 ︓ステンレススチール(316L)
ケース仕上げ ︓ヘアライン仕上げ
ケースバック ︓シースルーバック
防⽔性 ︓⽇常⽣活防⽔
⾵防 ︓サファイアクリスタルガラス(無反射コーティング、指紋防⽌コーティング)
ストラップ素材︓カーフレザー
ラグ幅 ︓22mm
⽣産国 ︓⽇本
税込価格 ︓748,000円*1年保証
【⼤塚ローテックついて】
現代の名⼯・⽚⼭次朗が2012年に創業した⽇本の腕時計ブランドです。全ての時計は⽚⼭指揮のもと⾃社で製作しています。⽚⼭次朗はカーデザイナー、プロダクトデザイナーとして活動をしていましたが、インターネットオークションで卓上旋盤を⼿に⼊れたことをきっかけに2008年より時計製作を開始しました。2012年より販売を始めるまでになりました。代表作の⼀つである「6号」は2024年、「時計界のアカデミー賞」と呼ばれるジュネーブウオッチメイキンググランプリ(GPHG)のチャレンジ部⾨(3000スイスフラン以下の部)におけるグランプリを獲得しました。
ウェブサイト︓https://otsuka-lotec.com/
【ミネベアミツミについて】
ミネベアミツミは、世界シェアNo.1*製品である、機械の回転をスムーズにするミニチュア・⼩径ボールベアリング(軸受)や、1直リチウムイオン電池⽤保護ICなどをはじめとする、超精密加⼯技術を代表するコア技術を中⼼に、半導体、モーター、センサーなど、様々な機械・電⼦部品を⼿がける相合(そうごう)**精密部品メーカーです。当社の超精密技術は、エアコン・掃除機・ドライヤー、ゲーム機などの家電製品、スマートフォン・パソコンなどの情報機器、⾃動⾞・航空・宇宙製品、そして医療機器など、幅広い分野で使⽤され、⽬に⾒えないところで皆様の⽣活をお⽀えしております。
ウェブサイト︓https://www.minebeamitsumi.com/
*ミネベアミツミ調べ
** 相合︓総合ではなく、相い合わせることを意味する造語。当社グループのあらゆるリソースを掛け合わせ、相乗効果により新たな価値を創造する。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
記者会見レポート
汐留のミネベアミツミ 東京クロステックガーデンにて記者会見が行われました。

最初にミネベアミツミ 代表取締役 会長CEO 貝沼 由久氏より挨拶がありました。
ミネベアミツミはベアリングのリーディングカンパニーで、ベアリングは身の回りの様々なものに使われているものの、その存在は通常見えないところに隠れてしまっていました、今回5号改ではベアリングを常に見える場所に配置し主役とする、日本発の少数生産の時計師とコラボレーションする、というのは新しい試みであり、挑戦であると語られます。

片山さんからは「ベアリング」に対する原体験のエピソードが。
子供の頃に遊んでいたラジコンで「ボールベアリング」は高価でなかなか手が出ず、より安価な「スリーブベアリング」を使っていたこともあり、「ボールベアリング」は高性能の象徴として強く心に刻まれており、そのイメージ像を5号改のベアリングを使ったサテライトアワー送りとして表現しました。
続いて常務執行役員の村山 寛氏よりボールベアリング事業についての説明が。
ベアリング用の加工機まで社内で製作する超精密加工技術と圧倒的な大量生産技術を強みとして、ミニチュアボールベアリングで60%、ハードディスク用のピボット(軸)では80%の世界シェアを獲得、11の工場で「月産」3億個のベアリングを世界中に供給…て正に圧巻です。

そのベアリングの生産能力を基に今回どのような開発を行ったのか?を事業執行役 軽井沢テクノロジーセンター センター長 田口 昌幸氏が説明します。
設計から外形は2.50mmで既存のラインナップがありましたが、ディスクを当てるためピン的な強度も必要という要件から内径を大きくする必要があったために新開発が決定しました。
ベアリングに対するノウハウを活かした設計開発・部品製造・加工組み立て・品質保証によってDDL-008と名付けられた新しい仕様のベアリングが完成しました。

小さいため機械による自動組み立ては不可能で、エキスパートが顕微鏡を使って組み立てます。
片山さんも開発のために軽井沢を訪れ、「ベアリングへの思い」を共有して打ち解けたそうです。

展示もありましたが…ピンボケ…

圧倒的な工業力と少数生産の時計師のシナジー、というのは非常に興味深いです。

記者会見後、技術を紹介する体験型のクロステックミュージアムにも参加させていただけました。

ベアリングをはじめとしたコア技術がヒーローのように紹介されます。

遠景でイメージを。
通常は認識していなくても、様々な所にミネベアミツミの技術が使われていることが実感できます。
意匠・機能として特徴的なボールベアリングは小型ベアリングのトップメーカーミネベアミツミが誇る世界最小ボールベアリングDDL‐004と5号改の要件のために新開発された極小ボールベアリングDDL‐008という2つのタイプが搭載されています。
このため、時計としての公式リリースの他、ミネベアミツミのベアリングについてのリリース、更に15日にミネベアミツミ 東京クロステックガーデンにて行われた記者会見のリポートも掲載します。
公式リリース
5号改

衛星のように動く数字盤と、固定された目盛りが組み合わさって時間を刻むサテライトアワーウォッチ。自社製モジュールをMIYOTA製ムーブメントの上に搭載。サテライトアワー機構特有のバックラッシュを防ぐために、時ディスクを動かす減速歯車を二枚重ねにしている。また静的なサテライトアワー機構を引き立てるため、メカの動きをしっかり見えるように工夫を凝らした。まず時ディスクは、8時位置のボールベアリングローラーに直接当たることで、1時間に二度、ジャンピングアワーのように瞬時に切り替わる。5時位置の秒ディスクは、時ディスクの位置に関係なく常時動いている様子が確認できる。

サテライトアワーの立体感を表現するため、ボックスサファイアクリスタルは高さのあるものを用い、ケースの縁を最大限まで下げた。7.6mmのケース厚に対し、ボックスサファイアクリスタルの高さは4.6mmである。そしてサファイアクリスタルの中に納まる「分の目盛りのプレート」、「時ディスク」などの一つ一つの部品はそれぞれ影ができるよう設計している。

5号改は2012年に発売された5号のデザイン要素を継承。ケースは5号をベースにリファインしたものだ。5号はボールベアリングを2個使用しており、5号改にもミネベアミツミ社の日本製ボールベアリングが2個使用されている。時ディスク切り替え用のボールベアリングは5号改のために特別に作られたものである。秒ディスクの中心のボールベアリングは2009年に発表され、2025年現在も世界最小の1.5mm径のものである。

もともとサテライトアワー機構は、視覚的制約から文字盤上部に時分表示を集約したナイトクロック用の機構だが、5号改は、現代の腕時計における視覚的制約—つまりジャケットの袖口で時計の文字盤の一部が隠れること—に対し、時分表示を文字盤右側に集約し、バランスを整えた。

SPECS
<機能>
サテライトアワー、秒ディスク
駆動方式:自動巻
<ムーブメント>
MIYOTA90S5+自社製サテライトアワーモジュール
(自動巻、25石+2ボールベアリング、毎時28,800振動、パワーリザーブ約40時間)
<ケース>
ケース径:40.5mm
ケース厚:7.6mm(風防込ケース厚:12.2mm)
素材:ステンレススチール(316L)
ケース仕上げ:ヘアライン仕上げ
ケースバック:シースルーバック
防水性:日常生活防水
<風防>
サファイアクリスタルガラス(無反射コーティング、指紋防止コーティング)
<ストラップ>
素材:カーフレザー
ラグ幅:22mm
<生産国>
日本
税込価格:748,000円
1年保証
販売および展示
<販売>
第1回抽選販売
2025年3月1日(土)18:00 ~ 23:00
公式ECサイト上抽選販売
ŌTSUKA LŌTEC公式ECサイト
https://otsukalotec.base.shop/

<展示>
ŌTSUKA LŌTEC No.5 KAI Exhibition in Harajuku
[場所] WITH HARAJUKU 1F エントランス
[住所] 東京都渋谷区神宮前1丁目14番30号
[期間] 2025年2月6日(木)~12日(水)
[時間] 10:00~19:50 (25日は19:00閉場)
[入場料] 無料
[URL] https://withharajuku.jp/
ミネベアミツミ株式会社リリース
ミネベアミツミの新設計極⼩ボールベアリング、⼤塚ローテック製腕時計「5号改」採⽤決定
〜国産機械式腕時計として初の、サテライトアワー機構の中枢部品に使⽤〜
このたび、ミネベアミツミ株式会社(本社︓⻑野県、代表取締役会⻑CEO︓⾙沼 由久、以下 ミネベアミツミ)の新設計極⼩ボールベアリングと世界最⼩ボールベアリング*が、国産時計ブランド ⼤塚ローテックの機械式腕時計「5号改」に採⽤されましたので、お知らせいたします。

左から、ミネベアミツミの世界最⼩ボールベアリング、新開発極⼩ボールベアリング
「⼤塚ローテック」は、時計界のアカデミー賞と呼ばれているジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHG)2024のチャレンジ部⾨(3,000スイスフラン以下の時計部⾨)でグランプリを受賞した、現代の名⼯*2である⽚⼭ 次朗⽒の国産時計ブランドです。
このたび発表する「5号改」は、サテライトアワー機構*3を搭載したの初の国産腕時計であると同時に、世界で初めて、“時ディスク”⾃体をピンやボールベアリングに当てて切り替えるサテライトアワー機構*4の機械式腕時計です。
機械式腕時計では、”秒ディスク”で駆動確認および秒表⽰をおこないます。「5号改」では、”秒ディスク”の中
⼼の5時位置にミネベアミツミの世界最⼩ボールベアリング(外径1.5mm、内径 0.5mm、幅0.65mm)を使⽤することで、時計全体の円滑な駆動を⽀えています。
⼀⽅で、“時ディスク”では、回転により表⽰時間の数字切り替えをおこなっています。なお、“時ディスク”が周回する際のガイドローラーとしてボールベアリングを使⽤する場合は、”時ディスク”を円滑かつ瞬時に切り替えるために、腕時計の部品として最適なサイズでありながら⾼剛性のボールベアリングが不可⽋です。
そこで、今回ミネベアミツミでは、その”時ディスク”のガイドローラーの役割として設計要求を満たす新設計の極⼩ボールベアリング(外径2.5mm、内径1.0mm、幅 0.8mm)を「5号改」のために、新たに開発しました。そして、この新設計極⼩ボールベアリングにより、「5号改」は、世界で初めて”時ディスク”⾃体を直接ピン等に当てて切り替えるサテライトアワー機構を実現しました。
* https://www.minebeamitsumi.com/news/press/2015/1189727_7562.html
*2 現代の名⼯︓昭和42年より厚⽣労働省が表彰している「卓越した技能者」
*3サテライトアワー機構︓衛星のように周回する数字盤と、固定された⽬盛りが組み合わさって時間を刻む機構。
*4東京時計精密調べ
<ミネベアミツミの極⼩ボールベアリングについて>
ミネベアミツミの祖業であり原点であるボールベアリングは、70年以上⾃社内で磨き続けている超精密加⼯技術に⽀えられています。ナノメートルオーダーの加⼯⼨法を⾃在に制御し加⼯精度を常に維持できるよう、加⼯⽤刃物、治⼯具、⽣産設備から環境⾯への配慮、先端加⼯技術開発にいたるまで社内で完結しています。
また、世界最⼩ボールベアリングと新開発極⼩ボールベアリングの製造は、研削から最終⼯程の組み⽴てまで、社内でも限られた技術者により、⼿作業で製造しています。
こうした超精密加⼯技術と垂直統合⽣産システムは、他社にはないミネベアミツミの強みのひとつです。

ミネベアミツミの軽井沢本社⼯場

ボールベアリングを⼿組みで製造する様⼦(写真は、軽井沢本社⼯場)
世界最⼩ボールベアリングDDL-004概要
サイズ ︓外径 1.50 mm
内径 0.50 mm
幅(厚さ) 0.65 mm
⽣産場所︓⽇本(軽井沢本社⼯場)
新開発極⼩ボールベアリングDDL-008概要
サイズ ︓外径 2.50 mm
内径 1.00 mm
幅(厚さ) 0.80 mm
⽣産場所︓⽇本(軽井沢本社⼯場)

左から、ミネベアミツミの世界最⼩ボールベアリングと新開発極⼩ボールベアリング
(写真の1⽬盛りは1mm)

マッチ棒と、ミネベアミツミの世界最⼩ボールベアリングおよび新開発極⼩ボールベアリング
<⼤塚ローテック「5号改」 概要>
「5号改」は、2012年発売の機械式腕時計「5号」をベースとしたサテライトアワーウオッチです。2024年11⽉に、スイス最⼤の時計博物館である国際時計博物館(スイスラ=ショー=ド=フォン)の収蔵品となりました。2⽉より原宿で実機展⽰がおこなわれ、3⽉よりオンラインでの⼀般抽選販売(⽇本国内のみ)を開始予定です。
機能 ︓サテライトアワー、秒ディスク
駆動⽅式 ︓⾃動巻
ムーブメント ︓MIYOTA90S5+⾃社製サテライトアワーモジュール
(⾃動巻、25⽯+2ボールベアリング、毎時28,800振動、パワーリザーブ約40時間)
ケース径 ︓40.5mm
ケース厚 ︓7.6mm(⾵防込ケース厚︓12.2mm)
素材 ︓ステンレススチール(316L)
ケース仕上げ ︓ヘアライン仕上げ
ケースバック ︓シースルーバック
防⽔性 ︓⽇常⽣活防⽔
⾵防 ︓サファイアクリスタルガラス(無反射コーティング、指紋防⽌コーティング)
ストラップ素材︓カーフレザー
ラグ幅 ︓22mm
⽣産国 ︓⽇本
税込価格 ︓748,000円*1年保証
【⼤塚ローテックついて】
現代の名⼯・⽚⼭次朗が2012年に創業した⽇本の腕時計ブランドです。全ての時計は⽚⼭指揮のもと⾃社で製作しています。⽚⼭次朗はカーデザイナー、プロダクトデザイナーとして活動をしていましたが、インターネットオークションで卓上旋盤を⼿に⼊れたことをきっかけに2008年より時計製作を開始しました。2012年より販売を始めるまでになりました。代表作の⼀つである「6号」は2024年、「時計界のアカデミー賞」と呼ばれるジュネーブウオッチメイキンググランプリ(GPHG)のチャレンジ部⾨(3000スイスフラン以下の部)におけるグランプリを獲得しました。
ウェブサイト︓https://otsuka-lotec.com/
【ミネベアミツミについて】
ミネベアミツミは、世界シェアNo.1*製品である、機械の回転をスムーズにするミニチュア・⼩径ボールベアリング(軸受)や、1直リチウムイオン電池⽤保護ICなどをはじめとする、超精密加⼯技術を代表するコア技術を中⼼に、半導体、モーター、センサーなど、様々な機械・電⼦部品を⼿がける相合(そうごう)**精密部品メーカーです。当社の超精密技術は、エアコン・掃除機・ドライヤー、ゲーム機などの家電製品、スマートフォン・パソコンなどの情報機器、⾃動⾞・航空・宇宙製品、そして医療機器など、幅広い分野で使⽤され、⽬に⾒えないところで皆様の⽣活をお⽀えしております。
ウェブサイト︓https://www.minebeamitsumi.com/
*ミネベアミツミ調べ
** 相合︓総合ではなく、相い合わせることを意味する造語。当社グループのあらゆるリソースを掛け合わせ、相乗効果により新たな価値を創造する。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
記者会見レポート
汐留のミネベアミツミ 東京クロステックガーデンにて記者会見が行われました。

最初にミネベアミツミ 代表取締役 会長CEO 貝沼 由久氏より挨拶がありました。
ミネベアミツミはベアリングのリーディングカンパニーで、ベアリングは身の回りの様々なものに使われているものの、その存在は通常見えないところに隠れてしまっていました、今回5号改ではベアリングを常に見える場所に配置し主役とする、日本発の少数生産の時計師とコラボレーションする、というのは新しい試みであり、挑戦であると語られます。

片山さんからは「ベアリング」に対する原体験のエピソードが。
子供の頃に遊んでいたラジコンで「ボールベアリング」は高価でなかなか手が出ず、より安価な「スリーブベアリング」を使っていたこともあり、「ボールベアリング」は高性能の象徴として強く心に刻まれており、そのイメージ像を5号改のベアリングを使ったサテライトアワー送りとして表現しました。
続いて常務執行役員の村山 寛氏よりボールベアリング事業についての説明が。
ベアリング用の加工機まで社内で製作する超精密加工技術と圧倒的な大量生産技術を強みとして、ミニチュアボールベアリングで60%、ハードディスク用のピボット(軸)では80%の世界シェアを獲得、11の工場で「月産」3億個のベアリングを世界中に供給…て正に圧巻です。

そのベアリングの生産能力を基に今回どのような開発を行ったのか?を事業執行役 軽井沢テクノロジーセンター センター長 田口 昌幸氏が説明します。
設計から外形は2.50mmで既存のラインナップがありましたが、ディスクを当てるためピン的な強度も必要という要件から内径を大きくする必要があったために新開発が決定しました。
ベアリングに対するノウハウを活かした設計開発・部品製造・加工組み立て・品質保証によってDDL-008と名付けられた新しい仕様のベアリングが完成しました。

小さいため機械による自動組み立ては不可能で、エキスパートが顕微鏡を使って組み立てます。
片山さんも開発のために軽井沢を訪れ、「ベアリングへの思い」を共有して打ち解けたそうです。

展示もありましたが…ピンボケ…

圧倒的な工業力と少数生産の時計師のシナジー、というのは非常に興味深いです。

記者会見後、技術を紹介する体験型のクロステックミュージアムにも参加させていただけました。

ベアリングをはじめとしたコア技術がヒーローのように紹介されます。

遠景でイメージを。
通常は認識していなくても、様々な所にミネベアミツミの技術が使われていることが実感できます。
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実機を手に取る機会は少なそうですが、いつか手に取って見てみたいなと思います。