Mirrored Force Resonance 実機遭遇!
By : CC FanSIHHでは出展しているブランドに関係ないブランド・業界の方々も"敵情視察"とばかりに歩いているのをお見掛けすることがあります。
基本的に招待制(今年は最終日のみ一般参加可能)の筈ですが、狭い業界なので色々あるのだろうと想像されます。
私も予期せず憧れていた方にお会いできたり、意外な方と再会出来たりと嬉しい出来事がいくつかありました。
そのような出会いの中から、2016年の新作で最も技術的に興味をひかれたものの、海外出張により日本のイベントに参加できず、実機を見ることが叶わなかったアーミン・シュトローム(Armin Strom)のミラード・フォース・レゾナンス(Mirrored Force Resonance)の実機を拝見できたのでレポートしたいと思います。
既にKIHさんが掲載しているイベントのレポートと被ることも多いですが、ご了承下さい。
アーミン・シュトロームのセルジュ・ミシェル(Serge Michel)氏とSIHHの小規模メゾンが集まるCARRÉ DES HORLOGERS(カレ・ド・オロロジ:時計の広間)にて再会し、その場で拝見させていただきました。
同行していた技術担当のクロード・グライスラー(Claude Greisler)氏に技術的な疑問点にも答えていただき、非常に有意義でした。

KIHさんのレポートでも気になった文字盤のデザインは、発表資料のイメージ(↓)と異なり、時分針がインデックスまで届いており、こちらの方が正式仕様とのことでした。
こちらの方が実用性もデザインも良いと思います。

ムーブメント写真から読み取った通り、12時側は共振させるためのだけの輪列で秒針以外は駆動せず、時分針は6時側の輪列のみで駆動されるそうです。
また、"ミラード"の名前の通り、輪列の回転方向も12時側と6時側で逆になっています。
文字盤側にレゾナンス機構とテンワをはじめ、大部分を可視化しているため、ケースバックから見えるムーブメントは巻き上げ機構が見えるぐらいのシンプルな眺めです。

香箱は独立しており逆方向に回転しますが、巻き上げはリュウズを両方向に回して別々に巻き上げる方式ではなく、同一の巻き上げ輪列で常に同じだけ巻かれます。
これは共振によって輪列の回転量は連動するため、独立に巻けるようにする必要はないと言う事のようです。
そのため、香箱の逆転を防ぐコハゼも上側(12時側)にしかありません。
香箱の一部はオープンになっており、直接ゼンマイの巻き上げ量を目視できます。

"レゾナンスで21世紀の新境地を開拓"というこの時計のテーマの要となるレゾナンス・クラッチ・スプリングです。
これはヒゲゼンマイの端を固定するヒゲ持ちを連結する形のスプリングで、自身が設計された共振周波数で振動します。
驚いたのはスプリング自体が目で見て分かるほどハッキリと振動していることです。
振動によりヒゲゼンマイの端から振動を取り出したり、逆に振動を与えたりすることでふたつのテンプ間でエネルギーをやり取りさせ、同じ周波数に共振させる媒介となる作用を担っています。
既存の共振現象では空気または地板の振動など直接見えないものを媒介としていたため、共振が起きていることは結果でしかわかりませんでしたが、"明示的"なスプリングを使うことで共振現象を直接計測可能および可視化したことが"21世紀の新境地"とのことでした。

別の瞬間の写真です。
スプリングの振動は静止画ではわからないため、最後に掲載する動画を是非ご覧ください。
ヒゲ持ちから振動を取り出す関係で緩急針は使えないため、フリースプラング方式で、緩急調整はテンワのネジで行います。
このテンワも専用のものとのことでした。
振動数は7振動/秒(25,200振動/時)とあまり聞かない値です。
これは振動数が高いほど共振には有利(エネルギーが蓄えられるため)だが、審美性的には動きを堪能できる振動数が低い方が良いという相反する要求から導かれた最適な値が7振動/秒だそうです。
実際に6振動/秒以下にすると姿勢によっては共振しなくなるとのことでした。

機構が入り組んでいるためと文字盤側に可視化しているものが多いため、横から見ると高低差があります。
秒針の根元にはハートカムが設けられ、2時方向のボタンによりハンマーがハートカムを叩き、秒針をリセットすることができます。
また、押し続けるとハートカムと軸の摩擦によりテンワの振動が徐々に弱くなり、数十秒でテンワを停止させるストップセコンドのような使い方もできるそうです(軸に悪そうですが…)。
これによりワザと共振状態を解除し、再び共振を始める様を観察もできるようです。

更に斜めからです。
要の部品であるレゾナンス・クラッチ・スプリングの開発には2年半を費やし、数えきれないほどのシミュレーション、20以上の試作・評価を経て最適化したものを作ることができたそうです。
流行の新素材や新製法ではなく、伝統的な技法とスチールのみを使っていることも誇りとのことです。
精度は共振状態でプラス0~7秒/日とのことでした。

ムーブメント側からです。
大きめ(直径43.3mm)で厚い(13mm)のガッチリとしたケースですが、個人的には好きな造形です。
最後に公式の動画をどうぞ。
CGではなく、スローモーションのマクロ撮影で捉えたレゾナンス・クラッチ・スプリングの振動をご覧ください。
技術的、デザイン的にかなり惹かれます。
チタンのAirが出たら…
関連 Web Site
Armin Strom
https://www.arminstrom.com/
Armin Strom YouTube Channel
https://www.youtube.com/user/arminstrom
プレスリリース
https://news.arminstrom.com/en/detail/251-mirrored-force-resonance/
Noble Styling
http://noblestyling.com/
基本的に招待制(今年は最終日のみ一般参加可能)の筈ですが、狭い業界なので色々あるのだろうと想像されます。
私も予期せず憧れていた方にお会いできたり、意外な方と再会出来たりと嬉しい出来事がいくつかありました。
そのような出会いの中から、2016年の新作で最も技術的に興味をひかれたものの、海外出張により日本のイベントに参加できず、実機を見ることが叶わなかったアーミン・シュトローム(Armin Strom)のミラード・フォース・レゾナンス(Mirrored Force Resonance)の実機を拝見できたのでレポートしたいと思います。
既にKIHさんが掲載しているイベントのレポートと被ることも多いですが、ご了承下さい。
アーミン・シュトロームのセルジュ・ミシェル(Serge Michel)氏とSIHHの小規模メゾンが集まるCARRÉ DES HORLOGERS(カレ・ド・オロロジ:時計の広間)にて再会し、その場で拝見させていただきました。
同行していた技術担当のクロード・グライスラー(Claude Greisler)氏に技術的な疑問点にも答えていただき、非常に有意義でした。

KIHさんのレポートでも気になった文字盤のデザインは、発表資料のイメージ(↓)と異なり、時分針がインデックスまで届いており、こちらの方が正式仕様とのことでした。
こちらの方が実用性もデザインも良いと思います。

ムーブメント写真から読み取った通り、12時側は共振させるためのだけの輪列で秒針以外は駆動せず、時分針は6時側の輪列のみで駆動されるそうです。
また、"ミラード"の名前の通り、輪列の回転方向も12時側と6時側で逆になっています。
文字盤側にレゾナンス機構とテンワをはじめ、大部分を可視化しているため、ケースバックから見えるムーブメントは巻き上げ機構が見えるぐらいのシンプルな眺めです。

香箱は独立しており逆方向に回転しますが、巻き上げはリュウズを両方向に回して別々に巻き上げる方式ではなく、同一の巻き上げ輪列で常に同じだけ巻かれます。
これは共振によって輪列の回転量は連動するため、独立に巻けるようにする必要はないと言う事のようです。
そのため、香箱の逆転を防ぐコハゼも上側(12時側)にしかありません。
香箱の一部はオープンになっており、直接ゼンマイの巻き上げ量を目視できます。

"レゾナンスで21世紀の新境地を開拓"というこの時計のテーマの要となるレゾナンス・クラッチ・スプリングです。
これはヒゲゼンマイの端を固定するヒゲ持ちを連結する形のスプリングで、自身が設計された共振周波数で振動します。
驚いたのはスプリング自体が目で見て分かるほどハッキリと振動していることです。
振動によりヒゲゼンマイの端から振動を取り出したり、逆に振動を与えたりすることでふたつのテンプ間でエネルギーをやり取りさせ、同じ周波数に共振させる媒介となる作用を担っています。
既存の共振現象では空気または地板の振動など直接見えないものを媒介としていたため、共振が起きていることは結果でしかわかりませんでしたが、"明示的"なスプリングを使うことで共振現象を直接計測可能および可視化したことが"21世紀の新境地"とのことでした。

別の瞬間の写真です。
スプリングの振動は静止画ではわからないため、最後に掲載する動画を是非ご覧ください。
ヒゲ持ちから振動を取り出す関係で緩急針は使えないため、フリースプラング方式で、緩急調整はテンワのネジで行います。
このテンワも専用のものとのことでした。
振動数は7振動/秒(25,200振動/時)とあまり聞かない値です。
これは振動数が高いほど共振には有利(エネルギーが蓄えられるため)だが、審美性的には動きを堪能できる振動数が低い方が良いという相反する要求から導かれた最適な値が7振動/秒だそうです。
実際に6振動/秒以下にすると姿勢によっては共振しなくなるとのことでした。

機構が入り組んでいるためと文字盤側に可視化しているものが多いため、横から見ると高低差があります。
秒針の根元にはハートカムが設けられ、2時方向のボタンによりハンマーがハートカムを叩き、秒針をリセットすることができます。
また、押し続けるとハートカムと軸の摩擦によりテンワの振動が徐々に弱くなり、数十秒でテンワを停止させるストップセコンドのような使い方もできるそうです(軸に悪そうですが…)。
これによりワザと共振状態を解除し、再び共振を始める様を観察もできるようです。

更に斜めからです。
要の部品であるレゾナンス・クラッチ・スプリングの開発には2年半を費やし、数えきれないほどのシミュレーション、20以上の試作・評価を経て最適化したものを作ることができたそうです。
流行の新素材や新製法ではなく、伝統的な技法とスチールのみを使っていることも誇りとのことです。
精度は共振状態でプラス0~7秒/日とのことでした。

ムーブメント側からです。
大きめ(直径43.3mm)で厚い(13mm)のガッチリとしたケースですが、個人的には好きな造形です。
最後に公式の動画をどうぞ。
CGではなく、スローモーションのマクロ撮影で捉えたレゾナンス・クラッチ・スプリングの振動をご覧ください。
技術的、デザイン的にかなり惹かれます。
チタンのAirが出たら…
関連 Web Site
Armin Strom
https://www.arminstrom.com/
Armin Strom YouTube Channel
https://www.youtube.com/user/arminstrom
プレスリリース
https://news.arminstrom.com/en/detail/251-mirrored-force-resonance/
Noble Styling
http://noblestyling.com/
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解説もありがたいです
両方あったらそれはそれで楽しそうですが
コハゼは非常に大雑把に考えるとダブルバレルのようなものなので、片側だけ止めていればよいという考えみたいです。
先行例のジュルヌさんのレゾナンスも調べてみましたが、真鍮ムーブメントの頃は各香箱に独立したコハゼが付いており、現在のRGムーブメントでは12時位置にあるに丸穴車でまとめて止める方式になっていました。
力のかかり方的には香箱ごとで止めた方が良いような気もします。