グランドセイコー・セイコー 2020新作 実機レポート その3~GSエレガンスコレクションからのグリーン・ダイヤル、プレザージュ「紅の豚」オマージュほか

 By : KITAMURA(a-ls)


早くからバーゼルワールド不参加を表明し、2020年新作の発表を独自にスケジューリングしていたセイコー。大規模展示会に延期・中止が相次ぐ今となっては、先陣を切ったセイコーの新作群の鮮やかさがまず目に付く。
しかも今年がグランドセイコー誕生60年という記念年であることや、本格的なヨーロッパ市場への進出元年にあたることもあり、グループ全体に非常に内容の濃い充実した作品が多いのも事実だ。

その最大の証左といえる話題の9S新ムーブは後述するとして、以前であればクレドールに任せていたラグジュアリーなメンズジュエリー・ウオッチを発表するなど、この記念碑的な2020年を機に、かつては実直一路なイメージであったグランドセイコーは、明らかに世界的グランメゾンを目指しつつある。

というわけで迎えた今回の新作実機取材では、それら高額ジュエリー・ウォッチや彫金ダイヤル実機のガワ判断が、自分の中でのかなり重要なミッションでもあったのだが、それぞれ限定10本・20本ということで、サンプルもないそうで・・・。
ま、よぉーく考えればそりゃ無理もなく、気を取り直して、ここは「<グランドセイコー>エレガンスコレクション・グランドセイコー 60周年記念限定モデル」の、ピンクゴールド・グリーンダイヤル・モデルから拝見する。



雫石の夏の緑をイメージしたというグリーン文字盤は、非常に計算されていて、掘り込みの向きと角度そしてダイヤル自体のアーチとの効果によって、規則的・不規則的な陰影を演出し、針のカシメを中心として、あたかも林に差し込む自然光のような反射を生んでいる。



画像を見てお分かりのように、ダイヤル全貌を反射なく写真に収めることは非常に難しく、その魅力を完全に享受できるのは腕の上に載せた所有者のみという、真の意味で選ばれしもののためにあるダイヤルだ。



実直一本鎗のイメージがあったグランドセイコーの、通ごのみのお洒落文字盤の裏側にある、これまた実直な職人技に脱帽する次第である。





世界限定120本で価格は2,500,000円 税。

さて、グランメゾン化を志向するであろう今後のグランドセイコーが、まずどのあたりの方向性を攻めていくのか、それによってはプレザージュの工芸文字盤の立ち位置がグランドセイコーに吸収されたりもあるのだろうか?
欧州ブランドからすると価格破壊としか思えない、琺瑯という名のエナメル技法や漆文字盤、やっぱこれらは今までどおりプレザージュを通じて、日本の技術力・生産力の鑑として存在し続けて欲しい、絶対。

で、今年のプレザージュだが新作として出てきたのは、スタジオ・ジブリとのコラボである。



もっとも文字盤は黒ダイアル・白ダイヤルとも琺瑯文字盤なので、工芸系ダイヤル作品ではある。
文字盤の白と黒そしてストラップの赤、これらの思い切ったくらいに鮮やかな色バランスが印象的なピースで、マニアであればつい2本揃えてしまいたくなるような作品。





「プレザージュとスタジオジブリが大切にしている、日本の真摯なモノ作りという考え方に基づいたコラボレーションモデル」ということだが、なぜに「紅の豚」が選ばれたのかは聞き忘れた。



しかし、今年のキャッチフレーズとして、"日本の美意識を体現するウォッチ・ブランド"と大きく銘打ったプレザージュを今は信じて(笑)、今後の工芸ダイヤルのさらなる発展を望む次第である!!




さて、自分の実機レポートの担当はここまでなのだが、先にも触れたように、デュアルインパルス脱進機搭載の「メカニカルハイビート36000 80 Hours」の実機画像も少しだけ・・・・。

もともと自分は時計に関してガワ優先でやっているが(笑)、なぜか脱進機まわりに手を付けた新機構に限っては胸躍ってしまう性癖があり、で、2月のジャパン・ウォッチ・コレクション東京のセイコー会場で、9S新キャリバーの構造動画を目の当たりにした瞬間"これは!!!"と思い、写真NGのため暗記した図面に酷似した特許図面をその晩のうちに検索で探し出し、われらがCCFan氏に急送して分析をお願いした次第なのであるが、とりあえずその80時間ハイビートGSと前述のグリーンダイヤルGSとの2ショット。



氏の機構予測記事はこれまでのところ、どのメディアに出たものよりも的確だと思う。
同機の実機レポートも、"シリーズその4"として氏がさらなる分析とともに紹介する手はずとなっているので、ここでは実機画像のみを置いておこう。。。














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