A.ランゲ&ゾーネ2021年新作「ランゲ1・パーペチュアルカレンダー」~実機画像&技術解説

 By : KITAMURA(a-ls)


待ちかねた発表から48時間が経過し、その詳細が徐々に明らかになってきた新作「ランゲ1・パーペチュアルカレンダー」。
いち早く入手できた実機画像とブランドからの関連資料を一挙掲載する。


まずは取り急ぎ、2つのカラーバリエーションの実機画像を!




グレーのシルバー無垢製ダイヤルを収めたピンクゴールドケース。これはカタログモデル。


直径41.9mm、高さ12.1mm。文字盤色のバリエーションで締まって見えるため、数字ほどの大きさは感じない。



そしてもう一つは、2019年に製作数限定で発表した「ダトグラフ・パーペチュアル・トゥールビヨン」でも採用されていた、ピンクゴールド無垢製ダイヤルを組み合わせた製作数150本限定のホワイトゴールドエディション。



ケースと針およびアプライドインデックスのカラーコーディネーションには細やかなデザイン的配慮がなされ、ホワイトゴールドモデルではロディウム仕上げを施したゴールド製の針とアプライドインデックスが、ケースに映り込み、美しく呼応している。


一方の、ピンクゴールドモデルではピンクゴールド製の夜光針とアプライドインデックスがフェイスの調和をコーディネート。


ホワイトゴールドモデルにはダークブラウンのレザーベルト。


ピンクゴールドモデルにはレディッシュブラウンのレザーベルトが付属。




リストショット





続いてプレスリリースから重要箇所を引用する。


「ランゲ 1・パーペチュアルカレンダー」~非凡なものを作ろうとする情熱で開発

新作ランゲ 1・パーペチュアルカレンダー。ダイヤルを取り巻く月次リングは、ランゲ 1 独特のデザインに永久カレンダーを統合するために創意工夫を凝らして開発されたものです。今回の新作には、グレーのシルバー製ダイヤルを収めたピンクゴールドモデルと、ピンクゴールド無垢製ダイヤルを組み合わせた製作数 150 本限定のホワイトゴールドモデルを用意しました。デイ・ナイト表示兼用ムーンフェイズ表示も特筆に値する機構です。



ランゲ1・パーペチュアルカレンダーのオフセンターデザインのダイヤルには、永久カレンダーの表示要素がバランス良く配置されています。その特徴的なデザインを維持するため、ダイヤルを取り囲むリング状の月表示を設計しました。もう一つの特徴は、ムーンフェイズ表示に組み込まれ直観的に読み取れるデイ・ナイト表示です。



●ランゲ1・パーペチュアルカレンダーのピンクゴールドモデルとホワイトゴールドモデル

A.ランゲ&ゾーネが労を厭わず時間をかけて最高度の審美性と機能性を持ち合わせるカレンダー機構を追求した結果、比類の無い永久カレンダーが生まれました。それを構成するのは、ダイヤル外周に取り付けたリング状の月表示、アウトサイズデイト表示、レトログラード式曜日表示、デイ・ナイト表示兼用ムーンフェイズ表示です。



A.ランゲ&ゾーネが永久カレンダーを搭載する初めての腕時計としてランゲマティック・パーペチュアルを発表したのは、今からちょうど20年前のことでした。それ以降に発表された永久カレンダーを搭載する7モデルのほとんどが、クロノグラフまたはトゥールビヨンなど他の複雑機構と組み合わせた時計です。中には、その両方の複雑機構を搭載したものもあります。



永久カレンダーを再吟味
2012年に発表されたランゲ1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダーでは、カレンダー表示を48カ月車で制御するという伝統的な設計手法ではない別の手法を採用しており、それを、今回登場する新モデルも取り入れています。

時分表示をオフセンターに配置したランゲ1独自のダイヤルデザインに、全体のバランスを崩すことなくカレンダーの各表示要素を統合するために、月表示をダイヤル外周のリングとして取り付けているのです。
伝統的な48カ月車による制御に取って代わるこの12カ月リングは、毎月1回、翌月の表示へと進みます。これは革新的な技術ではありますが、ランゲの設計技師たちは新たな難題を解決せねばなりませんでした。なぜなら、リングが毎月1単位回転するのに要する動力は、伝統的な機構よりもはるかに大きくなるからです。



リング状の月表示に加えて、ランゲ・アウトサイズデイト、レトログラード式曜日表示とうるう年表示が永久カレンダーを構成します。各カレンダー表示は瞬転式のため、いつでも間違いなく読み取ることができます。調整プッシャーを操作して、各カレンダー表示を一斉に、あるいは一つずつ先に進めることができます。このカレンダー機構は、一旦正しく調整しておけば、2100年まで毎月末には正確に翌月に切り替わるように設計されています。


●部品621個からなる自社製キャリバーL021.3の分解図


この時計のためだけに開発された月表示
A.ランゲ&ゾーネの開発技師たちは、ランゲ1のオフセンターデザインのダイヤルにカレンダー要素を重ならないようにバランス良く配置したいという想いから、新しいタイプの月表示を設計するという課題に取り組みました。サブダイヤルを追加したり月表示窓を開けたりすることは問題外だったので、この時計のための解決策を探ることになりました。そして、48カ月車によって4年周期で1周する伝統的な月表示に代わる機構、ダイヤルをぐるりと取り囲む回転式月表示に辿り着いたのです。



革新的なリング状の月表示を採用することによって、たくさんの技術的な難題も発生しました。大きな外周リングは、月末に遅れることなく30度ずつ回転して翌月に切り替わります。ずっと軽量で小型の48カ月車が毎月7.5度ずつ動くのに比べて、4倍もの大きな動きです。従って、月表示を切り替えるための駆動装置を開発しなければなりません。さらに、月によって異なる日数をカウントする仕組みも考案する必要があります。



月次リングは内歯車とかみ合って回転し、1年で1周します。月次リングの内側には、毎月の異なる日数に対応する凹みが刻まれています。バネの力で押さえられたトレースレバーがこの面をなぞってゆき、その凹みの深さに従って、レバーの一端が外側に振れます。その振れが大きいほど、その月の日数が短いという仕組みです。2月には、トレースレバーのトレース側ではない方に付いているアームが、うるう年表示の下にあるカムと噛み合うようになっています。こうしてカレンダー機構は、平年と2月29日があるうるう年を見分けるのです。
この機構は、ランゲ1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダーに初めて搭載されました。そして今、ランゲ1・パーペチュアルカレンダーでも優れた視認性を約束します。


瞬転式カレンダー表示
ランゲ1・パーペチュアルカレンダーの永久カレンダーの表示はすべて瞬転式で、いつでも間違いなく読み取ることができます。1単位進めるために必要な動力は24時間をかけてゆっくりと蓄えられ、一気に放出されます。そのため、切替えプロセスによって振幅が低下することはありません。つまり、時計の歩度の安定性に影響しないということです。
ムーブメントには、機械的にエネルギーを蓄積する装置が二つ組み込まれています。
その一つはアウトサイズデイト表示とレトログラード式曜日表示を毎日切り替え、もう一つは月次リングとうるう年表示を進めます。表示を毎日進めるためのエネルギーは、時針および分針の輪列と共に回転する24時車によって蓄積されます。24時車の軸にはカムが取り付けられていて、バネの力で押しつけられたレバーがカムの全周をなぞってゆきます。24時間が経過すると突起の頂点を通過して下降し、カムが瞬時に1単位分回転します。切替えインターバルは別にして、月次リングとうるう年表示を進めるための二つ目のエネルギー蓄積装置も同じ原理で機能します。


デイ・ナイト表示兼用ムーンムーンフェイズ表示
ランゲ1・パーペチュアルカレンダーの主役となる複雑機構は永久カレンダーですが、それだけではありません。この時計は、デイ・ナイト表示兼用ムーンフェイズ表示も搭載しています。



ランゲ1・パーペチュアルカレンダーのムーンフェイズ表示に、デイ・ナイト表示が組み込まれました。この二つの表示の独創的なコンビネーションは、二層構造になっています。
下の層では、デイ・ナイト表示のゴールド無垢製の天空ディスクが24時間で1周します。群青色からゴールドの星々を散りばめた紺青色へのグラデーションは、昼夜の明るさを表現しています。この空を表現するために、色を明るく輝かせ隅々まで精緻に描き出すコーティング法を採用しました。これは、反射光がオーバーラップして青以外の色素をすべて消してしまうという、自然光の相互干渉効果を利用した技法です。これにより、見る人の目に深い青色の印象を与え、夜空に星々がくっきりと浮かび上がる効果を出しています。



上の層では、艶出し加工を施したゴールド製の月が軌道を周回します。このムーンフェイズ表示は二つの月を眼鏡形に配置したもので、滑らかに動き続ける筒車と連結されています。つまり、本物の月と同じように休みなく動き続けるのです。ただし、機械式時計の機構である以上、避けられない誤差が生じます。それを最小限に抑えるために輪列に工夫を凝らし、生じる誤差は1日あたり1.9秒、すなわち恒星月(月が恒星天に対して地球の周囲を1周するのに要する時間)あたり57秒にまで低減しました。このムーンフェイズ表示を一旦正しく合わせれば、1日分のずれが生じるまでに122.6年もかかるのです。
このデイ・ナイト表示と一体型のムーンフェイズ表示は2層構造になっています。下層のゴールド無垢製天空ディスクは24時間かけて1周し、空のブルーの色調が昼夜に合わせて変化します。その空を背景に、ケースカラーと同じホワイトゴールドまたはピンクゴールドの月が29日12時間44分3秒という新月から次の新月までの平均的な周期を限りなく忠実に再現しているため、1日分の誤差が生じるのは122.6年後になります。2016年に発表されたランゲ1・ムーンフェイズに初めて搭載されたデイ・ナイト表示兼用ムーンフェイズ表示では、月が日中は星のないライトブルーの空に、そして夜にはダークブルーの空に浮かびます。


●「月めがね」と昼夜で空の色が変化する天空ディスク


●デイ・ナイト表示兼用ムーンフェイズ表示の機構の概略図




新しい自社製キャリバー
自動巻きムーブメントL021.3は、A.ランゲ&ゾーネが自社開発した67個目のキャリバーです。ランゲ1・デイマティックのキャリバーL021.1をベースに、新しく開発した巻上げ機構を搭載しました。21Kゴールド製センターエレメントおよびプラチナ製分銅付きセンターローター、50時間におよぶパワーリザーブ、そして1時間に21,600振動する偏心錘付きテンプが高精度を約束します。

●ランゲ自社製キャリバーL021.3

サファイアクリスタルのシースルーバックからは、グラスヒュッテストライプ模様が美しい素材の特性を生かした洋銀製の地板と受け、職人の手焼きによって青く染められたスチール製ビスで固定した五つのゴールドシャトン、速度調整機能を果たすスワンネック形バネが収まるテンプ受けに施された華やかな手彫りのエングレービングなど、そこかしこにランゲウォッチならではの品質の証しが見えます。
おなじみの二度組方式で組み立てたムーブメントは、ランゲ最高品質基準に準拠して手作業で仕上げられています。素材、構造、手作業による仕上げ装飾のどれを見ても、独創的なデザインと機構の完成度の高さを誇るこの時計は、永久に時を刻み続けるために作られたのだということを物語っています。








【仕様】
ランゲ1・パーペチュアルカレンダー

Ref.345.033
  

ケース:18Kピンクゴールド
ダイヤル:シルバー無垢、グレー
針:ピンクゴールド、夜光時針および分針
ベルト:レザーベルト、 レディッシュブラウン
バックル:18Kピンクゴールド製 ピンバックル
予価:11,968,000円(税込)



Ref.345.056

ケース:18Kホワイトゴールド
ダイヤル:ピンクゴールド無垢
針:ロディウム仕上げのゴールド
ベルト:レザーベルト、 ダークブラウン
バックル:18Kホワイトゴールド製 ピンバックル
限定数:150本、限定番号1/150~150/150の刻印入り
予価:13,288,000円(税込)


[共通]
ケース寸法:直径:41.9ミリ、高さ:12.1 mm
ムーブメント寸法:直径:35.8ミリ、高さ:8.8 mm
風防ガラスおよびシースルーバック:サファイアクリスタル(モース硬度9)

[ムーブメント]
ランゲ自社製キャリバーL021.3、自動巻き、ランゲ最高品質基準準拠、手作業による組立ておよび装飾、五姿勢調整済み、素材の特性を生かした洋銀製の地板および受け、21Kゴールド製センターエレメントおよびプラチナ製分銅付き片方向巻上げ式ローター、ハンドエングレービング入りテンプ受け。
ムーブメント部品数:621
石数:63
ビス留め式ゴールドシャトン:5
脱進機:アンクル脱進機
調速機:耐震機構および偏心錘付きテンプ、自社製ヒゲゼンマイ、毎時21,600振動、スワンネック形バネと側面にある調整用ビスにより微調整可能なビートエラー補正装置
パワーリザーブ:完全巻上げ状態で50時間

[機能]
時、分およびスモールセコンドによる時刻表示/瞬転式アウトサイズデイト、曜日、月およびうるう年表示付き永久カレンダー/デイ・ナイト表示兼用ムーンフェイズ表示

[操作系]
ゼンマイ巻上げおよび時刻調整用リューズ/カレンダーの全表示要素を同時に進めるワンタッチ調整プッシャーおよび月、曜日、ムーンフェイズの個別調整用埋め込み式ボタン



 



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A.ランゲ&ゾーネ
TEL 03-4461-8080