パテック フィリップ 「5520P アラーム・トラベルタイム」 納品式~ブランド"初"を多数搭載するチャイム・ウォッチの意義を読む!
By : KITAMURA(a-ls)先日のこと、素晴らしい納品式に同席させていただいた。
このモデルが納品されたのは日本初、いわゆる日本初号機となる。
ツイッターで「書く書く詐欺」的に公言していた記事w、掲載が遅れたこと深くお詫びします。。。
さて、まだ納品前、パテック フィリップの公式トレイの上には、2本のカラトラバ・パイロット・トラベルタイム5524モデルが並べられていた。
右は2015年にブルー文字盤・ホワイトゴールド・ケースとして発表されたオリジナル・モデル。左がその3年後の2018年に発表されたブラウン・ソレイユ文字盤のローズゴールドモデルなのだが、勘の良い方ならもうお分かりかと思うが、この2本こそ、今回納められる時計の大きなヒントとなる。
やがて幕がかけれらた状態のトレイが搬入され、オーナー氏がそれを除幕すると、
今回の極め付きの時計がついにその姿を現した!
金の鋏による開封の儀をすませ、その全貌が露わに!!!!
5520P アラーム・トラベルタイム である!!
カラトラバ・パイロット・トラベルタイムの外観とトラベルタイム機構はそのままに、15分刻みの任意の時刻の時を知らせてくれるチャイム(アラーム機構)を搭載。
しかもそのサウンドは、パテック フィリップが時計界に誇るミニッツ・リピーターの持つ、クラシック・ゴングそのものを使用している。つまりリピーターのゴング音の連打で目を覚ますことができるという、夢のような、まさにドリーム・ウォッチなのである!!
それは聴きたいですよね?
はい。ユーザー様のご厚意で動画を撮影させていただきましたので、みなさんにも、35秒の間、1秒間に約2回半、あの神々しいゴング音が時を告げてくれる、素晴らしいサウンドをお届け。
35秒間、1秒間に約2回半、あの神々しいチャイムが時を告げてくれる。
続いては、裏面から、シングル・ハンマーの動きに注目してのサウンドを!
実に素晴らしい!
しかしこの音色以上に素晴らしく思えるのは、個人的にはこの作品が、パテック・フィリップの他のグランド・コンプりケーションとは単純に比べられないような、新たな重要性を持っていると感じるからである。
それはつまり、この作品にはパテック・フィリップの歴史上、史上初といえる新たな要素が数多く備えられており、ひいてはそれが、今後のパテック・フィリップの方向性にもかかわるような、大きな分岐点的な意味合いすら持っているように感じているのだ。
新たな要素とはすなわち、
①ハンマーでクラシック・ゴングを鳴らす24時間対応のアラーム機能と、トラベルタイム機能との組み合わせた、パテック・フィリップの歴史上にも例のない新機構を持っていること。
②パテック フィリップ初の、防水ケースを備えたチャイム(音の鳴る)ウォッチであること。
③この時計のために開発されたまったく新しい自動巻ムーブメント:AL 30-660 S C FUSを搭載していること。
④アラーム部分に関してだけでも、4件の新特許を取得していること。
⑤これだけの労をかけて開発したモデルだが、ミニッツ・リピータよりもリーズナブルな価格であること。
ひと昔前のパテック フィリップのグランド・コンプリケーション、特に鳴り物の時計では、使用者側がおのずと気遣って時計を使用することが当然視されていたような面があったが、この作品は生活防水性能を保証したうえ、使用者の誤操作による故障が生じないような、実用的な時計作りが意識されている(新規取得した特許も主にこれに関すること)。
言い換えるならば、故障を防ぐ、もしくは故障しないような先回りの規制機能を備えた、パテック フィリップ初のチャイム・ウォッチなのである。
先日、機会があって、拡張拡充されたPatek Philippe Japanのサービスセンターを見てきたが、「日本にこれほどの設備があるのか!」とたいへん驚かされた。スイス本社と同水準の設備を備え、ほとんどのモデルが日本で修理可能、つまりはそれだけの技能を持ったウォッチメイカーの育成などなど、直接の売り上げがさほど上がらないサービスの部門に恐ろしいほどの投資がなされている。これは世界的な方針のようで、かの"キング・オブ・ウォッチブランド"が王者の地位に君臨したまま、ユーザー・ファーストの体制をつくりつつある。とすれば、この5520Pは、そのことを時計として体現したマイルストーン・モデルと言えるのではないか。
新ムーブ、新機構、防水で、ミニッツ・リピーターよりも下のプライスレンジにあり、もちろんの鬼仕上げ。。。
ふと、(そう簡単に変えるような価格ではないのは重々消費の上ではあるが)、こんなにお買い得なパテック・フィリップに出逢うとはと、ふと思わされてしまう、おそるべき新作なのである!!
そして冒頭に戻り、3本揃ったその雄姿を!!!!
操作方法などについては、以前に書いたブログから再録しておく。
【以下、再録】
開発に5年の歳月を要し、574個の部品から成る、5520P「アラーム・トラベルタイム」。
2.5Hz (1秒あたり2.5回)の間隔で最大35秒までムーブメント外周を一周するゴングを打つ。
これは合計約90回のストライクに相当し、ミニット・リピーターと同じく、カラトラバ十字で飾られた受け(ブリッジ)の下の遠心ガバナーが規則正しく持続する音のリズムを実現している。
アラーム機構は、4時位置のリュウズで巻き上げるアラーム専用の独立したぜんまいを備えており、内蔵されたクラッチ機構が不注意によるぜんまいの巻き上げ過ぎを防ぐ仕組みとなっている。
ちなみに、搭載されているゴングは、ミニット・リピーターで言うところの、アワー用の低音のゴングなのか、それともミニッツ用の高音のゴングなのかを尋ねたところ、フィリップ・バラ開発部長は、
「その質問は初めて受けた。なので回答の用意がないが、私の経験から思うに、たぶん低い方のアワーのゴング・サウンドではないだろうか。力強く聞こえるから」、とのことであった。
4つのプッシャーの機能および文字盤表示の役割は以下のようになっている。
旅行中は、ケース左側面の2つのプッシュボタンのひとつを押すと、通常の時針を1時間刻みで前進(8時位置)、または後退(10時位置)させて、時計の精度にまったく影響を与えずに、現地の時刻調整を行うことができる。
現地時刻の操作を容易にするため、プッシュボタンには+または-の記号が刻まれている。
操作の前に、まずプッシュボタンを1/4回転させてロックを解除する(刻みが入っているため操作は容易である)。
操作が終わったら再び1/4回転させてロックする。
【表示】
❶時針(現地時刻)
❷時針(出発地時刻)
❸分針
❹秒針
時計は、センターに2本の時針を備えている。
ひとつはスケルトン時針であり、出発地の時刻を表示する。
もうひとつはスケルトンでない通常の時針であり、着用者のいる現地の時刻を表示する。
出発地と現地の昼夜は、それぞれ3時半位置(HOME)と9時半位置(LOCAL)に設けられた丸い小窓に、白と青の別で表示される。
サブダイヤル:
❺日付
文字盤下部のサブダイヤルが現地の日付を指針表示する。したがって現地時刻の時針を前進または後退させて真夜の零時を過ぎると、日付もこれに応じて変化する。2本の時針が同一のタイムゾーンを表示する時は、スケルトン時針は完全に通常の時針と重なり、その下に隠れるということである。
表示窓:
❻アラーム設定時刻の表示
❼アラームの昼夜表示
❽アラームON/OFF表示
❾現地の昼夜表示
❿出発地の昼夜表示
アラーム機能表示は、文字盤の上半分に配置されている。
読みやすさを保証するため、12時位置の二重表示窓に設定されたアラーム時刻はデジタル表示(特許申請中)を採用。
そのすぐ下には、午前6時~午後6時を白、午後6時~午前6時を青で示す丸い昼夜表示窓がある。
4時位置のリュウズを中間位置に引き出し、いずれかの方向に回して、15分刻みでアラーム時刻を設定する。
アラーム時刻の時、分表示機構が差動歯車を駆動することで、アラーム時刻は現在の現地時刻と絶え間なく比較され、歯車の″遊び″を補正するシステムにより、1分単位の精度で次のクオーター(15分)にアラームをセットすることができる。
例えば12時14分に、1分後の12時15分のアラームを鳴らすような設定もできる。この機構も特許である。
【プッシュボタン】
❶アラームON/OFF
❷現地時刻調整( 一押し毎に1時間前進)
❸現地時刻調整( 一押し毎に1時間後退)
2時位置のプッシュボタンによりアラームのON/OFFを行う。
12時位置直下の小さいベル型表示窓が、アラームがONの時は白、OFFの時には黒となる。
このプッシュボタンには、アラームのON/OFF表示窓と同じ形の小さなベルのシンボルが刻まれている。またこのプッシュボタンは、2つのタイムゾーン調整プッシュボタンと同じロック機構を備えている。
【調整ボタン】
❹日付調整ボタン
ⓐリュウズの3つのポジション:
1. アラームの巻上げ(時計回り)ムーブメントの巻上げ(時計反対回り)
2. アラームの時刻設定(15分刻み)
3. 時刻調整
防水機能は、プッシュボタンのロックが解除されている状態でも発揮される。
高度なセキュリティー機構にも触れておく。
アラーム機能を制御し、モニターするシステムは、誤った操作を行った場合でも、ムーブメント損傷のリスクを防ぐ安全・隔離機構を搭載している。
つまり、アラーム音が終わると、直ちにアラームのON/OFF表示が自動的に切り替わり、OFF表示となる。この状態では、アラーム専用ぜんまいを再び巻き上げるまで、再度アラームをセットすることはできない(=アラーム機構は常にぜんまいの巻き上げ状態を検出できなければならない)。
このため、アラーム専用ぜんまいの軸にフィンガー状の部品が取り付けられた複雑な仕組みが開発され、このフィンガー状の部品のなす角度が、ぜんまいの連続駆動可能時間を定義し、ぜんまいが完全に巻き上げられて初めてアラームのON/OFF表示がON表示に変るのである。一方、OFF状態に切り替えることはいつでも可能である。
着用者は、アラームが鳴っている間でも、まったくリスクなしに、別のタイムゾーンへの変更を行うことができる。
この場合、メカニズムとしては、鳴っているアラームを一旦中断し、アラームをOFF表示に切り替える。
また、新しいアラーム時刻が設定された際にも、アラーム音は中断される。
アラーム専用ぜんまいは4時位置のリュウズを時計回りに回すことによって巻き上げられる。クラッチ機構が内蔵されており、これがぜんまいの巻き上げ過ぎによるアラームの動作停止を防ぐ。
アラームのON/OFF表示がON表示になっていると、アラーム専用ぜんまいの巻き上げができないようになっている。
時計機能を駆動する主ぜんまいは、同じリュウズを反時計回りに回すことにより、いつでも巻き上げることが可能。
【仕様】
文字盤
• エボニーブラック・ソレイユ、夜光付ゴールド植字数字
• 現地時刻表示:黒塗りを施した夜光付ホワイトゴールド《バトン型》時針
• 出発地時刻表示:ホワイトラッカー仕上げのホワイトゴールド《バトン型》スケルトン時針
ケース
• プラチナ
• 直径:42.2 mm
• 総厚:11.6 mm
• 3気圧防水
• サファイヤクリスタル・バックと通常のケースバックが共に付属
バンド
• カーフスキン、カラーはブラック
• ピンバックル
ムーブメント
• キャリバー AL 30-660 S C FUS
• 自動巻
• クラシック・ ゴングで時を知らせる24時間対応のアラーム
• アラーム設定時刻を窓表示
• アラームON/OFFを窓表示
• アラームの昼夜を窓表示
• 出発地と現地の時刻を表示するデュアル・タイムゾーン機構
• 出発地と現地の昼夜を窓表示
• 現地の日付を指針表示
• センターセコンド
• 直径:31 mm
• 総厚:6.6 mm
• 部品総数:574
• 自動巻ローター:21金中央ローター
• 振動数:28,800振動(片道)/ 時(4 Hz)
• 連続駆動可能時間:最小42時間、最大52時間
税込価格27'170'000円
【問い合わせ】
パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター
TEL:03-3255-8109
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