シュワルツ・エチエンヌ、 カリ・ヴティライネンとコラボレーションしたローマ・シナジーで展開スタート

2019年のバーゼルワールドで展開スタートとお伝えした、ラ・ショー=ド=フォン(La Chaux-de-Fonds)のブランド、シュワルツ・エチエンヌ(Schwarz Etienne)、昨今の状況でいろいろあったようですが、今回、カリ・ヴティライネンとのコラボレーションで作成されたローマ・シナジーから展開がスタートするという知らせが届きました。

現在は、サプライヤーとリアルエステート(不動産)企業グループのドラコグループ(draco group)の傘下に入っており、自社ブランドでの展開のほか、MINGやショパンをはじめとした他ブランドの製造を引き受けるサプライヤーとしての顔も持っています。

「回し者」としてファクトリー見学、グループ企業の工作機械メーカのBCテクノロジーの見学(書いてない)もしているので、いい機会なので書こうと思います。

まずは、公式のプレスリリースを引用します。

SCHWARZ ETIENNE ROMA SYNERGY

BY KARI VOUTILAINEN

Schwarz Etienne（シュワルツ・エティエンヌ）は、1902年、Paul Schwarz（ポール・シュワルツ）と彼の妻Olga Etienne（オルガ・エティエンヌ）によって設立され、今日では、印象的なデザインと自社製ムーブメントを特徴とする幅広いウォッチ・コレクションを提供してます。さらに、他社にヘアスプリングや、プライベート・ブランドへのコンプリート・ムーブメントを供給しています。



シュワルツ・エティエンヌのCEOであるMauro Egermini（マウロ・エジェルミーニ）は数年前にKari Voutilainen（カリ・ヴティライネン）に会いました。彼はすでにこのフィンランド人の並外れた仕事とその評判を知っていましたが、2人で話した時、マウロはカリの愛情のこもった謙虚さに心を打たれ、心が癒されました。2人の男は、再び数回話をする機会があり、最終的に何らかの形で協力する可能性を探りました。

Schwarz Etienne ROMA SYNERGY by Kari Voutilainen（シュワルツ・エティエンヌローマ・シナジーバイ・カリ・ヴティライネン）には、2つの会社の名前がついています。通常の顧客とサプライヤーという関係性ではありません。両社は、デザイン、ダイアルの製作、そしてムーブメントの仕上げに共同で取り組んできました。



このコラボレーションは、個別に作業するよりも、専門知識をもつ両当事者が共同で作業するということによる相乗効果の模範ともいえるものです。

REGULATING ORGAN–脱進機構

殊のほか異例なことですが、シュワルツ・エティエンヌは、脱進機構のほとんどを社内で製造しています。これには、ガンギ車、アンクル、テンプ、そして最も注目すべきは、ヒゲゼンマイを自製していることです。非常に困難を極めるため、ヘアスプリングを自製している企業はほとんどありません。

MODULAR MOVEMENTS–モジュラー式のムーブメント

シュワルツ・エティエンヌは、そのモジュール式ムーブメントのデザインで高い評価を得ています。ムーブメントのいくつかは、香箱をマイクロローターに交換できるように設計されています。これは規模の経済性をもたらせます。例えば、モジュラー・ムーブメントは、2つの香箱を備えた手巻きか、香箱がひとつの自動巻きかに関係なく同じメインプレートとブリッジを共有します。このアプローチにより、印象的なヴァリュー・フォー・マネーに値する高品質のムーブメントを生み出すことができます。

KARI VOUTILAINEN–カリ・ヴティライネン

カリ・ヴティライネンは、1962年生まれ、フィンランドのTapiola（タピオラ）にある時計学校に通っていました。彼は卒業後、WOSTEPでの指導、ParmigianiFleurier（パルミジャーニ・フルーリエ）での修復作業とユニークピースの製作など、時計業界においてさまざまな職務に就いてきました。

2002年カリは、Val-de-Travers（ヴァル・ド・トラベール）に自身のワークショップ、Les Ateliers Kari Voutilainen（レ・ザトリエ・カリ・ヴティライネン）を立ち上げました。自身の名を冠した時計の製作を始めて以来、彼の名前は、世界的に認められています。

KARI VOUTILAINEN–THREE PRODUCTION FACILITIESカリ・ヴティライネン–3つの製造拠点

Kari Voutilainen（カリ・ヴティライネン）は、3つの生産拠点を所有しています。ケース製作を専門とした、Le Noirmont（ル・ノワールモン）を拠点とするジョイント・ヴェンチャーVoutilainen& Cattin（ヴティライネン& カタン）。Saint-Sulpice（サン・シュルピス）を本拠とするComblémineSA（コンブルミーン）は、さまざまな時計ブランド向けに高品質のダイアルを製造してます。そしてMôtiers（モティエ）には、Les Ateliers Kari Voutilainen（レ・ザトリエ・カリ・ヴティライネン）があります。



「シュワルツ・エティエンヌローマ・シナジーバイ・カリ・ヴティライネン」のダイアルは、モティエでギョーシェ彫りされたあと、サン・シュルピスの工房に向かいます。そこで、ガルバニック処理がなされます。

FINISSAGE–仕上げ

レ・ザトリエ・カリ・ヴティライネンの仕上げ部署では、熟練のフィニッシャーが、表面に絶妙な装飾を施します。最も挑戦的で時間を要するのは「ブラック・ポリッシング」です。この手法では、ダイアモンド・ペーストを均一にコーティングした「錫のプレート」を使用する必要があります。研磨中のパーツは、錫のプレートの表面全体を注意深く動かして、完全に平らなままにします。正常に作業が完了すると、そのパーツは鏡のような外観になります。

SCHWARZ ETIENNE –A MODERN APPROACHシュワルツ・エティエンヌ–モダンなアプローチ

シュワルツ・エティエンヌの工房は、微小なプレートやブリッジを加工するための最先端のCNCマシンを所有しているのが特徴のひとつです。シュワルツ・エティエンヌは、自社ブランドの時計だけではなく、プライベート・ブランドの時計も製造しています。時計はクリーンでダストフリーの環境でアセンブル、調整され、数多くの品質検査を受けています。
これら2つの異なる世界を組み合わせることで、構成パーツの数を上回るような、ユニークなものを提供します。

THE DIAL–ダイアル

「シュワルツ・エティエンヌローマ・シナジーバイ・カリ・ヴティライネン」には、「オーシャン・ブルー」と「サンドグレー」の2つのダイアルがあります。どちらのバージョンも、シルバートーン、ランス・シェイプの時分針を備えています。インデックスは、短めのバーとコンテンポラリーなアラビア数字の組み合わせです。これらのインデックスは、「ソレイユ」パターンで仕上げられた手作業によるギョーシェのアワートラックにセットされています。



ダイアルのセンターには、「エカイユ・ドゥ・ポワソン（魚の鱗）」のモチーフが配されています。魚の鱗のようにデザインされたテクスチャー・パターンは、ダイアルの中心から始まり、外周に近づくにつれて徐々にサイズが大きくなります。12時下のギョーシェが施されていないカルトゥーシュには、シュワルツ・エティエンヌのブランドロゴがあります。

大型のスモールセコンドは、ダイアル下部のかなりの領域を占めています。これは、ダイアル・センターとアワートラックの一部にまでかかっています。スモールセコンドのサークルは、vague（波）文様のギョーシェの海で覆われています。そしてシルバー色のプレートは、カリの貢献を示しています。

THE CASE–ケース

「シュワルツ・エティエンヌローマ・シナジーバイ・カリ・ヴティライネン」のケースは39mm径、厚さ11mmのステンレススティール製で、装着時のシャツの袖口を気にすることはありません。

ケースは、高度に磨き上げられた表面のおかげできらきら輝きます。この研磨により、ベゼルやラグの周りの輪郭も際立ちます。

「シュワルツ・エティエンヌローマ・シナジーバイ・カリ・ヴティライネン」の2つのバージョンには、表面とは対照的なカラーの裏地のレザー・ストラップ。スティール製のフォールディング・バックルがセットされています。

THE MOVEMENT–ムーブメント

自社製自動巻きムーブメント、キャリバーASE 200.00は、サファイア・クリスタル製のケースバックを通して眺めることができます。33石を含む198のコンポーネントで構成されています。振動数は21,600 Vph（3Hz）、パワーリザーブは約86時間です。

マイクロローターは、シュワルツ・エティエンヌの得意とするところです。他社でもマイクロローターを搭載したモデルはありますが、数はそんなに多くはありません。マイクロローターは、隣接するブリッジと同じ高さに取り付けられるため、ムーブメントの薄型化に貢献しています。また、従来のローターを搭載したムーブメントと異なり、美しく装飾されたブリッジや、さまざまなコンポーネントの視界を遮るものはありません。

このモデルでは、マイクロローターはレ・ザトリエ・カリ・ヴティライネンにて装飾がなされています。また角穴車のダイアモンド・ドロップとスネイル仕上げも同社にて行われました。ブリッジは手作業により面取りがなされ、側面はストレートです。数多くの面取りされた部分は、ブラックポリッシュされたスティール・パーツと調和しています。

ダイアルに施されたギョーシェ装飾もムーブメントに適用されています。ギョーシェのモチーフは、再びローズエンジン旋盤を使って行われ、テンプ受けの内側から外側に向けて広がります。この文様は、テンプ受けに限らす、すべてのブリッジに拡大しています。


石とスクリューは高度に研磨されており、マイクロローターに隣接してペルラージュ仕上げが見えます。18Kレッドゴールドのプレートがテン輪に隣接して配置され、このモデルが「シュワルツ・エティエンヌ・バイ・カリ・ヴティライネン」であることを誇っています。

SCHWARZ ETIENNE

シュワルツ・エティエンヌは、最先端の工作機械を駆使して、コンポーネントを寸分違わず製造し、ムーブメントを作り出すという驚くべき専門知識をもっています。同様にレ・ザトリエ・カリ・ヴティライネンは、ほんの数社しかもっていないレアなテクニックを所有しています。カリの作品は、比類のない仕上げで有名で、世界中の時計関係のプレスや、数多くの愛好家から称賛されています。


「シュワルツ・エティエンヌローマ・シナジーバイ・カリ・ヴティライネン」は、アルティザンのクラフトマンシップとウォッチメイキングの美徳を生かした2つのメゾンが共同で作り上げた、仕事における相乗効果をということを示す素晴らしい実例です。

Schwarz Etienne Manufacture

SPECIFICATIONS

コレクション名:
ローマ・シナジー・バイ・カリ・ヴティライネン
50本の限定生産

品番:
WROVMA03SSCUBCLTD-A

機能:
時・分表示スモールセコンド（6時位置）

ムーブメント:
自社製自動巻きキャリバーASE 200.00
マイクロローター
コンポーネント総数: 198
石数: 33
パワーリザーブ: 約86時間

レ・ザトリエ・カリ・ヴティライネンにてなされたデコレーション
テン輪を起点とする伝統的な手作業によるギョーシェ
角穴車のダイアモンド・ドロップとスネイル・パターン
5Nレッドゴールド製のプレート
マイクロローター
手作業による面取りされ、サイドをストレートに仕上げたブリッジ
手作業により面取りされ、ブラックポリッシュされたスティール製パーツ

振動数: 3 Hz (21,600 A/h)
ケース: ステンレススティール
ケースサイズ: 39（径）x 11（厚）mm
防水性:5気圧防水（5 ATM）

ダイアル:
シルバー製ロイヤルブルー・カラーレ・ザトリエ・カリ・ヴティライネンにて手作業によるギョーシェ

デコレーション
フランジ: 「ソレイユ」ギョーシェメインダイアル: 「エカイユ・ドゥ・ポワソン」ギョーシェスモールセコンド: 「ヴァーグ」ギョーシェBy Voutilainenのプレート

シルバー色のアラビアとバー・インデックス
シルバー色のSchwarz Etienneのロゴ
ランス・スタイルの時・分針

針:
真鍮製シルバー色

ストラップ:
ブルーグレイのレザーストラップ
ゴールド色レザーのライニング

バックル:
ステンレススティール製フォールディング・バックルSchwarz Etienneのロゴ

価格:
¥3,600,000.-（税別予価）



コレクション名:
ローマ・シナジー・バイ・カリ・ヴティライネン
50本の限定生産

品番:
WROVMA03SSCUBCLTD-B


機能:
時・分表示スモールセコンド（6時位置）


ムーブメント:
自社製自動巻きキャリバーASE 200.00
マイクロローター
コンポーネント総数: 198
石数: 33
パワーリザーブ: 約86時間

レ・ザトリエ・カリ・ヴティライネンにてなされたデコレーション
テン輪を起点とする伝統的な手作業によるギョーシェ
角穴車のダイアモンド・ドロップとスネイル・パターン
5Nレッドゴールド製のプレート
マイクロローター
手作業による面取りされ、サイドをストレートに仕上げたブリッジ
手作業により面取りされ、ブラックポリッシュされたスティール製パーツ


振動数: 3 Hz (21,600 A/h)
ケース: ステンレススティール
ケースサイズ: 39（径）x 11（厚）mm
防水性:5気圧防水（5 ATM）


ダイアル:
シルバー製サンドグレイ・カラー
レ・ザトリエ・カリ・ヴティライネンにて手作業によるギョーシェ

デコレーション
フランジ: 「ソレイユ」ギョーシェメインダイアル: 「エカイユ・ドゥ・ポワソン」ギョーシェスモールセコンド: 「ヴァーグ」ギョーシェBy Voutilainenのプレート


シルバー色のアラビアとバー・インデックス
シルバー色のSchwarz Etienneのロゴ
ランス・スタイルの時・分針


針:
真鍮製シルバー色

ストラップ:
グレイのレザーストラップ
グレイ色レザーのライニング

バックル:
ステンレススティール製フォールディング・バックルSchwarz Etienneのロゴ

価格:
¥3,600,000.-（税別予価）

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脱進機のテンワだけではなくひげゼンマイまで作る「実力派」、今回のローマ・シナジーはマイクロローター自動巻き三針ですが、フライング・トゥールビヨンムーブメントも擁しています。
いい機会なので過去の訪問レポートを改めて…

関連 Web Site

SCHWARZ ETIENNE
https://www.schwarz-etienne.ch/

Noble Styling
http://noblestyling.com/