PATEK PHILIPPE 『シリシウム』について

 By : Kamine

今では多くの腕時計のパーツに採用されているシリシウム(シリコン)。その新しい素材を活用する時計製造。この分野でも、パテック フィリップ社の開発過程は実に慎重なもので、マニアから注目を集めるものでした。
パテック フィリップ社は、2005年にパテック フィリップ・アドバンストリサーチ部門を創設し、シリコン・ベースのハイテク素材 silinvar®製によるいくつかの先進的な構成部品を開発しました。

 この「アドバンストリサーチ」と名が付く限定モデルは過去5モデル存在し、1本目から3本目までは年次カレンダーをベースとして生産されました。

 2005年 Silinvar®製のガンギ車を発表。またこれを搭載した5250モデルを限定生産で販売しました。
5250G

 2006年 Spiromax®と名付けられたひげゼンマイを発表。これを搭載した5350モデルを限定生産。
5350R

 2008年 Silinvar®製のアンクルとガンギ車をPulsomax®として発表。5450Pモデルを限定生産。
5450P

4本目が永久カレンダーベース
2011年 ゴールドとSilinvar®を素材とするGyromaxSi®テンプ、及び更に改善されたPulsomax®脱進機を発表。
更にこの2つにSpiromax®ひげゼンマイを加え、3つを統合。これをOscillomax®と名付け、5550Pモデルを限定生産。
5550P


5本目はアクアノート・トラベルタイムベースでした。
2017年 更に性能を向上させたSpiromax®ひげゼンマイとデュアルタイムゾーンウォッチの第2タイムゾーン調整のための柔軟なフレキシブル機構を搭載した5650モデルを限定生産。
5650G


これらのアドバンストリサーチモデルに限り、通常2年の保証期間が5年に設定されています。
つまり、アドバンスト(先端の、進歩的な)リサーチ(調査、研究)という名前の通り、このような革新的な素材や技術をいきなり通常モデルに使用するのではなく、目的を理解した上で購入した顧客に実際に使用してもらい、耐久性や信頼性を含め不具合が出ないかを十分にテストした結果、最終的に通常モデルにフィードバックされていきます。
シリシウムはシリコンとも言い、広義には元素の一つであるケイ素の事を指します。近年、腕時計の内部パーツによく使われるようになりました。パーツに使用するメリットは、磁気帯びせず、軽く固い為、摩耗しない特性があるからです。

現在の所、シリシウムが製品に使用されているのはひげゼンマイのみですが、レギュレーター・タイプの時刻表示年次カレンダー5235モデルに搭載されているCal.31-260 REG QA のみガンギ車とアンクルにもシリシウムが使われています。

磁気帯びの心配がなく、摩耗しないため注油を必要とせず、計時精度も飛躍的に伸び、またパーツの製作と組立に個人差が出ない為、製品としてのクオリティを高い次元で完結できますが、ここまで来るとスイスの伝統的な時計作りと距離がでてくるような気もします。

しかし、これがパテック フィリップの掲げる新時代に向けた「伝統と革新」の、「革新」の部分であろうと思います。

 

来月9/6(金)~9/8(日)には恒例の「パテック フィリップ展」開催を予定しております。
是非、この機会にお気軽にお立ち寄り下さいませ。
「パテック フィリップ展」のお問合せは電話またはEメールでも承ります。

カミネ トアロード本店2Fパテック フィリップ・フロア
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