時の記念日 「渋谷時計フェスタ610」 @ヒコ・みづのジュエリーカレッジ

 By : KAIROS
6月10日 “時の記念日”。その日は日本各地で色々イベントが行われていますが、中でも有名なのは近江神社で行われる漏刻際。http://oumijingu.org/publics/index/163/
 私は長らく時計にお世話になっておきがら、その日が過ぎた時に「あ~」と気が付き、毎年何も出来ずに後悔しています。しかし年々“時の記念日”に関する催しが増えているように感じます。恐らくそれは、関心が薄くなると、それを忘れないために記憶を呼び起こす何か(催しなど)が増えるのではないかと思います(自論)。まさに喜ばしい傾向で、それをもっともっと繋げていきたいですね。
 という事で、今年は以前より告知を頂戴しておりましたヒコ・みづのジュエリーカレッジ主催「渋谷時計フェスタ610」にお邪魔させていただきました。
 
 場所はヒコ・みずのウオッチメーカーコース神南校舎。代々木公園のすぐそばに立地し、渋谷駅や原宿駅、神宮前駅からも徒歩で通う事が出来る地下1階~4階(バルコニー)という恵まれた環境にある学校で行われた催しをレポートします。


 さて1階から3階と順に紹介していきましょう。

 1階は、時計の展示室。ほとんどが懐中時計ですが、裏蓋が開けられてあり、構造や仕上げの違いを見ることが出来ます。場所や年代の違いにより過去を知り、そして現在を知るという。歴史は時計製造や修理にはとっても貴重な資料。学校でも大変貴重な資料であり、なによりも財産なのです。
 

 2階は時計奉納、時計健康診断やゲーム、そして技能五輪のでもが行われていました。
 
 「時」を計ってくれ、人生と共に歩んでくれた時計達を、壊れているが愛着があり捨てられないと考える方々に代わって、この日は学校が奉納してくれます。教室には巫女さんが駐在しており、その時計の思いなどを聞いておられました。
 
 そして同じ教室内では、技術者にとって大きな腕試しになる技能五輪のデモンストレーションが行われていました。
 よくメーカーの工場に行くと、この技能五輪の賞状が壁にあるのを目にします。昔は(年齢がばれる・・・)参加する人はメーカーの方が多かったのですが、現在では学生も多く参加していると聞きました。
 

 そして時計診断とゲーム(タイムトライアルのネジ入れ)
 
 磁気抜き器、ウィッチやクォーツテスターで診断や工具の機能の説明をしてくれます。ゲームは、プラ板に小さな穴が開いており、ピンセットを使って小さなねじを穴に入れて時間を競うゲームでした。皆さん、目が真剣。

 そして向かいの教室では時計関連グッズの販売を行っているということで廊下に出ると、・・・その途中では、時計の販売会を行っているブランドが・・・Knot・・・まだ儲けるのか!?(笑)。初めてじっくり見ましたが良い時計です。
 

 向かいの教室では、アンティークウォッチや工具の販売が行われていました。ムーブメント単体販売などもあり、個人的に時間を費やして見てしまいましたが、早い時間にはもっと多くの商品があったそうです、チッ!あ、失礼。
 

 

そして大型の工具は抽選という事で名前がずらりと書いてありました。
 

 そして3階は電池交換体験室(有料)。大人から子供まで楽しんでいました。これは楽しいですよね~。しかもその時計をいただけるなんて、想いが移ってしまい一生大事にしますね!


 さて、この催しの大型イベント、菊野氏x牧原氏によるトークショウ。日本を代表する独立時計師達は、本校卒業生でもあるのです。
 菊野氏、牧原氏については、ここで私が説明する必要ははないと思いますが、牧原氏が菊野氏の教え子だったとは、恥ずかしながら初めて知りました。そして牧原氏は現在でも本校で教鞭をとっていらっしゃいます。私も習いたいな~。

 トークショウでは、それぞれ自身の作品を2本ずつお持ちいただき、エピソードなどを紹介していただきました。 
 

 

 そして学生より5つ質問を事前に聞いており、それに答える形式で進行していきました。なかなか面白い質問もあり、2人の物づくりの考え方がよ~く理解できるお話で、菊野氏は伝統や伝統技法を。牧原氏は伝統+彫刻を作品に反映させていますね。
 この会場でしか聞けない話や今後の予定、作ってみたい機構などの興味深かい話しを伺えました。

そして作品の写真がこちら
菊野氏

この和時計、天才です。
 



説明はいらないと思いますが、今年バーゼルで発表の時計(裏)。
洋白によるムーブメント


牧原氏の作品 (フォーカスが・・・・・牧原氏すみませぬ・・・)

牧原氏のトゥールビヨン裏側
美しい

プティセコンド(既に完売です。https://www.doppel.biz/tag/daizoh-makihara/
しかし、既に新作が完成予定という事でした。

プティセコンド裏側


いいですね~、このル・サンティエ仕込みのアングラージュ(面取り)。、。



それぞれの個性が現れている両氏の時計ツーショット!

 いかがでしたでしょうか?

 日本を代表する若き時計師達、そして未来の時計師を育成する時計学校。

 彼ら/彼女らが作るものは、単に時を計る道具ではなく、目に見えない何千年という“時”が歩んだ歴史、風習、地域などを自分の感性と織りまぜながら作る芸術作品なのです。

 忙しい毎日を送る日々ですが、1年に1度は“時”について考える良い日だと思います。是非、皆さんも6月10日は、“時”について何かしてみませんか?

 菊野氏、牧原氏、ヒコ・みづのの皆様、ありがとうございました。


【お問い合わせ先】
http://www.watch-hiko.jp/