2020年 あけましておめでとうございますとSIHHがないこと、ケルベダンズ

 By : CC Fan

あけましておめでとうございます。
色々とありましたが、おかげさまで、旧年はよい年となりました、今年もよろしくお願いいたします。

1月5日の”挨拶回り”も無事に終わり、今日から本業が再開、お正月気分も終わりです。
年末年始に書こうと思っていた”重たい”テーマは色々あるのですが、考えているうちに発散気味になってしまい、うまくまとまらず、いつまでたっても書けなさそうなので、とりあえず散文的に書き進めようと思います。
ジョージ・オーウェル気取りで、”As I Please”でもいいでしょう…

振り返ると、WMOに参加するようになってから、1月と言えばSIHHの出発準備や情報収集でソワソワしていたものですが、今年は4月開催、そのままバーゼルワールドというスケジュールなので、平和なものです。
その代わり、各ブランドは独自の展示会を展開し、去年末に超大作を発表したMB&Fからも、”ドバイで展示会やるから来ない?”というメッセージが来たものの、さすがにパス、ジュネーブかバーゼルで会おう!

SIHHからグルーベル フォルセイが脱退するというニュースも個人的には衝撃でした。
上の記事でも書きましたが、まあそうなるよな…という気持ちと、SIHHの大きな楽しみがなくなってしまったのは悲しいところですが、”別の機会”はありそうなので引き続きフォローします。

この、”好きなものをそのまま紹介できる”というのは、当たり前のようで考えてみればありがたいことで、編集長の方針、本業が別にあって副業(というか趣味)でやっているが故かなと思っています。
オーウェルつながりで、なぜ私は書くか(Why I Write)もまとめたいですが、なかなか…
あとは、私が書かないと誰も日本語で紹介しなさそう…みたいなのを紹介したいという謎の使命感も…

さて、去年の7月のスイス取材紀行(ノーブルスタイリング葛西氏の突発出張にあわせて)、いろいろあってモチベーション的なもので”山場”のカーステン・フレスドルフの記事で止まってしまっていましたが、年始にちょうど関係するニュースがあったのでそれにかこつけて紹介したいと思います。

去年のバーゼルで紹介した世界最大(センター・非センター共に)のトゥールビヨンを持つケルベダンズ(Kerbedanz)、今年の2月にアジアツアーの一環として来日が決定したというニュースです。
詳細は調整中ですので、詳細は追って報告します。

7月のスイス取材紀行でもケルベダンズのヌーシャテルオフィスを訪問、夏休み前なのであまり可動はしていませんでしたが、アートピースの製造とマキシマスを拝見しました。



なかなかなドア…



ヌーシャテルはヌーシャテル湖に近いほど高級らしく、ケルベダンズが入ってる建物は湖のすぐ近く。
ちなみにクレヨンのレミの自宅兼オフィスも同じく湖のほとりで、歩いて10分ぐらい。



このロケーション!
7月で一番いい時期もあって本当に気持ちが良い風がふいてきます。

逆を向くと…



良い笑顔…
バーゼルでもお世話になったDirector & CMOのKalust Zorik氏と、デザインを統括するCDO(Chief DesginOfficer)のAram Petrosyan氏。



ブランド設立は2011年と比較的若く、ブランド名にもなっているプレジデントのTigran Kerbedanz氏とKalust Zorik氏によってスイスのヌーシャテルに設立されました。

ビジョン(意訳)は”それぞれのオーナーの個性を反映したシンボルと伝説をすべて表現した独占的で革新的な作品を提供する”ことで、ターゲットは”個性を確立しているコレクター”で、Most Important Personalites(M.I.P)と表現していました。
古典的な時計師が王侯貴族に仕え、彼らの”ワガママ”を形にしてきたのと同様、オーナーと共に作り上げるユニークピースをメインビジネスにしています。



”42人の専門家のチームが貴方に仕える”という制作体制。



夏季休暇のシーズンだったので、制作チームは一部を除いてお休み中。
こちらはハンドエングレーブを仕上げている様子。



蝋で固定された金属パーツに彫りを入れていきます。



こちらはなんとグランソヌリのパーツを製造中。
顧客の要望に合わせてグランソヌリにさらに複雑な機構を追加することも行うそうです。



昔ながらの工作機械群、”飾り”ではなく実際に使うそうです。
残念ながら組み立て担当の時計師はすでにお休み…

彼らが”個性”を重視している表れとして、スローガンの一つは、”あなたはいつまでお父さんの時計を使うのですか?”というもの、これはあの有名なスローガンへのアンチテーゼでしょう…
ただ、個性豊かなユニークピースは顧客との契約もあり、掲載は難しいものが多いので、レギュラーピースのマキシマスを紹介します。
もちろん、マキシマスもカスタマイズは可能なようです。



チタンケースにDLCコーティングでブラックにしたバージョン。何度見ても、デカい!
27mmのケージが6分で1回転するセンタートゥールビヨン、PVDでブルーの鏡面に仕上げられたダイヤルが彩ります。
トゥールビヨンを遮らないように、時分針はトゥールビヨンの下に配置されたリングギアに取り付けられています。
インデックスのコントラスト、針の大きさ、何よりも全体が大きいので読み取り性は良好だと思います。



別角度、トゥールビヨンケージは軽量なチタン製、ブランドロゴをあしらった歯車式の微動緩急調整機構が備えられます。
また、固定4番車(相当)が直接ガンギを駆動するのではなく、1枚中間車が挟まっていることをわかるかと思います。



大好きなワインディングシステム。
重たいトゥールビヨンを動かすための4並列の香箱を竜頭で巻き上げるのは現実的ではないので、ケースバックに取り付けられたダイヤルを回して巻き上げます。
この感触が非常に気持ちいい!
カリカリカリ…と言う小刻みなコハゼ音と、ダイレクトに巻いているという感触が指に伝わってきます。
これだけでも体験してほしいです。

ちょっと隠れてしまっていますが、パワーリザーブインジケーターもあり巻き量を確認することができます。



リストショット。
49mm(ジェムセッティングのロイヤルは51mm)と大きいのは間違いないのですが、チタンケースは見た目のイメージよりはるかに軽いこともあって、実用的と思います。
針の視認性も十分です。



サイドから。
古代ローマの闘技場をモチーフにしたということが何となく伝わってくるアリーナ状の構造。
チタンとは思えないぐらい磨き上げられて周辺が写り込んでいますね。



こちらはホワイトゴールドケース。



情報過多な絵面…
Kalust Zorik氏は本当にいいキャラしています。

なかなか難しいのはわかっていますが、是非まずは見てほしい!と思える作品なので、2月をお楽しみに!

関連 Web Site

Kerbedanz
http://www.kerbedanz.com/

Noble Styling
http://noblestyling.com/