グラスヒュッテ・オリジナル 「セネタ・クロノメーター リミテッド・エディション」の実機レポート、デザインモチーフを忠実に再解釈したケース

 By : CC Fan

先日発表
されたグラスヒュッテ・オリジナル(Glashütte Original)の、セネタ・クロノメーター リミテッド・エディション、その名前と「クロノメーター規格」の基礎となったマリンクロノメーターをデザインモチーフとして忠実に再解釈した構造を持つケースに、2009年の初出から特徴だったコンプリケーション時合わせシステムを持つムーブメントを組み合わせたピースです。

早速実機サンプル機を拝見する機会がありましたのでレポートします。



実機に合わせてドイツのミュージアムから来日した「ご先祖さま」、マリンクロノメーター。

計測器としての視認性を重視し大型化された6時位置の大きなスモールセコンド、12時位置の最後の巻き上げからの経過時間で表示するパワーリザーブ、大きな見返し、風防を外して時間調整を行う際の指のかかりを良くするためのローレット加工など今回のリミテッド・エディションに用いられたデザイン意匠を持ちます。



3時位置のパノラマデイト以外はまさにそのままダウンサイジングしたような仕上がり。
ケースサイズは直径42mmで、マリンクロノメーターの意匠を再現するためにベゼルが張り出しているため、ベゼル部分は直径44mmとのこと、ラグが短めななので数字ほどの大きさは感じなかったです。
限定25本のシリアル番号はケースではなく文字盤に入れられており、この個体はプロトタイプ00番。
グラスヒュッテ・オリジナルのロゴも小さくなりより計器感が増しています。



正面から見てもベゼルと見返し部分のクロノメーター感は充分に伝わります。
パワーリザーブも巻き上げ切ったところが0で経過時間を表示するマリンクロノメータースタイルです。
パワーリザーブインジケーター部分に目立たないように設けられたデイ&ナイト表示(黒い穴)はデイト表示合わせの時の利便性を向上させています。

デイト表示は10の桁と1の桁を別のディスクで表示するパノラマデイト、ディスクの高さ差がないため桁の間に仕切りはなく同じ窓で表示されます。



針も視認性は充分なド直球のブルー針。
スモールセコンドの大きさが精度最優先(読みやすさ最優先)のクロノメータースタイルを物語っています。

以前レポートしたクロノメーター・トゥールビヨン同様(こちらがオリジナル)のインデックス時合わせシステムを備え、リュウズを引くとスモールセコンドが0にリセットされ、分針は60分割されたインデックスの近いところに移動し、クリック感とともに1分単位の時合わせが可能です。
この機構を実現するために通常は2番車から取っている表示と時合わせの駆動力を3番車から取っているというユニークな設計になっているようですが、完全には理解できていないので解析してまた報告したいと思います。



ストライプ仕上げだったオリジナルに対し、マリンクロノメーターの真鍮無垢をイメージしたローズゴールド仕上げのムーブメント、キャリバー58-03。
この25本限定のためのスペシャル仕上げです。

一見するとツインバレルに見えますが、向かって右側はパワーリザーブ計測のための遊星歯車差動機構で巻き上げ量と放出量の差を計測してパワーリザーブを表示します。
機構についてはかなり見逃していた部分もあるので追ってレポートできれば。



腕に載せた状態の写真を撮り逃したのは不覚…

精度と時合わせの使いやすさという一見すると地味なポイントを愚直に追求したセネタ・クロノメーターシリーズ、始祖と言えるマリンクロノメーターの意匠を加えてより魅力的になったのではないでしょうか。

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