モリッツ・グロスマンが、19世紀の技法"シルバーフリクション コーティング"を施した文字盤を搭載した限定モデル「XII バースデーエディション」を発表

 By : KITAMURA(a-ls)




モリッツ・グロスマンが、19世紀の技法"シルバーフリクション コーティング"を施した文字盤を搭載した限定モデル「XII バースデーエディション」を発表


最新技巧と古典的技術は、一見、対極にあるようにも思えるのだが、ここ数年のウォッチ・インダストリーでは、それら要素の共存がトレンドのひとつになっている。
わかりやすいところで言えば、様々なブランドがこぞって採用しているエナメル文字盤がそうだし、ブランドでいえば、デザインや機構におけるブレゲのこだわり方は豊かなサイドストーリーにも満ちているし、さらにニッチでマニアックな突き詰め型のフェルディナンド・ベルトゥーの毎年の新作を彩る先達のアレンジメント手法なども非常に秀逸だ。

その面において、インダストリーの流れなど意識せずとも、揺るぎのない古典的なエッセンスを漂わせているブランドに、モリッツ・グロスマンがいる。その自社工房には最新の工作機械が数多く揃えられているのだが、生み出される作品は古き良き時代を思い起こさせる"最新の古典"の息吹に満ちている。

そのモリッツ・グロスマンがまたも意欲的な取り組みの成果を発表した。
19世紀の技法である"シルバーフリクション コーティング"を施した文字盤が採用された「XII バースデーエディション」である。



バーズデイというのは、まさにモリッツ・グロスマンの創立12周年の誕生記念日、11月11日を祝うという意味においてであり、自らの歴史に対して矜持を持って捧げるモデルに、この伝統的な技法を選んだのは、いかにもモリッツ・グロスマンらしい。"シルバーフリクション コーティング"の技法など、以下、プレスリリースから引用する。







モリッツ・グロスマンの創立12周年を祝し、記念日である11月11日に完璧なメカニズムを搭載する限定モデルを発表いたします。このモデルはグラスヒュッテの歴史的な時計師であるモリッツ・グロスマンと彼の名を受け継ぐマニュファクチュールを結び付けるものです。
一番の特徴はシルバーフリクション コーティングを施したダイヤルです。19世紀の伝統的な技術の一つであり、才あるモリッツ・グロスマンも自身が製作した振り子時計にこの技術を用いていました。
新モデル「Ⅻバースデー エディション」はローズゴールドケースモデル6本、ステンレススチールケースモデル6本の合計12本限定モデルです。




シルバーフリクション コーティングの歴史
時計において文字盤はもっとも重要なパーツであり、その時計の評価を大きく左右します。現代の高い技術をもってすれば、どのようなデザインの文字盤であっても製作することができるようになりました。
かつては電気が通っておらず、そのような技術はどこでも使えるものではありませんでした。しかしモリッツ・グロスマンが1860年から70年代にかけて製作したような、特徴的で洗練された文字盤製作ならば可能でした。当時の時計師たちは文字盤の表面を美しく見せるため、シルバーフリクション コーティングを用いていました。この技法は産業革命以前に広く活用されており、電気の無いグラスヒュッテでも度々取り入れられていました。




伝統的な技法
現在この洗練されたシルバーフリクション コーティングの技術を習得しているのはほんの一握りの職人のみです。この仕上げが施されたダイヤルを特別でユニークにするものは一体何でしょうか。
銀の細粒、そして塩を含む白い粉に少量の水を加え、ブラシで文字盤に擦りつけます。事前に汚れを徹底的に落とし、表面を粗めに仕上げることが不可欠です。シルバーコーティング仕上げの前にダイヤルのインデックスには手彫りのエングレービングが施され、その中に黒いラッカーが充填されます。その後、銀が必要以上に厚くなることを避けるために窯で焼かれます。



表面は粗さが残るよう仕上げられており、エングレービングが施された部分にのみラッカーが行き渡るよう余分な塗料は取り除かれます。銀のパウダーはラッカーには付かないため、ロゴやインデックスなどの刻印部分はシルバーフリクション コーティングされることなくブラックラッカーが残り、輝くようなシルバーとコントラストを成します。






視認性の高いきめ細かなベルベットのような仕上げ
グラスヒュッテのマイスターは、限定モデル「XII バースデー エディション」のダイヤルをシルバーフリクション コーティングで仕上げ、その伝統的な技法を現代にもたらしました。
文字盤表面はきめ細かなベルベットのような仕上がりで、美しく光を反射し高い視認性を保ちます。シルバーフリクション コーティングをかけた文字盤を酸化やそのほかの環境の変化から守るために、ダイヤルにはさらに保護コーティングがかけられています。







クラシカルなデザイン
XIIバースデーエディションではモリッツ・グロスマンの懐中時計に見られる大きなローマ数字が採用されました。



1875年に製作された「M. GROSSMANN」のオリジナルロゴがヴィンテージ調の雰囲気を強めます。インデックスの数字とロゴ部分はエングレービングされており、そこへラッカーが流し込まれます。手仕上げされた繊細な梨型の針はブルーに焼き戻され、クラシカルな文字盤に完璧に調和します。




時計師モリッツ・グロスマン グラスヒュッテのマイスター
グラスヒュッテにあるドイツ時計学校の創設者であるモリッツ・グロスマンは、時計づくりを学ぶためのベーシックなムーブメントを学生たちに提供していました。学生たちはそれを用いて懐中時計を製作し、またそのダイヤルの多くにはシルバーフリクション コーティングが施されていました。



シルバーフリクション コーティングが施されたダイヤルを持つ振り子式時計、懐中時計そしてクロノメーターの数々は現在も素晴らしいコンディションを保っており、かつてドイツ時計学校であった現ドイツ時計博物館にて人々を魅了しています。




キャリバー100.1
XIIバースデーエディションにはキャリバー100.1が搭載されています。
片面無反射コーティングが施されたサファイアクリスタル製ケースバックよりムーブメントの動きを見ることができます。注目すべきはモリッツ・グロスマンの中でも最も精巧な仕上げを施したムーブメントである、華やかなハイアーティスティック フィニッシュです。



2/3プレートには幅広の平行なリブ模様があしらわれています。テンプに沿うようにデザインされたプレートのカットアウトからは、精密調整ネジを備えた片持ち式テンプ受けとテンワを見ることができます。盛り上がったゴールドシャトンとそれを留める平型ネジはクオリティの高さの証です。歯を一枚ずつ丁寧に仕上げた輪列の歯車が深みを与え、美しい光の反射を生み出します。



モリッツ・グロスマンのもう一つの特徴は完全自社製のプッシャー付き手巻き機構です。この機構により、リュウズを戻す際に意図せず時刻がずれてしまうことや、時刻調整時にゴミなどの異物が入り込んでしまうという大きな2つの問題を解消することができます。


XIIバースデーエディション
XIIバースデーエディションはダークブラウン アリゲーター ストラップを合わせたローズゴールドケースモデルと、ブラック アリゲーター ストラップを合わせたステンレススチールケースモデルからお選びいただけます。
それぞれ6本限定モデルです。



【バリエーション】
Ref. MG-002802
ケース :18Kローズゴールド
ダイヤル :シルバーフリクション コーティング、エングレービングを施したブラックインデックス
針 :手仕上げ、ブルーに焼き戻されたスチール
価格 :¥3,800,000 税
限定数 :世界限定6本



Ref. MG-002907
ケース :ステンレススチール
ダイヤル :シルバーフリクション コーティング、エングレービングを施したブラックインデックス
針 :手仕上げ、ブルーに焼き戻されたスチール
価格 ¥2,700,000 税
限定数 世界限定6本


【仕様】

ムーブメント :自社製キャリバー 100.1、手巻き、5 姿勢調整
部品数 :198 個
石数 :20石(うち3個はネジ留め式ゴールドシャトンに使用)
脱進機 :アンクル脱進機
調速機 :質量ネジ4本および調節ネジ2本を装着した耐震軸受式グロスマン製テンプ、ニヴァロックス1ヒゲゼンマイ(ブレゲタイプ80番、グスタフ・ゲルステンベルガー案に基づく)
テンプ :直径:直径14.2mm 振動数: 18,000振動/時
パワーリザーブ :完全巻き上げ状態から約 42 時間
機能 :時、分、ストップセコンド機能搭載スモールセコンド、グロスマン製プッシャー付き巻き上げ機構
操作 :リュウズ1個 18K ゴールドまたはステンレススチール(巻き上げおよび時刻設定用)、プッシャー1個 18K ゴールドまたはステンレススチール(ムーブメントのスタート用)

ケースサイズ :直径:41.0 mm、厚さ11.35 mm
ムーブメントサイズ :直径:36.4 mm、厚さ5.0 mm
ケース :スリーピース、18Kゴールドまたはステンレススチール
ダイヤル :シルバーフリクション コーティング、エングレービングを施したブラックインデックス
針 :手仕上げ、ブルーに焼き戻されたスチール
風防 :片面反射防止加工をしたサファイアクリスタル
ストラップ :18Kゴールドまたはステンレススチール製ソリッドピンバックル付きの手縫い アリゲーター・ストラップ
特徴 :グロスマン製テンプ/針合わせファンクション解除・時計リスタート用プッシャー/小型化したグラスヒュッテ式コハゼ装置(改良型戻し機能付き)/段差式テンプ受け、グロスマン製精密調整ネジによる緩急調整装置/表面処理をしない洋銀の3分の2プレートおよび支柱構造/3分の2プレート・テンプ受け・ガンギ車受けのハンドエングレービング/幅広く水平なグラスヒュッテ・ストライプ模様/3段のサンバースト模様で装飾された角穴車/平型ネジ留め式の盛り上がったゴールドシャトン/個別に取り外し可能なクラッチ式巻き上げ機構/針合わせ用ストップセコンド機能







モリッツ・グロスマン
モリッツ・グロスマンは1826年にドレスデンに生まれ、偉大なドイツ人時計職人たちにおいて先駆者とみなされます。若く才能に恵まれた時計職人であったグロスマンは、友人のアドルフ・ランゲの説得により1854年に自身の工房をグラスヒュッテに設立しました。評価の高い時計企業を運営する一方で、グロスマンは政治的・社会的な活動に努め、1878年にはドイツ時計学校を設立します。1885年にモリッツ・グロスマンは突然亡くなり、彼の死とともに時計マニュファクチュールも解体されました。
このモリッツ・グロスマンの伝統的な時計作りが2008年に復活しました。時計師クリスティーネ・フッターが、かつてグラスヒュッテの時計ブランドであった「モリッツ・グロスマン」に出会い、その商標を取得し、構想を練り、素晴らしく繊細な腕時計とともに残された120年前のグロスマンの遺産を受け継いだのです。そして、個人の時計愛好家からの支援によって2008年11月11日にグロスマン・ウーレン社がグラスヒュッテに設立されました。今日のグロスマンの時計師は、歴史的な部分を単に模倣するのではなく、新たな伝統を作り上げています。モリッツ・グロスマンは、革新と卓越した技能を基に、伝統的であると同時に最新の仕上げ技術と高品質の素材を使い、時計作りにおける「新しい時代の原点」を創り出します。
www.grossmann-uhren.com




【お問合せ】
モリッツ・グロスマン・ジャパン株式会社
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