關 宇譽護(Norifumi Seki)氏の個人制作作品 「球体月齢表示懐中時計」 水野学園2019年度卒業制作展

 By : CC Fan

またもや
1か月ぐらい経過してしまった、水野学園(ヒコ・みずのジュエリーカレッジ)の卒業制作展で、關 宇譽護(Norifumi Seki)氏(@safasok)の球体月齢表示懐中時計を拝見したレポートです。

ネット上で話させていただいて、ヴィアネイ・ハルターのイベントに実際にお会いした氏はまだ現在22歳、ヒコ・みずのコースを卒業後、研修生として自作の時計の制作を行い、今回は現時点での集大成と思える作品を展示していました。



ちょうど1か月前ですね…



大型の球体ムーンフェイズ、レギュレーター表示の時分秒表示、ビッグデイト(桁別)形式の月と日付を備えた懐中時計です。

何よりも目を引くムーンフェイズは素材を組み合わせ、素材色を活かした仕上がり、青い部分は青焼きしたチタン、黄色い部分は金プレーティングしたチタンのようです。
ムーンの周期はいわゆる121年とか122年に1日と呼ばれる高精度ムーンフェイズで、氏曰く、通常のムーンフェイズに使う59歯(29.5×2周期)の歯車を切るよりも、高精度の方が歯切りがしやすかったとのこと。
このムーンフェイズでムーブメントの厚みも決まっているようです。

デイト表示は向かって左が月、右が日付の日本の表示フォーマットにあわせています(IWCなんかは逆のヨーロッパのフォーマット)。
厚みを活かして円盤状のディスクではなく、円筒状のシリンダーを使った表示になっています。

特に珍しいのは月の表示を英語の3文字(JAN,FEB…)を12個書いた表示や、一体となった1~12の表示ではなく、デイトと同じく10の桁と1の桁を別にしたいわゆるビッグデイト形式をとっていることです。
この記事を書く前にどうやってやっているのか仕組みを考えたのですが、いまいち確証が持てません。
12→01の10の桁は、シリンダーを0と1だけにしておけばデイトと同じ方法論で行けますが、1の桁の2から1へは逆戻しが必要でどうすれば?と言う…
私の知識で思いつくのはJMTの様にレトログラードの原理を応用した絶対位置を表現するカムならいける?という事ですが…

写真では伝わりにくいですが、ダイヤルごとに異なるギロッシェを入れたレギュレーター表示は読みやすいと感じました。



オリジナル設計のムーブメント、7750の輪列をベースにテンワを自作、8振動をクラシカルな6振動にしています。
ムーンフェイズ部分や日付部分の輪列は完全に新造。

ムーンは時計の部品としては相対的に極めて大きく、主張していることが分かります。

月の部分の仕組みは拡大してもわかりませんでした…(カムにも見える)

様々なメディアにも紹介され、何と海外のSJX氏にも紹介、この関係で面白いことがあるかもしれないとのことです。

より詳細は公式のWebSiteInstagramTwitterで。

ますますの活躍に期待です!