Estimate :CHF 80,000 - CHF 130,000(USD 82,322 - USD 133,773)
絶対にSSケースは作らないと思われているランゲ&ゾーネだが、過去の調査によって、いくつかの例外ケースが存在することがわかっていた。
よい機会なので、ここでその調査と発見の歴史を、過去の個人ブログから振り返ってみたいと思う。
(過去ブログから引用した部分は青字にしています)
まず最初に発見されたのは、1815のSSケースだった。
これは、オーバーホールを含む時計修理中のユーザーサービスとして、"代車"的な考えで時計をお貸しするというものだったようだ。
●2012年 04月 24日付 の記事「不思議なランゲ」から。
そしてこの一年後、代車的な1815だけだと思われていたランゲのSSケースに、なんとランゲ1が存在し、どうやらそれは販売されたものであることが判明します。
2013年 04月 06日付の記事「 Lange1 in SS」 から。
大事件です!
来月の13日(5.13)、ジュネーヴで行われるクリスティーズのオークションに・・・・
ステンレス・スティール製のランゲ1が出品されます!!!
詳細
Ref. 101.026
Case number 114404, movement number 1014
SS case and SS buckle (“ランゲ”のエングレーヴあり) and blued steel hands
このSS ランゲ1は限定品や(以前にも紹介した)代車的な存在ではなく、復興ランゲ草創期のある短い期間に正規品としてごく少数販売されたもので、当時の保証書(1998年)も付属している。
ムーブメントならびに機構も、通常のランゲ1と同様のcal. L901.0を使用
ランゲ側は正規品であることは認めているが、その生産個数については発表しないとしている。
エスティメートはUS$53,000~US$110,000
※急激な円安が痛いぜ、アベちゃんよぉぉ~
この個体は、今年の初頭に真贋確認のためランゲ本社に持ちこまれており、
そうした経緯から、「かなり高い確率でオークションに出品される可能性があるのでは」
というウワサになっておりました。
しかし、「SSの時計は作らない」ということをウリのひとつにしてきたランゲ&ゾーネが、
初めて公式に認定したSS正規品なわけで(Plmについては否定も肯定もしていない状態ですよね、確か…)、現時点ではかなり貴重です。
現時点と書いたのは、ランゲ・サイドが生産個数を発表しないからで、
もしこのオークションを契機に、セカンドマーケットに同様のランゲ1が複数個登場してくれば、
需要と供給のバランスで価格は下がっていくでしょうし、仮にその逆であれば、今はお買い得なのかもしれません。
ただ、一説によりますと・・・
there are maybe 23 examples of the L1 in stainless steel, 20 with white dial and painted indices, and 3 with black dial and applied indices. (The black dial examples may be distinguished at a glance from the PT "Darth" since the stainless watches have white date background.)
てなことを、TZでtahoeblue氏が投稿しております。
ま、いずれにしても・・・、
だれか近しい方に落札してもらって、
腕に載せて、どんだけ軽いのか体感してみてぇよぉぉぉ
出でよ!日本の勇者ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~。
そして、この個体のプレヴューの様子と、その落札結果をレポートしたのが、
●2013年 04月 18日付 「Lange1 ステンレススティール・リストショット 」と、
●2013年 05月 14日 付「Lange1 SS オークション結果 」という記事。
以前にも紹介したLange1のSSケース。
いよいよ5月13日のクリスティーズに登場なのですが、現在プレヴューで世界各地を巡回展示中のようです。以前に紹介したステンレス・スティールのランゲ1。そのオークション結果が出ました!!!$156,733(=約1600万円)コメントはありません、ただ笑うしかないですwwwwww
そしてまたその一年後、オークション市場に、
あらたな別のランゲ1のSSケースの個体が登場し、人々を驚かせた。
●2014年 04月 18日 付「再びLange 1 SS 」。
昨日に続きまして、クリスティーズのジュネーヴ・オークション・ネタなのですが、またもLange1のSSが出てまいります。
昨日は''どーした''と書きましたが、この辺はやっぱ’’さすが’’と言えるでしょう。
ほぼ一年前のジュネーブオークションにも登場したステンレス・スチール製のランゲ1、その時のエスティメートは$53,000~110,000で、最終的に$156,000という高額で落札されたですが、当然のことながら、今回の出品はそれとは異なる個体です。
非常に珍しいLange1ですので、久々、ランゲ探偵団の発動です(笑)。
前回と今回の個体、両者ともレファレンスは101.026で、保証書上の販売年度は同じ1998年ですが、かたやイタリアで、今回のものはドイツで販売されております。
こうして製作年度から見ると、両者は同じ流れで製作されたようにも思えますが、しかし個体番号を比べてみますと、前回のケース番号は114404でムーヴメント番号が1014だったのに対し、今回のものはケース番号が117965、ムーヴメント番号は6664と、やはりこの二つの個体の間には、かなりの製作時期の隔たりを感じます。
ということは、まだランゲ1のセールスが安定していなかった頃、何らかのサービスもしくはオファーによって、1個ずつ作られたということになるのでしょうか。
WGケースにブルースティール針で、このSSと同じフェイスを持つランゲ1WGのレファレンスが、101.027xという、ランゲのリファレンス中、唯一末尾に”x”を持つのも、このおなじ顔を持つSSの存在と何らかの関係があるのかもしれません。
また、このSSヴァージョンの総個数について、TZにtahoeblue氏が投稿した以下の記述についても、
「there are maybe 23 examples of the L1 in stainless steel, 20 with white dial and painted indices, and 3 with black dial and applied indices. (The black dial examples may be distinguished at a glance from the PT "Darth" since the stainless watches have white date background.)」
まだ、その事実関係もソースも特定できておりません。
うーん・・・・情報をお持ちの方はどうか当方、ランゲ探偵団までお寄せ下さい!!
その半年後に、Dr.クロッツのオークションにも新たな個体が現れ、
またこれはオークションではないが、TZで予言されたように、SSブラック・ダイヤルのLange1のレポートが掲載された。
これは他人様の記事なので、URLの引用にとどめるが、この発見はかなり衝撃的だったうえに、合計23本(うち黒文字盤が3本)の存在がかなり裏付けられることになった。
http://quillandpad.com/2014/10/23/behind-the-lens-rare-lange-1-limited-editions/
さらにこの個体が、発掘から2年を経た今年6月のクリスティーズ、NYオークションに登場したのだ。
http://dev.quillandpad.com/2016/05/17/value-rarity-christies-auctions-black-dialed-lange-sohne-lange-1-stainless-steel-exclusive-never-seen-photos/
予想落札価格が$200,000 - $400,000という驚異的なものではあったが、結果はミニマムに届かない $190,000での落札で、諸経費合わせて$233,000での販売となった。しかし、もちろんこれはランゲ1としての最高値モデルとなった。
そして、このランゲ1のSSストーリーは、今回のクリスティーズ・ジュネーヴへと続くわけだが、
言われているように23本のSSのランゲ1が存在し、このように頻繁にオークションに登場する現状を鑑みると、今回のシルバー文字盤のランゲ1には最初の頃のような高値はつかないような気もするが、どうだろうか?
ランゲ1以外の、その他モデルで確認されているランゲ&ゾーネのSSケースには、初代PLMに1本だけユーザーの特注で作られたものがあり、また、2013年11月のクリスティーズ・オークションに登場したダブルスプリットのSSケースがある。
ついでなので、
●2013年 10月 14日付の記事「 ダブルスプリットのユニークピース」も引用しておこう。
11月11日のクリスティーズ、ジュネーヴ・オークションに、ランゲの興味深いユニークピースが出品されます。
なんとステンレス・スティール製のダブルスプリットなんです!
少し前にもSS製のランゲ1が出品され、エスティメートを超える高額で落札されたのは記憶に新しいところですが、こちらもダブルスプリットとしては高額なCHF120,000~180,000というエスティメートが設定されております。
実はわたしは過去に、同じくダブルスプリットのSSを着けたジェントルマンと何度となく会い、その都度、ランゲについて語り合った懐かしい思い出があります…。
もしもこの個体が、わたしの知っているダブルスプリットと同一のものだとしたら、
うーん、それは、ちょっとばかり寂しいですぅぅぅ…。
これは間違いなく1本だけのピース・ユニークだったので、ハンマー・プライスは46万1千スイスフラン
(当時のレートで約4970万円!)という、まさかの価格で落札でされた!!
記事でも触れたが、この個体については旧オーナーとそのバックグラウンド・ストーリーを知っているので、機会があればまた当サイトで書いてみたい。
改めて整理すると、ランゲ&ゾーネのSSケースには、
初代プール・ル・メリットに1本
ランゲ1(シルバー文字盤・ref.101.027Xと同じフェイス)が20本
ランゲ1(黒文字盤でデイト表示は白バックに黒文字)が3本
ダブルスプリットPTが1本
1815(黒文字盤)"代車”用が、本数不明ながら(これまで3本が発見)存在する。
という結果になる。
おそらく今後、願わくば永久に、ランゲ&ゾーネから、SSモデルが出されることはないと思われるので、この例外的なピースをどう評価するか、今回の市場価格の動静はその指針になるのではないだろうか。
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