ジュネーブウォッチデイズ速報、アーミン・シュトローム 大幅に小型化したデュアルタイムGMTレゾナンスを発表

 By : CC Fan

現在開催中のジュネーブウォッチデイズより、「速報で伝えたい」と思った作品を夜なべ(スイス時間基準)でお伝えいたします。


まずはジュネーブウォッチデイズに参加しようと思ったきっかけの一つであり、「15周年にふさわしいものに向けて力を蓄えている」と予告済みであったアーミン・シュトロームからブランドの総力をつぎ込んだマスターピースコレクションの第3作品目、デュアルタイムGMTレゾナンスが発表されました。



マスターピースコレクションの1作品目であり、懐中時計をインスパイアし「使いやすいデュアルタイムウォッチ」を目指した初代デュアルタイムレゾナンス、大きいサイズが好きな自分的には「使える」と断言していましたが、どうしても人を選ぶサイズではあります。



今回改めて…
上下にはそこまで大きくないですが、幅と厚みはかなりのご立派。



今回、レゾナンスに取り組んできた経験をもとに各部を最適化、レゾナンスコレクション初のアンダー40mmサイズケースに収めることが成功した新作、デュアルタイムGMTレゾナンスが開発されました。

1つの時分表示+スモールセコンドのピュアレゾナンス42mmより小さなサイズに2つの時分文字盤とレゾナンスシステムを組み込んでいます。
初代デュアルタイムレゾナンスでは6時位置に二つの文字盤から合流したデュアル24時間針があり、「時差」の概念を直感的に表示していましたが、サイズの問題か今回は省略され、各文字盤にデイ&ナイトインジケータを組み込んでいます。
また、初代デュアルタイムレゾナンスの特徴的なウォーム&コーン差動機構を用いたパワーリザーブインジケータは懐中時計で使われた機構をリスペクトした古典的なものでしたが、こちらも省スペース化のためにバッサリとオミットされました。



ケースバックもシンメトリーさを強調したデザイン、パワーリザーブインジケーターはないですが、香箱がスケルトン構造のため、直接ゼンマイの「締まり具合」を観察することで残量を推測することはできます。


手作業で仕上げられたムーブメント各部の仕上げ

6時位置には新たに開発されたラチェット(コハゼ)メカニズムが搭載され、心地よい巻き味を演出しています。
角穴車の1つの歯を歯止めで押さえる古典的なコハゼや、ソヌリスタイルの2~3個の歯止めをもつコハゼに比べ円形のラチェット車が常にかみ合うため一つの歯当たりの負荷を低減することができる、と考えられます。



機能としては初代デュアルタイムレゾナンスと同様、向かって右側のリュウズで巻き上げ、1段引きで右側ダイヤル時刻合わせ、向かって左側のリュウズは1段引きで左側ダイヤルの時刻合わせ専用です。
初代は4香箱、110時間パワーリザーブで巻き上げもかなり重かったのですが、2香箱42時間パワーリザーブに変更したことにより巻き上げも軽快になりました。

通常のレゾナンスでは時分を表示していない側の輪列は単純にレゾナンスを維持するためのエネルギーを注入する役割のみですが、デュアルタイムでは両方の輪列に時刻表示という機能を持たせることができました。
共振による精度向上と機能としても便利なデュアルタイムを両立した、という意味で個人的にはレゾナンスシステムの一つの完成形と考えています。

昨今のアーミン・シュトロームの伝統にのっとり、最初の「ファースト・エディション」は25本限定、10年保証付きで登場します。


アーミン・シュトローム地ビールで乾杯。

公式リリースも引用します。



アーミン・シュトローム、デュアルタイムGMTレゾナンスを発表
ARMIN STROM UNVEILS ENTIRELY NEW DUAL TIME GMT RESONANCE TIMEPIECE

ビール/ビエンヌ、スイス、2024年8月29日 : スイスの独立系ウォッチ・ブランド、アーミン・シュトロームは、最も歴史的に重要なイノベーションであるコンプリケーション、レゾナンス機構をまったく新しい「デュアルタイムGMTレゾナンス ファースト・エディション」として再解釈し、完全に統合されたマニュファクチュールの15周年を祝います。この新しいモデルは、18Kホワイトゴールド製、待望の39mm径ケースで、25本の限定生産です。



2つのダイヤルを備えた対称的なデザインを採用したこのファースト・エディションは、エレガントな39mm径の18Kホワイトゴールド製です。またすべてのアーミン・シュトローム ファースト・エディションと同様に10年間の延長保証が付いています。

アーミン・シュトロームの新しいデュアルタイムGMTレゾナンスについて、創設者のサージュ・ミシェルは次のように語っています。

「ひとつの時計に2つの完全に独立したムーブメントが搭載されているため、当然のことながら2つのタイムゾーンを表示されるモデルが求められます。最初のデュアルタイムの成功に触発されて、より小型でエレガントなデュアルタイム レゾナンス ウォッチを製作することにしました。これを実現するために、コンセプトをさらに発展させ、2つのムーブメントを縦に配置しました。その結果には非常に満足しています。」




文字盤側の2つの動的要素が一体となり、魅惑的なスペクタクルを演出
Two dial-side kinetic elements unite to form a mesmerizing spectacle
この時計の文字盤側には、レゾナンスの躍動的なスペクタクルが最大限に表現されています。共振状態で作動する2つのテンプの動きと、振動を伝達するクラッチ・スプリングの脈動が組み合わさり、時計のオーナーに驚きと感動を与える魅惑的な光景を提供します。

完全に独立したタイムゾーン
Two fully independent time zones
この時計のもう一つの貴重な特徴は、2つのタイムゾーンを完全に独立して設定できる点です。ほとんどのデュアルタイムゾーン表示の時計では、時間のみを独立して設定できるだけで、分単位での設定が可能なのはごくわずかです。しかし、アーミン・シュトロームのデュアルタイムGMTレゾナンスでは、2つのダイヤルそれぞれで、時間と分の両方を任意の時間に設定できます。


ひとつの新しいキャリバーに2つのムーブメント
Two movements in one new caliber
デュアルタイムGMTレゾナンス ファースト・エディションには、新しいアーミン・シュトローム製キャリバーARF22が搭載されています。これはレゾナンス機構を備えた手巻きムーブメントで、当社の共同創設者でありマスター・ウォッチメーカーであるクロード・グライスラーの指揮の下で社内設計、製造された18番目のキャリバーです。

2つの独立したミラード・オシレーターは、共振という自然現象を通じて逆位相で動作しながら互いに同期された鏡像となります。キャリバーには2つの香箱があり、それぞれが約42時間のパワーリザーブを提供します。これらは4時位置にあるひとつのリューズで巻き上げられます。独立した時刻表示は、2つの別々の輪列によって駆動されます。太陽と月がエングレーブされミラー・ポリッシュ仕上げがなされたナイトアンドデイ・インディケーターは、ムーブメントに直接取り付けられた24時間ホイールに搭載されています、ケースの両側に配置されたリューズで、各ダイヤルの時刻を個別に設定できます。

視覚的に最も興味深い特徴の多くは文字盤側で見ることができますが、ケースバックからはムーブメントの特徴的なシンメトリカルな構造がさらに明らかになります。デュアルタイムGMTレゾナンスのムーブメントは、文字盤側のアニメーションに対応したユニークな巻き上げ体験も提供します。ラチェット・クリック・システムは、文字盤上でのこのアニメーションを提供し、ムーブメントの巻き上げを多感覚の体験に変えます。

ラチェットに接続された従来のクリック機構とは異なり、デュアルタイムGMTレゾナンスの3次元ラチェット機構は、2つのバレルの間に配置されたピニオンに接続され、負荷をより均等に分散します。この2つの部分からなるシステムは、メインプレートに固定されたブレゲ・ティースのツヅミ車を備えた下部ギアと、軸に接続されスプリングを備えた上部要素で構成されます。このアプローチにより、巻き上げ機構のより正確な接続と切断が可能となり、より一貫した性能、効率的なエネルギー伝達、部品の摩擦と摩耗の軽減、滑らかな操作性、そしてシステム全体の耐久性が向上します。


2つのシンメトリックに配置されたダイヤル
Two symmetric dials
デュアルタイムGMTレゾナンス ファースト・エディションは、それぞれグレナージュ仕上げがなされた2つのスカイブルーのダイヤルが対称的に配置されています。現在生産されているアーミン・シュトロームのレゾナンス機構を備えたタイムピースの中で、対称的な2つの時刻表示機能を持つ唯一の時計です。


2つのシンメトリカルなナイトアンドデイ・インディケーター
Two symmetric day/night indicators
太陽と月がエングレーブされ表面にミラー・ポリッシュ仕上げがなされたナイトアンドデイ・インディケーターは、それぞれのダイヤルが示す時刻の午前・午後を表示します。


2つのシンメトリカルに配置されたリューズ
Two symmetric crowns
4時と8時位置にある2つのリューズにより、各ダイヤルの時刻を個別に設定できます。


2本のストラップ
Two straps
デュアルタイムGMTレゾナンス ファースト・エディションには、スカイブルーのステッチ入りマットグレーのステッチ入りアリゲーターと、パールグレーのステッチ入りアリゲーターの2本のストラップが付属しています。ピンバックルは18Kホワイトゴールド製です。


職人の技
Artisanal craftsmanship
ファースト・エディションの文字盤はスカイブルーのグレナージュ仕上げで、ブラックのアジュラージュ仕上げがなされたチャプターリングが囲んでいます。リングにはポリッシュ仕上げのバトン型インデックスが取り付けられ、ファセット・カット された針と調和しています。太陽と月がエングレーブされミラー・ポリッシュ仕上げがなされたナイトアンドデイ・インディケーターは、24時間ホイールに直接取り付けられています。ツインのテンプ受けは初めてのスティール製で、平らな面に手作業で磨きをかけ、伝統的な高級時計装飾の最高基準に従って、鏡面仕上げが施されています。

このキャリバーの贅沢な手仕上げと装飾には、手作業による面取り、スクリュー、シンク、サーキュラー・グレイン、ペルラージュ、ジュネーブ・ストライプが含まれます。アントラサイトとシルバーのトーンの対比が、視覚的な深みと劇的なコントラストをさらに強調しています。


レゾナンス(共振)とは ?
What is Resonance?
ウォッチメイキングにおいて、共振の状態は、2つのムーブメントをひとつのケースに収めることで生み出されます。これにより、両方のムーブメントのテン輪がほとんど感知できない振動を互いに共有し、リアルタイムで自然に影響しあい調整されるようになります。この共有によって、2つのテン輪が完全に同期し、自然な共振状態で互いに調整しあうことで、重力や手首の動きによる時計精度への悪影響を打ち消すことができます。共振状態を維持できる時計の主な利点は、一貫した計時を維持し、計時精度を最大化にできることです。クロノメトリックな一貫性とは、時計が毎日正確に同じ秒数だけ進み、または遅れることを意味します。クロノメトリックな一貫性は、海上航行において経度をより正確に計算するために一貫した計時を必要とする「経度問題」を解決するために、歴史的に何百年にもわたって追求されてきました。


アーミン・シュトロームのレゾナンスへのアプローチは、他のものとどう違うのでしょうか ?
How is Armin Strom’s approach to Resonance different from others?
アーミン・シュトロームのレゾナンスへのアプローチは、いくつかの点で他のレゾナンス機構搭載の時計とは根本的に異なります。アーミン・シュトロームのレゾナンス・ウォッチは、アンティド・ジャンヴィエのレゾナンス・クロックにヒントを得た「クラッチ・スプリング」と呼ばれる特許取得済みの専用サスペンション・システムを使用して、テンプ間の振動媒介として機能します。これは他の多くのレゾナンス機構搭載の時計が、ムーブメントのメインプレートなどの既存部品に依存して振動を伝達する方法とは対照的です。アーミン・シュトロームの革新的なアプローチは、その耐干渉性により、レゾナンス現象を活用して、腕の動き、重力、温度変化などの外部要因によって引き起こされる振動率の偏差を事後に修正するだけでなく、事前に防ぐことができます。(他のアプローチでは、影響を受けたテンプが最終的に共振状態に戻るのを待つことになります)。これらの理由から、他のアプローチでは、アーミン・シュトロームのレゾナンス時計と同じ耐久性、予測可能な計時上の利点、および計時上の一貫性を提供することはできません。この差別化されたアプローチにより、アーミン・シュトロームのレゾナンス時計のツインテンプが、あらゆる位置で同期を保ち、干渉に対する耐性を持ちながら、卓越した計時上の一貫性と精度を非常に効果的に保証します。

マスター・ウォッチメーカーで共同創設者のクロード・グライスラーは次のように述べています。
「ホイヘンスは、振り子時計間で必要な振動を伝達するために木製の梁を使い、アンディード・ジャンヴィエは振り子のサスペンションを共有していました。彼らの業績は、1665年にホイヘンスが壮大に想像した、外部からの干渉に対する耐性を実現するために、レゾナンス機構搭載の腕時計の2つのテンプ間で振動を確実に伝えるための専用サスペンションを開発するインスピレーションを与えてくれました。」


【技術仕様】
デュアルタイムGMTレゾナンス ファースト・エディション
Reference:no. WG24-DT.90
価格 : 24,200,000円(税込予価)
25本の限定生産

表示 : 2つの独立した時刻表示。時・分 ナイトアンドデイ表示
・左のリューズで左側文字盤の時刻設定。
・右側のリューズで右側文字盤の時刻設定とムーブメントの巻き上げ。
ムーブメント:アーミン・シュトローム マニュファクチュール キャリバーARF22(手巻き)
・アントラサイトPVDコーティングのメインプレート
・調速機構 : レゾナンス・クラッチ・スプリングで接続された2つの独立した調速機構
・パワーリザーブ:約42時間
・ムーブメントサイズ:34.15 mm x 4.92 mm
・振動数:3.5 Hz (25,200 vph)
・石数:40
・コンポーネント数:231
ケース:18Kホワイトゴールド
・反射防止加工がなされたサファイア・クリスタルのトップとケースバック
・直径:39 mm 厚さ:9.05 mm
・防水性能:5気圧防水
ダイヤル:グレナージュ仕上げスカイブルーのダイヤル / アジュラージュ仕上げのチャプターリング / ポリッシュ仕上げ、バトン型アプライド・インデックス / ロジウム・プレイトのナイトアンドデイ・ディスク
・針:面取りしたポリッシュ仕上げ、ロジウム・プレイト
ストラップ:スカイブルーのステッチが入ったマットグレーとパールグレーのステッチが入ったライトグレー
・2本のアリゲーター・ストラップ / 18Kホワイトゴールド製のピンバックル



【お問い合わせ】
株式会社 ノーブルスタイリング
〒153-8580 東京都目黒区三田1-4-1
ウェスティンホテル東京 1F
Tel:03-6277-1604 Fax : 03-6277-1689



[アーミン・シュトローム]
アーミン・シュトロームは、スイスのビール / ビエンヌに拠点を置く独立系の時計会社です。アーミン・シュトロームのタイムピースは、スイス・ジャーマンの時計の伝統、前衛的な「透明なメカニズム」、そして時計の革新への断固たるコミットメントが独自に融合しています。少量生産と職人的なアプローチを実践するこのブランドの時計の特徴は文字盤側の露出したムーブメント機構にあります。すべてのパーツは最高の高級時計製作の基準に合わせて手作業で仕上げられています。アーミン・シュトロームは、手作業によるスケルトン化に取り組んだ伝説的人物、アーミン・シュトローム氏によって1967年に設立されました。2006年、シュトローム氏の遺産を引き継いだマスター・ウォッチメーカー、クロード・グライスラーと実業家のサージュ・ミシェルが共同でブランドを活性化し、2009年にはブランド初の完全に統合されたマニュファクチュールを開設しました。現在ブランドは、自社で時計の設計、開発、フライス加工、エンボス加工、ガルバニック処理、手作業による仕上げ、アセンブルを行っているため、サプライチェーンに頼ることなく、もっとも複雑なアイデアを実現できるようになっています。