KURONO BUNKYŌ TOKYO「34mm」実機、「全体の佇まい」 +「私も買いました」

 By : CC Fan

クロノブンキョウトウキョウの34mm、実機レビューと「私も買いました」をお送ります。



今回は新設計の34mmケース、4つのカラーバリエーションで登場。
文字盤だけではなく、ベルトまで浅岡氏のセンスでコーディネートされ、それぞれに異なった色のカーフレザーベルトが付属します。
一見しただけではコントラストが強いように見える、赤の挿し色の文字盤と青いベルトもしばらくすると調和しているように感じてきます。



「ハジメアサオカ」と「クロノブンキョウトウキョウ」のブランドの方向性の違いは?という問いに対して、「独立時計師としての作品作りがハジメアサオカ、デザイナーとしての作品作りがクロノブンキョウトウキョウ」という事で、デザイナーとしても活躍していた浅岡氏の経歴が活かされた作品作り、あくまで設計者・デザイナーとしてだけ関わり、実際の製造とQCは氏の会社である東京時計精密株式会社のメンバーとサプライヤーが行っています。
後進の育成という大仰なものではない、とのことですがちゃんと会社組織として継続を考えて行っているのは素晴らしいと思います。

「ハジメアサオカ」とのデザインの連続性を感じる文字盤。
ヴィンテージ感のあるデザインを始点して、「どこかで見たと思うけど、よく見ていくとどこにもない個性」という独自の世界観を構築していると感じます。
ディテールというとすぐに「細部」の話になり、ニュースリリースでも細部の話はありますが、個人的には実機を見たときの一番の印象は「全体としての佇まい」がきれいに整っている、という事でした。
逆に、全体が揃っていなければ細部をどれだけこだわってもチグハグになる、と言い換えると全体の方がより重要と考えています。

ムーブメントは信頼と実績のミヨタ。
90S5、8振動/秒の現代機!パワーリザーブも40時間「も」あるので充分!です。
このムーブメントはいわゆる「オープンハート」用ムーブメントで、地板に文字盤側からテンプを見るための開口部が開いている構造になっていています。
文字盤で塞ぐにもかかわらず、このムーブメントを使っているのは日付リングとリュウズポジションがないこと、文字盤で塞いだとしてもテンプと地板(相当)の距離が広がり、空気の粘性による抵抗が減って振り角が大きくなるからだそうです。
似た話は極薄ムーブメントをスケルトン加工すると振りが大きくなる、と聞いたことがあり、特に振動数が大きいほど影響が大きそうです。



ケースバックは潔いソリッドバック、東京時計精密と浅岡肇によってデザインされた、そしてクロノブンキョウトウキョウの銘が彫りこまれています。



ケースは数を作ることを前提にした鍛造で作られ、鍛造による寸法精度の良い滑らかな表現によって浅岡氏のイメージを現実にしています。



現代の基準ではかなり小さい34mmというケースですが、針とインデックスのデザインのおかげか視認性は良好です。
サイズとしてはレディースですが、デザインが紳士用なのでユニセックスの兼用時計としても使えそうです。

価格も「高級」時計だから、無限に手間をかける、その分の価格も無限に上げる、のではなく、あくまで必要と考える「要所」にこだわって全体としてのバランスを取る浅岡氏の「俺のやり方」と理解しました。



「私も買いました」
実機を拝見させていただき、これは!と惹かれた赤+白文字盤のモデルを「私も買いました」しよう!という事で自費で購入しました。

早速開封、この記事の「実機写真」撮影の前に慣らそうとしばらく使ってみました。


ちょうど来日していたラング&ハイネのイェンス・シュナイダーに感想を求めたり、90年代の34mm仲間と並べて撮ったりなどの「狼藉」をTwitterで報告しました。

まず34mmというケース径は現在としては小さいですが、その分時計の存在が気にならなくなり装着感は非常に良いです。

太さのある時分針とシャープな秒針の組み合わせでぱっと見の視認性も良く、文字盤サイズによって、時間の読み取りに苦労するという事はありませんでした。
実際に使ってみると前述したインプレッションで感じた「全体としての佇まい」がきれいに整っているという感想をより実感します。

https://kuronotokyo.com/