プラチナケースにブラックダイヤル 堂々たるコンプリケーションの風格 パテック フィリップ 年次カレンダークロノグラフ Ref.5905P

 By : Kamine
パテック フィリップのコンプリケーテッド・ウォッチで中心的な地位を占めているのが年次カレンダーとクロノグラフ。

1年に1回、3月1日に日付を合わせるだけでそれ以外の月に日付の調整をする必要がない非常に便利で機能的な年次カレンダーと、計測器としての役割を持つクロノグラフはデイリーユースに特化しており、時計愛好家からも絶大なる支持を得ています。




5905P-010は、その二つの機構を併せ持った日常生活に有用なコンプリケーテッド・ウォッチです。


ケース径は42㎜と現行ラインナップの中では少し大きめ。
厚みもあり、素材はプラチナですので心地のよい重量感があります。


先駆的なデザインと支持を多く集めるコンプリケーション機能の組み合わせが、パテック フィリップらしい独自性のあるタイムピースに昇華しています。





5905Pの文字盤の源流は2010年発表の年次カレンダー5205にあります。

ですが、クロノグラフも搭載している5905Pは文字盤のディティールも異なりますので、一目でその違いがわかるかと思います。5205と5905Pは兄弟機という位置関係と取れるかもしれません。





5905Pは上の写真5960Pの後継機と考えられます。

2006年に発表された5960Pは完全自社製自動巻き年次カレンダー搭載クロノグラフが初めて搭載されたモデルです。見た目はかなりモダンでスポーティ。プッシュボタンもどことなくドライバーウォッチの様相を感じさせます。

文字盤レイアウト、機構は同じですが5905Pは5960Pを落ち着かせたような印象です。
細かなディティールを変えるだけでここまで印象が変わるのも時計の面白いところでもありますよね。


5905Pのディティールを見ていくと、10時~2時位置に弧を描くように配置された曜日、日付、月表示。
12時位置の日付表示窓はポリッシュされたホワイトゴールドに縁どられており気品あるディティールになっています。6時位置に明瞭なクロノグラフ60分計サブダイヤルが配置されているのも特徴。また、ドフィーヌ型の時分針の中央部には夜光塗料が塗布されており、確かな視認性とエレガンスが両立されています。


逆ぞりベゼルのサイドに彫りこみの入ったデザインは昨今、パテック フィリップが得意とするところです。
硬いプラチナを使い、これだけの曲面を出せるのは至難の業であり、脱帽させられるところです。





ケース側面は緩くカーブしたラグに連なるような滑らかさが非常に美しく、クロノグラフボタンとリューズはそれに溶け込むような位置に配置されています。




そしてパテック フィリップのすべてのプラチナモデルに埋め込まれているトップウェッセルトン・ダイヤモンドは5905Pにも健在。

元々この6時位置のダイヤは、現名誉会長フィリップ・スターン氏が社長時代に、自身の所有するパテック フィリップのプラチナモデルとホワイトゴールドモデルを見分けるため、自分だけに見える位置にダイヤモンドを埋め込んでもらったことがきっかけになっています。

故に、人に見せるものではなく所有者だけが確認することができる、というところがこのダイヤモンドのおくゆかしいところです。





サファイヤクリスタル・バックからはカラトラバ十字が彫られた21金センターローターの動きを見ることができます。

ブリッジとローターには、「サーキュラー・コート・ド・ジュネーブ装飾」が美しく施されています。
面取り等の仕上げも隅々まで行き届いており、世界中の愛好家も文句の付け所がない美しさを誇っています。


プラチナケースに黒文字盤というこの時計はエレガンスさを感じさせるだけでなく、テクニカルな時間計測器としての機能にも魅力を感じます。


5905P
プラチナ950ケース(42.0㎜)
自動巻き
パワーリザーブ:最小45時間 最大55時間
クロノグラフ、年次カレンダー搭載
3気圧防水



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