至高のレザーストラップ! クロコダイルを知る

 By : KAIROS
皆さんは、時計のストラップについてどれだけご存知ですか?

 腕時計をするには絶対に必要なレザーストラップは、ワニ、カーフ、リザード、オーストリッチ等々と色々な素材や色があり、もはや時計の印象をも左右する大事な存在になっています。特に高級時計ではワニ革が多く使われるのですが、恥ずかしながら、私はいつも時計本体の事ばかりで革については、誰に教わった訳でもく何とな~く知っている感じでした。

 そこで今回、「くろこ塾IN本店サロン」なるクロコダイルについての知識を深める講習会(無料!)があり、そこへ参加させていただきました。時計本体と少し離れますが、クロコダイルの革についての面白いレポートをお送りします。

 場所は台東区にあるGAUDIE。ワニ革を国内で財布やバッグに加工して販売している会社であり、聞けば大丸東京店、松坂屋名古屋店、大丸心斎橋店にも出店しています。親会社は日本のワニ原皮の輸入日本一(約7割)だという。この会社が原皮を加工して皮→革にしている、まさにプロフェッショナル中のプロフェッショナルなのです。

輸入した塩漬けの原皮
 
国内で加工後の革


今回「くろこ塾IN本店サロン」ではクロコダイル革全般の基礎知識をテーマに
  1. クロコダイル基礎知識習得 (種類、特徴、見分け方等)
  2. クロコダイル革製品作りの基本を学べる (製法、工程等)
  3. クロコダイル革製品お役立ち情報 (取扱い、お手入、実演等)
を教えていただきました。

 始まる前に予備知識としてワニ革のクロコダイル、アリゲーター、カイマンの関係、クロコダイルの4種類、背ワニと肚ワニの違いや用途、スモールクロコの意味等を聞きました。スモールクロコは皮(革)が小さいのではなく、スケール(腑)が小さいものスモールと呼ぶそうです。勉強になる~。
スモールクロコ

 

 そして初めにクロコダイル4種類とその特徴を、製品を見ながら解説していただきました。
 下の写真は1匹のクロコダイル(スモールクロコ)から1つの長財布を作る時に使う部分です。やはりお腹部分が一番綺麗で高価になりますが、真ん中にあるアクリル板が長財布用の大きさになり、クロコダイルのお腹部分ギリギリで出来ているのがおわかりでしょうか?お腹の良い部分を1匹まるまる使う事になる贅沢な作りです。勿論、内側もクロコダイルにすると、もう1匹使うのかな~?

 言い忘れましたが、クロコダイル4種類はイリエワニ(スモールクロコ)、ニューギニアワニ(ラージクロコ)、ナイルワニ(ナイルクロコ)、シャムワニ(シャムワニ(商業名))です。
 特にイリエワニは、多くが野生のラージクロコに比べると養殖代(餌や場所代等)が高く、またブランドの買い占めにより価格が高騰しているそうです。
 GAUDIEさんではイリエワニかナイルワニを中心に、製品に一番適したサイズの革をベストな柄模様になるように職人さんと工夫して製品づくりをしているそうです。

 次に仕上げと特徴について教えていただきました。大きく分けるとグレージング仕上げ(ツヤあり)とマット仕上げ(ややツヤなし)に分けられそれぞれ仕上げが違います。
 グレージング仕上げは光沢を出すため、表面にタンパク質バインダーを塗布してメノウの石で磨きます。やはり、光沢があるので高級感が出る反面、擦れやシワなども目立ちます。高級クラシック時計と一緒ですね。また腑が1つ1つふっくらしたボンベという事も出来るそうです。
 マット仕上げは、オイルを使用して柔軟性を持たせ、耐久性、色落ちに注意した仕上げです。擦れやシワは目立ちにくいのですが、手の脂や汚れにより黒く変色し、艶が出やすくなります。よく言われる“アジ”が出るというやつですが、そこが革のいいところですもあるんですが。
色の違い: 同じマット仕上げネイビー色の革と数年使用したネイビー色の財布

 そして色々な完成品を見せてもらいました。私が驚愕したのは靴。現実的には晴れた日だけ?とも思いますが、そのシルエットは大変美しく、1枚革で贅沢な作り!(価格30~40万円位)。ブランドだと?百万円ですよ、これ。ビーチサンダルやその他の靴もあり、有名ファッション誌にも出ているみたいです。
 名刺入れや財布なども有名な工房に出して、手作りで作成しているそうです。

  

  

 
 最後は、取扱いとメンテナンス。革はお肌と一緒でクリームをつけてあげないと劣化が進んでくるのは、当然の事。こちらでは購入した際にクリームを一緒にお渡しすることもあるそうですが、それ以外でもメンテナンスを受け付けており、売ったら終わりではなく、売ってからが始まり!という時計の世界と一緒です。

 
 実はグレージング仕上げ(光沢)のクリームは、某靴クリーム会社と共同開発して、販売もしているそうなのですが、マット仕上げはクリームが日本に存在しないそうです。国内で開発をお願いしたが不可能だったそうで、そのため世界中を探し、業務用を輸入しているそうです。そのためマット用クリームを取り扱っているのはここだけ!すご~い。
 とても印象深かったのは、クリームを塗る実演をしながら言っていた一言。
「必ずお手入れをしてあげて下さい。愛着もわいてきますし、優しく話しかけるように心を込めてクリームを塗るともっと綺麗になりますから。」
 本当に革が好きなんだな~と思いました。そんなところにメンテナンスに出したいですね。その気持ちが、日本に無いマット仕上げ用クリームを是が非でも何とかしたい!気持ちにつながるのです。時計業界も同じ!
マット仕上げのクリーム塗り


 ちなみに参加者は、私のように革に興味がある方だけではなく、使用者やこちらでの購入者の方も来ていました。面白いのは下の写真にあるような大きな革を1頭買いし、余るところなく革を使用して製品にするサービスがあるそうです。

そしてオーナー様が作られたのが、下写真の緑革の上にあるボルドー色の小物たち(4品)。もう1品あり、更にペンケースなどもあるとか。すべて1匹のクロコダイルから作られたファミリーですね。シャレたサービスです。私はされている時計も気になりましたが(笑)。

 

 更にこっちらでは、仕上げの研究開発も行っているそうです。今までに見たことのない仕上げと色を使い、新しい質感を創り出しているそうです。時計でも最近増えてきましたが、技術革新の波は同じです。

 そして皆さん、時計用は?ということで聞いてみました。すると時計のストラップも作成しており、現在は少量ですが手作りで特別注文を受けているそうです。時計業界ではアリゲーターやカイマンが多く、革は消耗品として取り扱われていますが、だからこそこMade in Japanでこだわった1本を作ってみるのも面白いと思います。http://gaudie.jp/SHOP/0208.html


 クロコダイルを愛し、製品に細かい目を向けながらこだわりを持つGAUDIE。モノづくりにも色々ありますが、手作りの時計に似た世界感、止まることのない革新を受け入れる姿勢に、今後の時計業界と重なるものを感じました。

 是非、ご興味のある方は次回「くろこ塾IN本店サロン」にご参加ください。

 有限会社フューチャー 南澤店長様、ありがとうございました!

【お問い合わせ先】

有限会社フューチャー
GAUDIE
東京都台東区三筋 1-6-13 H.T.ビル1階
電話番号 0120-653660
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