ブレゲの2020年新作 「トラディション レトログラード デイト 7597」~ブレゲの歴史に添う重厚な1本

 By : KITAMURA(a-ls)


ブレゲの2020年新作が、またひとつのベールを脱いだ!
ブランドを代表するフェイスである「トラディション」にレトログラード・デイトを組み込んだモデルだ。
始祖、アブラアン-ルイ・ブレゲからの設計思想やデザイン指向を、ある意味、愚直なまでに踏襲しつつも、細部には現代のハイエンド技術を盛り込んだ最先端のプロデュース手法が徹底されている。
思えば、「トラディション」(伝統)と名付けられたモデルが発表されて今年で15年。伝統と進化に関して、同じようなスローガンを掲げているブランドは多々あるが、ここまでブレずにそのDNAを脈々と繋げていくブレゲの姿勢には、最近つくづくと感心させられるところが多い。


まずはプレスリリースを全文掲載してその概要をお届けしよう。






ブレゲ 「トラディション レトログラード デイト 7597」


「トラディション」は、18世紀終わりにブレゲが考案した「スースクリプション」という時計のムーブメントから直接想を得て作られたコレクションです。この新作は、表からムーブメントの構造がすべて見渡せるのと同時に、時刻表示と合わせてレトログラード式の日付も備わっています。



「トラディション」コレクションは、ブレゲの歴史で最も重要な時計の一つに数えられる「スースクリプション」から実際に着想されたものです。シンプルを極め、時計の表側から露わになった裏面の隅々まで見渡せるそのムーブメントは、完璧なシンメトリーの構造が特徴です。



新しい「トラディション 7597」に備わるレトログラード式の日付表示は、アブラアン-ルイ・ブレゲが初めて開発した複雑機構の一つで、ブレゲの有名な時計のいつかに採用されていました。

直径40㎜のホワイトゴールド製ケースにぴったり収まる自動巻ムーブメントのキャリバー505Qは、シリコン製ホーンのインバーテッド・インラインレバー脱進機、シリコン製ブレゲひげゼンマイを装備し、透明なケースバックから見えるゴールド製ローターは、ブレゲ初の自動巻時計で、アブラアン-ルイ・ブレゲの絶妙な発明の才を証明する「ペルペチュエル」の機構を想起させます。



独創的なデザインとシンメトリーの構成
時計技術と美的デザインのどちらに関しても完全主義だったアブラアン-ルイ・ブレゲは、今日でも驚くほどモダンなムーブメントを設計していました。
大きな香箱を中央に置き、その上に歯車を左右対称に並べる彼のデザインは、数世紀を経てまさに「トラディション」の原点になりました。このような設計では、通常の2番車が8時位置に、振動するテンプが4時位置に配置されます。また、アブラアン-ルイ・ブレゲが発明し、現在のあらゆる時計に用いられている耐震機構の起源となる「パラシュート」も搭載され、これもまた「トラディション」コレクションの特徴的なシグネチャーになっています。



もう一つの際立った特徴は、時刻を表示するオフセンター・ダイヤルです。
ゴールド製のダイヤルを12時位置にオフセットしたそのデザインは、ブレゲの「モントレ・ア・タクト」から想を得ました。新しい「トラディション 7597」は、ローマ数字のチャプターリングを配し、これと境を成すクル・ド・パリ模様のギヨシェ彫りにブルースティールのブレゲ針が映えます。



レトログラード式の日付表示は、シンメトリーのバランスを考慮して3時と9時の間に設けられ、巧みにカーブをつけた針が、極めて構築的なデザインのムーブメントの上を移動します。特許を得た日付修正機構により、容易に日付の調整が可能になったこの立体的なデイト表示の針が、ムーブメントのパーツの上を滑るのです。10時位置に配されたねじ込みのデイト調整ボタンは、安全に日付の設定ができます。


シンプルを極める傑作時計「スースクリプション」
「ブレゲの工房で製造されたクロノメーターがどれほど完璧かは、言うまでもない」。
ジュール・ヴェルヌ 『アンティフェール親方の驚くべき冒険』 (1894)

アブラアン-ルイ・ブレゲは、当時の時計師の中で最も才能に恵まれた一人で、リピーターウォッチ用のゴングスプリング(1783年)やトゥールビヨン(1801年)など、生涯を通じて数々の革新を時計の設計に取り入れた人物ですが、非常に複雑な時計を創作する一方で、シンプルを極めた時計を創りだしたことでも知られています。

アブラアン-ルイ・ブレゲは、フランス革命が頂点に達した時期にスイスで2年間を過ごし、その後パリに戻って、1795年の春にシテ島のケ・ド・ロルロージュに構える自身の工房の経営を再開しました。
その第一段階は新たな顧客の獲得でした。そこでブレゲが発明したのは、限りなくシンプルなデザインとずば抜けた信頼性を併せ持つ時計でした。彼はこの時計に予約販売方式(スースクリプション)を取り入れ、やがて目覚ましい商業的な成功を収めます。


●BREGUET No3424

ブレゲが創作した「スースクリプションウォッチ」は、現在パリのブレゲ・ミュージアムをはじめ、他のヨーロッパのミュージアムで鑑賞することができます。ルーブル美術館に展示されている、1802年に販売された「スースクリプションウォッチ No.947」もその一つです。

ブレゲは「スースクリプションウォッチ」のムーブメントを利用して初の「モントレ・ア・タクト」を創作した際に、そこに小型のダイヤルを加えました。この時計からインスピレーションを得て、その典型的な構造を再び採り入れたのが、2005年発表の「トラディション」コレクションでした。




[SPECIFICATIONS OF THEWATCH]
BREGUET TRADITION QUANTIÈME RÉTROGRADE 7597
(REF. 7597BB/G1/9WU)


[Case]
18Kホワイトゴールド、ケースバンドに繊細なフルート装飾。
サファイア・ケースバック(透明裏蓋)。
ケース径40mm。ケースにロウ付けされたラグとネジ留め式バー。
10時位置に日付修正のプッシュボタン、3気圧(30m)防水。

[Dial]
シルバー仕上げ18Kゴールド、手彫りギヨシェ模様、個別番号とBreguetのサイン。
ローマ数字のチャプターリング。ブルー・スティールのブレゲ針。

[Movement]
自動巻。番号とBreguetのサインを刻印。キャリバー505Q、径14½リーニュ(32.71㎜)、45石。
50時間パワーリザーブ。レトログラード式の日付表示とブルー・スティールのブレゲ針。
ブレゲ初期のデザインを踏襲したゴールド製ローター。
シリコン製ホーンのインバーテット・インラインレバー脱進機、シリコン製のガンギ車とアンクル。
シリコン製ブレゲひげゼンマイ。振動数3Hz(毎時21,6000振動)。6姿勢調整済み。


[Strap]
アリゲーターストラップ、ホワイトゴールド製フォールディングバックル。

[価格]
Ref. 7597BB/G1/9WU:18Kホワイトゴールド
税込価格4,598,000円/税抜価格4,180,000円


ローズゴールド・ケース・モデル

Ref. 7597BR/G1/9WU :18Kローズゴールド
税込価格4,510,000円/税抜価格4,100,000円


すでに実機を拝見したが(閲覧ご希望の方は早めにブティックへご連絡を!)、非常にメカニカル感かつ重厚感のある外観はとても興味深く感じた。
以下、実機画像。



モデルはホワイトゴールドとローズゴールドの2ヴァリエーション。



レトログラード・デイトの針に段差がつけてあるところが面白い。



機械式時計を絵にかいたような存在感。



装飾的な無駄を排したシンメトリックで美しいムーブメントは、18世紀以来の"伝統"だ。



リストショット



ローターの形が、アブラアン-ルイ・ブレゲが発明した自動巻き時計「ペルペチュアル(1780年)」のローターを模しているのも、ファンにはたまらないのではないだろうか。



プレスリリースには明記されてはいないが、トラディションの発売15周年を飾るにふさわしいモデルで、今年の新作群にあっても、自分の中では、かなり刺さった1本だ!






【お問い合わせ】
ブレゲ ブティック銀座
東京都中央区銀座 7-9-18 ニコラス・G・ハイエックセンター 3 階
TEL 03-6254-7211