MB&F レガシー・マシン サンダードーム 世界最速のトリプルアクシス(3軸)規正装置

 By : CC Fan

MB&F レガシー・マシン サンダードーム 世界最速のトリプルアクシス(3軸)規正装置



3つの世界初

①世界を代表する時計師、エリック・クドレとカリ・ヴティライネンによる初めてのコラボレーション。
②異なる速度と異なる面で回転する3つの回転軸を備え、従来の記録を塗り替える8秒、12秒、20秒という高速回転を実現した、独自の新メカニズム「TriAx」。
③ポッター脱進機、半球状テンプ、螺旋状のヒゲゼンマイという独自の組み合わせ。



稲妻のパワーと息を呑むような光景を、時計の中に再現することはできないか?
気象科学によれば、暖かい空気と冷たい空気がぶつかると、あらゆる種類のドラマチックな気象現象が生じるという。
嵐や異常な大気環境、竜巻などだ。そしてそれぞれに個性を持つ2人の時計師が出会うとき、そこにもまた、地平線を貫く稲妻が生じる。1人は、型破りで驚異的なコンプリケーションをつくることで知られる、スイス・ジュウ渓谷の伝説的なイノベーター。もう1人は、スイスのモティエを拠点とし、伝統工芸を支える名高い完璧主義者。この2人がついにタッグを組むこととなった。



こうして生まれたのが、エリック・クドレとカリ・ヴティライネンが共同で手掛けた、レガシー・マシン サンダードームだ。

ギヨシェ彫りを施した青い海に浮かぶのは、球状になって回転する歯車、ピニオン、ケージの集合体。無秩序に動いているように見えるこの集合体から、秩序が生まれる。時刻は、艶やかなラッカーで仕上げ、傾斜をつけた文字盤に表示される。いかに独創的で斬新な旋風がもたらされたとしても、それが時計である限り、時間と分は変わらず示されるのだ。



MB&Fの創業者マキシミリアン・ブッサーは、こう語る。「この作品には多くの点で満足しているが、なかでも、私が敬愛する2人の時計師のコラボレーションを実現できたのは本当に喜ばしいことだ。類稀な才能を誇り、まったく異なるスタイルと個性を持つこの2人が一緒に作品を手掛けることは、これまでになかったのだから」。

こうしたチャンスは、ひとたび手にすれば、まったく新しい展望へと導いてくれる。「最もクレイジーで最もドラマチックな3軸トゥールビヨンをつくってほしい」。これがMB&Fが当初、エリック・クドレに対して出した唯一の条件だった。自由を与えられたクドレは、かつて手掛けたことのない、まったく新しいものを生み出した。こうしてトゥールビヨンを超える独自の新メカニズム、「TriAx」が誕生したのだ。

レガシー・マシン サンダードームに搭載されたこの新機構「TriAx」を通じて、エリック・クドレはMB&Fが求めたものを、実に型破りな方法で実現した。3軸回転する脱進機には必要最低限のものだけが装備され、伝統も、現代の常識をも覆すものとなっている。TriAxでは、各回転軸に1つのケージを関連付ける合理的(かつ煩雑)なシステムではなく、3軸に2ケージを関連付ける異例の構成にすることで、回転しながらサンダードームの鼓動を刻む心臓部を可視化することに成功した。

業界に旋風を起こし、21世紀の大胆なウォッチメイキングの代名詞とされてきたクドレ。その斬新な発想によって生まれたレガシー・マシン サンダードーム TriAxメカニズムは、従来の脱進機の概念を根底から覆した。バレルからエネルギーが伝わる速度を制御するのは、ポッター脱進機。現代の回転脱進機に通常使用される可動式のガンギ車ではなく、固定式のガンギ車を使用した珍しい脱進機だ。19世紀に活躍した時計師で発明家のアルバート H・ポッターにちなんで名付けられたポッター脱進機の固定式ガンギ車は、より高速な回転を可能とする。



3軸回転機構に固定式ガンギ車を組み込んだ例はこれまでにないが、レガシー・マシン サンダードームは見事にそれを実現した。高速回転は多くのエネルギーを消費する。最も内側のケージは8秒で1回転、中央のケージは12秒、一番外側のケージは20秒ごとに1回転する。

ポッター脱進機を採用することの利点は、テンプとヒゲゼンマイを収めるスペースを十分に確保できること。レガシー・マシン サンダードームのテンプは半球型で、螺旋状のヒゲゼンマイを取り囲んでおり、規正装置としては時計製造の歴史においても現代においても前例のない構成となっているが、ポッター脱進機を採用することで、この斬新な技術を存分に堪能できるようになっている。

時計業界に多軸トゥールビヨンが登場して15年が経つが、こうした多軸メカニズムに精通したベテランの時計通にとってさえ、レガシー・マシン サンダードームは驚きに満ちた時計となっている。各部品は、高速などという言葉では表せないような、目まぐるしい速さで回転する。外側のケージにある補正軸がテンプの全体的な変位を増加させることで、回転速度はさらに上がり、他に類を見ないほどの速度に達する。文字盤プレートに鎮座したエリック・クドレの作品はふっくらとしたアーチを描くサファイアクリスタルのドームに収められ、どこからでもその動きを鑑賞できるようになっている。

文字盤プレートの上で繰り広げられるスペクタクルは見る者を魅了するが、レガシー・マシン サンダードームの魅力はエンジンにもある。エリック・クドレの技術力によって設計された、手巻きのトリプルバレルムーブメント。ただしその美しいデザインは、カリ・ヴティライネンの手によるものだ。



2人の時計師は幾度となく話し合いを重ね、クドレの設計したエンジンの限りないダイナミズムを、伝統を感じさせるエレガントなフォルムに収めることに成功した。なめらかな丸みを帯びたブリッジは、手作業で面取りを施したシャープな内角と、鏡面仕上げの曲線が特徴。激しく旋回する機構を包み込むように支える、深く揺るぎない静けさを湛えたデザインが魅力だ。カリ・ヴティライネンは、MB&Fの作品では初めて、独自の仕上げをラチェット車に適用。S字状の波形で光を捉え、円形の表面にうねるような輝きを与える技法だ。これはヴティライネンのアトリエで厳重に守られている門外不出の技法で、それを施すには長年にわたる経験と特殊なツールを必要とするという。


レガシー・マシン サンダードームには、2つの限定モデルがある。
①プラチナ950製モデルは33点のみの限定製造、ライトブルーのギヨシェ彫り文字盤付き。


②アジア太平洋地域に時計専門店を展開する小売グループ「アワーグラス」の40周年を記念したタンタル製モデルは10点のみの限定製造

・ダークブルーのギヨシェ彫り文字盤モデルが5点。


・アベンチュリンダイヤルのモデルが5点。




レガシー・マシン サンダードームの詳細

レガシー・マシン サンダードームのエンジンについて

MB&Fのレガシー・マシン サンダードームは4年に及ぶ開発の末、現代において最も称賛されている2人の時計師、エリック・クドレとカリ・ヴティライネンによる初のコラボレーションによって誕生した。クドレが技術力を駆使して設計したメカニズムは、ヴティライネンの手によって洗練された美しいデザインのムーブメントへと昇華した。

技術開発に比べ、デザインを手掛けることは容易に思われるかもしれないが、実際には想像を遥かに上回る難しさがある。レガシー・マシン サンダードームのエンジンを構成する413の部品は複雑かつ繊細に作用し合っており、ひとつ微調整をするたびに機械的な再構成が求められるからだ。直径わずか35mmのムーブメント上では、均整の取れたデザインであることが重視され、わずかのミスも許されない。ブリッジの幅がわずか1ミリメートル広すぎたり、ピニオンの位置がわずか数マイクロメートルずれただけで、目立ちすぎたり不自然になってしまう。



ヴティライネンはこう話す。「こういった複雑なプロジェクトでは、考慮すべき点が非常に多い。そのため通常のようにコンピュータソフトを使って作業するのではなく、手描きでデザインすることにしたんだ。おかげで、全体のバランスをうまく捉えられたし、美しさと機能を兼ね備えるために何をすべきかを、正しく選択することができたと思う」。

レガシー・マシン サンダードームの文字盤プレート上に浮かんでいるのが、「TriAx」。エリック・クドレの作品においても類を見ない、まったく新しく、非常に洗練された多軸回転の脱進機だ。

この脱進機には異なる速度と異なる面で回転する3つの軸があり、最も内側にある軸は8秒で1回転する。次の回転軸は内側の軸に対して直角に傾斜しており、12秒で1回転する。そして一番外側の回転軸は中央の軸に対して直角に傾斜しており、20秒かけて1回転する。このメカニズムが、レガシー・マシン サンダードームが特徴とする、多軸規正装置のカテゴリーで最速の複合回転を実現しているのだ。



また、外側の回転軸は他の2つに対して偏心しているため、単独で見たテン輪の動きは、正確には3軸の軌道回転となる。

これは、レガシー・マシン サンダードームのエンジンでは、時計製造の歴史上、最大の範囲かつ最高の速度で、テンプが変位することを意味する。噛み砕いて言えば、レガシー・マシン サンダードームは、時計業界でも前例のない、見事な視覚的スペクタクルを見せてくれるということなのだ。

レガシー・マシン サンダードームの回転機構について、既存の用語を使って適切に説明することは難しい。クドレの作品には、カルーセルのスプリットトレインによる動力伝達やトゥールビヨンの固定ホイールなど、双方の重要な要素が組み込まれており、トゥールビヨンやカルーセルといった、回転式脱進機の既存のカテゴリーには分類できない。しかもこれらの要素は、従来のトゥールビヨンやカルーセルの定義とは異なる手法で構成されている。つまり機械的に見ると、レガシー・マシン サンダードームはそういったカテゴリーからは完全に独立したモデルだといえる。

そして、45時間のパワーリザーブを備えた手巻き3バレルムーブメント。これが、約1gの、このドラマチックなメカニズムを動かす。


「TriAx」について:3Dテンプと類稀な脱進機

時計の微小機械では初めて、半球状のテンプを用いて規正装置に慣性を与えた脱進機。このまったく革新的な独自ソリューションは、ケージ(場合によっては複合ケージ)を比較的コンパクトに抑えながら、円筒形のヒゲゼンマイと組み合わせた場合に可能な限り最大のバランスを実現する。



時計においては等時性と全般的な計時性能が優先されるため、古くから円筒形のヒゲゼンマイが用いられてきた。円筒形ヒゲゼンマイは非常に均一なペースで振動し、悪影響を及ぼすさまざまな環境条件においても計時性能に異常をきたしにくいからだ。

かなり野心的な時計職人でさえ、立体的な3Dテンプを開発することは難しい挑戦であると考えるだろう。ましてや、多軸回転機構の中心部にそのテンプを設置するとなればなおさらだ。3つの次元で毎秒位置を変えるテンプを調整するには、どうすれば良いのか?

最先端のレーザー測定機器でさえ、絶えず変位するテンプとそれを収める回転ケージを調整することは難しい。そこでMB&Fは、ビーム周波数を赤外領域へと完全にシフトさせ(研磨された部品と相互作用するビームの可視領域に起因する誤読を回避する)、一定期間に特定の間隔で個々の数値を読み取るシステムを開発。これにより、レーザー測定技術の既存アプリケーションを進化させた。エリック・クドレとMB&Fの経験とスキルにこうした最新技術を組み合わせることで、レガシー・マシン サンダードームのテンプを効率的かつ精密に調整できるようになったのだ。



レガシー・マシン サンダードームの中核をなすTriAxの高速回転の鍵を握るのは、あまり知られていない、少し変わった脱進機。19世紀に活躍した米国人の時計師で発明家のアルバート・H・ポッター(ハリー・ポッターではない)が、トゥールビヨンを改造した変種として発表したものだ。ポッターは、固定した四番車のピニオンを介してガンギ車を動かすのではなく、ガンギ車の方を固定。それに伴い、動力を伝達するレバーの形状を変更した。正しく理論化されていれば、この脱進機は驚異的な高速回転を誇るトゥールビヨンを可能にしたはずだ。

レガシー・マシン サンダードームのTriAxメカニズムでは、このポッター脱進機をさらに改良。外向きの歯を備えたガンギ車をテンプと同軸になるように固定するのではなく、逆向きの歯を備えたガンギ車をレバーフォークと同一面になるように固定している。こうした構造は、現代の時計製造においては1例のみ存在するが、単軸機構において採用されたもの。多軸機構では前例がない。規則も慣例もないことから、TriAxは独自の手法で製作されることとなった。



何もかもMB&Fにとって初の試みであり、さらには、時計業界においても初めての試みだったのだ。


卓越の仕上げ

卓越したムーブメントには、卓越した仕上げがふさわしい。このモデルでは、MB&Fの作品としては初めて、カリ・ヴティライネンによる独自の仕上げ技術がラチェット車に施されている。S字状の波形で光を直接反射させ、ほぼ均一なサンドブラスト仕上げを思わせる光沢を与える技法だ。

ヴティライネンはこう話す。「長年の経験を持つ職人でも、 特殊な研修を受けて特殊なツールの使い方と技術を習得しない限り、再現できないんだ」。当然のことながら、ヴティライネンがこの特殊な技法の詳細について語ることはない。彼のアトリエで働く職人の中でも、ヴティライネンの信頼を勝ち得た熟練の仕上げ職人のみが、その秘密を知ることができるのだ。



レガシー・マシン サンダードームのエンジンはこれ以外にも、最高水準の19世紀様式を取り入れた、極めて優れた手仕上げを特徴としている。手作業で面取りと研磨を行った内角の仕上げは、機械では実現できないシャープさを持つ。パワーリザーブ表示部のつや消しやエングレービングと同様に、ヴティライネンが手掛ける時計の特徴であるコート・ド・ジュネーブ装飾も手作業で施され、柔らかな輝きを放つ。



多軸回転脱進機を彩るのは、ギヨシェ彫りを施した文字盤プレート。これも、カリ・ヴティライネンの文字盤工房であるコンブレミーヌ社で製作されたものだ。


MB&Fとアワーグラス

MB&Fの中核となる哲学は、Maximilian Büsser & Friends(マキシミリアン・ブッサー&フレンズ)という社名に表れている。マキシミリアン・ブッサーが自身の会社を創業した15年前には独立系時計メーカーはまだ少なく、時計製造の世界を生き抜いていくためにはアワーグラスなど大手小売業者のサポートが必要だったからだ。



ブッサーはこう語る。
「MB&F創業当初は、個人として、またプロとして、それまでに直面したことのない挑戦に取り組んだ。当時アワーグラスのマイケル・テイが私のクレイジーな夢を信じてくれていなければ、オロロジカル・マシン Nº1はこの世に存在していなかったかもしれない」

世界で最も先進的な時計市場であるシンガポールで40年前に創業したアワーグラスは、アジア太平洋地域の時計業界を牽引する小売グループだ。アジア太平洋地域全域で事業を展開し、各地の時計コミュニティの中心となっている店舗も多い。





アワーグラスのグループマネージングディレクターを務めるマイケル・テイは、こう述べている。
「マックス(マキシミリアン・ブッサー)にシンガポールで初めて出会ったのは、1998年11月。仕事上のパートナーとして始まった関係は、この20年で生涯にわたる友情へと発展した。これは私の人生においても、とても珍しいことだ。マックスは現代の時計業界でも数少ない、先見の明を持つ人物の1人だ。それに、ブランドや事業に対する彼のアプローチには信頼性と一貫性がある。これは私にとって非常に重要なポイントであり、だからこそ私は彼を評価しているのだ。今回、MB&Fと共に記念モデルを発表できたことを、大変光栄に思う。このプロジェクトについて、マックスやエリック・クドレと初めて話をしたのは2012年だった。それから7年間を費やして、ようやく実現したプロジェクトだ。歴史に残る作品であることは間違いない」。





エリック・クドレとカリ・ヴティライネンについて

エリック・クドレは、脈々と続く時計職人の家系に生まれた。アンティークの時計を修復する仕事に就き、若くしてその頭角を現したが、世界的にクドレの名が知られるようになったのは有名な時計ブランド、ジャガー・ルクルトに入社し、同ブランドを象徴するモデル「レベルソ」を生み出したマニュファクチュールで、初の現代版ミニッツリピーターをはじめとする数々の一流プロジェクトを率いるようになってからのことだった。

彼は、世界初の多軸トゥールビヨンのひとつであるジャガー・ルクルトのジャイロトゥールビヨンを開発。2004年の発売時には現代の時計業界における画期的なモデルとして称賛された。その後もジャガー・ルクルトのレベルソ ジャイロトゥールビヨンII を手掛け、クロノメトリーを改善するため螺旋状のヒゲゼンマイを組み込んだ。このモデルは2009年の国際クロノメーターコンクール(Concours International de Chronométrie)で2位に入賞している(1位もジャガー・ルクルトのモデルが受賞)。こうしたビジュアル的に美しいメカニズムを手掛けた経験を買われ、その後は独立系時計メーカーのカベスタンに移籍。多軸回転脱進機のレパートリーをさらに拡大していく。現在は、スイスのジュウ渓谷を拠点とし、高度なコンプリケーションのシンクタンクでありムーブメントサプライヤーであるTEC Ebauches(テック・エボーシュ)で、専門チームの一員を務めている。

クドレとその作品が時計通を魅了する理由のひとつは、仕事をする上での型破りなアプローチと独創的なスタイルだろう。世界の時計専門家の間でもクドレは高い評価を得ており、展示会や見本市で頻繁に声がかかるなど、世界的な称賛を得ている時計師である。

クドレとは正反対のアプローチを取るものの、同様に高く評価されているフィンランド人時計師が、カリ・ヴティライネンだ。スイスにある小さな村、モティエを拠点として活動している。クドレ同様、ヴティライネンも修復作業を行う職人としてキャリアをスタートした。彼がその優れた才能で知られるようになったのは、スイス・フルリエにある時計会社パルミジャーニの修復部門で働いていたときのこと。そこでは、世界でも特に稀少な高級時計の修復に携わっていた。

ヴティライネンは後に自身の時計会社を設立し、それまでの経験を生かして独自のタイムピースを製作するようになる。高い評価を得たVingt-8(ヴァントゥイット)をはじめとする彼の作品は、ブレゲが脱進機を独自に解釈して評価されたのと同様に、洗練を極めた美しさで称賛されている。ヴティライネンは自身の専門知識をMB&Fをはじめとする特定の企業に提供しており、MB&Fでは、レガシー・マシン コレクションが2011年に発売されて以来、同コレクションに欠かせない人物となっている。

手作業による卓越した仕上げは、ヴティライネンの時計の大きな特徴だ。その仕上げが生み出す独特の柔らかさと明るさは、シャープで強い輝きを良しとする一般的な時計業界の常識とは一線を画す。装飾技術に並々ならぬ情熱を注ぐヴティライネンは、独立系職人と協業し、近年でも最も美しく独創的なタイムピースを生み出してきた。ジュネーブ ウォッチ グランプリ(Grand Prix d'Horlogerie de Geneve)をはじめ数々の賞を受賞するなど、時計業界において非常に高く評価されている時計師だ。


技術仕様 - レガシー・マシン サンダードーム


2つの数量限定モデル:
①プラチナ950製のモデルは33点のみ限定製造、ライトブルーのギヨシェ彫り文字盤付き
②タンタル製のアワーグラス限定モデルは10点のみの限定製造(アベンチュリンダイヤル5点、ダークブルーのギヨシェ彫り文字盤5点)


[エンジン]
エリック・クドレとカリ・ヴティライネンがMB&Fのために開発したムーブメント

異なる速度と異なる面で回転する3つの高速回転軸を備えた規正装置。各軸の回転速度は、中心部からそれぞれ8秒、12秒、20秒。3つの軸の合計重量は約1g

3つのメインスプリングバレルを搭載した手巻き式

ムーブメント上部に従来型調整スクリューを備えた、専用の直径10mmのテン輪
全体に19世紀のスタイルを踏襲した最高の手仕上げ、面取り加工を施した内部の縁(手作業で研磨)、研磨した面取り部、コート・ド・ジュネーブ装飾、手作業によるエングレービング
パワーリザーブ:45時間
テンプの振動数:21,600 bph / 3 Hz
部品数:413
石数:63



[機能 / 表示]
垂直方向に58° 傾斜した時分表示の文字盤
ムーブメント裏面にパワーリザーブ表示

[ケース]
素材:ローンチエディションはプラチナ950、アワーグラス限定モデルはタンタル製
サイズ:44 mm x 22.2 mm
部品数:20
防水性能:30m / 90フィート / 3気圧

[サファイアクリスタル]
表面と裏面のサファイアクリスタルはともに両面反射防止加工済み

[ストラップ&バックル]
ケースと同じプラチナ製またはタンタル製のフォールディングバックルをあしらい、ブルーのハンドステッチを施したアリゲーターレザーのストラップ

[販売価格]
Retail price of the LM Thunderdome Platinum is CHF 270,000 VAT
(USD 280,000 / EUR 250,000 before taxes).


レガシー・マシン サンダードームを手掛けた「フレンド」たち



コンセプト:マキシミリアン・ブッサー(MB&F)
デザイン:エリック・ジルー(Through the Looking Glass)
技術・製造管理:セルジュ・クリクノフ(MB&F)
ムーブメント開発:エリック・クドレ、アルノー・フェーヴル(TEC Ebauches and MB&F)
ムーブメントデザインと仕上げ仕様:カリ・ヴティライネン
研究開発:ルーベン・マルティネス、シモーヌ・ブレット、トマ・ロレンザト(MB&F)

ギヨシェ彫り文字盤プレートの装飾 / ラチェット / クラウンホイール:カリ・ヴティライネン
PVD加工:ピエール=アルベール・ステインマン(Positive Coating)
アベンチュリンダイヤル(アワーグラス限定モデル):LM Cadrans
ケース:リカルド・ペスカンテ(Les Artisans Boitiers)、アワーグラス限定モデル:オレリアン・ブシェ(AB PRODUCT)
ムーブメント組み立て: ディディエ・デュマ、ジョルジュ・ヴェイジー、アン・ギテ、エマニュエル・メートル、アンリ・ポルトブフ(MB&F)
アフターサービス:トマ・インベルティ(MB&F)
品質管理:シリル・ファレ(MB&F)
文字盤-エボーシュ:ハサン・シャイバ&ヴィルジニー・デュヴァル(Les Ateliers d’Hermès Horloger)
バックル:ナタリー・ギルボー(Cendres Métaux Lux、G&F Châtelain)
針:ピエール・シリエ、イザベル・シリエ(Fiedler)
ストラップ:Multicuirs
化粧箱:オリヴィエ・ベルトン(Soixante et onze)
プロダクションロジスティックス:ダヴィド・ラミー、イザベル・オルテガ(MB&F)

マーケティングおよび広報:シャリス・ヤディガログルー、ヴィルジニー・トラル、ジュリエット・デュル、アルノー・レグレ(MB&F)
販売:ティボー・ヴェルドンク、アンナ・ルーヴール、ヴィルジニー・マルション、ジャン=マルク・ボリー(MB&F)
グラフィックデザイン:サミュエル・パスキエ(MB&F)、アドリアンシュルツ&ジル・ボンダラ(Z Z)
製品写真:マールテン・ファン・デル・エンデ、ローラン=グザビエ・ムーラン、アレックス・トイスチャー(Alex Stephen Teuscher photography)
ポートレート撮影:レジス・ゴレ(Federal)
ウェブマスター:ステファン・バレ(Nord Magnétique)、ヴィクトル・ロドリゲス&マチアス・ムンツ(NIMEO)
映像:マルク=アンドレ・デシュー(MAD LUX)
テキスト:スザンヌ・ウォン(Worldtempus)


MB&F – Genesis of a Concept Laboratory

MB&F – コンセプトラボの誕生
2019年、世界初の時計製作専門コンセプトラボとして傑出した創造性を誇るMB&Fは、設立から14年目を迎えた。ブランドはこれまでに17種類の秀逸なキャリバーを開発し、それらをベースにして製作されたオロロジカルマシンとレガシー・マシンは高い評価を得てきた。そして現在も、創業者でありクリエイティブディレクターでもあるマキシミリアン・ブッサーのビジョンに基づき、従来の時計作りの殻を破ってキネティックアートを思わせる立体感豊かな作品を生み出し続けている。

マキシミリアン・ブッサーは高級腕時計ブランドで15年管理職を務めた後、2005年ハリー・ウィンストンのマネージングディレクターを辞任、MB&F(マキシミリアン・ブッサー&フレンズ)を創立。MB&Fは、ブッサーが尊敬し、働く喜びを分かち合うことのできる才能あるオロロジカル職人を集め、先鋭的なコンセプト・ウォッチのデザインと小規模生産を行う芸術的なマイクロエンジニアリング・ラボなのである。

2007年、MB&Fは初のオロロジカルマシンHM1を世に送り出した。HM1の彫刻のような立体的なケースと美しく仕上げたエンジン(ムーブメント)は、同社の風変わりなオロロジカルマシンの基準となり、その後、時を告げるためというより、「時を語る」マシンが数多く生み出されていく。こうして製作されたオロロジカルマシンでは、宇宙(HM2、HM3、HM6)や大空(HM4、HM9)、道(HM5、HMX、HM8)、水中世界(HM7)を探索するマシンがイメージされている。

2011年には、MB&Fはラウンドケースのレガシー・マシン コレクションを発表。これらはMB&Fにとってよりクラシカルなもので、現代的な芸術品を創作するために往年の偉大な時計製造革新者とは異なる視点で複雑機構を解釈し、19世紀の腕時計製造の卓越性への敬意を払っている。LM1及びLM2に続いて発表されたLM101は、全て自社開発したムーブメントを搭載する初のMB&Fマシン。そして、コレクションの幅をさらに広げるレガシー・マシン・パーペチュアル、レガシー・マシン・スプリットエスケープメント そしてレガシー・マシン・サンダードームの登場。2019年は史上初のレディース用MB&Fマシン「LM フライングT」の制作によりターニングポイントを迎えた。MB&Fは創設以来、現代的で型破りのオロロジカルマシンと、歴史からインスパイアしたレガシー・マシンを交互に発表している。

MB&Fの「F」が「フレンズ」(Friends)を表していることから分かるように、優れたアーティストや時計職人、デザイナー、様々な分野の製造業者をブランドにとっての「フレンド」と考え、協力関係を築くことはごく自然な成り行きだった。

そうした姿勢がブランドにもたらしたのが、パフォーマンスアートとコラボレーション作品という新たな2つのジャンルだった。パフォーマンスアート・モデルは、創造性豊かな社外のフレンドがMB&Fのマシンをベースにしてアレンジを加え、新たな形で表現した作品だ。一方、コラボレーション作品は、腕時計ではなく別のタイプのマシンで、MB&Fのアイデアとデザインに基づいて独創的なスイスのマニュファクチュールが設計、製造する。レペ1839と共同で製作されたクロックなど、コラボレーション作品の多くは時を語るマシンだが、リュージュやカランダッシュとのコラボレーションでは別の種類のメカニカル・アートが創作された。

ブッサーは、こうして誕生したあらゆるマシンに、その魅力を発揮できる舞台を与えるため、従来型のブティックに陳列するのではなく、他のアーティストによる多彩なメカニカル・アートとともにアートギャラリーに展示することを思いついた。このアイデアにより、ジュネーブに最初のMB&F M.A.D.ギャラリーが設立され(「M.A.D.」はMechanical Art Devices:メカニカル・アート・デバイスの略)、その後台北、ドバイ、香港にもM.A.D.ギャラリーがオープン。

MB&Fがこれまでに成し遂げた革新的な成果に対しては、いくつもの権威ある賞が与えられてきた。全てを網羅することはできないが、名高い「ジュネーブ ウォッチ グランプリ」においては5つもグランプリを獲得している。2019年にはLM FlyingT(LM フライングT)が「ベストレディースコンプリケーション賞」を、2016年にはLM Perpetual(LM パーペチュアル)が「ベストカレンダーウォッチ賞」を受賞。2012年にはLegacy Machine No.1(レガシー・マシン No.1)が「パブリック賞(時計ファンによる投票)」と「ベストメンズウォッチ賞(プロの審査員による投票)」をダブル受賞。また2010年の同グランプリでは、HM4 Thunderbolt(HM4 サンダーボルト)で「ベストコンセプト&デザインウォッチ賞」を受賞。そして2015年には、HM6 Space Pirate(HM6 スペースパイレート)が、国際的な「レッドドット・デザイン賞」において最優秀賞である「レッドドット:ベスト・オブ・ザ・ベスト賞」を受賞した。




【詳細についてはこちらまでお問い合わせください】
シャリス・ヤディガログルー cy@mbandf.com/アルノー・レジュレ arl@mbandf.com
MB&F SA, Rue Verdaine 11, CH-1204 Genève, Switzerland
電話番号: 41 22 508 10 33