イゼック デザインとシンクレア ハーディングのコラボレーションによる機械式デジタルクロック ラ コロヌ デュ トン(LA COLONNE DU TEMPS)がアワーグラス銀座店に到着!

 By : CC Fan

ある深刻な相談の為にアワーグラス銀座店さんにお邪魔させていただいたところ、何か見覚えのあるピースがバーカウンターに設置され、調整されていました…



フリーの天才デザイナー、ヨルグ・イゼック(Jorg Hysek)が設立したイゼック デザイン(Hysek Design)とイギリスのクロックメーカーシンクレア ハーディング社のコラボレーションによる機械式デジタルクロック、ラ コロヌ デュ トン(LA COLONNE DU TEMP:フランス語で”時の列”)です!

2018年のバーゼルのラマダホテルで発表され、何度もブースを訪れ、一番時間を費やしたピースではありましたが、イゼック デザインの日本での取り扱いが決まらず、日本に入荷することはないと思っていたものです。
今回、シンクレア ハーディング社の流通ルートから日本のリテイラーであるアワーグラス銀座店に入荷することが決まり、ちょうどそこに私が居合わせた…と”運命”を感じるような出来すぎた話で再会を果たしました。

再会に感動したのと、よい機会なので2018年のバーゼルから振り返ってみます。



2018年のバーゼルワールドでの初邂逅。

現在のものと比べると細部が異なりますが、上から順に2桁のデジタル数字による時、2桁のデジタル数字による分、そしてその間にレトログラード式の秒が設置されるというデザインの基本は変わっていません。
見ての通り、デジタル数字(7セグメントディスプレイ)を機械で再現して数字を表示しています。



ご存じ、ヨルグ イゼック氏、様々なブランドにデザインを提供するほか、ユニークなコンプリケーションを搭載したハイゼック(Hysek)や、液晶ディスプレイとコンピューターでトゥールビヨンなどのコンプリケーションを”再現”するHD3 SLYDEなどユニークブランドを立ち上げましたが、現在はそれらから退き、新しいデザイン会社イゼック デザインを設立。



イゼックのサインとhysekを組み合わせたデザイン、イゼックデザインのロゴ。
ハイゼックとかHD3のHも彼の”名前”でしたが、それはそれでどこ吹く風、堂々と自分の名前でやっています。



息子(次男?)と一緒にやっているんだ!と写真撮影。



ご存じ?、ノーブルスタイリング葛西氏はハイゼックやHD3、その前から知っている”旧知の仲”、久しぶりだなあ!と盛り上がっていました。
すさまじい存在感を持っていて、結構惹かれましたが、この年はこれ以上進展せず。



同じく、2018年のAHCIブースで、シンクレア ハーディング社のボブ ボレイ(Bob Bray)氏、2017年のバーゼルワールドでヨルグと彼が出会ったことからこのプロジェクトがスタートしたそうです。
左にあるのはハリソンのクロノメーターH1をシンクレア ハーディング流に解釈したシンクレア ハーディングH1。



補正振り子、全体をフローティングさせて水平を保つシステムなど大掛かりなシステムが備えられています。

2018年は盛り上がったものの、いったん終了、2019年のバーゼルに移ります…



2019年のバーゼルではシンクレア ハーディング社のブース(AHCIブース内)で展示されていました。
プロトと言った感じだった2018年バージョンから完成度が上がっており、レトログラード式の秒表示にもガードが設けられました。
2018年の時は、”ジャーナリストが触った”とのことで、2日以降秒針がずれていたので適切な措置だと思ったものです。
また、カラーバリエーションも追加されました。
いつかは日本に来るのかなーと漠然と思っていて、すっかり忘れた頃に劇的な再会です。



そして時は2020年の銀座に戻ります。
”取材セット”を忘れたので、iPhoneの写真で失礼…
今回入荷したものはゴールドバージョン、ロジウムバージョンも追って入荷の予定とのことです。

改善点として最上位の時の10の桁の横棒が半分赤くなっているのがわかりますでしょうか?
これは、時表示は12時間表示で、10の桁は0か1しかとらないため、真ん中のセグメントは使われないということを利用した、デイ&ナイトインジケーター(24時間表示)です。
プログレスバーのように徐々に赤が現れ、消えてゆくので昼と夜の区別がつく…と言う仕組みです。

上から順に読んで、05(5時)16(16分)と読めます。



巻き上げて動き出しました。
8日巻きで、1週間に1回巻くというクロックのお約束な使い方でOKです。
巻き上げはベース部分のレバーで、時と分はそれぞれの表示部にあるコレクターで独立に調整できます。
各数字は半瞬転的な動きで数字がカタッという音と共に素早く変化します。



底部のベース部分には1.6mのチェーンによるチェーン・フュゼコンスタントフォース機構。
8日間のパワーリザーブ全域で安定したトルクを供給します。



ギアトレインと脱進機周りも窓からのぞき込むことができます。
結構パワフルな脱進音が鳴り響きます。
計時輪列はシンプルな構造です。



ベース部分の連続的な動きをデジタル数字の間欠の動きに変換する部分は各桁の中にあります。
7セグメントディスプレイの形に穴が開いており、その裏にあるプレートが動いて白色で表示、黒色だと非表示となります。



桁の1ユニットの中身です。
ベース部分から1分に1回押されて一定角度動くカムをレバーが読み取り、表示用のプレートを左右に動かし表示を切り替えます。
7セグメントはその名のとおり表示部が7か所ありますが、縦棒2本は1枚のプレートにまとめてあるので、1桁は5枚のプレートで動いており、カムも5個あることがわかります。

ずっと眺めていて動きを観察したところ、分の1の位→(桁上がり信号)→分の10の位→(桁上がり信号)→時の10と1の位という動きになっており、時間は10進数的ではなく12進数で動いています。
これは12の次は01にしないといけないので、10進数的に動かすとかえってややこしくなること、状態数が12個しかないなら直接動かしてしまった方が楽ということだと考えられます。

各桁ユニットとは別に、ベース部分から中間のレトログラード表示の秒まで軸が伸びていて秒表示を作っています。
1分に1回発生する送りとレトログラードの位相は合わせてあるので同じタイミングで切り替わります。



ラ コロヌ デュ トンと作品名を主張する柱。



イゼックらしい機械的なデザイン。



ベース部分の正面にはイゼックのサイン。



デザイン:ヨルグ イゼックと、



マニュファクチャード(製造):シンクレア ハーディングというダブルネーム。

いかがでしょうか、常に新しいデザインを考えていたイゼックのアイディアとシンクレア ハーディングの時計製造が出会った作品が、2年の時を経て完成度も高まりいよいよデリバリーされたラ コロヌ デュ トン、55台の限定生産ですので、ご興味がある場合は価格を含めお早目のお問い合わせをお勧めします。

もちろん、シンクレア ハーディングの伝統的な作品も扱われています。



これは1オクターブ(8音)のベルとテナーベルのソヌリを備えたスリートレインスケルトンクロック。
スリー(3)トレイン(輪列)の名前の通り、計時に1つ、ソヌリに2つの独立した輪列と香箱を持ちます。
デットビート脱進機により秒針は0.5秒ごとにステップ運針します。

関連 Web Site

hysek design
https://dev.hysek.art/fr

Sinclair Harding
https://www.clockmakers.com/

アワーグラス銀座店
〒104-0061 東京都中央区銀座5-4-6 ロイヤルクリスタル銀座1F
TEL: 03-5537-7888 
http://www.thehourglass.co.jp/