A.ランゲ&ゾーネ予想答え合わせ編 + 実機画像付きインプレッション

 By : KITAMURA(a-ls)

「WATCHES&WONDERS 2025」前日に投稿したA.ランゲ&ゾーネの新作予想記事
手つかずで迎えた8月31日の夏休みの宿題状態ではあったけれど、その答え合わせも兼ねて、A.ランゲ&ゾーネ新作のインプレッションを簡単にまとめてみる。


まず、180周年記念モデルは出ないというのは正解できた。まぁ来たる10月の"ランゲ記念日"に持ち越してるのかもしれないけれど。今年のW&W会場では、ブランド創立やモデルの誕生〇〇周年などを記念するモデルや展示が各所で見られるので、敢えてトライせずは正解だったと思う。

で、次は「アドルフ・ランゲ没後150年」。
『もしこの線があるのならば、相応しいのは「プール・ル・メリット」クラスの複雑機構(もしくは新機構)であって欲しいところ』と書いたのだが、ブース中央に鎮座していた超複雑モデル「ミニッツリピーター パーペチュアルカレンダー。超大作だしブラック&ホワイトという"追悼トーン"に包まれてるってことで、本当に美しいブラックエナメル・ダイヤルの完成度も含めて、正答とは言えないけれど、かなり満足間の高い予想。


ランゲマチック・パーペチュアル顔と言うか、クロノ抜きのダトグラフ顔と言うか、でも手巻きなので"ランゲマティック"銘が使えず、クロノがないのでダトグラフ銘も使えずで、かの大作「グランド コンプリケーション」以来、久々のライン名無しで、単に「ミニッツリピーター・パーペチュアル」と名付けられた大作である。



キャリバー番号L122.2は「リヒャルト・ランゲ ミニッツリピータ」の枝番ということもあって、リピーターの鳴りはリヒャルトとほぼ同格。打刻のタイム感はP社クラス。ただ音量については、まだまだ研究の余地がありそうだ。



圧巻なのは、繰り返しにはなるが、グランフー・エナメル文字盤だ。4パーツから成る、実に歩止まりの悪そうな研磨とアッセンブリー工程を通過した "選ばれし"1枚のダイヤルが放つ世界は尊い。
3人のエナメラー、2名のアッセンブリー、計5人社員によるインハウス製の文字盤とのこと。シュミットさん、一度工房を見学したいです!!



この文字盤のためだけに1億数千万を決断したという昔ながらの"ランゲ・フレンズ"(2名もいた)に会場で遭遇し、"おー、それ、解かるよ~”とハグで応えたわたしであった。

続いて、「エントリー・モデルが出る。角形なら萌え」という予測だったが、これはほぼほぼ〇という扱いでお願いできたら有り難い。角ではなかったが、34mmというランゲ史上最小径の「1815」から2色のモデルが発表された。



1815というのはアドルフ・ランゲさんの生誕年で、その没後150年を喪章のような漆黒の「ミニッツリピーター パーペチュアル」で悼み、そしてそれには"永久"という名のつく機構が搭載されている・・・なんて完全に自己完結できており、自分の中では、アドルフ・ランゲさんの人生が走馬灯の如く巡る今回の新作群は、実に満足のいくものとなった。



で、この1815だが、相当に良い。
凝縮感ある気品というか、凛とした佇まいがあって、不思議と34mmプラスアルファのサイズにも見えてくる。



ティノに、「34mmと決め打ちして製作が開始されたのか、それとも小径サイズという方向性が先で、試行錯誤の末このサイズに行きついたのか」、どっちなのか質問したところ、「34mmありきで立ち上げられたプロジェクトだった」という答え。うん、ブレない信念の勝利か。久々の枝番処理ではない新キャリバーにも乾杯。

そして最後は、予想には挙げていなかったが、ハニーカラー無垢のブレスでまかれた「オデュッセウス ハニーゴールド」。しかしこれもまた文字盤が良い。



チョコレート色のダイヤルとハニーカラーの蜜色が、ゴリゴリであるはずのブレスを品よくまとめ上げるという、これまで予想もしていなかった、まろやかで艶やかな「オデュッセウス」の一面を"魅せつけられた"ことにハッとして、かなりやられてしまっている自分がいる(笑)。


ま、ということで、
2025年は、Watches&Wonders開幕の数時間前に"震えて待った"だけの甲斐ある、A.ランゲ&ゾーネの新作発表であった。