H. モーザー新作「ストリームライナー・トゥールビヨン ベンタブラック®」実機レポート

 By : CC Fan


先日発表された
H. モーザー新作、初のレッドゴールドケースとトゥールビヨン、そしてVantablack®(ベンタブラック®)を組み合わせたストリームライナーコレクションの新作、「ストリームライナー・トゥールビヨン ベンタブラック®」。
現在開催中のジュネーブウォッチデイズでの「お披露目」が行われ、実機が拝見できるのはその後…と思っていたら早くも日本に上陸し、拝見する機会が得られましたので実機をレポートします。



光をほぼ全て(99.965%)吸収してしまうベンタブラックで覆われた文字盤はどの角度から光が当たっても真っ黒でそこだけコンピュータグラフィックスで合成されたような非現実的な風景を映し出します。

今回、特に興味があったのは今までは繊細なベンタブラック上には印刷やアプライドを行う事が出来ず、インデックスが存在しなかった「コンセプト」のような無地のデザインだったベンタブラック文字盤に、アワーインデックスが設けられており、これがどうやってるか?という事です。

技術情報を完全には明かされていないため、「推測」ベースになってしまいますが、The Armoryとのコラボレーションモデル「エンデバー・スモールセコンド トータルエクリプス」で開発されたのと同じ技術が使われ、ベンタブラックの層に穴を開け、その穴から裏側の素材を見せることでインデックスにする一種のサンドイッチ文字盤のような構造になっている、と読みました。



ベンタブラックの層が薄く、光を吸収してしまうため立体構造が分かりにくいですが、肉眼で見るとわずかに金色のインデックス部分が凹んでおり、ベンタブラックコーティング層とインデックス層の二重構造になっていることが読み取れます。



トゥールビヨンの開口部はベンタブラックがエッジ部分まで回りこんでおり、開口部が突然断ち切られたように見え、理論では理解できるものの、イマイチ信じられない効果を生んでいます。



美しさに振り切った「コンセプト」の文字盤も魅力ですが、時計として読み取りやすさを向上させるアワーインデックスは個人的にはより好印象です。



ラグを省き、ケースとバンドが有機的な流線型で繋がるストリームライナーの特徴的なケース、レッドゴールドでもステンレス同様に面ごとの仕上げを変えてコントラストを強調しています。



流線型を描くしなやかなメタルバンドも、もちろんレッドゴールド製。



金ゆえに、ある程度の重量感はありますが、ラグを省いていることで余計な可動が無く手首に沿います。
長さを調整すればよりピッタリでしょう。



ムーブメントは広く使われ、実績を積み重ねた自動巻きトゥールビヨンムーブメントHMC804。
トゥールビヨンと自動巻きを搭載しながら薄く、装着感の良さに一役買っています。



ステンレススティールのストリームライナーと比較すると形状はそのままゴールドカラーになったことで一気に色気が増し、文字盤とケースが金色と黒色と言う王道のコンビネーションになっていることが分かります。

実機を拝見し、レッドゴールドのストリームライナーケースとベンタブラック文字盤を組み合わせる、そしてコラボモデル以外では初めてとなるベンタブラックにインデックスを設けるという試みは大成功、と言って良いと感じました。
これは是非ご覧ください!