既製品のマグネットポラリティチェッカーで埋め込まれた磁石と残留磁束を探る、「避ける」の実践

 By : CC Fan

秋月電子通商
で簡単に手に入る部材だけで製作した磁気検出君テスラメーター、磁気を発生させる機器に囲まれていたとしても「避ける」を実践するために、磁石の「位置」と「強さ」を測定するための機械でした。
その後、自分の手持ちの時計を測定、「避ける」を実践できていることを確認できました。



「出張」計測も行いましたが、この時も特に磁気帯びしている個体は無しで地磁気レベル、いまだに派手に磁気帯びしている個体には出会えていません。

磁気計測君テスラメーターは手に入りやすい部品でなるべく作りやすい構造にして、よくわからない磁石を恐れるぐらいなら作って測りましょう!そして「避ける」を実践しましょう!という趣旨ではありましたが、慣れないとはんだ付けはやはりハードルが高いし、このために工具やテスターを買うのも…という事で、ハンダ付けなしでブレッドボード(差し込むだけの試作用の基板)だけで作れ、磁気の強さではなく、「有無(特定の強さ以上か以下か)」だけを測ることのできる磁気計測君デジタルを計画していました。

でも、最低限の知識と計測器がないと「作ったけど動かない」の時にダメだよなあ…と悩んでいたところ、動作確認済み既製品でピッタリのものがあったので試験的に購入、本日検証して充分に使えることが確認できたので紹介いたします。



それがこちら、マグネット応用機器メーカーカネテック株式会社マグネットポラリティチェッカーPC-10です。

マグネットポラリティチェッカーというのは磁石の極性(ポラリティ)が正しいか確認するための測定器で、タブレットカバーのように磁石のN極とS極の組み合わせで位置決めする機構やモーターのような磁石が、ついているだけではなく極性が正しいことを確認しなければいけない機器の検証に使います。

特にこの機種は測定下限が1mTと小さく、磁石の有無の測定だけではなく、簡易的な残留磁束の検出にも使えるという事で選択しました。
各種サイトで買えますが、私はアマゾンで8,355円で買いました。



いたってシンプルなカード型の外見。
左の角にセンサ、中央に極性を表示する2つのLED、右に押している間だけオンになる電源スイッチがあります。
単純な機能に従う美しさのようなものがあり、見ただけで使い方が分かるかもしれません。



検査合格書も付属しています。
保証期間も1年ちゃんとついています。

測定物から離れた状態で電源スイッチを押してホールドするとN極とS極のLEDが両方とも点灯し、ブザーが鳴ります、これによって電池残量が適正であることが確認できます。
この時に地磁気を含む周辺磁界分を測定値から差し引くヌル補正も行っているようで、LEDが消灯してから測定物に近づけるように指示があります。

1mT以上の磁束密度を検出すると極性に合わせてどちらかのLEDが点滅、同時にブザーが鳴り、極性によってパターンが異なるのでLEDが見えない入り組んだ場所の測定も行うことができます。
測定が終わったらホールドしている電源ボタンを離せば電源オフ、とまさにシンプルイズベスト。

毎回「例」として使ってる上記の箱は蓋を止めるためにおそらくネオジム磁石が埋め込まれています。

剥き身の磁石で、挙動を見てみましょう。
N極の場合は赤色のLEDが点滅し、短い間隔でブザーが鳴ります。
S局の場合は青色のLEDと長い間隔のブザー、よく見るとLEDの点滅の仕方も異なります。


実際にノートパソコンから磁束が漏れている部分を測定しました。
このパソコンは底部に磁石を用いたダイナミックスピーカーがあるためパームレスト側にも磁束が漏れていることが確認できます。
こうやって「探る」ことによって磁石がどこに埋め込まれているか探すことができます。

もう一つの目的である残留磁束(磁気帯び)の検出も、磁気帯びしている時計はないので、直流磁界環境で使って磁気帯びしているピンセットを題材にします。


誤字ってますが、残留磁束があることが確認できます。

テスラメーターで測定すると2mT程度の磁束密度があり、磁気が残っていることが分かります。
というわけで、磁石の有無の確認だけではなく、簡易的な磁気帯びの検出にも使える性能があることは確認できました。
もちろん厳密な測定はアナログタイプのテスラメーターが必要になります。

最後に、検出できる磁束密度の大きさは1mT「以上」ですが、1mTという値を閾値にするのはリーズナブルなのでしょうか?

日本時計協会のホームページを参考にすると、JIS規格では耐磁1種では4800A/mの磁界に耐えること、とされており、これは空気中(真空中)の透磁率で換算すると約6mTの磁束密度になります。
過去に非耐磁時計でも輸出検査の基準として磁界で1600A/mが使われ、耐磁時計で無くても満たされるレベルの基準とされていたようで、これは空気中では2mTの磁束密度です。

ここから、余裕をもって1mT以下(検出されない)は非耐磁時計であってもOKと考えれば、測定器が検出する位置を「避ける」とすれば充分に安全と言えます。
実際にはもう少し余裕があるとは思いますが、念には念と考えると1mTは割とリーズナブルではないかと考えました。

また、実際に試してみると距離を取ると急激に減衰するクーロンの法則(逆二乗則)にしたがい、とにかく距離を取るのが一番という事が実感できると思います。
やはり繰り返しになりますが、闇を恐れるよりも、灯で照らすのは如何でしょうか?