ノモス グラスヒュッテ:第20回 三越ワールドウォッチフェア レポート

 By : Kingfisher

ご無沙汰しておりました、Kingfisherです。

さて、先週末、三越ワールドウォッチフェアに参加してまいりました!
(こういうイベントは敷居が低くて本当にアリガタイ…)

エレベーター側から会場に行くと…



光の加減で案内が見づらいですが、ここでフラッシュ撮影すると何かが起こるらしい!!
(なんかちょっと薄っすら見えちゃってもいたのですが)



すっごーい!!
(冷めちゃダメ。こういうのは楽しまなくっちゃ!)


さて、会場には様々なブランドが。週末だったこともあってかなりの混雑です。

一通り物色したあとで、今回目を付けていたブランド、ノモス・グラスヒュッテへと向かいます。


ノモスについては既に皆さんご存知だと思います。その名の通り、ドイツ・グラスヒュッテに拠点を置く、バウハウス調のシンプルなデザインが特徴的なブランドです。仕上げの良さや、マニュファクチュールでは考えられないような価格を実現しており、毎年魅力的なモデルを発表しています。


実はノモスには特別な思い入れがありまして、私の時計趣味の原点といいましょうか、コイツが私を時計沼に引きずり込んだ張本人なのです(笑)
そういうわけでちょっと昔話を……

高校生のころ、G-SHOCKが欲しくなってネットショップを徘徊していた時のこと……そのバナーにノモス・タンジェントの広告が。「なんや、えらいシンプルやけど洒落た時計やな…」と思いまして開いてみると、G-SHOCKとは対極に位置するような、洗練されたシンプルなデザイン、高校生の常識を超えた価格(高校生には20万は大金!!いや、今でも大金ですが……)、そして何より、シースルーバックから見える美しい仕上がりのムーブメント!! ネジ一つさえも美しい!! 大袈裟でなく未知の領域を知ってしまった感がありました。

なにより、電池が要らない!? 回路で動いてない!? 
当時は機械式時計の存在すら知らなかったので度肝を抜かれました。(その後、父親のロレックスも機械式だということを知って、己の無知を悟りました……)


そういう事情で、ずっと注目していたノモスを今回取材できるということで、感慨無量なわけであります。
なので、今年の新作に限らず、展示されていたモデルを幅広くレポートしていきたいと思います!

ノモスの魅力の一つに、今では珍しくなってしまった(といっても最近回帰傾向にあるようですが薄型・小径という点が挙げられると思います。



(うーん、ピン写を撮ってくるんだった…真ん中なんか裏返ってるやんけ(-"-)。すみません、こちらでご容赦ください)

左から、ラドウィッグ・ネオマティックテトラ・ネオマティックタンゴマットです。
ネオマティックと呼ばれるモデルは、もれなく自動巻きを意味します。またタンゴマットも自動巻きモデルですから、上の3本の時計はすべて自動巻きということになります。

こうして並べたのは、薄さを見てほしかったから。



こちらがタンゴマット



そしてこちらが、ラドウィッグ・ネオマティック

おわかりいただけますか?ラドウィッグ・ネオマティックの方が若干薄くなっているのです。その秘密はムーブメントにあります。タンゴマットとネオマティックでは搭載ムーブメントが違うのです!

タンゴマットは自社製ムーブメント・エプシロン(厚み4.3mm)であるのに対し、ネオマティックは同じく自社製の新世代キャリバーDUW 3001(厚み3.2mm)を搭載しているのです。この新型ムーブメントのすごいところは薄さだけにあらず。一般的なムーブメントが20%近い動力伝達効率のロスを生んでいるのに対し、DUW3001では、94.2%の動力伝達効率を誇り、ロスはわずか5.8%!この差は歴然、精度にも影響しています。

※ムーブメントについては以下のノモスの日本語サイトを参照しました。マニュファクチュールとしてのノモスの実力・情熱に触れることのできるページです。ぜひご参照ください!

エプシロン:https://www.nomos-glashuette.com/ja/the-movements/automatic/e-epsilon/#c1970

DUW3001:https://www.nomos-glashuette.com/ja/the-movements/automatic/duw-3001/#c1966

いや待てよ?タンゴマットとラドウィッグはそもそもシリーズが違うしケース形状が違うから比べるのはフェアじゃないだろう……そう思われた方も多いはず(実は私も記事を書きながらそのことに気付きました汗)

ではでは、画像の用意はできませんが、従来のムーブメントのラドウィッグ・オートマティックとラドウィッグ・ネオマティックのスペックを引用しておきましょう。

ラドウィッグ・オートマティック:直径40mm、厚さ8.4mm

ラドウィッグ・ネオマティック:直径36mm、厚さ6.95mm

どうです!違いは歴然!(ちなみにタンゴマットは8.3mmでした。やっぱり薄い!)



ひっくり返っちゃったままじゃかわいそうなのでテトラ・ネオマティックの正面も。ネオマティックシリーズってことで、カラーリングはラドウィッグ・ネオマティックと同じです。

ノモスの魅力の一つに、「角形時計の選択肢の広さ」があると思います。角形モデルって、決して多くはありませんよね。この価格帯で角形を選べるのって、カルティエ、ボーム&メルシエ、フレデリック・コンスタント、オリスくらいで、さらにその中でも少数って感じじゃないですか? ノモスはこの角型のテトラシリーズをかなり充実させています。



お次は今年の新作、クラブ・キャンパスです。



このモデル、以前当サイトで扱っているのでそちらも参照ください! →https://watch-media-online.com/news/549/

やっぱり実機を見るのって大事ですね。裏側ご覧ください。



10ATMの表記のとなり、クジラの絵が描いてあります! かわいい! なんかほっこりしました! 隠し要素(?)なのでしょうか。
新しい門出に旅立つ人に贈ったり、人生の節目の記念時計というコンセプトを持つこのキャンパス シリーズの裏蓋には、ご自分で考えたメッセージを刻印することが可能というサービスもあるのです。
実機に触れる大事さって、クジラが発見できるだけではありません。このグレーのストラップ、ものすごく柔らかい!

ノモスのストラップはだいたいコードバンで硬いですが、このストラップ、着ける前から柔らかく、着け心地がいいんです。ベロアレザーとのことです。カジュアルでもありシックでもあり。コンセプトをよく表している気がします。

そういうわけで、値段もお手頃、183,600円(税込)となっております。プレゼントにちょうどいい!


続きましてはチューリッヒ・ワールドタイマー・トゥルーブルー



実はこの記事を書くまで、チューリッヒというのはワールドタイマーの搭載されたモデルだと思い込んでいましたが、チューリッヒ・シリーズにはシンプルな三針モデルも存在します!!というかむしろ、そっちがベース……ラグがしっかりして、ノモスにしてはエッジが効いた感じなのと、バーインデックスがアップライトなのがチューリッヒ・シリーズの特徴です。

さて、これはワールドタイマーなのでインデックスはなく、国名が記されています。ホームタイムに赤いちっちゃい家が描いてあるのがかわいいですね。その部分がもこっと膨らんでるのも愛嬌があります。バウハウス調でワールドタイムをデザインするとこうなるのか! という驚きがあります。過度にキレてるわけでなく、しかし必要なことはそつなくこなす……機能美を備えながら、人を威圧するような雰囲気がありません。こちらは680,400円(税込)


そしてトリを飾るのはこの時計!



ゴールドウォッチ、ラムダです!

その名の通り、ケース素材をゴールドで作っており、このシリーズはノモスの中でもとびぬけて価格が高いです。(値札がちらっと見えますね)そういうわけで、陳列も格上。特等席に鎮座していました。
2013年にファーストモデルが発表されたシリーズですが、このお値段のせいもあってか、国内の正規店でもはなかなか実機を見ることがかなわないという、いろんな意味で、貴重なモデルですね。



文字盤の12時側にある針はパワーリザーブです。文字盤を大きく占めており印象的。ツインバレルにより84時間のパワーリザーブを誇ります。スワンネックに、テンプはちらネジ付き。ノモスがグラスヒュッテ様式に本気を出した。もうこれに尽きるのではないでしょうか。それまでずっとバウハウスデザインを身にまとってきたノモスが、こんな壮麗なデザインに舵を切れるとは……




ノモス、いかがでしたでしょうか。
私はこのブランドは「爪を隠した鷹」ならぬ「爪を隠したフクロウ」なのではないかと考えています。フクロウみたいにかわいいけれど、その下に鋭いセンスと確かな実力を兼ね備えているブランドなのです。



ここからはノモス関係なく余談なのですが、やはり店員さんと直接話をすると、いろんな情報が手に入ります。ここに書いていいのか不明なので名前は伏せます(勘のいい人ならピンとくるかも!)が、某ブランドが、90年代に、特に中東でヒットしたモデルを、クオーツモデルとして再発表したモデル、なぜかこれまでクオーツしか発表されなかったので、「機械式はなぜつくらないのか」と尋ねたところ、「来年のバーゼルで……」という有益な情報を得る事ができました! そんな三越ワールドウォッチフェアは今週末で終了です! ぜひ皆さん、お見逃しなく!



記事の執筆にあたって、ノモス・グラスヒュッテの公式HPを参照しました。

https://www.nomos-glashuette.com/ja/