A.ランゲ&ゾーネ 2021新作発表会レポート~実機画像&インプレッション

 By : KITAMURA(a-ls)

フル・デジタルでの開催となった2021年の「Watches&Wonders」だったが、やはりネットを通じて得られるCG画像や動画では、その質感などのフィジカルな情報はなかなか得難いものがあるし、まだ実物を触っても見てもいないモノを、皆さまへお奨めする自信もないし、それはちょっと違う感じがして、かなり不完全燃焼気味ではある。

もちろん、この期間中に、実機を用意して日本まで送り込んでくれたブランドも幾つかあった。
"我が陣営"、A.ランゲ&ゾーネもそのひとつで、言葉だけでなく行動で日本の愛好家を重視していることを示してもらえるたので、今年の新作は好感度高しだ。


●実機画像

新作のうち、唯一の新ムーブである「ランゲ1 パーペチュアル・カレンダー」の実機画像ならびに技術解説はすでに紹介しているが、(参考→https://watch-media-online.com/blogs/4184/ )、残る2型の詳細を記す前に、先日、ドイツと日本とを中継でつないで行われたA.ランゲ&ゾーネ新作発表会の模様をレポートしておこう。


4月9日、都内某所、かなりシビアなコロナ感染対策を講じたうえで、そのイベントは開かれた。かなり距離を開けて並ぶ円卓、しかも着席人数は定員の半分で、なおかつ個人間はアクリル板で仕切られている。



定刻ぴったりのスタート。ドイツとの中継を結んでいて彼らのスケジュールが詰まっているため予定が押せないせいもあるが、この紀律の正しさはいかにもドイツのブランドだ。A.ランゲ&ゾーネ ジャパンのブランドCEO山崎氏の挨拶。



そしてベルリンに作られた特設スタジオと中継を結ぶ。



デ・ハス開発部長も登場して、日独の両会場での乾杯。



そして録画済みのプレスカンファレンスが流される。



毎年恒例のボーべ&デ・ハスの黄金コンビが、新作のポイントをわかりやすく解説。



628個に増強されたムーンディスクの星を、数えて確認するという"鉄板ギャグ中"の開発部長



つづいて、会場からの質問に、デ・ハス部長がライブで回答。



一番興味があったのは、「ランゲ1・パーペチュアルカレンダー」のベースムーブメントを「ランゲ1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー」ではなく、「ランゲ1 デイマティック」のムーブとした理由、それぞれのメリットとデメリットについての件だったのだが、この部分の質疑応答を厳密にやるとワクワクするメディアとそうでもないメディアに分かれてしまうからか、あまり踏み込まない方向性でふわりと回答――この辺の詳細についてはいつか別記事にまとめる予定。

また、現在のコロナ禍の影響については、シュミットCEOから『最初のロックダウンでは減産したが、その後はいろいろと工夫をする時間があったので、2回目以降のロックダウンの影響はさほど大きなものではなくなっている。しかし何よりも重要で誇るべきことは、工房内で時計師や社員の感染がないことだ』という回答があった。

そしてクエスチョン&アンサーの後、実機のタッチ&トライ。
まずは「ランゲ1・パーペチュアル・カレンダー」に。



グレー文字盤のカタログモデル(上)と限定モデル(下)。大きすぎず、重すぎず。文字盤の色味はなかなかに美しかった。



実は、個人的に撮りたくて、用意していたショットがあった。
新作の「ランゲ1・パーペチュアルカレンダー」と自分のファーストランゲである『ドレスデン800年セット』の「ランゲ1・ムーンフェイズ」との2ショットだ。



これは「ランゲの最新鋭(左バッター・今年のルーキー)と、わが家の最古参(右バッター・15年選手)の2ショット。ガタイがちょいデカいくらいの違いで、誕生から21年…ランゲ1ファミリーの基本デザインの不滅感はすごい!」とコメントしてツイッターにも載せた。

続く「トリプルスプリット」の見どころは、


表より裏だな(笑)。



最後に、会場では一番高い評価を受けていたように感じた、「リトル・ランゲ1・ムーンフェイズ」。



大小の星型インデックスが交互に置かれるなど、一般的には質実剛健イメージが強いランゲにあって、今までになかった感性を感じるたので、後日デ・ハース部長に、『デザイナーはコレクションのファミリーごととか、紳士用・婦人用ごととか、モデルによって選ぶのか?』と尋ねてみた。



『現在は、男性2人・女性2人の4人のデザイン・チームがあって、そのチーフは女性が勤めている。モデルが決定すると、誰かひとりがそれを担当するのではなく、チーム全体で、50とか100とかのデザイン画を出し、その中から選んでいる』ということだった。推測するに、一昨年のサクソニアのアヴェンチュリン・ダイヤルが当初のターゲットだった女性のみならず男性のユーザーにも受けたことから、さらなるゴールド・ストーン・パターンのダイヤルを模索する中で、最もふさわしいモデルとしてこの「リトル・ランゲ1・ムーンフェイズ」が選ばれ、サイズ的にも女性寄りの感性を重視したデザインが採用されたと見ている。
現在のデザイン・チームの構成やチーフが女性であることを思うと、良きにしろ悪しきにしろ、今後ランゲ・ウォッチの瀟洒化が加速する可能性もある。

とりあえず、ブランドからのプレスリリースも貼っておく。


リトル・ランゲ・ムーンフェイズ~澄みわたる星空のように

リトル・ランゲ1・ムーンフェイズのホワイトゴールドケースに包まれたダークブルーのダイヤルには、まるで幾千もの小さな星が輝いているようです。この星空は、ダイヤル表面に銅の粒子が煌めくダークブルーのゴールドストーンを重ねたものです。ホワイトゴールドの月が、ランゲ独自のアウトサイズデイトの下側で満ち欠けを正確に描きます。今回登場するリトル・ランゲ1・ムーンフェイズのホワイトゴールドモデルには、魅惑的なダイヤルを取り囲むフレームのように、ベゼルに56個のブリリアントカットダイヤモンドをセッティングしたバリエーションも用意しました。



●ダークブルーのゴールドストーンダイヤルを収めたリトル・ランゲ1・ムーンムーンフェイズ

今回リトル・ランゲ1・ムーンフェイズに加わったホワイトゴールドモデルのモチーフは、明るい光が降り注ぐ魅惑の月夜です。チラチラと光を放つダークブルーのゴールドストーンで表面を覆ったシルバー無垢製ダイヤルが視線を引き付けます。銅の粒子の輝くダイヤルは、星空を想起させます。
3、6、9および12時を示すローマ数字とその間に配置された星形の時インデックスは、針と同じように、ロディウム仕上げのゴールド製です。ダイヤルの深く濃い色調は、アウトサイズデイトと628個の星が散りばめられたホワイトゴールド製ムーンディスクに自然に反映されます。ラメ光沢入りのダークブルーのレザーベルトにホワイトゴールド無垢製バックルを添え、優美な外観にまとめあげました。もう一つのバリエーションでは、直径36.8ミリのホワイトゴールド製ケースのベゼルに56個のブリリアントカットダイヤモンドをセッティングしています。

リトル・ランゲ1・ムーンフェイズは、1本の腕時計に精巧さと気品漂う外観を両立できることを示すべく、緻密な計算に基づいて設計されたムーンフェイズ表示を搭載しています。それは、時計が休みなく動き続けたとすれば、朔望月の誤差が積算されて表示との誤差が1日分に達するのに122.6年かかるという精度の高さです。現実の世界では、長期間時計を巻き上げなかったために修正が必要になるのが通常です。ただし、そのような場合でも、7時と8時の間にある調整プッシャーを操作すれば簡単に素早くムーンフェイズ表示を修正できます。10時と11時の間にある埋込み式調整プッシャーを押せば、アウトサイズデイトを1日ずつ進めることができます。

●ランゲ自社製キャリバーL121.2

リトル・ランゲ1・ムーンフェイズはオフセンターのダイヤルデザイン、アウトサイズデイト、パワーリザーブ表示、3日分のパワーリザーブを蓄えるツインバレルを搭載し、技術面でもドイツのザクセン随一の伝統を誇るマニュファクチュールを代表するモデルであるランゲ1と肩を並べます。サファイアクリスタルのシースルーバックからは、グラスヒュッテストライプ加工を施した洋銀製4分の3プレート、ハンドエングレービング入りテンプ受け、青焼きによりコーンフラワーブルーと呼ばれる青色の輝きを放つスチール製ビスで留めたゴールドシャトンを見ることができます。これらは、細部の細部まで手作業で仕上げ加
工を施し、二度組方式で時計を完成させるA.ランゲ&ゾーネに代々伝わる時計技法の証しであり、まるで宝石のような美しさで時計の芸術性を高めています。


【仕様】
リトル・ランゲ1・ムーンフェイズ
Ref.182.086



Ref.182.886

[ムーブメント]
ランゲ自社製キャリバーL121.2、手巻き、ランゲ最高品質基準準拠、手作業による組立ておよび装飾、五姿勢調整済み、素材の特性を生かした洋銀製の地板および受け、ハンドエングレービング入りテンプ受け
・ムーブメント部品数:411
・石数:44
・ビス留め式ゴールドシャトン:8
・脱進機:アンクル脱進機
・調速機:耐震機構付き偏心錘付きテンプ、最高品質の自社製ヒゲゼンマイ、毎時21,600振動、スワンネック形バネと側面にある調整用ビスにより微調整可能な速度調整装置
・パワーリザーブ:完全巻上げ状態で72時間

[機能]
時、分およびストップセコンド機能搭載スモールセコンドによる時刻表示/パワーリザーブ表示/ランゲ・アウトサイズデイト/ムーンフェイズ表示
[操作系]ゼンマイ巻上げおよび時刻調整用リューズ/アウトサイズデイト用ワンタッチ調整プッシャー/ムーンフェイズ表示調整プッシャー

ケース寸法:直径36.8 mm、高さ10.0 mm
ムーブメント寸法:直径30.6 mm、高さ5.7 mm
風防ガラスおよびシースルーバック:サファイアクリスタル(モース硬度9)

[ケース]
Ref.182.086=18Kホワイトゴールド
Ref.182.886=18Kホワイトゴールド、ベゼルにブリリアントカットダイヤモンド56石をセッティング、 トップウェッセルトンVVS約1.2カラット

[ダイヤル]
シルバー無垢、表面に銅の粒子入りダークブルーのゴールドストーン層

[針]
ロディウム仕上げのゴールド

[ベルト]
レザーベルト、ダークブルー、ラメ入り光沢仕上げ

[バックル]
18Kホワイトゴールド製ピンバックル
* 仕様は予告なく変更されることがあります。
プレスリリース引用は以上。



さて、デジタル・プラットフォームのWatches&Wonders2021は14日に閉幕し、舞台は上海のリアル展示会へと移っている。
本来であれば、ジュネーヴよりも全然至近な彼の地へ乗り込み、実機三昧なレポートを皆さまにお届けしているハズなのだが、如何せん、海外渡航&帰国後自主隔離のハードルの高さゆえ、断念せざるを得なかった。

上海は18日まで開かれているが、とりあえず、雰囲気画像だけでも。。。。

と、思っていたら、さすが"我が陣営”である。
A.ランゲ&ゾーネ社は現地のブースの画像(&パース画)を届けてくれたので、こちらも掲載しておく。

ブランドブースの正面。


ブースの内部。


ブース中央の展示


さて、先ほども述べたが、今年のA.ランゲ&ゾーネの新作は、W&W期間中にこうしていち早くメディアに公開される機会が作られていたので、情報と実機との時間差を感じることはなかったのが非常に良かった。実機はしばらく日本に留まると聞いているので、ご興味をお持ちの方は、早めにブティックもしくは下記にお問い合わせいただければと思う。

そして、たぶんだが、今年の新作がこの3型5モデルで終わることはないと思われるので、然るべきタイミングで然るべき発表があるものと確信している。




【お問合せ】
A.ランゲ&ゾーネ
TEL 03-4461-8080