モリッツ・グロスマン2021年新作、ドイツ的な格調が薫る 「ハマティック・ヴィンテージ」と「ベヌー・トゥールビヨン」~クラシカルなRG製の針が指し示すオリジンの強み

 By : KITAMURA(a-ls)

モリッツ・グロスマンが今年3月に発表したセンターセコンドの「セントラルセコンド」に続き、数量限定モデルではあるが、新たな作品を発表した。「ハマティック・ヴィンテージ」と「ベヌー・トゥールビヨン」だ。
針を自作することで知られるグロスマンが、両モデルに初めてセレクトした18Kローズゴールド製の針。そして、その針の存在感に調和すべく選ばれたのが黒文字盤とRGケースである。
画像を拝見する限りでは、それらの融合よってドイツ的な重厚感が生み出され、結果として、実に古典的な格調の薫る仕上がりとなっているように思える。

モリッツ・グロスマンのそのオリジンに流れているクラシカルにして緻密なモノづくり、それはなによりもブランドが大事にしてきた"職人技法"の成せる業なのであるが、ここだけは絶対にブレないという根源を持つブランドは強い。
特徴的でエッジの美しいグロスマンの針が指し示しているのは、単に時分のみならず、自らが進むべき道程でもあるように感ずる。限定なのが惜しい気もするけれど、前作の「セントラルセコンド」含め、こういう時期だからこそ、やるべきことをあるべき姿で淡々と行っている証しとも言える"新作"だ。


以下、ブランドからの資料を引用する。







モリッツ・グロスマンが18Kローズゴールド製の自社製針を採用した
「ハマティック・ヴィンテージ」と「ベヌー・トゥールビヨン」の2モデルを発表



モリッツ・グロスマンは、ブランド初となる自社製18Kローズゴールド針を採用した、「ハマティック・ヴィンテージ」と「ベヌー・トゥールビヨン」の2モデルを発表します。両モデル共に見事なゴールド針が際立つブラックダイヤルを合わせており、ローズゴールド製ケースが芸術的な美しい仕上げを一層引き立てます。



グラスヒュッテで製作される完璧な精度と美学を併せ持ったタイムピースは、多くの人を魅了し続けています。モリッツ・グロスマンの時計製作への情熱は、最高の技術で仕上げられる自社製の針に最も表れています。モリッツ・グロスマンは時刻を示すために最も大切なパーツである針へ新たな命を吹き込んでいるマニュファクチュールです。精緻な仕上げを施した18Kゴールド製の針の価値は長く続きます。グロスマンの熟練した職人は丸一日をかけて時・分・秒針の3本と、そして同じように時間をかけて「針の目」と呼ばれる針を留めるブッシュを手仕上げします。



モリッツ・グロスマンの針製作は、ゴールドの地板からパーツを切り抜くことに始まり、その後ダイヤモンドヤスリを用いて丁寧な研磨を施していきます。丸みを帯びた針のフォルムを形作り表面を滑らかに仕上げるには、非常に高いレベルのスキルに加え、並外れた忍耐力、そして何年にも及ぶ経験が求められます。モリッツ・グロスマンの針職人は、特徴的で繊細な針のうち特に仕上げの難しい先端部分においても、常に完璧な出来栄えを追求し続けています。




ランセット型のローズゴールド針を採用したハマティック・ヴィンテージ

表面を磨き上げた“Black-or”ダイヤルにスレンダーな18Kゴールド製の針を合わせたハマティック・ヴィンテージは、世界限定8本のリミテッドモデルです。針先の繊細な仕上げが、時刻の視認性を高めます。



“Black-or”ダイヤルは手作業で精巧に仕上げられています。濃いグレーであるアンスラサイト色のラッカーをジャーマンシルバー製のダイヤルに何度も塗り重ね、艶のある鏡面仕上げへと丁寧に磨き上げていきます。“Black-or”の輝きを保つため、ダイヤル表面には透明のラッカーが塗られています。




新たに独自設計された振り子式自動巻き機構
モリッツ・グロスマンのハマティックはブランドの哲学を表しています。一般的なローター式ではなく、中央部が大きく開いたハンマーフレームを用いた振り子式自動巻き上げ機構を採用しました。先端にゴールド製の重りを組み込んだハンマーフレームは、時計を着けた腕の動きに合わせて左右に揺れ動き、その動力が2つのラチェットホイールを通じてゼンマイへと伝わります。



19世紀の機構にインスパイアされたこのメカニズムにより、ムーブメントのサイズを最大限に活かしたトルクを得るとともに、非常に高い巻き上げ効率を達成しました。ムーブメントを覆い隠すことのないハンマーフレームの開口部から、その美しい仕上げを細部まで堪能することができます。キャリバー106.0のすべてのパーツは、表から見えない部分も含めモリッツ・グロスマン独自のクォリティへと仕上げられています。それにより、世界中の時計愛好家から選ばれるタイムピースが生まれるのです。

HAMATIC Vintage, calibre 106.0



繊細な木の葉型のローズゴールド針を合わせたトゥールビヨン
世界限定8本のベヌー・トゥールビヨンにも18Kローズゴールド製の針を採用しました。繊細な菱形の針の先端はとても細く、モリッツ・グロスマンの仕上げの精巧さを表しています。針の美しさがシルバー無垢製のブラックダイヤルの上品な質感をより一層引き立てます。



フライング・スリーミニッツトゥールビヨンとブラシを用いたストップセコンド機構
18世紀以降、トゥールビヨンは時計職人の高い技術を示す機構のひとつとして広く知られています。もとは懐中時計の精度を高めるために開発されたこの機構は、繊細であると同時に非常に複雑であり、ブランド名である時計職人モリッツ・グロスマンが目指した時計製作の理念とも結びついています。グロスマンの一番の関心は常に時計の正確さにありました。彼の名を継いだ新生モリッツ・グロスマンは2013年に手巻き式のベヌー・トゥールビヨンを発表しました。





TOURBILLON, calibre 103.0


キャリバー103.0は、モリッツ・グロスマンのクォリティの高さを象徴する非常に精巧なムーブメントです。新たに開発された多くの機構を搭載しており、いくつかは特許を取得しています。最も目を引くのは6時位置のスリーミニッツトゥールビヨンの大型キャリッジです。グラスヒュッテの時計師アルフレッド・ヘルウィッグのトゥールビヨンに倣い、V字型のブリッジを備えた大型ケージを採用しています。



モリッツ・グロスマンの理念に従ってトゥールビヨンの精度をより高めるためには、ストップセコンド機構が必須でした。テンワをスムーズに停止させるためには、V字型の支柱を超えてその向こうのテンワまでストッパーが届く必要がありました。モリッツ・グロスマンは柔らかなブラシを用いることで、ムーブメントへ負担をかけず、また正確な時刻調整機構を実現したのです。この優れた大型キャリッジは59個のパーツで構成され、3分間で反時計回りに1回転します。
大型キャリッジの開口部にあたる、25分~35分の間のミニッツスケールはダイヤル中央に記されており、分針のカウンターウェイトがその時刻を指し示し、明確に時刻を読み取ることが可能です。

世界限定8本
ローズゴールド製の針を採用した2つのモデルはそれぞれ世界8本限定モデルとなり、どちらも手縫いのブラックアリゲーターストラップを合わせています。





【仕様】
ハマティック・ヴィンテージ18Kローズゴールド針
HAMATIC Vintage with gold hands, Limited edition 8 pieces worldwide
Ref. MG-003079
ケース :18Kローズゴールド
ダイヤル :″Black-or″ダイヤル
針 :手仕上げ、18Kローズゴールド製ポリッシュ針
価格 :¥6,490,000(税込)
限定数 :世界限定8本

ムーブメント :自社製キャリバー106.0、自動巻き、5姿勢調整
部品数 :312個
石数 :38石(うち3石はネジ留め式ゴールドシャトンに使用)
脱進機 :アンクル脱進機
調速機 :質量ネジ4本および調節ネジ2本を装着した耐震軸受式グロスマン製テンプ、ニヴァロックス1ヒゲゼンマイ
テンプ :直径: 10.0 mm
振動数: 21,600振動/時
パワーリザーブ :完全巻き上げ状態から約72時間
機能 :時、分、ストップセコンド機能搭載スモールセコンド
操作 :リュウズ18K ゴールド(時計の巻き上げおよび時刻設定用)
ケースサイズ :直径41.0 mm /厚さ11.35mm
ムーブメントサイズ :直径36.4mm /厚さ: 5.15mm
ケース :スリーピース、18Kローズゴールド
ダイヤル :「black-or」ダイヤル、ローマンインデックス
針 :手仕上げ、18Kローズゴールド製ポリッシュ針
風防 :片面反射防止加工をしたサファイアクリスタル
ストラップ :手縫い、アリゲーター・ストラップ、バックル18Kゴールド
[特徴]
グロスマン製テンプ/段差式テンプ受け、グロスマン製精密調整ネジによる緩急調整装置/表面処理をしない洋銀のプレートおよび支柱構造・テンプ受けのハンドエングレービング/幅広く水平なグラスヒュッテ・ストライプ模様、/平型ネジ留め式の盛り上がったゴールドシャトン/時刻設定時にテンワを止めるストップセコンド機能/ハンマー振り子式自動巻き機構/両方向ラチェット歯車/アンクル爪によるフリーホイール/レバー式手巻き機構



【仕様】
ベヌー・トゥールビヨン 18Kローズゴールド針
TOURBILLON with gold hands, Limited edition 8 pieces worldwide
Ref. MG-003077
ケース :18Kローズゴールド
ダイヤル :ブラック、シルバー無垢製
針 :手仕上げ、18Kローズゴールド製ポリッシュ針
価格 :¥25,520,000(税込)
限定数 :世界限定8本

ムーブメント :自社製キャリバー103.0、手巻き、5姿勢調整
部品数 :245個(輪列186個、キャリッジ59個)
石数 :30石(うち4石はネジ留め式ゴールドシャトンに使用、輪列17石 / キャリッジ13石)
脱進機 :アンクル脱進機
調速機 :ストップセコンド機能搭載グロスマン製スリーミニッツトゥールビヨン:質量ネジ4本および調節ネジ2本を装着した耐震軸受式グロスマン製テンプ、ニヴァロックス1ヒゲゼンマイ(ブレゲタイプ80番、グスタフ・ゲルステンベルガー案に基づく)
キャリッジ :直径: 16.0 mm
キャリッジ回転数 :3分間に1回転、ダイヤル側から見て反時計回り
テンプ 直径: 14.2 mm
振動数: 18,000振動/時
パワーリザーブ :完全巻き上げ状態から約72時間
機能 :時、分、ストップセコンド機能搭載オフセンターセコンド、グロスマン製プッシャー付き手巻き機構
操作 :リュウズ18K ゴールド(時計の巻き上げおよび時刻設定用)
プッシャー:18Kゴールド(時計リスタート用)
ケースサイズ :直径 44.5mm /厚さ13.9mm
ムーブメントサイズ :直径38.4mm /厚さ7.1mm
ケース :スリーピース、18Kゴールド
ダイヤル :ブラック、シルバー無垢
針 :手仕上げ、18Kローズゴールド製ポリッシュ針
風防 :片面反射防止加工をしたサファイアクリスタル
ストラップ :手縫い、アリゲーター・ストラップ、バックル18Kゴールド
[特徴 ]:
フライング・スリーミニッツトゥールビヨン、ネジ止め式駆動歯車およびV字型ブリッジ/分針はセンター、時針及びストップセコンド機能を搭載した秒針はオフセンター、トゥールビヨンの窓枠を通過する25分から35分のために分針の根元部分に記された分目盛り/ブラシでテンワを止めるストップセコンド機構/アンクルに釣り合い重りとピンが付いた非対称レバー式アンクル脱進機/グロスマン製テンプ、ヒゲゼンマイは下方に設置、テンワの調整ネジによる調整/新設計の香箱軸受け機構/硬度の高い油脂に富むユソウボクを使った4番車軸のブレーキリング/ARCAP合金の輪列歯車/グロスマン製プッシャー付き手巻き機構、針合わせファンクション解除・時計リスタート用プッシャー/グラスヒュッテ式コハゼ機構(改良型戻し機能付き)/表面加工をしない洋銀製3分の2プレートおよび支柱構造/段差式テンプ受け、グロスマン製精密調整ネジによる緩急調整装置/3分の2プレートおよびトゥールビヨン受けのハンドエングレービング/幅広く水平なグラスヒュッテ・ストライプ模様、/角穴車の3段サンバースト模様/平型ネジ留め式の盛り上がったゴールドシャトン/ホワイトサファイアの受け石/個別に取り外し可能なクラッチ式巻き上げ機構



[モリッツ・グロスマン]
モリッツ・グロスマンは1826年にドレスデンに生まれ、偉大なドイツ人時計職人たちにおいて先駆者とみなされます。若く才能に恵まれた時計職人であったグロスマンは、友人のアドルフ・ランゲの説得により1854年に自身の工房をグラスヒュッテに設立しました。評価の高い時計企業を運営する一方で、グロスマンは政治的・社会的な活動に努め、1878年にはドイツ時計学校を設立します。1885年にモリッツ・グロスマンは突然亡くなり、彼の死とともに時計マニュファクチュールも解体されました。
このモリッツ・グロスマンの伝統的な時計作りが2008年に復活しました。時計師クリスティーネ・フッターが、かつてグラスヒュッテの時計ブランドであった「モリッツ・グロスマン」に出会い、その商標を取得し、構想を練り、素晴らしく繊細な腕時計とともに残された120年前のグロスマンの遺産を受け継いだのです。そして、個人の時計愛好家からの支援によって2008年11月11日にグロスマン・ウーレン社がグラスヒュッテに設立されました。今日のグロスマンの時計師は、歴史的な部分を単に模倣するのではなく、新たな伝統を作り上げています。モリッツ・グロスマンは、革新と卓越した技能を基に、伝統的であると同時に最新の仕上げ技術と高品質の素材を使い、時計作りにおける「新しい時代の原点」を創り出します。
www.grossmann-uhren.com