ユリス・ナルダン フェア 実機レポート

 By : Kingfisher

はじめまして!Kingfisherと申します。

これまでにいくつかニュースを投稿しており、名前だけはご存知の方もいらっしゃることと思います。
ニュースしか投稿しないし、ブログ記事も書かない……不審に思われていた方も多いでしょう。これまできちんとした自己紹介もプロフィールもありませんでしたので「お前誰やねん!」と思われていた方も多いのではないでしょうか(笑)

遅まきながら自己紹介いたしますと、WatchMediaOnlineにて、運営の補助業務をさせていただいております、時計大好きな大学5年生でございます。

そうなのです。これまでブログをほとんど書いていなかったのは、私がまだ大学5年生でありまして、大したコレクションも知識もない中、見識深い読者の皆さまに対して蘊蓄垂れるなど言語道断けしからん、などと勝手に縮こまっていたのですが……

ことの経緯は先日の運営MTGにおいて編集長a-lsさんから、「君いつもユリス・ナルダンのニュース担当してるし、だいぶ詳しくなったでしょ!参加してみない?」とお誘いをいただいたことに始まります。

これまで、東京・中野のブロードウェイの中にある時計店のような、扉がなくて出入り自由で、大学生ルックな服装でもふらっと入れる雰囲気のお店にはちょくちょく通ってガラスケースにへばりついて鼻息で曇らせながら眺める(店員さんすいません、ほんとすいません)、ということはしていたのですが、ピシッとした雰囲気の、ましてやホテルで行われるようなイベントには参加したことなど一度としてありませんでしたので、これはまたとない機会と思い、時計オタクの血が騒ぎまして二つ返事で「いきます!」と返事をしました。

さすがに初めてのイベントで一人参加はハードルが高いこともあり、a-lsさんと日程を合わせていただき、一緒に参加することになりました。ですので、今回の記事で触れなかった点については、後日a-lsさんの方から追加記事が投稿されるかもしれません。ここで紹介する時計も、展示会場にあったすべてではありません。初めてのブログ記事、至らぬ点も多いかとは思いますが、精いっぱいやらせていただきますので、どうぞお手柔らかにお願いいたしますm(__)m



さて、前置き無くなりましたが、取材したのは、ザ・アワーグラス銀座店様が主催する、ユリス・ナルダン フェア。
以前ニュースを投稿しましたので詳細は以下をご覧ください。
https://watch-media-online.com/shop_news/749/

会場はパレスホテル東京の一室。室内の全景をとれば雰囲気が伝わるのですが、緊張しており「写真撮っていいですか」
を言い出すタイミングを逃しました(笑)

ですので早速ですが時計の話を。


まず最初に拝見したのはレディースのジェイド・シリーズ。



ライオンフィッシュ(手前)のほうは当サイトでもニュースを投稿しましたね!
https://watch-media-online.com/news/688/

ライオンフィッシュというのはミノカサゴのことのようです。(あっちなみにKingfisherというのはカワセミのことですよ←どうでもいい)
奥にあるものはクラゲをモチーフにしています。どちらもエナメルの技法を用いており、繊細な技術を感じることのできる精巧な文字盤でした。真円ではない、オーバルケースが女性らしい印象。




ちなみに、ジェイドという名前ですが、案内してくださったユリス・ナルダンの方曰く、かつてのジェイド・シリーズは、ベルトを取り付ける「ラグ」の部分の形が「猫耳」の様になっており、そこにジェイド(ヒスイ)を埋め込んでいたからこの名前がついたのだそうです。が、あまり人気がなかったためにヒスイを埋め込むことはしなくなり、現在のようなシンプルなラグになったとのことでした。(あっちなみにヒスイは漢字で書くと「翡翠」と書きますが、「カワセミ」もまた「翡翠」と書きますよ←どうでもよくなかった!!)

ジェイド・シリーズは女性に嬉しい機能が盛り込まれていまして…



リューズの下のプッシュボタンを押すことによって、リューズを引き出すことなく、そのまま回して時刻合わせ、日付合わせもできるようになっています。爪を痛めません。文字盤の三時位置にある針は、プッシュボタンに連動します。





さて、お次はグランフー・エナメルの波模様が美しいクラシコ・マニュファクチュールです。



この波模様は、下のような波紋の入った金属プレートの上にエナメルを施すことで作られます。




角度によって魅せる顔の変わってくる、飽きない文字盤です。






こちらはクラシック・デュアルタイム・エナメル


デュアルタイムって使い方が複雑なものもありますが、これは相当使いやすさにこだわって作られています。9時位置がホームタイムで、左側のプッシュボタンで簡単に時針を操作できます。ビックデイトの配置も特徴的ですね。もちろん文字盤はエナメル。





あわわ…傾いてるけど私のせいじゃない。クラシコ・ポール・デヴィッド・ナルダン

これは写真が傾いてるんじゃなくて、時計自体が傾いてました(笑)
(ニュースはこちら:https://watch-media-online.com/news/645/

ユリス・ナルダンには珍しくシンプルです。シンプル3針シリーズのクラシコの中でも一番シンプルです。ポール・デヴィッドというのは創業者、ユリス・ナルダンの息子です。この時計は復刻モデルで、サイズはオリジナルより少し大きくして39mm。



ケースはスラリ、風防はふっくら。私は結構このボックスクリスタルが好みなのでグッときました。







つづきましてこちらはかなりの大物です。アレキサンダー・ザ・グレイト。(名前からして強そう…)


ウェストミンスターチャイム、ミニッツリピーターにトゥールビヨン。そしてオートマタなので
兵士が闘ってくれます!!今まさに殺し合わんとしていますが音色はとっても平和です。


緊張もほぐれてきたので、ちゃんと今度は「動画とっていいですか?」って言えましたよ!
(不自然な中腰で足がプルプルしてたためにブレが少々……)










この時計、どんな機能があるかわかりますか?その名もストレンジャー



文字盤上部のディスクはオルゴールになっているんです!ここが回転して音を奏でます。ありそうでなかった機能です。
シリンダー型のオルゴールを内蔵した懐中時計などはこれまでにもありましたが、ディスク型のオルゴールは非常に珍しいです。








さて、こちらはフリーク・シリーズ。



フリークはかなり奇抜なデザインと機構を備えています。時針の載った文字盤が丸ごと回転して時刻を表示し、分針は輪列の上に載っており、つまり輪列は分針とともに回転する、カルーセル機構なわけです。これによってどんな効果があるかというと、トゥールビヨンと同じく、姿勢差を解消できるのです。

フリークの奇抜さは時刻表示だけにとどまりません。私は言われるまで気づかなかったのですが、リューズがない!!
リューズを守るためにケースサイドに埋め込んでいるとかそういうことでもなく、リューズはありません。

じゃあどうやって時刻合わせを行うのか。ここでこの、何も書かれていないベゼルが機能します。(なんの表示もないベゼルというのも、よく考えたら奇妙なものですが、これも言われるまで気づきませんでしたね……)
6時位置の、ベゼルとラグの間に位置しているロックを外すと、ベゼルが自由に回転するようになります。これによって時刻を合わせるのです。どっち回しかは失念しましたが、反対方向にまわすと日付が変更されるようです。

また、巻き上げも特殊で、今度は時計を外して、ケースバック側から行います。ケースバックをぐるぐると回転させるのです!巻き上げのための専用器具もありますが手でもいけます。巻き上げのためにいちいち外さなきゃいけないなんてメンドクサイ時計……と思うことなかれ、7日巻きです。

ちなみに、現在シリコン素材が時計製造においてキーパーツとなりつつありますが、このフリークは、世界ではじめてシリシウムを使用した時計であり、革新的な技術開発と近未来的デザインが見事に融合した時計であると言えます。

(しかしこの時計、何も教えずに人に渡して、どういう挙動をとるかというのを観察したら面白いんじゃなかろうか。人間の知性が試されている……)









こちらのモデルにも触れないわけにはまいりません。エナメル文字盤を採用しながら、トゥールビヨンものっけてしまって324万円という、プライス・デモリッシャーなモデルマリーン・トゥールビヨンです!!

(以下、過去に投稿したニュースです)
https://watch-media-online.com/news/500/




これに価格で太刀打ちするのは非常に困難なのではないでしょうか…ユリス・ナルダンの意気込みを感じます。







さて、非常に魅力的なモデルを多数お見せいただいたわけですが、若輩で不肖なKingfisherめにはそのすべてを紹介するには役不足&スタミナ不足(←おい)であり、そろそろトリを飾るモデルのレビューをしたいと思います。私が今回一番グッときたモデルはこちら!



ダイバー・ル・ロックルです!

https://watch-media-online.com/news/627/
(こちらも過去にニュース投稿済み。自分が投稿したニュースの時計を腕に載せる日が来るとは……感慨無量です)



2017年は全体的にどのブランドも復刻が目立ち、この時計もまた1964年のモデルの復刻であります。

まず、この時計が他のダイバーズウォッチと一線を画している最大の効果をもたらしている部位。それはラグにあります。ラグが平面で構成され、特徴的な角度がつけられています。これによって、全体としては華奢なラグにすることもなく、見る角度によってシャープな陰影がうまれ、野暮ったい印象を遠ざけることができているのです。ベゼルのある時計は往々にして、張り出したベゼルのために縦にも横にも膨張したような印象に仕上がってしまいます(これは、潜水時計という機能を考えれば仕方のないことでもある)が、ダイバー・ル・ロックルは、ベルト側に向かって細くなっていくような角度のラグの取り付けのおかげで、スリムでスマートな印象に仕上がっています。

文字盤と風防に目を向ければ、最近では珍しくなったサイクロップスレンズと、丸く膨らんだボックスクリスタルガラス、少し日焼けしたようなインデックスの色が、あたかも昔から寄り添ってきたようなヴィンテージさを醸し出します。




ところで、私がこの時計をピックアップしたのには、実はもう一つ理由があります。

あの場にいくつもある名機のなかで(これが名機ではない、と言いたいのではなく、世間的に注目度の高いものはもっと他ににある)、これを選んだ私は、もしかしたら相当な変わり者なのかもしれません。なぜなら、このモデルはユリス・ナルダン的なデザインの潮流(マリーンやフリークなど)からは大きくかけ離れており、アイコニックなユリス・ナルダンのモデルではないでしょう。

私がこの時計を選んだ理由。それは私が今回このような展示会に初めて参加し、これまでガラスケースか、液晶の向こう側でしか見たことがなく、触れたことのなかったモデルを実際に手に持ったときに受けた、大きな衝撃というものを、読者の方々にお伝えしたいと思ったからです。

私がこのモデルのニュースを投稿したとき、正直に言って、私は特にこのモデルに対して何も感じませんでした。ダイバーズ・ウォッチというものはその機能美故に似たようなデザインになりやすいし、個人的には、私はベゼルのある時計というものが好きではありません。ベゼルによって文字盤の輪郭がぼやけてしまうし、横から見たときのシルエットがどうにも気に入らず……そして何より、42mmというサイズでした。
それまで、私は手首が細いということもあり、40mmが限界だろうと考えていました。(最近デカ厚の流れが変わり始め、薄型・小径の時代に戻りつつありますが、私にとっては冬の時代でした。)42mmというサイズは、その時点で対象外となっていたのです。

しかし今回実際に腕にはめてみて、想像以上に腕ノリがいいことに驚いたと同時に、画面越しには伝わってこない、質感や心地よい重さなど、「オーラ」とも呼ぶべき風格を直に感じる事ができました。時計には確かに「オーラ」があります。(オーラなどという便利な言葉で片付けてしまうあたり、まだまだ未熟なのですが……)そしてそのオーラにやられてしまい、手に取ってすぐ直感的に「これは欲しい!!」と、考え方が一気にひっくり返りました(笑)
よく編集長であるa-lsさんに、「腕時計は触って、着けてみないとわからない」ということを言われていましたが、その言葉の意味がよくわかりました。



以上で私のレビューは終わりになりますが、腕時計は実物に触ってみてこそのものです。私よりも先輩の読者の皆様に私からいえることではないかもしれませんが、まだ腕時計を好きになり始めたばかりの方には是非、実物を触っていただきたいと思いました。

また、WatchMediaOnlineは一般の方にもレビューやブログをお書きいただけます。大学5年生(お父さんお母さんすみませんでした)の私でも、拙筆ではありますがこうしてブログを書いております。ぜひ、皆さまも気兼ねなくご投稿ください!