ジュネーブグランプリ 2017 ノミネート ハルディマン H12

 By : Stella Polare Co., Ltd.

みなさま、こんにちは。

 

今年もジュネーブグランプリの季節がやってまいりました。

 

今年度は、ベアト・ハルディマンのH12が「Tourbillon and Escapement」という部門で最終ノミネートに挙がっております。

 

 

H12は、シンプルな外見からは想像できないほどのこだわりが詰まった作品です。

今日はこのH12について、少しご説明したいと思います。

 

 

今年この時計が再注目された理由は二つあります。

(初代モデルの発表は2013年です)

 

一つは、初めてのステンレス・スチールケースが採用されたこと。

二つ目は、ブルーダイアルが新しく発表されたことです。

 

このH12の大きな特徴に、バランスホイール(テンプ)が中心に配置されているという特殊な構造にもかかわらず、まるで何事もなかったかのようにダイアル側は中心から時針・分針が出ていることが挙げられます。

この配列は多くの時計専門家を驚かせました。

 

バランスホイールが中心で振れる姿は、ため息が出るほど美しいものですが、この美しさには独創的なレバーエスケープメントにより向上した等時性とその結果としての高い精度、ハルディマン独自の衝撃吸収システムが兼ね備えられているのです。

 

 

そしてもうひとつ、ハルディマンの大きなこだわりとして、彼はCNCマシンを使用しないことをポリシーとしています。

 

CNCマシンとは、コンピューター制御で正確な部品等を制作する機械として、今やほとんどの時計工房にて使用されている重要なツールです。

 

正確なパーツ作りは、高い精度を生み出すために必要不可欠な為、多くの独立時計師も今や定規を使うような感覚でCNCを使用します。

 

しかし、ハルディマンはその正確なパーツを生み出すこともハンドメイドの技術力としてとらえ、いまだに手作業ですべての部品製作に臨み、そして高精度を生み出せるほどの技術力を保ち続けています。

 

H12には、ダイアルの6時位置に「Swiss Handmade」と小さく刻まれているのは、手作りで生み出される時計への強い想いが込められているのです。

 

繊細なダイアルは、シルバーのベースにインデックスとロゴを彫り抜き、塗料を流し込んでいます。

 

粉雪のような、美しい風合いを出すダイアル表面は、特殊な技術の手作業で銀の粉をまぶしていきます。

 

 

また、手作業で作り出されるハンド(時針・分針)は、1790年に作られたハルディマン・フレール(HaldimannFrères)の懐中時計から着想を得ています。

 

ハルディマン一家は1642年から375年もの間続く、歴史の深い時計工房なのです。

 

今回、スチールケース版を発表することはハルディマンにとってもとても大きな挑戦でした。

 

価格も抑え、このハンドメイドの世界観をより多くの方々に知っていただきたいという思いがあります。

 

独立時計師の時計は、独自のムーブメントを開発した場合、制作本数が少ないためどんなに頑張っても日本円にして500万円を下回ることは容易ではありません。

 

500万円を下回る作品を生み出すには、汎用ムーブメントに改良を加えたものがほとんどで、ある程度の制約がでてしまいます。

 

すべて手作業で作り出すオリジナルムーブメントを使用しながら、スチール版で432万円(税込)という魅力的な価格は、独立時計師の存在をより広い世代に広めてくれることになると思っております。

 

 

H12 Central Balance Pure(セントラルバランスピュア)

 

◆ムーブメント:Cal. H-ZEN-K 手巻き、19石、21,600(3Hz) 6振動

◆防水: 3気圧防水

◆パワーリザーブ:38時間

◆ケース径:39mm (42mmも可)

◆文字盤のインデックス:彫って特別な塗料を流し込んだもの

◆針の素材:ロジウム(またはスチール)にダイアルと同じ塗料を塗ったもの

◆ダイアルのベース:シルバー925

◆地板金属:プラチナ&ゴールドはゴールド、スチール版はスチール

◆オーバーホール:料金は無料、送料のみお客様負担(ライフタイムギャランティー)

3~5年が目安、アトリエ到着後3週間ほどで完了

 

 

◆価格:

スチールケース       432万円(税込)

ゴールドケース(WG/RG)  561.6万円(税込)

プラチナケース       756万円(税込)

 

※2針の「H11」もございます。

 

 

 

 

BEAT HALDIMANN(ベアト・ハルディマン)

 

伝統的な道具で革新の機構を続々と開発 今最も注目される、新世代の独立時計師

 

1642年から現代まで代々、400年近くも時計師として活躍してきた名門「ハルディマン家」の末裔として、1964年、スイス・ベルン州のエメンタールに生まれる。時計学校を卒業後、ムーブメントメーカー、老舗時計店等で時計師として実務経験を積みながら1985年に時計師/時計修復師の資格を取得。1991年には自身の時計会社を設立し、作品製作と時計ブランドからの委託による新機構開発を開始する。1993年に時計師の最高峰「時計マイスター」資格を取得。また2000年にはハルディマン脱進機で特許を取得する。この年、バーゼル・フェアに初出展。2002年、バーゼル・フェアに文字盤の中心でトゥールビヨンが動作する「ハルディマンH1フライング・リラ セントラル フライングトゥールビヨン」を発表し、ドイツの時計雑誌『クロノス』の「世界で最も注目される時計師20人」の一人に選ばれる。以降、レゾナンスレギュレーター(共振機構を使った調速機構)、ミニッツリピーターなど独自のメカニズムを持つ複雑時計を続々と発表。時計界のさまざまなアワードを受賞し、新世代の独立時計師として今、最も注目されるひとり。歴史的な時計師の時計作りの精神を継承し、ハイテクに頼らず古典的な手作業、工具にこだわって時計製作を続ける姿勢も時計愛好家から高く評価されている。