時計分解体験 @ヒコ・みづのジュエリーカレッジ

 By : KAIROS
再び商品の話を離れて、時計業界の取り組みについて記させていただきます。

さて皆様は、時計の技術者を育成する学校があることをご存知でしょうか?
実は、この日本にもいくつかの学校があり、その中で今回はヒコ・みづのジュエリーカレッジ様ご協力のもと、体験入学を取材させていただきました。
毎年、入学希望者を対象に体験入学を数回行っており、筆者はウォッチコースでムーブメントの分解組立体験を行わさせていただきました。終了後には、これに加えて入学相談も行っております。

申し込みはホームページからも簡単に出来、このような登録先の住所にハガキが届きます。人数が多い時は抽選の場合もあるそうです。
開始時間が18時30分からという事で、学校帰りや会社帰りにも参加することが出来ます。

校舎前に到着すると、寒いにもかかわらず外で案内の方が教室まで誘導していました。ありがとうございます。
そして、いざ教室に入ると時計用の机が24席も置いてあり、この日は私を入れて10名の参加者という事でした。

机には実習で使う工具とムーブメントが置いてあり、ワクワク感が止まりません!


時間になるとヒコ・みづの入学課の方より学校の説明があり、続いて講師の方が自己紹介の後、机の上にある工具の使い方、ムーブメント解説書の見方などとても易しく説明して下さいました。

下の写真を見て何か気づきましたか? そう、机が高いのです。机の上のムーブメントになるべく顔を近づけ、腕がつかれないような工夫がされています。全ての時計作業台はこのような工夫がされているのです。

そして、いざムーブメントの分解へ!(以下、写真が続きます。)


まずは巻かれたゼンマイをほどき、 


そしてネジを外し(カメラを撮りながらなので片手でスミマセン)、時計の心臓部であるテンプの受けを取り外します。
ぶら~んと金色のテンワがぶら下がっています。

   

そしてテンプはひっくり返して置きます。これがあまり見る事がないテンプの反対側です。

モニターで先生が教えてくれながら進めて行くので、臆することは無く、順調に進みます。

また工程ごとに先生助手(在校生)の方々が見廻って下さり、教えてくれるので安心です。


その後、更にバラバラに分解していきます。(写真は左→右へ)
  

   



完成。分解はここまでです。
実際の分解掃除などでは、もっと細かくパーツを外し、裏面にもパーツが付いていますので全て外します。

さて、ここからが大変。バラバラになったパーツを元に戻します。
何が大変かというと、地板と受けで上下を抑えられていた歯車の先端軸は、髪の毛程の細さしかありません。
戻す際に無理やり受けで押さえつけると・・・カチッという音とともに歯車の先端軸が折れます。
分解よりも組立の方難しいのです。

という事で、先生とモニターを通して説明を受けながら、作業を進めて行きます。

受けに傷がつかないように柔らかい木の棒で抑えます。
その際は歯車の軸が上下ともに人工ルビーの中心に入るように、それぞれの歯車をピンセットで少し動かします。
中心が入っていないのに木の棒で強く押しすぎると・・・歯車の軸が折れるのでドキドキの一瞬です。
運が良いと一発で入る人もいるようです。

 

周りを見てみると皆さん真剣です。

そして心臓部(テンプ)に近づくにつれてより細かい作業が多くなってきます。
  

そして教室はこんな状態。手取り足取りで教えてもらっています。それ程、難しいのです。

いよいよ最後のテンプを取付けます。



(組込む瞬間がはっきり映っていなくてスミマセン・・・)
             


最後にネジを取付けて締めれば完成です。


如何でしたでしょうか?
今回は、時計を製造する側、修理する側の難しさを体感していただければと思います。

手首に乗る程の機械式ムーブメントのネジ1つをとっても、肉眼ではわからないものもあります。それを製造して組み立てる。また分解して組み立て直す。特殊な技能と知識が必要であり、それを育成する必要もありますよね。それには時間もかかります。
学校には2年制と3年制の昼の2コースと1年制の夜のコースがあります。
今回は体験という事で組み立てだけでしたが、授業は工具の作り方や時計の理論、構造、その他を細かく勉強していきます。
時計を販売するには、それを作る・直すという裏方に色々な人の努力があるのです。

周りを見渡し、参加者の年齢層を見ていると若い方(制服を着ている方もいました)から50代位の方までと幅広い層の方がいらっしゃいました。同日に夜間の授業があったので、教室を見せていただきましたが、「夜間だと仕事終わりにも授業を受けることが出来るので。」という時計好きの方もいらっしゃるそうです。

そして卒業生は、国内のみならずスイスの工房で時計製造につく方もいるそうです。
時計好きには夢が広がる学校です。

未来のウォッチメーカーを育成する夢の学校にご興味のある方は是非こちらを
http://www.watch-hiko.jp/

ヒコ・みづの様のご協力を心より感謝いたします。
ありがとうございました。