ドレスデンブティック 10周年記念モデル~「1815キュベット」

 By : KITAMURA(a-ls)

以前の記事で少しだけ予告をしたのだが、ブルーシリーズなどの新作発表に先駆け、ひとつの限定モデルが発売されてた。

世界で初めてとなるA.ランゲ&ゾーネ・ブティックが、ブランドゆかりの地であるドレスデンに開店してから、今年で10年目を迎えることを記念する限定モデルがそれである。





パッと見、どこが限定の証しなの???
と思われるかもしれないが、裏を見るとこのようになっているのである!



ハンターバックケースで、ケースを閉じると、そこには有名なドレスデンの聖母教会がエングレーヴされている。

聖母教会はドレスデンのシンボルといえる建物である。
第二次大戦中、連合軍の空爆によってドレスデンは徹底的に破壊された(=ドレスデン大空襲)、この美しいバロック建築の教会も廃墟のまま放置され、東ドイツ時代は再建には至らなかった。しかし東西ドイツが統一されたことで再建の機運が高まり、当初は個人的な活動が次第にその輪を広め、最終的には20ケ国5千人を越える大きな運動となったのである。1994年から再建が始まったのだが、その際、出来る限りオリジナルの部材・建材を再利用することを前提としたため、倒壊前に撮られた数千枚の写真を集めて部材を特定するその作業は、”世紀のジグソーパズル”と呼ばれた(最終的に8,500を越えるオリジナルの石が教会から回収され、およそ3,800が再利用されたという)。
その尖塔屋根を飾る金の十字架は可能な限り18世紀の技術を用いてイギリスで作られた。つまり、空襲の当事国であるイギリスが和平の証しとしてドレスデンに十字架を贈呈したのだ。しかもこれを作った英国の金細工職人のは、空爆機のパイロットの子息だった。こうして、2005年に再建が完成したこの聖母教会は、希望と和解の歴史を象徴する記念建造物となったのである。

この記念モデルはWGとPGでそれぞれ10本ずつ作られ、販売価格はEUR 29.900。
だがしかし、現時点ですでに予約完売しているそうで、日本での取り扱いは不可とのことだ。


さて、このハンターバックケースの1815だが、過去にも二度ほど、限定モデルに採用されている。
(ただし今回のハンターケースはヒンジ位置が12時だが、以前のものはヒンジ位置が9時という違いはある。)

その1つめはウォルター・ランゲのサインがあることで、1815UP&DOWN・ウォルター・ランゲ・リミテッドと呼ばれるモデル。
これはアメリカ市場に向けてYG・PG・WGが50本ずつ作られた2005年発表の作品で、蓋の裏側に老翁のサインがあるほか、サブダイヤルの円周が金で縁取られている。


そしてもうひとつが、1815 Cuvetteと名付けられたモデルだ。


●当時の告知資料(ドイツ語)

これはドイツのドルトムント近郊のMünsterにある宝飾店「Oeding-Erdel」が、創業100周年を記念して2006年に作った限定モデルで、当時のカタログにあった1815オートマチックをハンターケースにしたもの。蓋の内側にOeding-Erdelと1906-2006という彫がある。
PGとWGが各38本ずつ作られたのものだが、この半端な数字は、なんと当時の経営者の年齢が38歳だったからという、今のランゲでは絶対に承認を得られないであろうようなコンセプトの作品なのである。

キュベットとは一般に懐中時計の内蓋の事だが、蓋そのものを指す場合もある。この限定モデルに関しては、ダイヤルの12時・3時・6時・9時位置に赤文字で分表示がある文字盤デザインが懐中時計に特徴的なものであることかから、懐中時計のイメージで「キュベット」と名付けれてたとされる。

ドレスデン限定の画像がない分、このキュベットの画像を一杯入手したので、こちらで堪えていただきたい。。。。




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さて、世界初のランゲ・ブティックはドレスデンで、2番目が上海だった。
そして三番目が銀座ブティックとなる。オープンは2008年10月3日(10/3は「ドイツ再統一の日」でドイツの祝日)だ!
つまり、あと約一年後に10周年を迎えるのだ!!

さて、銀座ブティック限定モデルは出るのか、出るとしてもドレスデンと同じハンターケースパターンなのか、だとしたら、銀座の象徴として何がエングレーヴされるのか(・・・さすがにこればかりは"和光の時計塔"というわけにはいかないからねw)、でも、ちょっとした楽しみが出来たことは間違いない!