第7回CWCセミナー・懇親会 菊野昌宏氏講演

 By : KAIROS
投稿が遅くなってしまいましたが、
以前このWMOでも紹介した日本時計輸入協会による第7回CWCセミナー・懇親会が、さる7月11日に開催された。

CWC(Certified Watch Coordinator)についてはこちらのリンクをご覧いただく事として、本年度の合格者を無料として毎年懇親会とセミナーを行っている。
そして今年のセミナー(講演)は、なんと菊野氏という事で日本輸入協会のご好意により参加させていただく事になりました!

まずはCWC委員長である堀田副理事長の挨拶で始まり、菊野氏へ!



今回、菊野氏は「独立時計師としての仕事」と題した講演だったのだが、菊野氏の生い立ちや時計作りのコンセプト、情熱が語られた。


今更ながらなので自己紹介は省略させていただくが、改めて菊野氏の時計作りのコンセプトや以下にある映像を見た参加者からは驚きの声が聞こえてきたのである。


【コンセプト】
氏いわく、「全てを自分で作りたい」という想いを実現しているという。
子供の頃、プラモデルを作る時、色を塗り、ヤスリをかけ、組み立てた。しかし

現在、多くの時計ブランドがパーツを分業して作成している。それは社内だろうが社外であろうがである。
そして、パーツ製造担当、パーツ仕上げ研磨担当、組み立て担当なども、もちろん分業である。それは何百年前からなのであろうか?という問いかけをしながら講演は進んでいった。

そんな思いと時計との情熱により菊野氏は全ての作業を一人で作製しているのだ。

私のつたない言葉より、動画をご覧いただきたい。菊野氏が歯車を作成している動画である。
菊野氏が説明してくれているので、是非音声付きでご覧ください。

丸い板(原版)から骨を抜きリムを付けて、そして歯を切る!

完成した歯車

そして同じように手作業でカナ部分作成する。
強度を出すために焼き入れ、焼き戻しも手作業で行っているがわかる。


なんとネジまでも!


如何だったでしょうか?
勿論、製造だけではなく仕上げも手作業である!

いかに菊野氏の時計製造に時間がかかり、一人で作る作業にこだわっているのかがお判りいただけたであろう!

そして氏はこんなことも言っていました。

それは作り手(生産者)の価値観と買い手(消費者)の価値観にもある。
下にあるような生産者が何かを作って終わり、完成品を挟んでそれを消費者が購入するという一般的な構図。

しかし菊野氏はその構図を下のようにしたかったという!

この共通する価値が「製造過程が価値になるならば、コストをかける意味がある。」
そして、更に手作業による価値や希少性、こだわりを加えているのである。

これが菊野氏の求める時計であり哲学なのである。

筆者はこの講演を通して、菊野氏は時計を単に作るだけではなく、その価値を消費者と共有する事に喜びを感じているように思えた。
現に注文をいただいているお客様からは、菊野氏から「時間を買う」のだと仰られているという。
更に商品が届くまで色々な事を想像する時間や完成品を受け取る瞬間など、様々な時を楽しめるという。
これがまさに生産者と消費者の価値の共有なのであろう!

そんなあっという間の1時間であったが、氏の時計に対する考えが良く伝わった貴重な時間であった。


そして講演終了後は、別室に移り菊野氏を交え、懇親会が行われた。
挨拶をする 日本時計輸入協会 小谷理事長

今年2018年のCWCは総数で2220名になったという。それは小売店や百貨店関係者、ブランド関係者、技術者やジャーナリスト、コレクター等々と幅広く浸透している。
会が始まると、講師を務めた菊野氏に色々話を聞くために多くの参加者が集まったのは言うまでもないが、この懇親会はまさに時計業界において様々な情報交換の場として、有意義な場なのである。

今回、100名近くいる参加者の中には、CWC会員ではない方も一般参加としてセミナー・懇親会に参加していた。
そんな方々に話を聞いてみると菊野氏の講演を聞きに来られた方、情報交換をしに来られた方、WMOをみて参加して下さった方(ありがとうございます!)と色々でした。

来年も開催される予定ですので、
是非、このCWCセミナー(講師未定)・懇親会に足を運んでいただければ、時計の素敵な出会いがあると思います。

日本時計輸入協会の皆様、関係者の皆様、誠にありがとうございました。

【問い合わせ先】

http://tokei.or.jp/cwc/index.html