アワーグラス 20周年記念ユリス・ナルダン限定モデル、エナメル文字盤の艶めき

 By : KITAMURA(a-ls)

当サイトのアワーグラス Shop Newsでもお伝えしたが、今月の12日から、ユリス・ナルダンのフェアが開催されている。

鳴り物、マリンクロノ、アンカー・トゥールビヨンなど、このブランドの見所は多いのだが、今回は何といってもアワーグラス ジャパン20周年の記念時計として特別に作られた、クラシコ・マニファクチュールのエナメル文字盤に注目だ!






この艶やかな滑り感!!
最近のエナメル文字盤は、技術進歩もあってか、コールド・エナメルばりにツルっとした無機的な美しさに寄っている感があるが、欧州最強の老舗文字盤工房、ドンツェ・カドランを傘下に持つユリス・ナルダンのエナメルの地肌は、見るものを瞬間的に19世紀にいざなってくれるような、懐かしい手触りと、風合いに満ちている。



誇らしげに刻まれた、Donze Email  Grand Feu の文字。



スモールセコンドやデイト開口部の"切り口”も見事だった。

来日していた、ユリス・ナルダンのホフマンCEOに話を聞く時間を作っていただいたので、個人的に大好物なエナメルについてかなり突っ込んで訊ねてみたのだが、表面研磨と開口部切削については、「スイスの工房に来てくれればすべてお見せしますが、ここではあまり話せません(笑)」ということであった。



※ホフマンCEO

これまでバーゼルを新作発表の場としてきたが、来年からはそれをSIHHに移すということで、今年は例年やっていたすべてを3カ月ずつ早めなければならず、とても大変そうだったが、その新作の中にはドンツェの職人の技術が注がれたものもあるということで、それらも非常に楽しみである。

しかし驚いたことに、ドンツェはわずか6人のマイスターが、これら製作物のすべてをまかなっているという。
「来週7人目が入るのだけれど、それは6人のうちの一人が2年後に引退することが決まっているので、その後任を2年がかりで育てるため。現代は昔のような徒弟制度もないので、本当にやる気のある人を見つけて育てるのは、本当に難しいのです」、とホフマンCEO。

「しかもみなアーティストだから、プライドとクオリティにはとても厳しく、歩留まりが10%なんていうこともあります。しかしそのことが、我々の技術を高めてきました。そしてようやく、失われた過去の技術をほぼ取り戻すことに成功しました」


アワーグラスのフェアでは、この限定時計クラシコ・マニファクチュール以外にも、素晴らしいライン・ナップが見られる。



※ミニアチュールやクロワゾネを駆使した工芸文字盤のピース

クロワゾネの傑作、HMS CAESAR(上の画像・左)や、クラシコ・フォース(同・中央)といった工芸文字盤作品をはじめ、




Triplejack Minute Repeater (下の画像・左)や、わたしも初めて実機を見たJazz Minute Repeater(同・右)などの鳴り物まで、





ユリス・ナルダン・フェアは今月の20日までアワーグラス銀座店で開催中なので、ぜひ一度足を運んで、そのクオリティを確かめて欲しい。