A.ランゲ＆ゾーネ 2024年新作を予想する～Watches and Wonders Geneva 2024

毎年恒例となってしまった感のある A.ランゲ＆ゾーネの新作予想だが、今年に関しては、"ある事情"から、少し書くのをためらっていた。

というのは昨年秋のこと。。。。
ドイツ本国からデ・ハース部長らが来日して開催された「ランゲハウス」イベントがあったのはご記憶されていると思うが、そのディナー・パーティの席上でのことだった。
食事もだいたい終わった頃、本当に久しぶりの日本で気分上々なデ・ハース部長が会場のステージ上に立ち、『デ・ハース部長になんでも質問してみよう』的な質疑応答コーナーが設けられたのである。
そして、そこでの質問を皮切りに、それは起こったのだった。

まずは、わたし。
『(2023年時点で) 来年はA.ランゲ＆ゾーネが作品発表(1994年)から30年となりますが、それにまつわる新作、たとえば「ランゲ１」の記念モデルなどが発表される予定はあるのでしょうか？』
こうした新作にまつわる質問はいくらしても、軽いジョークとともにうやむやにされるのが常なので、けっこう気軽な気持ちで尋ねたのだが、それに対して部長は、

『おお、良い質問だ。ちょっとステージに来てよ』と、わたしを招いた。で、ハグして、肩組んで、ま、お互いワインのせいで少し陽気になっていて、そこでこんなやり取りがあった。


ステージ上のデ・ハース開発部長。この時はまだシラフ


『で、どうなの 30周年は？』
『確かに来年は30年という節目の年だが、どうかなぁ、ガハハッ』と部長。そして、肩を組んだ腕に力を入れてわたしを引き寄せ、耳元でこう囁いたのである。

『来年は、30年より、もっと大事なアニヴァーサリーがあるだろ』と！

その瞬間、私の脳内では「ガリレオ」の湯川(准)教授ばりの数式が閃いていた。

30周年＜25周年,　２０２４－２５＝１９９９！！！

（まぁ計算式といっても引き算一発だが...）、しかしこれね、お互い酔っていたとはいえ、予想記事史上初の"ポロリ事件"というかアクシデントなわけで、その時は盛り上がったけど、後になって思うと、これはカンニング疑惑になりかねないので、"今年の新作予想は自重しなければ"などと思っていたりもしたのである。

しかし最近、ランゲさんがWatches＆Wondersの盛り上げ記事に下のような画像を拡散されているのを見て、
「あらこれ、クロノグラフなの、丸わかりじゃん」。だったら"予想しちゃってもいいのかなぁ"と、筆を執っちゃった次第。



もう皆さんもお分かりと思うけれど、「1999」といえば、
A.ランゲ＆ゾーネの圧倒的な名作「ダトグラフ」のデヴュー年なのである。

欧米では、10年単位よりもクォータの区切りが尊ばれるのも事実。となると25周年はとても大事なアニヴァーサリーなので、デ・ハース部長の言葉が大掛かりなドッキリ企画もしくはこの半年の間によほどの大変更でもない限り、今年のＷ＆Ｗジュネーヴのランゲ・ブース前に立っているビッグ・ウォッチは「ダトグラフ○○○○」である。



で、問題は、どんな「ダトグラフ」かである。
万が一にも、ケース＆ダイヤルの色違いとかはないだろう。あってはならない。というか、絶対にそんなはずはない。もしもその新作が「ダトグラフ・アップ＆ダウン」のハニーゴールド、ＰＧノサーモン ダイヤルとかだったら、ランゲ・ブース内で暴れる自分の姿が見える。。。

「ダトグラフ・アップ＆ダウン」はまだディスコンにしない気がするので、おそらく新作は、「ダトグラフ」に新機能を加えたものになると思う。
それを踏まえて個人的な希望を言うと、いちばん見てみたいのは「ダトグラフ  プール・ル・メリット」だ。鎖引きで動くダトグラフなんて甘美この上ないが、お値段や限定数が夢物語になってしまう可能性もあるので、あくまでも希望的予想。



それに対しもっとも現実味が高いのが「ダトグラフ ラトラパンテ」かな。兄弟ムーブメントの1815で達成済みなので、ハードルは低だろうし、安定も期待できる。



あとは「ダトグラフ・アップ＆ダウン」の6時位置にケージをもってくる「ダトグラフ トゥールビヨン」もあり得るけれど、「ダトグラフ パーペチュアル トゥールビヨン」がすでに存在するので、インパクトは少ない。



あまり気乗りしないのは、ダトグラフに曜日窓を追加したよとか、ムーンフェイズつけたよ、みたいな地味なプラス機構もしくは"鳴り物"との組み合わせかな。ツァイト、リヒャルトと鳴り物が出たので、鳴り物系はしばらく休む気もする。

で、実は一番期待しているのが「ダトグラフ ＋ 新発明機構」だ。

ここで、一昨年、昨年と過去2年も載せた文章を念押しとして、3年連続で繰り返す。
『2016年以降に着手した新ムーブが、いまだ発表されていないのだ（例外として、おそらく2017年着手だろうといわれている「ウォルター・ランゲ・オマージュ」があるが、あのモデル搭載キャリバーはウォルター・ランゲ翁に敬意を表して氏の生年であるL1924とされたのでカウントしないとすればの話）。
ということは、開発中ムーブメントがかなりの数で進行中ということになるので、ここ数年、既存モデルに新機能を追加したパターンが多かったランゲの新作ではあるが、なにかアッと驚くような機構を持つ新ムーブ搭載モデルが出る可能性は非常に高いのである』

ということで、「ダトグラフ」に何かとてつもない新機軸時計が登場する可能性は充分に秘められている、ということもお忘れなく。

一方、最初に挙げた「ランゲ1」の30周年は、おそらく秋(10月24日)の新作になるのではないだろうか。で、これはよくあるパターンの、ケース／ダイヤルカラー(素材)の色違いで、手打ちな気がする（笑）。


まぁ当たるも八卦当たらぬも八卦、実は、何か差し障りが起きたとしても、今日の日付(4月1日!)のせいで済まそうという算段なので（笑）、４月９日のジュネーブでの"正解発表"を乞うご期待なのである。