TAG Heuer : Heuer AUTAVIA販売開始

 By : KAIROS

今日はTAG Heuer池袋西武店にて時計を見せていただいた。
それは以前から実機が見たかった伝説の名機AUTAVIAがあると聞いたからだ。

このAUTAVIAの由来は、1933年Heuer社では初めてモデルネームを付けたダッシュボードタイマーである、車のAUToと飛行機のAVIAtionを掛け合わせた造語である。
それは次なる伝説であるジャンピングアワー式ダッシュボードタイマー“MONTE-CARLO”が発表される1958年まで、25年に及び数々のレースで伝説を生み出してきたHeuer社を代表する名品なのである。

その後、1961年にジャック・ホイヤー氏が社長に就任すると、伝説の名機は腕時計へと進化した。つまりジャック・ホイヤー氏が初めて社長として手掛けた商品なのである。そしてそれは、Heuer社で初の回転ベゼルを搭載した腕時計AUTAVIAとして1962年に発表された。
過去のAUTAVIAシリーズには、色々な回転ベゼルが存在した。またケース形状も時代と共に変化している。AUTAVIAの名前の由来から、車以外にも航空分野にも期待されたが、実際には多くのF1レーサーに愛用されたことが記録に残っている。詳しくはプレスリリースよりhttps://watch-media-online.com/news/521/
しかし時代の波には勝てず、いつしかカタログから消えていったのである。

そして2017年、時計収集家でもあるTAG Heuer社長ジャン-クロード・ビバー氏は、コレクター心をくすぐる方法で見事に復活させた。それは前年2016年AUTAVIA CUPという過去の名機16種から投票により決定する方法だった。3度に及ぶ選考と約55000の投票結果により復活したモデルが、1966年Ref 2446 Mark 3の通称 “Rindt”モデルである。 これは伝説のレーサー、ヨッヘン・リントが愛用したモデルであり、ケースサイズ38㎜のバルジュー72を搭載したムーブメントであった。またベゼルは12時間表示で、一種のGMTに近い機能である(下記画像)。


そんな復活したAUTAVIAには新しいムーブメントHuere-02(自社ムーブメント)が搭載されている。
持続時間は80時間と1つの香箱でロングパワーリザーブを可能にし、垂直クラッチを採用する事で精度面にも配慮している。
大きな香箱を搭載する為に輪列を全てメインプレートの裏側(文字盤側)に持ち、表にはすべてクロノグラフと巻上げ機構という設計は、スペースをうまく十二分に活用している。そして多くの垂直クラッチは時計中央にあるのだが、厚みを抑えるためか4時半位置にずらされていることもシースルーバックから見る事が出来る。また今一度確認が必要だが、片方回転ではないかと推測される動きをしていた。
そしてボタン操作時に回転する様子が見れるコラムホイールは、一部をスポーティーに赤く色づけされ、視覚的にもより回転を見て楽しむことが出来る。

 

 

実はこのHeuer-02は、2014年にCH-80 というコードネームで発表されていた。この新旧ムーブメントに機能的な大きな変更は無い事は下の画像を見比べてみるとわかる。


しかし機能での差はないが、購入する人を楽しませる工夫が施された事がわかる。それは巧妙にも回転するであろう歯車のブリッジの一部が抜かれていることだ。たったこれだけの事だが、リューズでゼンマイを巻いた時、ローターが回転して切替車が回転する時、そしてプッシュボタンでスタートした時に、動いている歯車がそれぞれシースルーバックから見えるのである。
筆者は思った。これがビバー流の人を楽しませる方法に違いないと。ちょっとしたことだが、これは時計が好きだからこそ出る発想なのである。そしてこれを読んでいる読者の皆様も同じことを思っているはずである。

そしてそんな時計好きが手掛けた時計の正面を見てみたい。

今年のトレンドである復刻 / ビンテージをうまく取り入れ、カレンダーは4時半位置ではなく、ひっそりとビンテージ感を活かすために6時位置に配置されている。更に昨今多彩な色が出てきたスーパールミノバは、オレンジに近いベージュがよりビンテージ感を演出し、肉厚のストラップと見事にマッチしたデザインになっている。またメタルブレスレットバージョンもあり、70年代に多くあった7連ブレスレットがメタルブレスレットでもビンテージ感を味わえるようになっている。

ケース径は42㎜、スクリュー式のバックケースは100m防水を確保している。そして文字盤はブラックにホワイト3カウンターで発売当初のHeuer表記のロゴを印字している。

サイドから見たケースからもわかるが仕上げは美しく、またサファイヤクリスタルをベゼルより高い位置に置いたことでビンテージを彷彿させる見栄えになっている。

ここまで手の込んだデザインと自社製ムーブメントを搭載しても尚、価格は、583,200円(税込み)革ベルト、メタルブレスレットで599,400円と戦略的な価格である。


ジャン-クロード・ビバー率いるTAG Heuer。もはや彼らを止めるものは何もないのか?

池袋西武店に幸運にも在庫があったおかげでレポートが出来たが、他店同様に直ぐ売れてしまうだろう。
そして筆者もこの時計が欲しい。

西武池袋本店タグ・ホイヤー様、ご協力ありがとうございました。


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西武池袋本店
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