パテック フィリップ2022新作~高い完成度を持つ12モデルを発表

 By : KITAMURA(a-ls)


パテック フィリップの2022年新作が発表された。
まず目をひくのは、年次カレンダーとトラベルタイム機構を連結させた5326Gだ。これまでにあまり例のない、ありそうでなかった新しい機構だが、というのもトラベルタイムにはホームタイムと現地時間という2つの時間帯が表示されるため、カレンダー機構をそのどちらに連動させるかという問題がつきまとうからだろう。
ユーザーとしては当然今いる現在地の時刻に同期してほしいのだが、GMTは時針の処理で現地時間を表示するため基本の輪列はホームタイムで設定されている。そのためパテック フィリップは、トラベルタイム機構が年次カレンダーを制御して、現地時刻の筒車がカレンダーを駆動する新しいキャリバー 31-260 PS QA LU FUS 24Hを開発したのである。


●5326G-001とキャリバー 31-260 PS QA LU FUS 24H


また、この5326Gの特長ともなっているのは、外周に向かって濃くなるブラック・グラデーションのかかったアントラサイトの文字盤だが、このわずかにざらつきのあるアンティークなテクスチャーと同じ技巧のダイアルを持つカラトラバ、5226G-001も発表されているので、この2本はペア・ウォッチとしても使えそうだ。


●5326G-001

時・分針、センターセコンド、日付表示、ストップ・セコンド機能を備えた自動巻ムーブメント、キャリバー 26-330 S Cを搭載し、かつてのカラトラバにはおなじみのクルー・ド・パリ(ホブネイル・パターン)・ギヨシェがケース側面に彫られておりマニュファクチュールの象徴となっている。このクルー・ド・パリ(ホブネイル・パターン)・ギヨシェ装飾を施すため、ラグがケースバックと一体になった特別なケース構造を創作したとのことだ。



またこのカラトラバのニューモデルには、2本の交換可能なバンドが付属している。
ヌバック仕上げベージュのカーフスキンとエンボス加工ファブリック柄にベージュのハンドステッチでコントラストを持たせたブラックのカーフスキンで、着用シーンも拡がる心遣いが嬉しい。




続いて、昨年からトレンドカラーとなっている感のある、グリーンダイヤルを備えた作品が今年も3モデル発表された。

まずは、パテック フィリップの永遠の王道ともいえるパーペチュアル・カレンダー付クロノグラフ・モデル、5270Pのラック・グリーン ダイヤル搭載ヴァージョン。






次に、レディースのTWENTY~4®からの4910/1200A。
パテック フィリップ式には、オリーブグリーンという呼称だが、深い色を持つグリーン・ダイヤルの両側にある18個ずつ並んだダイヤモンドが個性を強調している。心臓部はパテック フィリップのキャリバー E15クォーツ・ムーブメントだが、仕上げは機械式レベルを超える一本だ。



"グリーン・コレクション"の最後は、5205R。
外周に向かって濃くなるブラック・グラデーションのオリーブグリーンの文字盤なので、一見しただけでは緑の印象は強くないという、実にマニアックな華やかさを秘めた作品。



パテック フィリップ独特の艶やかさを放つローズゴールドケースにみられる凹型ベゼル側面のくぼみ、およびオープンワーク・ラグが際立つこのアーキテクチャーは、実に見事の一語に尽きる。



さて、ダイヤルカラーで分類するならば、緑と並ぶもうひとつのラインが、ついサーモンピンクと呼んでしまいそうなのだが実際はローズゴールド メッキを施したオパーリン・ダイヤルだろう。今年は2作品が追加された。永久カレンダーの5320Gと、センター・クロノグラフ秒針を持つ 5172Gクロノグラフだ。


●5320G(上)と5172G(下)



以上、文字盤カラーで分類してみたが、機構面の括りでいうと、ワールドタイムが3モデル発表されている点は、2022年の特筆点ではないだろうか。

2016年に登場した5230モデルからは、初のプラチナ・ケースと新たな手仕上げギヨシェ装飾のサーキュラー・パターンを備えたブルーの文字盤を持つ5230Pと、そのレディース・アレンジ・ヴァージョンともいえる、古風な篭の編み目をかたどった手仕上げギヨシェ装飾のオリーブグリーン文字盤の7130Rが発表されている。


●5230Pと7130R


7130Rは、62個のダイヤ付ベゼル(約0.85カラット)を備え、ピンバックルにも 27個のダイヤ(約0.21カラット)がセッティング
されている。



そして3本目は、もはや"絶滅危惧種"となっていたクロワゾネによるエナメル文字盤を持つ5231Gが、パテック フィリップ曰く『2022年、パテック フィリップは、東南アジアとオセアニアのダイナミズムに敬意を表し、このホワイトゴールド仕様のニューバージョンに、クロワゾネ七宝による地図のテーマとして使用しました』という理由での帰還を果たしている。



例によって販売期間は短期と思われるが、我が国のシルエットもしっかりと(実寸よりもちょい大きめに)描かれている(気がする)ので、愛好家の方はぜひトライしてみてはいかがだろう。



さて残る2本は、超ド級と宝飾コレクションから。

長いことパテック フィリップを見つめてきて、自分にとって永遠の憧れのような感じになっているのが、4桁のリファレンスの末尾が"74"のモデルだ。この意見に頷いていただける"同志"は多いような気もするが、どうだろう(笑)。

今度の"74"は5374/300Pだ。だがしかし、"74”の決まり事である永久カレンダーとミニット・リピーターに加え、バゲットカット・ダイヤモンドが全面にセッティングされ、燦めく幾何学的なパターンを描いた芸術的文字盤となっている分、いつも高い"74"のハードルがさらに高くなっているという逸品だ。





凹型のベゼルには、完璧な円をなすように特別にカットされたバゲットカット・ダイヤモンドが2列にセッティングされ、インデックスもサファイヤのアワーマーカーとダイヤモンドのミニッツ・マーカーという豪華装飾。



エンジン部分は 自動巻ムーブメント、キャリバーR 27 Qに、ムーブメントをほぼ2周する《カセドラル》ゴング付のミニット・リピーターを搭載。これぞパテック フィリップという深みのある音色が耳に響くに違いない。


そして最後は、レディースからのジュエリー・モデル7121/200G





いかがだろうか。
WATCHES&WANDERS2022の初日に発表されているのは以上12モデルだが、まだまだ"隠し玉"はあるかもしれないし、大方の人が"出る"と予想していた新型ノーチラスの姿もないので、まだ2の矢、3の矢が続きそうな予感がする。

この12本に総じて言えることは、どのモデルも、そのデザインや仕上げが恐ろしいほどのレベルに至っている点だ。安定性と信頼度の高い基幹ムーブメントを多用している分、そのコストのかなりの部分を芸術性やデザイン性の向上に振り向けているのか、その水準は毎年毎年、年を重ねるごとに高まっている。
実際、どんな宝飾メーカーにも負けない高い完成度が画像からもわかるし、おそらく実機を見た瞬間には、その驚愕オーラはより強烈に伝わってくるだろう。

最近は、パテック フィリップのどのモデルもなかなかに入手が難しい傾向にあるので、興味を感じるモデルがある方は、なるべく早く、お付き合いのある取扱店に相談してみよう!




【お問い合わせ】
パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター
電話:03-3255-8109