リシャール・ミル ファミリーのF1レーサー、シャルル・ルクレール所有のRM 67-02が盗難~イタリア・トスカーナで被害

 By : KITAMURA(a-ls)

近年の一部時計モデルの二次マーケットでの高騰ぶりはもう異常としか思えない。

しかし市場がこんなになる以前から、高価な時計といえばまず連想されるのはリシャール・ミルだった。で、高いとなると"盗難"の危険性なども増すわけで、特にリシャール・ミルはそのシェイプから容易に見分けがつくので、画像や動画で着用が知られるセレブリティなどが盗難の被害にあうケースがあった。2年前にはサッカー界で、マンチェスター・シティのリヤド・マフレズ、トッテナムのデル・アリが続けて被害にあっている

また、日常的にほぼ間違いなくリシャール・ミルの腕時計を着用している人々、つまりリシャール・ミルのスポンサードを受けている"リシャール・ミル・フレンズ"は、ある意味、狙われやくなるのか、テニスのラファエル・ナダルは2回も被害にあった経験を持っている。

そしてつい最近、リシャール・ミル ファミリーの一員であり、スクーデリア・フェラーリのF1ドライバーであるシャルル・ルクレールが、イタリアで30万ユーロ(約4100万円)相当のリシャール・ミルの盗難にあったと報じられている。


●シャルル・ルクレール(リシャール・ミル・サイトより・以下画像とも)

いくつかの報道から事件の概要を要約してみる。

イタリア・トスカーナのヴィアレッジョ市で今年4月18日、トレーナーのアンドレア・フェラーリを含む友人たちとイースターマンデー過ごしていたシャルル・ルクレールは、午後10時頃、照明の少ないサルバトーリ通りのエリアで、ファンから写真やサインを求められた。
ルクレールを囲むファンの数が次第に大きくなっていき、その一瞬の隙を突いて、混雑の中の一人がシャルル・ルクレールの手首からリシャール・ミルの RM 67-02 "ルクレール”を、本人も気が付かないうちに外し取って逃走。ルクレールらは犯人を追いかけが見失ったという。ルクレール本人に怪我などはなかった。
イタリアで報じられたニュースによると、その追跡の際の監視カメラ映像が残されているので、シャルル・ルクレールの被害届を受けた警察は、関連地域の防犯カメラ映像を分析中で、強盗が出来心によるものなのか、それとも事前に計画されていたものなのかを捜査しているという。


シャルル・ルクレールのコメント
『詳細についてはあまり詳しく説明しないけど、素晴らしい経験ではなかった。それ以上のことは言えない。でも警察が全て捜査していて、彼らは犯人を見付けようとしている。ただ、僕が報道で読んだようにはスムーズには進んでいないみたいだ。でも基本的には、僕は大丈夫。そしてこの週末の仕事(エミリア・ロマーニャGP)に完全に集中している。レースに挑む僕に影響を及ぼすことはない』


©autosport web

報道によれば、リシャール・ミルRM67 "ルクレール"は、30万ユーロ(約4100万円)の価値があると推定されており、オークションで販売された場合、100万ユーロ(約1億3900万円)以上で取引されるだろうと書かれていた。

(参考記事)
https://www.as-web.jp/f1/806959?all
https://f1-gate.com/charles-leclerc/f1_68393.html
https://jp.motorsport.com/f1/news/f1-championship-leader-leclerc-robbed-of-320000-watch/10056647/


ちなみに、リシャール・ミルは、ジュニアキャリアからシャルル・ルクレールのスポンサーを務めており、昨年からフェラーリのオフィシャルパートナーとなっている。

リシャール・ミルのサイトにも、シャルル・ルクレールの時計は、RM 67-02と記載されている。
【彼の手元を飾る自動巻きウォッチRM 67-02のプロトタイプは、薄型かつ軽量、エレガントなカラーリングを施したアスリート向けモデルであり、スポーツで直面するどんな課題にも適応します。ブランドがシャルルと共に試す新しい技術ソリューションから、今後も新しいモデルが誕生していくことでしょう。(リシャール・ミル公式HPより抜粋)】



追記すると、F1ドライバーがリシャール・ミルの盗難被害にあったのはこれが最初ではない。

昨年7月11日のこと、マクラーレンのF1ドライバーであるランド・ノリスが、サッカーのユーロ2020の決勝戦となった、イタリア代表対イングランド代表戦をウェンブリー・スタジアムで観戦後に強盗に襲われ、リシャール・ミルのプロトタイプの腕時計を奪わるという事件が発生している。

こちらも配信記事を要約しておく。

7月11日、ウェンブリー・スタジアムで行われたイタリアとイングランドの試合に、チケットを持たない数千人もの暴徒が酔って押しかけ、イタリアが勝利した後には観客同士間で乱闘も発生し、けが人も発生するなど大いに荒れた。この日の暴動では53人が逮捕され、19人の警官が負傷、ボリス・ジョンソン首相のスポークスマンが「とても受け入れがたい光景だった。我々は暴力、反社会的行為、虐待を最も強い言葉で非難する」との声明を発表する事態となった。

『The Sun』によると、ノリスはこの試合を観戦後、自家用車に乗り込む際に暴徒に襲われ、腕時計を奪われたという。警察の発表によると、
「彼には2人の男性から会話で気を引きながら近づきた。しばらくして、彼は男性の1人に暴行され、拘束され、時計を手首から外された。犠牲者は当然のことながら動揺したが、永続的な怪我はなかった」

また、この事件の目撃者は、
「ランドは押さえつけられ、他の人間から一瞬で腕時計をはぎ取られました。ランドはとても動揺しているようでした」と語っている。

事件当時のマクラーレンF1チームからの声明
『マクラーレン・レーシングは、ランド・ノリスがウェンブリーでのEURO 2020決勝後に事件に巻き込まれたことを明らかにする。彼は身につけていた腕時計を奪われた。
幸いランドにはけがはなかったが、彼は当然のことながら動揺している。チームはランドをサポートしている。レースファンの皆さんは、今週末のイギリスGPで彼が活躍することを、我々とともに祈ってくれるものと信じている。現在警察がこの事件に対処しているため、チームからはこれ以上のコメントは発表できない」

ロンドン警視庁によると、警官が現場に到着した際、事件の様子をドライブレコーダーで撮影したと語る人物がいたが、詳細を伝える前に去ってしまったとの事で、警察はこの人物から映像を入手するため情報提供を呼びかけていた。

(参考記事)
https://formula1-data.com/article/lando-norris-robbed-after-watching-euro-2020-final


さらに警察は、犯人逮捕に向け、盗まれた時計の画像を公開するという異例の措置を採り、情報提供を呼びかけた。それはこの時計が極めてレアなモデルで流通量が少ないためだ。
ちなみに、事件当初、ノリスが盗まれたのはリシャール・ミル RM 11-03と見られていたが、実際にはリシャール・ミル RM 67-02のカスタムモデルで、およそ400,000ポンド(約6000万円)の価値のある腕時計と『The Sun』は伝えている。


●警察が公開したマクラーレンのランド・ノリスが盗難に遭ったリシャール・ミルRM67-02  ©Metropolitan Police

これは同ブランドの中で最軽量の自動巻きウォッチで、地板やブリッジにチタンを、ローターにはカーボンを、そしてストラップにエラスティックバンドを採用する事で重量を僅か32gに抑えている。
なおF1ドライバーではノリスの他にも、アルピーヌのフェルナンド・アロンソやアルファロメオのキミ・ライコネンが同じモデルを所有している。

幸いなことに、ランド・ノリス事件の犯人は後に逮捕されている。
以下はその続報。

ユーロ2020の決勝観戦後のランド・ノリス(マクラーレン)を襲った強盗が無事に逮捕された。
シルバーストンでの母国F1イギリスGPを1週間後に控えた7月11日(日)23時50分過ぎ、ウェンブリー・スタジアムを出てラザフォード通り近く駐車場に戻ったところ2組の男に声をかけられ、そのうちの一人が腕時計を盗って逃げた。警官が事件現場に駆けつけた時には、容疑者はすでに逃走した後であったが、丁度イギリスGPの決勝レースが行われた7月18日(日)に、リバプールで24歳の男が強盗の疑いで逮捕された。

(参考記事)
https://formula1-data.com/article/the-robber-who-attacked-rand-norris-has-been-arrested



現時点では、シャルル・ルクレール事件の進捗についての情報は無いが、転売などが難しいモデルだけに、ランド事件のように早期の解決が望まれるところだ。