日本橋三越 OPENWORK WATCH FAIR 直前レポート~「オープンワーク」の世界

 By : CC Fan

シェルマンさんからアナウンスされた日本橋三越で開催されるイベント
、「OPENWORK WATCH FAIR~時を解き放つ美。個性際立つ、オープンワークウォッチの世界~」。
開催に先立ち、出展される作品群を拝見するとともに、イベントについてお話を伺えましたのでレポートします。



まずはイベントのテーマである「オープンワーク」について、似たような概念である「スケルトン」が通常のムーブメントを改造して構造が見えるようにしたものに対し、最初から見せることを考慮した設計を行い、「見せることありき」の構造を持つものを「オープンワーク」と定義しました。
設計段階から意図しているため、ベースありきのスケルトンよりもさらに踏み込んだ表現を行うことができる…と言う事です。

そのオープンワークの考えに沿って作られ、フェアのビジュアルでもセンターを飾るのがチャペックのプラス・ヴァンドーム コンプリシテ スターダスト コバルトです。



ベルナルド・レデラー(MHM社)とのコラボレーションによって実現した二つのテンワの速度平均を算出する差動歯車機構を文字盤側に可視化しています。
二つのテンワはチャペックの象徴的なデザインの懐中時計No.3430の二つのサブダイヤルを思わせる位置に、「主役」たる差動歯車機構は12時位置に堂々と配置されています。

差動歯車機構と輪列を支えるブリッジは透明のサファイアクリスタルで作らているため、遮られることなくメカニズムの動きを堪能することができます。

既存の構造を見せたのではなく、魅せることありき、のオープンワーク作品と言えるのではないでしょうか。



ケースバック側はまた異なった風景が広がります。
差動歯車機構の入力軸からインダイレクトセンターセコンドをスマートに駆動する機構と、ダブルバレル、そしてレデラーの世界観との繋がりを感じさせる古典的なコハゼが備えられています。



より「透けて」いるのはアンタークティック レヴェラシオン。



スケルトナイザーのアーミン・シュトローム氏にルーツを持つアーミン・シュトローム。

現在の二人のファウンダーが事業を引き継ぐときにマニュファクチュール化を行い、フェアの方向性と同じ「透けていることありきのデザイン」という方向性でムーブメントを制作してきました。
レトログラードオンデマンドカレンダーというユニークな機構を持つオービット(左)と1週間巻きの初作ワンウィークを改めて進化させたワンウィークファーストエディション(右)です。



ペキニエの「顔」になりつつあるサファイアと金属を組み合わせた文字盤のサフィール、それをさらに推し進め、文字盤を完全にオミットし、ムーブメントのペルラージュ装飾を押し出したロワイヤル サフィール ペルラージュ(中央)、クロノスイスの伝統的なオーパス・クロノグラフ(右)、ムーブの構造を活かしてタコを表現したクドケのクドクトパス(左)。



肉抜きを行って内部構造を見せる、に対して各ブランドが異なるアプローチで取り組んでいることが分かり、並べて比較するのも楽しいです。



タコが機構とうまく融合しているのが分かります。



チャペックでは、スプリットセコンドクロノグラフ機構を文字盤側に可視化したアンタークティック ラトラパント・アイスブルーも。



モノプッシャークロノとスプリットセコンドという機能を補完するコンビネーションです。



「前回」からサインが増えた?と伺ったところ、ペキニエのデザイナーの方がふらっと訪れたそう。

「オープンワーク」という一つのテーマに対して、各ブランドの取り組みの違いを楽しめるフェア、是非ご参加ください。

【イベント概要】
OPENWORK WATCH FAIR ~時を解き放つ美。個性際立つ、オープンワークウォッチの世界~ @日本橋三越店
会期:2025年6月4日(水)~7月1日(火)
会場:日本橋三越店 本館6階 ウォッチギャラリー/cal.BAR
お問合せ先: 03-6225-2134