CITIZEN トゥールビヨンY01実機を見る~製作哲学に”和”を極めたトゥールビヨン!

 By : KITAMURA(a-ls)

本サイトでもすでに既報だが、各所でかなりの話題を呼んでいるシチズン トゥールビヨン Y01。
先週の土曜、大丸東京店で開催された発表記念トークショーで、その実機を見てきた。



といっても取材の扱いではなく、快晴の週末に買い物でもしようかと東京駅あたりのデパートをぶらぶらしていたら、なんか人混みがあったので、ちょっと覗いてみました・・・という体での参加なので(笑)、しかも時間ギリギリに伺ったので、注意事項を聞き洩らしたようで、トークショウ中の写真を撮っていたら、「お客様、撮影はちょっと!」と、(たぶん)大丸の方に小声でたしなめられたりで(笑)、「えろぅ、すいません」的に平伏しつつの、苦労の末のこのブログ記事なのだ。

このトゥールビヨンの成り立ち(詳しくはこちら参照→ https://watch-media-online.com/news/723/ )が説明されたのちに、シチズン時計開発部の小野義樹氏と「クロノス日本版」副編集長の鈴木幸也氏によるトーショーがスタート。

まず鈴木氏から、トゥールビヨンの歴史、機構、展望などについて解かりやす解説があり、そして小野氏との対談形式で、いよいよこのY01の設計哲学などについて語られていく。

小野氏は2010年以降、機械式時計の試作品のデザイン・設計から、加工・装飾・組み立てを行いながら企画構想をまとめるプロトタイピストをされており、製品化はされていないが、実は2014年にトゥールビヨンのムーブのみを試作・発表していて、その面での経験値はすでに積まれていたのである。


●2014年にシチズン有志によって設計されたトゥールビヨンムーブメントの展示画像

今回、大丸創業300周年記念作品として、トゥールビヨンの製品化の話が決定した時に小野氏がこだわったのは、2014年の試作からさらに一歩先の、"日本には日本のトゥールビヨンがあるべきだ”という流儀の在り方だったという。

そして創造された「Y01」の製作哲学は"和”に貫かれていた。
自らのファーストネームのイニシャルである"Y"とその一号機を示す"01”を組み合わせた命名。
氏のこだわりがこのモデルで快心の昇華を遂げたことが高らかに宣言されたネーミングと言える。



トークショウで語られた"日本のトゥールビヨン”としてのこだわり、
その数例を挙げてみる。まず表面の意匠。
・文字盤の外周は和室の畳のヘリを意識し、予定になかった七宝文字盤を採用することで黒と白の対比を鮮明にした。
・トゥールビヨンのブリッジは、日本庭園における橋をイメージ。
・文字盤中央の針のカシメ部分の四角形は、茶室の炉畳の構図を示している。
(下記画像参照)


・日本の丁寧なモノづくりの系譜を受け継ぎ、日の裏まで非常に細やかなペルラージュ仕上げを施している。

裏面の意匠
・通常はリューズ位置に対して斜めに彫られるコート・ド・ジュネーブ仕上げが縦に彫られ、これは木造和建築の板外装や広重などの浮世絵に見れる雨脚の垂直線から想を得てている。
・角穴車は日本象徴的な花である桜をイメージしている。
・松の造詣を思わせる扇子状の抜きや受けの形など、日本の建築や絵画等に多用される曲線やプロポーションが用いられている。


面白いと思ったのは、欧州のトゥールビヨンは、キャリッジを見せる開口部を出来るだけ大きく取り、そのスペースの受けも刳り抜いてしまいキャリッジのヌケ感を強調するようなデザインが多いのだが、Y01の発想はまさにその逆で、時計を通して肌や体毛が透けて見えることを嫌い、欧州のそれとは対照的に、受けをふさぐ(隠す)という、実に日本的な奥ゆかしさに貫かれている。

その他、機構面では、トゥールビヨン・キャリッジがチタン製の一体成形であること、ツインバレル搭載でパワーリザーブが100時間あること。御箱も日本の美を意識した黒檀であること、などなど貴重な情報を聞くが出来た。

製作哲学に”和”を極めたこのシチズン初のトゥールビヨンは限定2本。
このトークショーの終了と同時に店頭展示販売が開始され(そこから実機の写真撮影が許されたので何とかここにも掲載できたのだ)、


しかもなんとその日中に1本の成約があったという。



このトゥールビヨンY01について、さらに詳しく知りたい方は、
現在発売中の「クロノス日本版」7月号の134ページからの紹介記事を熟読すべし!!
鈴木副編集長、宣伝しときましたよ~!(笑)



詳細情報:
http://citizen.jp/


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