ヴァシュロンコンスタンタンのレ・キャビノティエ部門からユニークピース 「レ・キャビノティエ・グリザイユ -アオウミガメ-」~エナメルで描く"レ・ロワヨーム・アクアティック(水の王国)"の世界

 From : VACHERON CONSTANTIN (ヴァシュロン・コンスタンタン )






"レ・ロワヨーム・アクアティック(水の王国)"
レ・キャビノティエ・グリザイユ -アオウミガメ-




海底の不透明さの中に、光と影が織り成すことで動物や植物の姿が浮かびあがります。「レ・キャビノティエ・グリザイユ -アオウミガメ-」は、特別な場面をダイヤルに再現したユニークピースで、サンゴをあしらった海洋装飾の中にアオウミガメが描かれています。このウミガメの描写には、ミニアチュール・エナメルとグリザイユ・エナメルの2つの希少な技法が用いられています。また、ケースバックがオフィサータイプの直径40㎜、18Kホワイトゴールド製のケースには、ヴァシュロン・コンスタンタンの開発製造による自動巻きキャリバー2460 SCが搭載されています。



2億年前に出現したとされるカメは、地球上で時間をかけて進化してきた動物であると同時に海の象徴的な生き物です。ユニークピースとして展開する「レ・キャビノティエ」のためにヴァシュロン・コンスタンタンが2022年のテーマとして選んだ "レ・ロワヨーム・アクアティック(水の王国)"において、この非常に特別な動物を創作のインスピレーション源として外すわけにはいきませんでした。
幸運と長寿の象徴とされるカメは、海が舞台になった数々の寓話や伝説に登場します。とりわけ有名なのは17世紀のカリブ海のバッカニア(海賊)が隠れ家としたトルトゥーガ島をめぐる話しです。また、アメリカ先住民たちのアメリカ大陸の創設神話にも「亀の島」が登場します。

より魅力的なダイヤルにするために描かれたアオウミガメは、絶滅が危惧される草食動物で、体重はおよそ100キロ、甲羅の長さは1メートルを超え、海藻やサンゴに彩られた海の中で優雅に泳いでいます。この自然主義の絵画を作りだすためにヴァシュロン・コンスタンタンの熟練したエナメル職人は、まずミニアチュール・エナメルの技法を用い、次にグリザイユ・エナメルでこの場面に深みを与えました。18Kホワイトゴールドのケースにセットされたこのダイヤルの上では、自動巻きムーブメント、キャリバー2460 SCによって時針と分針、秒針が動いています。



巧みな光と影の演出
「レ・キャビノティエ・グリザイユ -アオウミガメ-」のダイヤルは、目を見張るほどに深いブルーの海の中へと飛び込んでいくかのようなデザインです。エナメル加工の高度な技術を駆使したこの作品は、海中の豊かな表情を表現することに挑戦しています。太陽の光が部分的にしか届かない海底では、視界が不透明で、まるでベールに覆われているかのように見えます。色は消え、代わりに光と影が織り成す光景は、まるで海底に浮かぶ夜空と月のような印象を与えます。ここで用いられた技術は、明暗法を生かしたイリュージョンにあります。それを行うために熟練職人はまずミニアチュール・エナメルでダイヤルに絵を描きます。17世紀に「ジュネーブエナメル」の名声を築いたこの技法は、エナメル釉薬と窯での高度な焼成の技術が求められます。金属酸化物の粉末と溶剤を混ぜ合わせたエナメル釉薬を、表面に定着させるために摂氏800度以上の窯の中で何度も焼成します。焼成の作業をおこなうたびに、その艶や色合いが変化するため、微細な気泡が生じるなどのリスクがともないます。

第一段階は、影が影としてそのまま残らないように心がけながら、影の形で絵画を描くことです。熟練職人は、半透明のエナメル地の上に、黒と青を混ぜた釉薬で3層の基本的な層を重ねていき、次にカメや海藻、サンゴの輪郭を紫のトーンで描きます。相対的にぼんやりした印象を残しながら、モチーフを完全な形にするために、ここでも4回の窯入れがおこなわれました。次にエナメル職人は、ラッピングという研磨をダイヤルに施してから、ミニアチュール・エナメルの絵に光を当てるために、別の技法、すなわちグリザイユ・エナメルを用いました。16世紀に登場したグリザイユ・エナメルは、リモージュホワイトと呼ばれるホワイトエナメルの粉をダークカラーの背景に重ねる技法です。層を重ねる度に窯で焼きますが、その時間には決まりがあり、ほぼ秒単位です。さらに10回ほどの焼成でカメとその生息環境が形作られます。そして120時間にも及ぶエナメルの作業を経て、ダイヤルに息吹がもたらされました。ダイヤルのあらゆる部分に見られる高度な熟練技術は、細部に至るまで洗練された美しいこのミニアチュール画を追求する手法を昇華させました。




ヴァシュロン・コンスタンタン自社開発製造キャリバー2460 SC
自社製ムーブメント、キャリバー2460 SCは、全ての部品が美しい時計造りとその構成において不可欠な要素となるような高度な仕上げに特徴があります。このムーブメントは毎時28,800回の振動し、916/1000ゴールド製のローターにギヨシェ彫りで繊細な模様が刻まれ、約40時間のパワーリザーブを備えています。マニュファクチュールの自社キャリバーの偉大な伝統に則り、ブリッジには手作業で面取りとポリッシュ仕上げが施されています。また部品の側面を滑らかにするストレートグレイン仕上げも手作業で行われ、ネジも丁寧に磨き上げられています。地板は表と裏にペルラージュ、ブリッジはケースバック側にコート・ド・ジュネーブ模様の装飾が施されています。


このキャリバー2460 SCを収めるのは、直径40㎜の18Kホワイトゴールドで作られたケースに収められています。あらゆる部品の細部にまで施された丁寧な仕上げを鑑賞するには、オフィサータイプのケースバックを開けなければなりません。ヒンジによってケースバックの開閉が可能なオフィサータイプは、第一次世界大戦の時期に初めて導入されました。当時小型の蓋付き懐中時計をオフィサー(将校)にとってより実用的な腕時計に作り変えたのが始まりです。
「レ・キャビノティエ・グリザイユ -アオウミガメ-」には、ダークブルーのアリゲーターレザーストラップとホワイトゴールド製ピンバックルが付属されています。



“レ・ロワヨーム・アクアティック(水の王国)”
“レ・ロワヨーム・アクアティック(水の王国)”は、素晴らしい海の世界とそれにまつわる神話を描き出します。太古の昔から文明は、世界を形作るさまざまな要素を崇め、海や海洋の神々によって擬人化された水も崇拝してきました。その中で、ゼウスの兄弟で海を支配するポセイドンは、三叉槍を持ち、不屈の精神を象徴しています。しかし彼はたった一人で荒れ狂う波の上に君臨しているのです。
同じように、海にいるネレイスやナーイアス、サイレンといった神秘的な生き物は、ある時は妖精に、またある時は恐ろしい生き物となって船乗りたちの前に姿を現し、それらは海の伝説として広まりました。ワーグナーが描いたフライング・ダッチマン(さまよえるオランダ人)は、大航海時代や海賊が横行する時代、黒ひげの大胆な行為などに結びつきます。

科学的調査が行われても、海の謎は尽きません。実際、大海の海底調査も手つかずのまま、大部分は海図もありません。深海に潜ると未知の生物が発見され、その度に海底には巨大なイカが潜んでいるというような神話が生まれるのです。地球表面の4分の3ちかくを占め、生物の大多数を育み、地球の気候の80%以上を支配する海は、いまだにその秘密の多くが解き明かされていません。7つの海の謎めいた側面とそこに生息する素晴らしい生物たちは、時代を超えて人々を魅了する源泉であり続けています。詩人たちのインスピレーションの源、探検家たちの情熱、空想家たちの夢物語、博物学者にとって宝物になってきた海はまた、ヴァシュロン・コンスタンタンの創造をも育てました。そして今年、“レ・ロワヨーム・アクアティック(水の王国)”をテーマにレ・キャビノティエのタイムピースが誕生しました。


ヴァシュロン・コンスタンタンと海
ヴァシュロン・コンスタンタンの歴史において、海洋生物は豊かなインスピレーションの源になってきました。
なかでも湖や航海とは切っても切り離せない世界です。19世紀半ば以来、ミニアチュール・エナメルによる絵画や彫金で装飾した時計が特注で作られ、海の世界や自然、伝説上の生き物と強く結びついていました。当時、懐中時計に選ばれたテーマには、湖畔の風景や三角帆の船、停泊中のブリガンティン(2本マストの帆船)、イルカ、シードラゴン、人魚などがありました。また、技術的な点においても、精密な「機器」で名声を博すヴァシュロン・コンスタンタンは、海上での経度測定に不可欠な装備品として知られるマリン・クロノメーターを20世紀初頭には複数の陸軍部隊に供給していました。


●手彫りによる人魚があしらわれた18Kイエローゴールド製懐中時計。1910年頃

また1940年代に製作した舵のような形をした卓上クロノメーターは、より幻想的でありながら、海洋的な雰囲気を放っています。1937年に発表された懐中時計「ブラ・アン・レール」は、必要に応じて時間と分を表示し、彫金と宝石をあしらったモチーフ(カラベル船: 3本のマストを持つ小型の帆船)から「ラ・カラベル」と名付けられました。

●彫金と宝石をあしらったモチーフ(カラベル船: 3本のマストを持つ小型の帆船)から「ラ・カラベル」と名付けられた懐中時計「ブラ・アン・レール」。1937年


●舵のような形をした卓上クロノメーター。1938年

1996年に発表した「オーヴァーシーズ」コレクションは、コレクション名からインスピレーションを得て、海を越えて旅する精神を表現しました。ケースバックには、新世界の発見に乗り出した有名な探検家アメリゴ・ヴェスプッチが船長を務めたカラベル船の姿を刻み込みました。
2000年代初頭に登場した「メティエ・ダール」コレクションでは、装飾技法を称えるアプローチで水と水辺の動植物に関する自然主義的なテーマに取り組みました。2011年には「メティエ・ダール - ラ・サンボリック・デ・ラック-」の2作目として、蒔絵の技法を用いて水中の世界に焦点を当てた作品を発表しました。蒔絵は、まだ乾いていない漆(通常は黒漆)の上に金粉や銀粉をまぶしてモチーフを描く日本の伝統技法です。描かれたのは日本において長寿、幸運、強さを象徴する亀、蛙、鯉です。翌2012年は「メティエ・ダール」の転換点となる年でした。この年に発表した「ユニヴェール・アンフィニ」シリーズは、オランダ人画家コルネリス・エッシャーの表現に基づいた「水」をテーマにした作品で、ギヨシェ彫りとクロワゾネエネメルによって施された魚、彫金とシャンルヴェエネメルによって施された貝など、自然主義的な装飾に対する感性を持ちながら、現代的なアプローチを基本に据えながら表現されています。


レ・キャビノティエ:ユニークピースの創作
「レ・キャビノティエ」は、ヴァシュロン・コンスタンタンにおいて、グランド・コンプリケーションやユニークピースのパーソナライズに特化した部門です。この伝統は18世紀にまで遡ります。当時の時計職人は、ジュネーブの建物の最上階に設けられた光あふれる場所、すなわち「キャビネット」と名付けられた工房で働き、「キャビノティエ」と呼ばれていました。啓蒙時代の新しい思想を受け継いだ職人たちの手から、天文学や精密機械工学、芸術などから着想を得た比類ない時計が誕生しました。ジュネーブの偉大な時計づくりの伝統を築くことになったこの専門技術は、1755年の創業以来ヴァシュロン・コンスタンタンに脈々と受け継がれてきました。


THE ANATOMY OF BEAUTY(美の構造)
サンゴをあしらった海洋装飾で海を舞台に描かれたアオウミガメは、ヴァシュロン・コンスタンタンの細部へのこだわりが見事に体現されています。この並外れた労苦が求められる細部へのこだわりは、デザイナーの美的選択や好み、そして職人による入念な仕上げ作業によって表現されています。
ヴァシュロン・コンスタンタンの時計のあらゆる部品は、たとえムーブメントの組み立てが終わると見えなくなる部品であっても、細やかな配慮が行き渡っています。鋭い目の持ち主は、ダイヤルに施された繊細なギヨシェ彫りの模様や宝石、ミニッツトラックにセッティングされた宝石を見逃さないでしょう。またブレスレットのリンクには、メゾンを象徴するマルタ十字が象られていることも見抜くでしょう。トゥールビヨン・キャリッジで秒表示に用いられる小さな青焼きのスクリューやミニット・リピーターのハンマーのミラーポリッシュ仕上げにも気付くはずです。またプレートの面取りやブリッジの丸み仕上げに見られる職人の繊細なタッチを称賛し、稲妻に切り裂かれた荒海に翻弄される船を描いたミニアチュール・エナメルの絵画を賛美するでしょう。ヴァシュロン・コンスタンタンでは、何ひとつとして成り行きに任せず細部への気配りこそが美の構造を繊細に形作っているのです。




【概要】
2億年前に出現したとされ、伝説の生き物であるカメが、2022年の「レ・キャビノティエ」において自らの場所を見出しました。"レ・ロワヨーム・アクアティック(水の王国)"と題された今回のテーマは、海と海の世界にまつわる神話に捧げられたものです。この「レ・キャビノティエ・グリザイユ -アオウミガメ-」のユニークピースは、光と影で構成された海底の光景を描き、見ているものが海に潜ったかのようなイリュージョンを作り出す挑戦を挑みました。ヴァシュロン・コンスタンタンの熟練職人はまず、この明暗の世界を再現するために、ミニアチュール・エナメルの技法を用い、アオウミガメの姿を影のように浮かび上がらせました。次にダイヤルを明るく際立たせるため、グリザイユ・エナメルの技法を用いて、エナメルの層をうまく重ねながら自然の中で暮らすアオウミガメの姿を描きました。このミニアチュールの傑作を完成させるために、120時間かけたて18回以上も窯入れが行われました。
こと時計には、ヴァシュロン・コンスタンタンの開発製造による自動巻きムーブメント、キャリバー2460 SCが搭載され、時、分、秒を表示します。マニュファクチュールの自社キャリバーの偉大な伝統に基づき、ムーブメントの全部品は手仕上げで装飾が施されています。直径40㎜の18Kホワイトゴールド製のオフィサータイプのケースバックからはその丁寧な仕上げを見ることができます。
-レ・キャビノティエ部門から海と海にまつわる神話の世界に焦点を当てた新しいテーマのシリーズ
-芸術的な時計製造の専門技術を駆使し、海の象徴的な生き物であるアオウミガメを称えた、レ・キャビノティのユニークピース。
-ダイヤルには希少な技法であるミニアチュール・エナメルとグリザイユ・エナメルを用いて、海の生命力を描写。
-本シリーズから同様の専門技術を用いた別モデルも作製:クジラ、サメ。
-ヴァシュロン・コンスタンタンが開発製造した自動巻きムーブメント、キャリバー2460 SCを搭載。
-直径40㎜の18Kホワイトゴールド製ケース、オフィサータイプのケースバック。




【技術データ】
レ・キャビノティエ・グリザイユ –アオウミガメ-
リファレンス・ナンバー :2400C/000G-071C
ジュネーブ・シール :取得

キャリバー・ナンバー :2460 SC(ヴァシュロン・コンスタンタン自社開発・製造)
駆動方式 :機械式自動巻き
ムーブメント・サイズ :直径26.2MM×厚さ3.6MM
パワーリザーブ :約40時間
振動数 :4HZ (毎時2万8800回振動)
部品数 :182
石数 :27
表示  :時、分、センターセコンドによる秒
ケース :18Kホワイトゴールド
直径 :40MM×厚さ9.42MM
文字盤 :18Kゴールド、“グラン・フー”のミニアチュール エナメルとグリザイユ・エナメルで「カメ」を描写。18Kホワイトゴールド製の針
ストラップ :ダークブルーのミシシッピアリゲーターレザー。手縫いサドルステッチ、ラージスクエア・スケール
クラスプ  :18Kホワイトゴールド製クラスプ。ポリッシュ仕上げ半マルタ十字
付属ボックス :レ・キャビノティエ専用ボックス
ユニークピース :時計裏面に《LES CABINOTIERS》、《PIÈCE UNIQUE》、《AC》の文字を刻印




【お問い合わせ】
Vacheron Constantin
0120-63-1755(フリーダイヤル)