SIHH2018 アーミン・シュトローム ピュア・レゾナンス&ミラード・フォース・レゾナンス ハンドメイドダイヤル実機写真

 By : CC Fan
興味深い共振現象の可視化に挑戦し、"21世紀の新境地"を標榜するアーミン・シュトローム(Armin Strom)のミラード・フォース・レゾナンス(Mirroed Force Resonance)。
実機を見ることはなかなか叶わなかったのですが、去年のSIHHで偶然拝見することができました。

そして、今年はアーミン・シュトロームが小規模メゾンが集まるCARRÉ DES HORLOGERS(カレ・ド・オロロジ:時計の広間)に出展することになったため、偶然に頼らなくても新作を拝見することができました。

まずはミラード・フォースをより"精密さと高精度にフォーカス"させたというピュア・レゾナンス(Pure Resonance)です。



ミラード・フォース・レゾナンスが備えていた共振側の逆回転する秒針や秒針リセット用のハンマーとハートカム機構を潔く無くしてしまい、高精度に集中したモデルです。
秒針が2組あった理由は主に共振現象が起きている確認のためですが、レゾナンス・クラッチ・スプリングの振動として観察できるため、無ければ無いで特に問題はないと思われます。
これにより、オリジナルのミラード・フォース・レゾナンスよりも小さい42mmのケースに収めることができました。

また、一見するとただの三針時計なのにテンプを二つ備えることや、古典的な仕上げと最先端の共振システムが同居するというコントラストも非常に面白いです。



ムーブメントはミラード・フォース・レゾナンスのARF15から1番進んだARF16という番号がつけられています。



こちらはARF15、比較すると基本的なレイアウトは一緒ですが、リセット用のレバーなどがバッサリ削られていることがわかります。
また、レゾナンス・クラッチ・スプリングが一緒でムーブメント系が小さくなったため、相対的にスプリングの見ごたえが増しています。



こちらはケースバック側。
もともとプレートで全体を覆うような設計で、リセット機構は文字盤側に集中しているためあまり差異は感じられません。


こちらがARF15、機構は一緒ですが、仕上げがサーキュラー仕上げから、コート・ド・ジュネーブ仕上げに代わっています。



プレゼンテーション用のボックスはこのように機構の説明が載っています。



ケース厚みはあまり変わっていないように見えますが、直径が小さいためだいぶ小さく感じます。



ケースバック側から。
香箱がムーブメントの端ギリギリまで迫っているのがわかります。

このほか、スチールケースバージョンのWaterも同時に発表されました。

特徴的なレゾナンス・クラッチ・スプリングはシリコンなどの新素材ではなく、伝統的なスチール素材で作られています。
今回、作り方を聞いたところ、時計製造で使われるワイヤー放電加工機で抜いたのち、仕上げているという情報が得られました。
必要な精度を実現するために、加工機に投資し精度を上げたそうです。

Pre-SIHHとしてニュースを掲載済みのミラード・フォース・レゾナンスのハンドメイドダイヤルバージョンも勢ぞろいしていました。



ニュースに掲載されたギロッシェバージョンのほか、グランフーエナメルバージョンも。



個人的に一番好印象だったホワイトのギロッシェに青を組み合わせたデザイン。
他は個別写真を撮り忘れました…

ニュースや写真で見るよりギロッシェはエッジが立っており素晴らしい出来でした。
また、今までのアーミン・シュトロームデザインの針とは異なるクラシカルな針は好みです。
AとSを組み合わせたロゴが控えめに彫り込まれており、文字が少ないのも良いです。



これはギロッシェやエナメル文字盤、ハンドパイント文字盤の例。
ブラックエナメルも選べるようです。



マニュファクチュールを紹介する本もいただきました。

技術的面白さだけではなく、工芸的な美しさへも進化するアーミン・シュトロームのレゾナンスピース、これからも注目していきたいと思います。

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