グランドセイコー「Kodo」 実機レポート

 By : CC Fan

初めてのW&W Geneva参加にふさわしい超ド級ピース、グランドセイコー Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン



その実機を拝見させていただけたので、元となったグランドセイコー60周年記念で製作されたT0コンスタントフォース・トゥールビヨンとも比較しながらレポートします。
(コンスタントフォース・トゥールビヨン機構の「推測」記事はこちら)
(T0開発者 川内谷 卓磨氏インタビューはこちら)

インタビューでも述べられていた、市販化を前提とせず展示用のデモ機としての性質が強かったT0を、グランドセイコーの名を冠するの市販品にふさわしくためのQCを行い、構成部品をほとんど見直したという新しい9ST1ムーブメントを搭載したKodo(鼓動)。
ケースはプラチナ950をを使っていますが、ブリリアントハードチタンと組み合わせたことにより、それほど重さを感じさせず装着感に優れています。



ケースサイズは43.8mm、厚み12.9mmというスペックですが、ボックス状の風防が盛り上がっている構造で重心が低いためか数字ほど大きくは感じないという印象でした。
10気圧の日常生活強化防水と相まって毎日「日常使い」できることを目指したグランドセイコーらしいコンプリケーションです。



プラチナとチタンを組み合わせたケースはカッチリと仕上げられています。



T0に見られた特徴的な巴紋の意匠に、グランドセイコーの伝統的な意匠が加えられて融合しています。



T0と並べたサイドバイサイドの比較も行えました。
細部の細かい変更の他、ムーブメント外形が少し小さくなっているようにも見受けられ、文字盤が付いたことで一気に「デモ機」から「時計」になった、という印象です。

T0の時から注力していた「16ビート」をより良い音にするために、アンクルの可動範囲を制限するドテピンを通常の真鍮から硬質なチタン合金に変更し、チクタク音をより良い音にしたとのこと。
コンスタントフォース脱進車はセラミック製を踏襲しています。





外形以外でわかりやすい差異はパワーリザーブインジケーターの取り付け位置と針の向きが変わりました。
T0とKodoで基本的な計測輪列は同じに見えますが、最終的に針を駆動する歯車(ピニオン)の位置を新設したブリッジでずらすことでパワーリザーブインジケーターを内側に向けています。

また、トゥールビヨンの外周ケージに取り付けられた1秒ごとのステップ表示が白色からルビーを埋め込んだより視認性の高いものに変えられています。



ケースバック側、ピンボケしてますが巻き上げ輪列の「巴紋」がよりはっきり入っていることが分かりやすい差異でしょうか。



今回、コンスタントフォース・トゥールビヨンの機能を確認するための「ブロック試作」機も拝見することができました。
意匠性は大きく変化していますが、基本的な構成は変わっていないことが分かります。



外側ケージ外周に切った歯車から駆動する、Y型のブリッジを2つ重ね、1秒ステップを1/8秒スイープが追いかけるという構造も同じです。
また、同じ固定4番車に180度対抗したコンスタントフォース脱進車と通常のガンギ車が並列して噛みあうという「トゥールビヨンを活かした」コンスタントフォースの構造もこの時から踏襲されています。

というわけで、以前に作ったT0を「推測」するクソパワポをはKodoの9ST1仕様で作り直すとして、それ以外に説明として使いやすそうなのが…



なんと、コンスタントフォース・トゥールビヨンの大型模型!



下側のコンスタントフォース脱進部の上にヒゲゼンマイで引っ張られる通常のトゥールビヨンが乗っかってる構造がよくわかります。



ストップセコンドで内側ケージを停止させるためのリングも見えます。
これを見ながら説明すれば「理解」しやすそうです。

T0の時点でぜひ市販してほしいと思っていたコンスタントフォース・トゥールビヨン。
これをセイコークオリティで「量産」したのは本当に素晴らしいと思います。


<グランドセイコー>の公式 Webサイトアドレス :www.grand-seiko.com



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