オデュッセウスについて気が付いたこと WATCH MEDIA "OFF"LINE サロン#4の振り返り

 By : CC Fan

1月24日に行われたWATCH MEDIA "OFF"LINE サロン#4、「オデュッセウス」というA.ランゲ&ゾーネの"冒険“について多数の皆様に参加いただき本当にありがとうございました。

編集長による、ランゲの歴史から見るオデュッセウス考(ギュンター・ブリュームライン起源説)や、私のアウトサイズデイトの”再発明”についてのプレゼンテーションも、おかげさまで好評、実機を見て腕に載せなければ魅力がなかなか伝わりにくいオデュッセウスを体験していただくことができて本当によかったと思います。



イベント開始前に挨拶するA.ランゲ&ゾーネ・ジャパンの新しいCEO山崎氏

さて、プレゼンテーションや実機トライのあとは自然発生的に時計トークが発生し、実機や写真を前にあれやこれや…と言う話になります。

そこで私も見逃していた新たなる発見がいろいろありましたのでまとめたいと思います。




プレゼンテーションに使ったムーブメントの写真での気が付いたこと。

まず、目立つのは両持ちになったテンプのブリッジ、緩急針を省いて慣性モーメント側で緩急調整を行うフリースプラングのテンワですが、ローターにも工夫があります。

巻き上げ効率を上げるために外周部に比重の重たいプラチナを使うのはランゲの自動巻きの伝統ですが、ローター本体には軽量かつ高強度なARCAP合金(今までは割金)を用い、内周部の強度を上げるとともに相対的に軽くしています。
巻き上げ効率に効くのは慣性モーメント(中心からの距離と重さの積)で、内周部が重くてもあまり効かず、全体の重さが効く、衝撃を受けたときの変形が大きくなってしまいます。
ARCAPは真鍮の改善版のような合金なので、真鍮のノウハウはそのまま使えますし、仕上げももちろんできます。

また、ローターの外周部が通過する軌道に一定間隔で銀色の突起が出ているのがわかりますか?
これは、ブティック・スタッフに確認したところ、万が一にローターがブレたときに受け止める受けだそうです。
ペルラージュ仕上げをした地板に当たる前にこの部品が受け止めることで擦り傷が発生しないようにする…と理解しました。

右下を見ると白い丸がはみ出しているのがわかりますでしょうか?
これは、曜日ディスクがムーブメント外周からはみ出しているものです。



この図の左上です。
そしてこの曜日ディスクを受けるための凹みがケース内にある…と言うことを話していて気が付きましたが、ケースバック側からムーブメントを入れられない構造です。

それを踏まえてもう一度分解図を見直します。



ケース内径がケースバック側に行くほど直径が小さくなっており、どう考えてもケースバック側からは入りません。
径が違うのはベースムーブメントに対しデイト表示モジュールの直径が大きくなっていて、そこで生じる段差をケースに軽く当てて安定させるような構造になっているように見えます。

また、不明瞭ではありますが機止めの受けがケースから直接生えていてケースにがっちり固定させるような構造にも見えます。

推測される組み立ての手順は、ムーブメント(ディスクなし)を文字盤側から入れてその状態で機止めで固定、竜頭とプッシャーを取り付けて動作を確認、ディスクを入れてディスク外周のネジで固定し動作確認、文字盤を仮取り付け針付けして調整・動作確認、ベゼルと風防を仮固定、ケースバック側のグラスバックから貫通ネジで固定して完成…ではないかなと思われます。
分解の時は逆の手順で、完成させてケースに収めるというより、ケースと一体化したムーブメントに対して組み立てを行うようなイメージでしょうか?

凝った作りのプッシャーの操作感は非常によく、人が明示的に力をかけないとかからないような方向に、適度な重さで押さないと動かないのでよほどのことがない限り誤動作はしないと思います。
押した間隔もコンプリにありがちな”怖さ”はなく、コキッと小気味いい音と共にディスクが送られます。

ムーブメントナンバー的に2015年開発開始なので、十二分に熟成してきているということは伝わってきます。
非常に素晴らしい作品だと思います。

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