A.ランゲ&ゾーネから初のステンレス スティール・ケース製オートマチック・ウォッチ「オデュッセウス」登場!~ブランドの記念日10月24日に、完全なる新作ムーブメントを搭載した6つ目のプロダクトファミリーを発表
By : KITAMURA(a-ls)A.ランゲ&ゾーネから
初のステンレス スティール・ケース製オートマチック・ウォッチ登場!
ブランドの記念日10月24日に、完全なる新作ムーブメントを搭載した「オデュッセウス」を発表
今年1月のSIHHから予告されていた、A.ランゲ&ゾーネの新ラインとなるニュー・モデルが、自社の大事な記念日である10月24日、ついにそのベールを脱いだ。その名は「オデュッセウス」。

トロイヤ戦争に勝利したギリシャの勇将オデュッセウスは、その勝利故に神々の妨害を受け、帰郷を果たすまで、なんと10年もの長い歳月と幾多の試練を経たという長い苦難の叙事詩ーーそれをまさにこのモデルが誕生する10年の旅路になぞらえたネーミングとのことである。
まずは実機画像をご覧頂こう。


ブレス一体型、ねじ込み式リューズ、120メートル防水ということで、一般的に分類すれば「スポーツ」のジャンルに属するモデルと思うが、丁寧なダイヤルや、アウトサイズデイトを応用した日付と曜日表示も備えた、実にクラシックな側面も持ち合わせている。


おそらく、これまでのランゲ・ウォッチを見てきた多くの愛好家のみなさんにとって、いろいろ確認したいことやモノ申したいことなどがあることは容易に想像できるところだ。
とりあえず、A.ランゲ&ゾーネ側からのステイトメントである、プレスリリース全文を掲載する。
画像に関しては、本社から支給されるオフィシャル画像と、事前に撮影した実機画像を織り交ぜながら、なるべくそのリアリティーをイメージできるように試みる。
A.ランゲ&ゾーネがかつてないコンセプトで新モデルを発表
新作オデュッセウスが、A.ランゲ&ゾーネの歴史に新たな章を加えます。なぜなら、この時計は六つ目となるプロダクトファミリーの礎となるからです。この時計のためだけに開発されたアウトサイズデイト表示と曜日表示を備えた自動巻きムーブメントを搭載し、スタンダードモデルとして初めてステンレススチールケースを採用しています。

●豊かな表情、アクティブさ、洗練:A.ランゲ&ゾーネのオデュッセウス
オデュッセウスは、精緻を極める時計を愛しつつもアクティブに生活する人のために作られた、躍動感と優美さを持ち合わせる時計です。
直径40.5ミリ、厚さ11.1ミリのステンレススチール製ケースにステンレススチール製ブレスレットを統合した独特のデザインに、伝統要素を現代風に解釈して巧みに取り入れています。

特にスリーパーツ構成のケースは、中央部が少し突出する立体的なデザインで、ブラシ仕上げでツヤを消したケース表面には面取りした稜が鮮やかに浮かび上がります。ステンレススチール製ブレスレットのラグとコマの一つひとつにも表面のブラシ仕上げと角の面取りを施し、全体の調和を図っています。2時と4時位置にある日付および曜日調整ボタンは防水仕様で、ピラミッド状の形状になっています。

このオデュッセウスは、ランゲで初めてねじ込み式リューズを取り付けた防水仕様のケースを採用しており、12バールの試験圧をかけて防水性能を検査しています。
新しいプロダクトファミリー
A.ランゲ&ゾーネは現在、ランゲ1、サクソニア、1815、リヒャルト・ランゲおよびツァイトヴェルクという五つのプロダクトファミリーを擁しています。そして今、六つ目のオデュッセウス ファミリーが加わります。ランゲの慣例に従い、このファミリーのために独自のデザインだけでなく、ムーブメントも新たに開発されました。



●ランゲ自社製キャリバーL155.1 DATOMATIC
日付表示と曜日表示
ダークブルーのダイヤルを見ると、まず日付表示と曜日表示が目に飛び込みます。
右側におなじみの2窓式ランゲ・アウトサイズデイトが配置され、左側にはそれに対峙するように同じサイズの曜日表示が見えます。



そのフレームの縦の縁は緩やかな弧を描き、ベゼルの曲線と違和感なく調和しています。これらの表示の文字と数字はA.ランゲ&ゾーネの時計におなじみの書体ですが、このモデルではブルーの背景にホワイトの文字と数字が浮かび上がります。この機構は新たに開発されたもので、99個の部品で構成されています。
立体感のあるダイヤル
ダイヤルは真鍮製で、表面仕上げの異なる複数の層で構成されています。垂直に溝を刻んだホワイトゴールド製のバータイプのアプライドインデックスの背景と、スモールセコンドの目盛り部分には、レコードの溝のように同心円が幾重にも刻まれています。

これはアジュラージュと呼ばれる装飾模様です。メインダイヤルとサブダイヤルの内側にはアジュラージュとは対照的に、光沢のないザラつきを出す仕上げを施しています。ダイヤルを取り巻く、外に向かってせり上がるように傾斜が付いたシルバーカラーのリングには分目盛りがプリントされ、12時の位置に赤色でプリントされた60の数字がアクセントを添えています。

ランゲ独特の槍形の時針と分針はA.ランゲ&ゾーネの他の時計よりも一層際立ち、バーインデックスの中心の溝の表面と同じく夜光性です。

長さを調整できるブレスレット
装着感の良いステンレススチール製ブレスレットのフォールディングバックルには、落下防止機構が組み込まれており、最大7ミリまで長さを調整できる仕組みになっています。

●このA.ランゲ&ゾーネのマークを押しながら押し引きするだけで、7mmのサイズ調整が可能
長さを調整するには、「A. LANGE & SÖHNE」の文字が刻印されたボタンを押して、ブレスレットを引き出したり押し込んだりします。長さ調整のためにバックルを開く必要はありません。さらに、必要であればブレスレットのコマを追加して長くすることも可能です。

●コマを取ったり詰めたりするのも、専用工具が付随するのでご家庭で可能


アクティブなシーンにも対応するムーブメント
A.ランゲ&ゾーネは、オデュッセウスのために新しいキャリバーL155.1 DATOMATICを開発しました。
ローターに刻まれた「DATOMATIC」という名前は、日付機構と自動巻き機構の組み合わせを意味します。サファイアクリスタルのシースルーバックから、ケース内部を占領するこの直径32.9ミリのムーブメントが見えます。このムーブメントには、プラチナ製分銅を備えた片方向巻上げ式センターローターを搭載しています。丹念な手作業で仕上げたムーブメントのディテールが見えるように、ローターをスケルトンタイプにしました。

新しい調速機
香箱は、完全に巻き上げると50時間のパワーリザーブを蓄えることができます。外部からの振動や衝撃があっても安定した歩度を約束するため、この新しい自動巻きキャリバーは毎時28,800振動(4ヘルツ)で動き続けます。

新しく設計したテンプには、4個の埋込み式調整用ビスが取り付けられています。このビスはテンワの外側と同じ高さに収められています。この構造により、振動数が高くても乱流の発生が減少し空気抵抗が最低限に抑えられます。その効果と、自社製フリースプラング式ヒゲゼンマイとを組み合わせることによって、歩度の安定性およびムーブメントのエネルギー効率が向上するのです。

テンプの受け台を受け板に
オデュッセウスでは、調速機を2点で固定したテンプ受け板で支持しています。
この受け板には、手彫りで曲線模様が描かれています。ムーブメントのその他の装飾にも、伝統的な要素と現代的な要素を組み合わせるというコンセプトが貫かれています。

キャリバーL155.1 DATOMATICでも、受け部品はすべて洋銀製です。さらに、ローターのエレメントはブラックロディウム仕上げです。A.ランゲ&ゾーネの理念に従い、ムーブメント全体に手作業で仕上げ装飾を施し、二度組方式で組み立てています。ガンギ車の軸の上側の受け石を固定するのは、ランゲらしさを感じさせるビス留め式ゴールドシャトンです。このシャトンは脱進機の位置を示すと同時に、時計の心臓部で伝統を主張しています。
【仕様】
オデュッセウス Ref. 363.179

[ムーブメント]
ランゲ自社製キャリバーL155.1 DATOMATIC、自動巻き、ランゲ最高品質基準準拠、手作業による組立ておよび装飾、五姿勢調整済み、プラチナ製分銅付き片方向巻上げ式センターローター、ハンドエングレービング入りテンプ受けムーブメント部品数:312
石数:31
ビス留め式ゴールドシャトン:1
脱進機:アンクル脱進機
調速機:調整用ビス4個および耐震機構付きテンプ、最高品質の自社製ヒゲゼンマイ、毎時28,800振動(4 Hz)、カムおよびスワンネック形バネにより微調整可能な速度調整装置
パワーリザーブ:完全巻上げ状態で50時間

[機能]
時、分およびストップセコンド機能搭載スモールセコンドによる時刻表示/パワーリザーブ表示/ランゲ・アウトサイズデイトおよび曜日表示
[操作系]
ゼンマイ巻上げおよび時刻調整用ねじ込み式リューズ、曜日および日付修正用ボタン2個
[ケース寸法]
直径: 40.5 mm、高さ: 11.1 mm
[ムーブメント寸法]
直径:32.9 mm、高さ:6.2 mm
[ケース]
ステンレススチール
防水性能:最大12 bar(水深120メートル)
ダイヤル:真鍮、ダークブルー
針:ホワイトゴールド、夜光時針および分針
風防ガラスおよび シースルーバック:サファイアクリスタル(モース硬度9)
ベルト:ステンレススチール製ブレスレット
バックル:長さ調整機構および落下防止機構付きバックル
予価:310万円(税抜)
発売時期:2019年11月以降
2020年3月までは全世界のA.ランゲ&ゾーネ ブティックのみで展開予定

現在のところブランドからのステイトメントは以上である。
いかがだろうか。正直なところ自分は、伝統的なクラシックを貫きつつも、想像の斜め上を行く開発力を見せてくれるA.ランゲ&ゾーネが好きなので、A.ランゲ&ゾーネからスポーツ・モデルが出るというウワサに関してはシビアなスタンスであった。だがその過度な思い入れをちょっと横に置いておき、ひとつの新作時計としてこの「オデュッセウス」を見ると、そこにはとても考え抜かれ、かつ様々な使用シーンにおいても破綻の起きない慎重なまでのムーブメント設計が見て取れて、どちらかと言えば、(その価格を除いては)好感触なのだ。
その細部の設計的なこだわりについては、なるべく早く別のブログを書くつもりでいるが、文系ランゲ・ファンとしては、このモデルが「オデュッセウス」となぞらえられるほどの艱難辛苦・紆余曲折を経たという10年のヒストリー(お爺ちゃんは何て言ってたのぉ~?)とか、なぜこの時期にステンレス・スティールのモデルを発表するのかとか、この価格になった要因とか、そういうブランドからの"人間の声"みたいなオピニオンを聞きたいところで、実はドイツ本社にいくつかの質問も送っている。
返事があれば、その辺の"ランゲ叙事詩"をホメロスチックに吟遊してみたい。

この稿の最後に、プレスリリースでアピールされていない点として、この「オデュッセウス」に搭載されているアウトサイズデイトは、3時・9時に窓を取ったため、ランゲ1などに採用されたプログラム車とは全く異なった新設計で、①その結果、衝撃に対して強い耐性を持ち、しかも12時を境に戻し・送りが可能となっている点。
②ブレスは、しっかりした重さを感じる装着感で、ひとこまひとこまに腕をしっかり包まれる感触がある。外国人にありがちな濃い腕毛がコマに挟まれる不快感を排除すべく人間工学に基づいた角度でコマが曲がるように作られている点。
③デザインの肝として、ハカマまでいっぱいに取り切ったスモールセコンドの大きな存在感が、他ブランドのいわゆるラグジュアリー・スポーツ・ウォッチとは一線を画している点。
ーーなどを追記しておく。
その他のランゲさんに訊いて欲しい質問や、伝えて欲しいご意見などあれば、ぜひコメント欄に残してください。
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ご質問にあったようなその辺の流れを別途ブログに書いております。
https://watch-media-online.com/blogs/2670/
よろしければ、お目通しくださいませ。
昔「我々はエクスクルーシブなブランドでありつづけたいのでステンレスのモデルは出さない」って昔ボーベさんが言ってませんでしたっけ?正直困惑しています…
そして価格を見てさらに「???」となりました…
考察まで書いてくださり嬉しいです
ランゲ1などと押し比べしてみたくなりますね(笑)
ボタンがあまり出っ張っていないので、竜頭の操作などで誤って押すことが無いようになのかなとは感じましたが、大まかにスポーツモデルですし、さすがの考察ですね
また感想や考察など楽しみにしています
プッシュボタンはまっすぐに押し込みます。押した感触は、まさに歯車をひと歯ずつ進めている確かな手応えで、たとえば1815クロノなどで感じられる"カーン"と響く金属環の接触を感じるタイプの押し味とは異なるものでした。
この確かな感触はたぶん、行動中に誤って押されることのないように、ほど良い固さを意識した設計によるものだと想像します。
弧を描くように動くのか、真っ直ぐ横に押し込むようになるのか、押しやすさが気になりました〜
このタイミングで感想つきなのがありがたいです
曜日は2文字なのか〜とかまずは楽しく見返しますね(笑)