SIHH2018 ヴァシュロン・コンスタンタン新作「メティエ・ダール- Métiers d'Art Les Aérostiers」

 By : KITAMURA(a-ls)

メティエ・ダール・レ・アエロスティエ~空を征した伝説の気球たち


ヴァシュロン・コンスタンタンの工芸部門である「メティエ・ダール( Métiers d'Art)」渾身の5連作が、SIHH2018でそのベールを脱いだ。今年のテーマは気球である。
空への憧れ、それは人類の長年の夢でもあった。現実にそれを初めて叶えた気球を素材とし、その歴史的な場面を腕時計の中に込めた、まさに空間と時間とが織りなす永遠を刻むタイムピースだ。

精緻な彫金の気球をセンターに配し、それを彩る装飾に、技巧的にも非常に高度なプリカジュール・エナメルなどを惜しげもなく採用している。5種それぞれ5本限定なので、この5本を一緒に観られるのはこれが最初で最後の機械であることは間違いない。鳥肌が立つほどの工芸的完成度を見詰めつつ、しばし時を忘れる・・・。
それはSIHH2018で体験した最も貴重な経験のひとつであった。

まずはプレスリリースから、その特徴である技巧面を学んでいこう。



【特徴】
• 芸術的工芸と時計技術との融合
• 彫金、パウンス装飾、プリカジュール・エナメル
• 自社製キャリバー2460 G4/1
• ドラッギング式やジャンピング式ディスクによる独創的な表示


空を飛ぶこと。それは、人類が太古の昔から抱いてきた夢でした。
神話や叙事詩に登場し、時には信じられない無数の企てをへて、ついに18世紀後半には《空を飛ぶ夢》が現実のものになりました。それは初の「気球実験」により、見事に重力に打ち勝った瞬間です。この実験によって、多くの人が夢を見たり、果てしない空間へと思いを馳せた大空の秘密が解き明かされることになりました。
初期の大胆不敵な気球乗りたちを奮い立たせたのは、勇気と天才、そして少しの狂気でした。そうした気球乗りはフランス語で「アエロスティエ」と呼ばれました。また陽気な群衆たちも、空に舞い上がる不思議な熱気球に喝采を送りました。

ヴァシュロン・コンスタンタンの「メティエ・ダール・レ・アエロスティエ」は、歴史に刺激的な1ページを書き加えたこの気球を称えて創作されたシリーズです。またヴァシュロン・コンスタンタンの熟練したエングレービング職人自身も、時計の文字盤上で本物の挑戦を成し遂げました。
それは、1783年から1785年にフランスで行われた5つの歴史的な飛行をミニチュアで忠実に再現したことです。手彫りの彫金で微細な彫刻へと見事に仕上げられたゴールドの熱気球が半透明のプリカジュール・エナメルによる背景から浮かび上がり、自社製キャリバー2460 G4/1が時を告げます。



ヴァシュロン・コンスタンタンは、空の冒険の実に素晴らしいストーリーを語るこれらの時計において新しい創作スタイルを開拓しました。文字盤には、パウンス装飾という繊細な彫金に加え、プリカジュール・エナメルが用いられていますが、ヴァシュロン・コンスタンタンがこの希少なエナメル技法を採用するのは初めてのことです。
二つの技法の融合は、ヴァシュロン・コンスタンタンが大切に育んできた、卓越した技術と芸術性という伝統の継承に他なりません。
新しい「メティエ・ダール・レ・アエロスティエ」シリーズは、ヴァシュロン・コンスタンタンの自社製ムーブメント、キャリバー2460 G4/1を使ってこのような芸術的な妙技と専門技術との融合を実現しています。特別な表示方法をもったオリジナル・ムーブメントのおかげで、各表示を文字盤全体の美しいデザインと途切れなく一体化することができました。


パウンス装飾によるゴールドの気球
ヴァシュロン・コンスタンタンの熟練したエングレービング職人は、原画では平面に描かれているモチーフにボリューム感をもたらし、その色彩感を仕上げの効果で伝えるという、実に難しい挑戦に取り組みました。

熱気球のそれぞれは、オリジナル作品の細かな特徴や装飾の細部の隅々まですべて再現するために、3週間にも及ぶ手作業を要しました。こうして出来上がった文字盤は、驚くほど多種多様なモチーフで美しく飾られた本当にリアルなミニチュアの光景に仕上がりました。


パウンス装飾の技法は、レリーフの効果を作り出すために、素材を彫って取り除くことで成り立っています。
途中で元に戻すことのできない作業には、非の打ち所がない器用な手さばきが必要です。熟練したエングレービング職人は、まずドライポイントの技法でモチーフを描画し、それからゴールドの塊に彫刻を施して繊細な丸みを帯びた独特のフォルムを作り出します。
この工程は、気球とバスケット、ロープのラインなどを曲線によって彫り込むために行われます。彫金のビュランは、厳格な作業ができるように、何度も鋭く研ぎます。人間や動物、気球の細かな装飾といった細部の細部まで彫り進む最終段階ではさらに精巧な技が求められます。エングレービング職人は、それぞれ自分なりの仕方があり、小さな石やブラシ、紙、ヤスリなどの道具も各人各様です。ゴールドのさまざまなテクスチャーに加わる光の効果は、当然ながらその表面の見栄えに影響します。


プリカジュール・エナメルのカラフルなマジック

「メティエ・ダール・レ・アエロスティエ」シリーズの文字盤は、スカイブルー、ダークブルー、ターコイズ、ブラウン、バーガンディの各色が半透明の背景を形作り、澄み渡る大空の雰囲気を醸し出します。

ヴァシュロン・コンスタンタンは、ごく少数のエナメル職人だけがマスターしている技法をここに初めて取り入れました。プリカジュールは、枠を使うレイアウトの点ではクロワゾネ・エナメルとよく似ていますが、下地を用いないのはステンドグラスと同様で、そのミニチュアの窓を思わせます。さまざまな色と色のバランスも微妙なら、それらの仕切りの研磨も繊細を極めます。


各モデルの文字盤に施されているカラーに合わせて、表示ディスクとストラップが組み合わされています。エナメルを縁取るインナーベゼルのリングには、気球のロープから着想したモチーフが彫られ、モデルによって3N、4N、5Nゴールドが用いられています。



高度な技術のムーブメントを美しいデザインで魅力的に表現
プリカジュール・エナメルならではの透ける効果によって、キャリバー2460 G4/1の輪列やディスクの魅力的な姿が垣間見られます。この特別な自動巻きムーブメントは、表示にいっさい針を使いません。ディスク方式を採用し、プリカジュール・エナメルを仕切るカーブで区切られた文字盤の4隅に設けられた窓を通して表示が行われるという、巧妙な仕組みになっています。

時、分、曜日、日付は4枚のディスクで行われ、時・分はドラッギング式、曜日と日付はジャンピング式の表示です。また、ムーブメントは、最高級の仕上げ基準に準拠して装飾が施され、透明なケースバックからその姿をたっぷりと目にすることができます。ゴールド製のローターには特別なエングレービングが施され、この新しいシリーズのためにドーム状に仕立てられたそのデザインが丸い熱気球を思わせます。


●時計に描かれた5つの場面の5つの物語を紐解く
まずは、ヴァシュロン・コンスタンタン製作のカリカチュア・テイストの動画から。




(以下、再びプレスリリースより引用)

5つの飛行とゴールドに彫られた数々の物語

科学と魔術と夢:「メティエ・ダール・レ・アエロスティエ」シリーズは、気球の分野で先進国だったフランスを舞台に繰り広げられた5つの歴史的な飛行で人々が味わったスリリングな経験を振り返ります。18世紀後半のこれらの並外れた偉業は、宮廷はもちろん、度肝を抜かれた大衆を魅了したのです。


●「メティエ・ダール・レ・アエロスティエ」‐ヴェルサイユ1783
エティエンヌ・ド・モンゴルフィエが設計した気球が初めて空中に舞い上がりました。

この「気球実験」では、ヒツジとニワトリ、アヒルが乗せられ、動物たちは生きて地上に生還し、上空でも酸素が十分に足りていることを証明しました。ホワイトゴールドに彫られたバスケットとロープは、着陸の際にわずかに損傷しましたが、贅沢な5Nゴールドの気球の下に完全に見えています。

●気球のカゴ部分を拡大すると、史実通りのヒツジ、アヒルらの”乗組員”が見える!



●「メティエ・ダール・レ・アエロスティエ」‐パリ1783
こんどは初めて人間が空へと飛びたちました。同じくエティエンヌ・ド・モンゴルフィエの設計したこのもう一つの気球には、2人の“スカイトラベラー”が搭乗し、彼らが微小な彫刻になって文字盤にあしらわれています。また、スカイブルーのプリカジュール・エナメルを背景にしたピンクゴールドとホワイトゴールドの豪華な気球には、太陽や黄道12宮、フルール・ド・リス(百合の紋章)、花飾り、勲章、羽を広げたワシなどが彫られています。




●「メティエ・ダール・レ・アエロスティエ」‐パリ1784
気球乗りのブランシャールが気球を航行させるための操縦システムを考案。この目的で作られた巧妙な翼と舵によるシステムは、文字盤にもはっきりと見て取れます。着陸点は、当初の目論見よりもかなりずれてしまいましたが、この飛行は、開発者自身や他の気球乗りたちにとって、さらに有効な手立てを考案する良い刺激となりました。





●「メティエ・ダール・レ・アエロスティエ」‐ボルドー1784
フランス全体が大胆極まりない空の征服に参加。バスケットに3人が乗る気球の飛行はボルドーで行われ、その当時本当に驚くべきことは何であったかを明かしています。文字盤に詳細に再現されているのは、気球を飾る多種多様なファブリックや装飾、そして神話の場面です。



●「メティエ・ダール・レ・アエロスティエ」‐バニョル1785
1万人もの人々がこの飛行に割れんばかりの拍手喝采を浴びせました。ホワイトとイエローゴールドのエレガントなバスケットが、ブルーのさまざまな階調で彩られたプリカジュール・エナメルの空に浮遊しているかのように見えます。気球の上部は、エレクトロプレーティングで着色されています。この気球のカンバス素材は、7年後に共和国の志願兵の衣服を作るために利用されました。



空へと旅立つ多くのシーンを描いた「メティエ・ダール・レ・アエロスティエ」シリーズは、空を征する精神で人々の心が浮き立った活気あふれる時代を物語っています。ヴァシュロン・コンスタンタンの熟練職人によって鮮やかに再現された5つの気球飛行は、各モデルとも番号入りの5本限定生産です。
#VCSIHH
#VacheronConstantin





【技術データ】
メティエ・ダール・レ・アエロスティエ
リファレンス・ナンバー
7610U/000G-B210 - メティエ・ダール・レ・アエロスティエ‐パリ1783
7610U/000G-B243 - メティエ・ダール・レ・アエロスティエ‐パリ1784
7610U/000G-B244 - メティエ・ダール・レ・アエロスティエ‐ヴェルサイユ1783
7610U/000G-B245 - メティエ・ダール・レ・アエロスティエ‐バニョル1785
7610U/000G-B246 - メティエ・ダール・レ・アエロスティエ‐ボルドー1784


ジュネーブ・シール 取得
キャリバー・ナンバー Cal. 2460 G4/1
ヴァシュロン・コンスタンタン自社開発・製造
駆動方式 機械式自動巻き
22Kゴールド製オーヴァーシーズ・ローター
ムーブメント・サイズ 直径31.00mm × 厚さ6.05mm
パワーリザーブ 約40時間
振動数 4Hz(毎時2万8800回振動)
部品数 237
石数 27
表示 時、分、日付、曜日、文字盤色に合わせたディスクによる窓で表示
ケース 18Kホワイトゴールド
サファイアクリスタルのシースルーケースバック
ケース・サイズ 直径40.00mm × 厚さ12.74mm
防水機能 3気圧(約30m)
文字盤 18Kゴールド、手彫りエングレービングによる気球
プリカジュール・エナメルによる空
ストラップブルー/グリーン/ブラウン/ダークブルー/バーガンディの
ミシシッピ・アリゲーターレザー、アリゲーターレザーによるライナー、
手縫いサドルステッチ、ラージ・スクエア・スケール
クラスプ 18Kホワイトゴールド、ポリッシュ仕上げの半マルタ十字
各モデル番号入り5本限定生産(ブティック限定)

<税抜予価>時価(SIHH現時点1690万円)
<入荷予定>2018年4月以降




【お問い合わせ】
Vacheron Constantin
0120-63-1755(フリーダイヤル)

その他、詳細は正規販売店もしくはオフィシャルサイトにて
www.vacheron-constantin.com